内装工事を成功させるうえで、業者選びは最も重要です。内装工事を予定している方や、複数の業者から見積もりをとって決めかねている方も多いでしょう。しかし、内装工事に関して知識のない方が信頼できる業者を選ぶのは難しいです。業者選びの際に価格だけを見て決めてしまうと、失敗する可能性も高くなります。
そこで今回は、内装業者選びで失敗しない方法や、内装工事の基礎知識について解説していきます。また、内装業者選びで失敗しやすい例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
内装業者選びで失敗しないためには、悪質な業者の特徴を知っておくことが大切です。ここでは、悪質な内装業者の事例と、内装工事における失敗事例をご紹介します。
悪質な内装業者は、ニュースや新聞などで度々問題になっています。下記に該当する場合は、他の業者を探した方がよいでしょう。
一つずつ事例を説明していきます。
極端な値下げをする業者は、一見すると良い業者にも思えます。しかし、「予算の範囲外」であることを伝えた際に、大幅な値下げをしてくる業者には注意が必要です。なぜなら、極端な値下げをする分、「手抜き工事」が行われることが多いからです。
例えば、工事費用が1000万円と提示された際に、予算オーバーであることを伝えると「700万円に値下げする」といった業者が存在します。特に飲食店などの店舗の内装工事では、内装に使用する材料などを安く調整するケースが多いです。信頼できる内装業者であれば、予算の範囲内で適切な工事内容を提案してくれるでしょう。そのため、あくまでも予算や相場の範囲内で、内装工事を行う業者を選ぶのが大切です。
他社デザインを丸々使おうとする業者は、悪質な内装業者といえます。なぜなら、デザイン案にも著作権があるからです。例えば、A社からデザイン案を貰っている状態で、B社に内装イメージとしてA社のデザイン案を見せたとします。そこでB社が「当社であれば、このデザインで20%安い価格で請け負います」という風に伝えてくる業者には注意が必要です。
デザインを丸々マネしながら、勝手に利用する行為は違法ともいえるでしょう。また、他社のデザインを使って安く請け負うような業者は、手抜き工事のリスクもあります。そのため、後々トラブルにつながる可能性も十分考えられるでしょう。
ここでは、内装工事に関する失敗事例をご紹介します。具体的な失敗例を知っておくことで、トラブルを未然に防げるでしょう。
「工期が遅れて開業に間に合わなかった」このような失敗事例があります。工期が遅れる原因としては、
などが挙げられるでしょう。こういった不測の事態を想定して、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。また、内装業者を選ぶ際に、工事を行う職人が不足していないかの確認をしておくのも大切です。
内装工事が完了した後に、「イメージと違う」といった失敗例もあります。これは、内装業者にデザインの大半を任せていることが原因です。
上記の項目を明確にして、内装業者との打ち合わせの際にしっかりイメージを伝える必要があります。イメージが湧かない場合は、理想の内装デザインの写真や事業計画書などを見せてもよいでしょう。内装デザインは集客につながる重要な要素です。失敗がないように、信頼できる内装業者を選びましょう。
設置した設備・什器に不備があった失敗例です。壁や床は綺麗な仕上がりでも、「空調設備が作動しない」「間口のサイズが違う」といった不備が見つかることがあります。いざ開業を迎えても、このような不備が見つかると改修や追加の工事が必要です。さらに無駄な費用と時間がかかってしまうでしょう。特に、居抜き物件の賃貸を検討している方は注意が必要です。設備・什器が古い場合があるため、電気・水道などの状態を工事前に確認しておきましょう。
内装業者選びでの失敗や内装工事の失敗事例をご紹介してきました。このような失敗を防ぐためには、下記のポイントに注目して内装業者選びをしてみてください。
一つずつ解説していきます。
内装業者を探す際、まずはその業者の施工実績を確認することをおすすめします。施工実績数が豊富な内装業者は、専門的知識や経験が蓄積されており、最適な提案をしてくれるからです。逆に、施工実績が少ない内装業者に依頼してしまうと、手探りでの工事になり、作業も思うように進まないでしょう。特に、クリニックや介護施設の場合、専門的知識や法律に詳しくなければなりません。後に不具合が見つかってトラブルにならないように、施工実績数が十分か確認することが重要です。施工実績数の確認は、内装業者のホームページまたは直接問い合わせて確認しましょう。
専門性の高さで内装業者を選ぶのも、失敗しない業者選びのポイントです。各内装業者には、得意な分野があります。例えば、オフィス専門の内装業者と店舗の内装を専門に行なっている業者とでは、専門性の高さが違います。上記の例でいうと、オフィスの内装を依頼したい場合、専門性の高い前者の内装業者に依頼したいはずです。また、医療機関や介護施設などは、専門性の高い業者でなければ必ず施工に影響がでます。そのため、内装を依頼する分野の専門性がどのくらいあるか、ホームページや口コミ、直接問い合わせて確認するとよいでしょう。
担当者の人柄を見ることで、良い業者かの判断材料になります。内装工事が完了するまで、長い時間をかけて打ち合わせやコミュニケーションが必要です。そのなかで担当者の印象が悪く、話しづらい雰囲気があれば、心から信頼して工事を任せることはできません。反対に、こちらの細かな要望にもしっかりと対応し、専門用語や疑問点などにも丁寧に説明してくれる担当者の方が信頼できます。担当者の人柄が良いか悪いかの判断が難しい場合は、下記の点で判断してみてください。
