施設の清掃を外部の清掃業者に依頼するケースが増えています。その背景にあるのが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響です。そのような状況で、清掃業者への外注を検討している方、清掃業界で働いてみたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、清掃業者や清掃サービスについて、よく理解していない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、清掃業者の種類や具体的なサービス内容をわかりやすく解説していきます。どういった清掃業者やサービス内容があるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
清掃業者は大まかに、「事業所向け清掃業者」と「一般家庭向け清掃業者」の2つに分けられます。ここでは、それぞれの特徴についてみていきましょう。
清掃業の仕事は、清掃する場所によって種類を分けることが多く、代表的なものが下記の通りです。
ビル清掃業者は主に、オフィスビルや商業施設などのフロアや通路、トイレなどを掃除します。作業範囲にテナントの専有部分は入っていないケースが多いです。また、ビル清掃には日常清掃と定期清掃があり、複数人のチームで清掃を行います。
オフィス清掃業者は、主にオフィスビルの専有部分を掃除します。例えば、従業員の仕事スペースや給湯室などの掃除やモップがけです。基本的に就業前、もしくは就業後に掃除を始めるため、オフィスで働く従業員の邪魔になることはないでしょう。
マンション・アパート清掃業者は、廊下やエレベーターなどの共有部分の清掃、ゴミ置き場の清掃などを行う仕事です。定期的に清掃を行うことで衛生環境を整え、入居率の向上や退室者の減少に役立ちます。
ホテル清掃業者は、宿泊客がチェックアウトした後に清掃する仕事です。具体的には床の掃除、トイレ・浴室の清掃、ゴミの回収、ベッドメイキングなどを行います。他にも、エントランス部分やエレベーター内など、共有スペースを清掃することもあるでしょう。次の宿泊客がチェックインする前に掃除を行わなければならないため、スピーディーな作業が求められます。
病院清掃は、感染対策や建物の美観を保つなどの目的で行う清掃です。具体的にはトイレ・階段・個室の清掃、ゴミ回収などの日常清掃や、ポリッシャーがけ・ワックスがけなどの定期清掃があります。病院で使用する薬剤などは、一般的なオフィスで使用するものとは異なるため、高い知識とスキルが必要です。
次に、下記の5種類の一般家庭向け清掃業者についてみていきましょう。
ハウスクリーニングでは、家の中のフローリング、お風呂、トイレ、キッチンなどを掃除してくれます。清掃業者の従業員は汚れに対して、「どの道具と洗剤を使えば最適か」などを研修で学んでいることが多いです。注意点として、家の中全てを清掃するサービスではありません。清掃場所に応じて料金が決まっており、場所を指定して清掃を行ってもらいます。
遺品整理業者は、亡くなった方の遺品を整理・回収・処分する仕事です。依頼者が残すものと処分するものに仕分けし、不要なものは従業員が運搬して回収します。通常の清掃業者とは異なり、片付けを行ってくれる業者といえるでしょう。
不用品回収業者は、自宅にある不用品を回収してくれる業者です。1つだけの回収から、不用品全ての回収も対応してくれます。注意点としては、高額請求をする悪質業者には注意が必要です。そのため、複数社に見積依頼をし、適正価格で対応してくれる業者を選びましょう。
ゴミ屋敷清掃業者はその名の通り、ゴミ屋敷の清掃を行う業者です。場合によっては複数台のトラックが必要になり、その分費用も高額になります。業者によって異なりますが、費用は数万円から数十万円かかるでしょう。
特殊清掃業者は、事件・事故・孤独死などで亡くなった方の部屋の清掃を行う業者のことをさします。部屋に残った腐敗臭を完全に除去し、原状回復を目指すのが目的です。専門的な技術や薬剤が必要になるため、特殊清掃業者に依頼する他ないでしょう。
ここでは、一般的な清掃業者が対応している4種類の清掃サービスについて解説していきます。その4種類の清掃サービスは下記の通りです。
一つずつみていきましょう。
日常清掃とは、日常生活で汚れる場所や身の回りの清掃をするサービスのことです。具体的には下記のような内容が挙げられます。
日常清掃は従業員の負担が軽減されたり、外部からの印象が良くなったりする点がメリットといえるでしょう。日常清掃の頻度としては、毎日〜週に数回程度で依頼することが多いです。
定期清掃は、日常清掃では落としきれない汚れなどの清掃を行うサービスをいいます。具体的な清掃内容は下記の通りです。
普段の清掃では落としきれない箇所を清掃することで、施設内を綺麗に保つメリットがあります。月に1度、または数ヶ月に1度程度の頻度で行うことが多いでしょう。
巡回清掃とは、マンションやアパートなどの共用部分の清掃を行うサービスのことです。具体的には下記のような清掃内容が挙げられます。
日常清掃より少なめの頻度で清掃を依頼したい場合に、おすすめといえるでしょう。そのため、1週間に1〜2回程度で依頼するケースが多いです。
スポット清掃とは、一部の場所に限定した清掃サービスのことです。「1箇所だけ汚れが取れない」「集中的に掃除してほしい」などのニーズに対応しています。スポット清掃の主なサービス内容は下記の通りです。
なお、スポット清掃に対応していない業者もあるため、問い合わせ時に確認しておきましょう。
ここでは、清掃業者の一員として働きたい方向けに解説します。清掃業者の規模は、ハウスクリーニングを行う個人から地元に密着した企業、全国展開の企業まで幅広くあります。その中で事業所向け清掃業者、特にビル清掃や病院清掃などは、中・大規模の清掃業者が多いです。
また、ビルクリーニングを行う事業の開業や建築物清掃を行いたい場合には、「ビルクリーニング技能士」の資格取得が必要になります。一般家庭向けの清掃業者の場合は、個人〜小規模の清掃業者が多いです。その理由として、開業の敷居の低さが挙げられます。そのため、まずはどのような規模感の清掃業者で働いてみたいかを、明確にしておく必要があるでしょう。
今回は清掃業者と清掃サービスの種類の基礎知識を解説してきました。清掃サービスの種類には、日常清掃、定期清掃、巡回清掃、スポット清掃があり、清掃箇所や頻度が異なります。また、事業所向け・一般家庭向けの清掃業者によっても目的や予算が異なるため、適切な清掃業者選びが大切です。本記事の内容を参考に、施設に合った清掃業者選びを検討してみてください。