レントゲン室の設計で気を付けるべきポイント|X線防護の必要性

更新日 2024.01.24
投稿者:豊田 裕史

大規模な病院は言うまでもなく、最近ではほとんどの病院にレントゲン室が設置されています。一見すると、普通の部屋のようです。しかしX線は放射線の一種であることから、不必要なX線漏れや過度な線量の影響を避ける必要があります。

そのため、あらかじめレントゲン室にどのようなX線装置を設置するかが決まっている場合は、施工前に部屋の扉、床、壁、天井等を遮へいするための設計が必要となります。昨今の放射線に対する世間の関心の高まりも踏まえ、医療法施工規則に準じた対応をとりましょう。

レントゲン室を設計する際の大前提

レントゲンで使用されるX線診療は、その性質を利用し痛みを伴わずに診断できることから画期的な診療方法として今日では一般的になっています。ただX線の過度な摂取による人体への悪影響は避けなければなりません。下記では、X線の特徴の把握とX線防護について詳しく解説していきます。

X線とは何か

「レントゲンを撮りましょう」と医師から説明を受けたことのある方も多いと思います。ただ「レントゲン」と「X線」は全く同じ意味で、レントゲン博士が発見したという理由から「レントゲン」と呼ばれているのです。医学用語では「X線」となっていますので、以後「X線」と表記します。

X線とは、光や電波と同じく電子が物体に衝突した時に発生する電磁波放射線と言えます。レントゲン撮影とは、X線が身体を通過する度合いにより影を浮かび上がらせて、それをモノクロ画像として見れるようにしたものなのです。つまり骨や水分、脂肪などの身体の組織でX線の通りやすさが異なると、その差が濃淡の影となります。そのため異物があるとそれが影となり発見できる仕組みとなっているのです。

X線防護の必要性

画期的な手段として用いられてきたX線ではありますが、放射線の一種ですので過度な被ばくによる放射線障害を避けるため、X線の防護が必要となります。またX線は五感で感じないため、気づかないうちに被爆してしまうことにもなりかねません。そこで医療法施工規則を定め、患者への不要な検査による被ばくや、漏れに伴う医療従事者の被爆を防止しています。

出典:社団法人 日本画像医療システム工業会「X線防護工事 標準化マニュアル」

根拠となる医療法施工規則

X線防護工事の対象となる場所は医療法施工規約に記載されています。X線装置を使用するX線診療室で『管理区域に係る外部放射線の実効線量が3ヶ月間につき1.3mSv以下』を超過するおそれがある場所が対象です。

X線装置とは、一般X線撮影装置・X線CT装置・一般X線透視撮影装置・循環器用X線透視撮影装置(アンギオ)・乳房用X線撮影装置(マンモグラフィ)・歯科用X線撮影装置等が該当します。

なお参考までに、病院・診療所各場所の基準値も下記のように定められています。

  • X線診療室の画壁境界外側:1週間につき1.0mSv(ミリシーベルト)以下
  • 病院または診療所の敷地境界内:3月間につ250μSv(マイクロシーベルト)以下
  • 病院または診療所内の病室内:3月間につき1.3mSv以下

出典:医療法施行規則

レントゲン室におすすめの「鉛板」

X線防護工事で使われる遮へい材としては鉛・コンクリート・鉄板・ガラスといったものが使われます。ただ総合的観点から見て「鉛板」がおすすめです。その理由を鉛の特性から見ていきましょう。

鉛の特性|放射線を吸収

放射線は様々な物質で遮ることができます。ですが、その中でも鉛はX線、ガンマ線などの電磁波を良く吸収し、高純度の鉛に至っては、中性子の照射を受けても放射化されないと言われています。さらに柔らかく加工しやすいという利点も広く使われる要因と言えるでしょう。

鉛板の石膏ボードが使われることが主流

上記の特性からも、現在ではリニューアルにも対応可能な鉛板の石膏ボードが使われることが主流となっています。なぜなら鉛板を直接、壁や天井に貼ると重みで経年劣化を引き起こし遮へい効果を弱めてしまうからです。そのため、鉛板と石膏ボードを接着したものが一般的に使われています。

さらに壁、天井、床だけでなく扉の防護も怠ってはいけません。扉自体に鉛を使うことはもちろんのこと、枠にも入れることが重要になってきます。また扉を閉めた時に扉と扉の枠の部分が重なるように、扉の枠の部分と壁と重なるように、X線が外部に漏れないよう注意する必要があります。

X線装置により異なる鉛の量

一口にX線装置と言っても一般X線撮影装置・X線CT装置・X線透視撮影装置・マンモグラフィ・歯科用X線撮影装置等、様々な装置があります。使用するX線装置の機種、撮影部位、撮影方法によって必要な鉛当量は異なります。さらに同一装置でも、3月間の実効稼働負荷・装置の配置・利用線錐の方向・周囲の状況等によっても鉛当量に差異が生じます。

組立式のX線防護BOXも

株式会社第一放射線』という企業では組立式のX線防護BOXをの販売しています。安全性に優れ、移設・増設など将来を見越しての設置に対応可能です。工期も一日と短く、狭い空間でも施工できます。また、サイズ・鉛当量などを自由に選べるオーダーメイドも取り扱っており、内科・小児科・歯科・耳鼻科などの撮影に幅広く活用されています。

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まとめ

本記事ではレントゲン室の設計にあたり、X線防護の必要性を解説してきました。患者や医療従事者の被ばくを回避するためにも、レントゲン室を施工する前に入念に準備をする必要があることをご理解いただけたでしょうか。

また法律で放射線防護の規制もなされており、これに反しますと「施設の使用停止」といった重大な結果を招く場合もあります。そのようなことにならないよう、今一度、X線防護の重要性を見直す参考にしていただけると幸いです。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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