上記のように、誠実で丁寧な対応をしてくれるかどうかを確認しましょう。
内装工事には「分離発注」と「一括発注」があり、1社で完結できる一括発注の業者を選ぶことをおすすめします。1社で完結できる業者がおすすめな理由は、施工時間や費用を削減できるからです。複数の業者に依頼した場合、それぞれの業者と打ち合わせが必要になり、作業がスムーズに進まない可能性があるでしょう。関わる業者が1社であれば、打ち合わせの手間や時間が軽減されます。また、複数ある業者の何社かが、利益を上乗せした見積もりをだす可能性も低いです。そのため、内装業者を選ぶ際は、1社で完結できる業者を選びましょう。
内装工事に関する基礎知識を事前に知っておくことで、業者の言い値での契約を避けられます。ここでは、内装業者の種類、価格の決まり方をご紹介していきます。
内装工事ができる業者の種類は下記の3つです。
一つずつ説明していきます。
内装業者はデザイン・設計・施工の3つの内容を、すべて一括で発注できる業者のことです。内装業者は一括で発注ができるため、それぞれを別業者に依頼する場合よりもトータルコストを抑えられます。また、複数の業者とスケジュールを合わせて打ち合わせをする必要もなく、話がスムーズに進みやすい点は大きなメリットです。内装業者を選ぶ際は複数の業者から相見積もりをとり、料金や提案内容を比較しながら選ぶとよいでしょう。
工務店は内装だけでなく、一般住宅の建築やリフォームなど、幅広く対応している業者のことです。前述の内装業者と同様、一括で発注ができます。ただし注意点としては、内装工事の経験が豊富ではない工務店もあるということです。この点については、工務店のホームページや直接問い合わせて確認してみるとよいでしょう。また、内装工事の施工実績が豊富で施工件数が多ければ、相談先の1つとして考えられます。工務店を選ぶ際も相見積もりを取り、料金や提案内容を比較することをおすすめします。
設計・デザイン会社は、基本的に設計やデザインのみを担当する会社です。内装業者と工務店はすべての工程を一括で発注できますが、設計・デザイン会社はできません。設計・デザイン会社は内装にこだわりたい場合や、過去の施工実績から好みのデザイナーを指名したい場合などにおすすめです。ただし、設計・デザイン会社であっても、すべての工程を一括で請け負っている業者もあります。そのため、一括発注か分離発注なのかはあらかじめ確認しておきましょう。また、設計・デザインと工事が分離発注になる場合は、全体の費用として10〜15%割高になる傾向があります。
すでにご紹介した内装業者の種類によって、対応できる業務の範囲も異なります。そのため、自施設の内装はどの要素で構成されているのかを把握するのが大切です。ここでは、内装費用の内訳を下記の3つに分けて解説していきます。
一つずつ見ていきましょう。
設計・デザイン費用は建物の規模や提案内容によって異なるため、一般的な相場というものはありません。設計会社によって算出方法は異なりますが、下記の3つの方法をご紹介します。
総工事費とは、内装工事費と設備工事費を合計したものです。総工事費から算出した場合、建物の規模に関係なく総工事費の10〜15%が設計・デザイン費の相場になります。
坪単価から算出することも可能です。この場合は、「坪数×工事内容の単価」で算出されます。ただし、坪数が10坪以下の場合は注意が必要です。坪数から算出するのではなく最低料金を設定していることが多いため、費用が割高になってしまいます。
設計・デザイン費用を人件費、技術料から算出する方法です。建物内部の下地を作る「造作工事」などは特殊な技術を要します。そのため、技術料が加算され、設計・デザイン費用もそれに応じて算出されます。
内装工事の坪単価は、30〜50万円が相場です。しかし、業種や物件の種類によっても異なります。例えば、医療業界であれば診察台や大型の医療機器が必要になり、費用も大きく変動するでしょう。物件の種類では、コンクリート打ちっ放しの「スケルトン物件」と、前の借主が使用していた設備や内装が残っている「居抜き物件」の2種類があります。基本的に坪単価は、スケルトン物件の方が高く設定されていることが多いです。しかし、居抜き物件で引き継いだ内装や設備に不備が生じると、改修・追加工事が必要になります。そのため、居抜き物件の場合でも、想定より費用がかかってしまうこともあるでしょう。居抜き物件を選ぶ際は、既存の内装や設備に不備がないか、あらかじめ確認するのが大切です。
内装費用の中には、設備機器や備品購入費も入れておかなくてはなりません。あらかじめ必要なものを確認し、設備機器や備品の購入費がいくらになるのか計算しておきましょう。購入するものはインターネットやカタログなどで確認できますが、設置費や工事費がかかる場合もあります。そのため、購入費用と併せて設置費や工事費の有無についても確認しておくのが大切です。
今回は、失敗しない内装業者の選び方について解説してきました。「予算内にを抑えたい」「内装デザインにこだわりたい」など、さまざまな要望があるかと思います。信頼できる内装業者に依頼すれば、それらの要望を叶えてくれるでしょう。失敗しない内装業者選びのためには、「施工実績数」「専門性」「担当者の人柄」「1社で完結できる業者」といった項目をよく見ながら業者選びをすると失敗する可能性も低くなります。本記事を参考に、信頼できる内装業者選びの一助になれば幸いです。