DPC制度は、2003年4月から大学病院などの特定機能病院に導入され、導入病院は年々増加しています。DPCは医療費の抑制や医療の平準化を目的としており、コストパフォーマンスの良い医療の提供が期待できる制度です。
しかし、DPC特有のレセプト請求となるため、レセプト業務が煩雑化してしまうデメリットがあります。今回の記事では、DPCレセプトの特徴や、DPCレセプト点検システムの導入メリット、選び方のポイントについて解説していきます。
また、おすすめのDPCレセプト点検ソフト5つを紹介しますので、製品選びの参考にしてみてください。この記事を読むことで、レセプト点検ソフトの選び方がわかり、自院のニーズにあうソフトを導入できるでしょう。
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DPCとは「包括支払い制度」のことで「Diagnosis Procedure Combination」の略です。これは従来の出来高払いとは異なる医療費支払方式で、病名や診療内容によって1日当たりの定額の点数が定められています。
入院費用は、この定額の点数からなる包括評価部分(入院基本料、検査、投薬など)と、出来高評価部分(手術、リハビリなど)を組み合わせて計算されるのです。
では、DPCのレセプト点検とはどのようなものなのでしょうか。レセプト点検とは、レセプト(診療報酬明細書)の内容が正しいか確認する作業のことです。一般的なレセプト点検では、目視や点検システムを用いて、
などを確認します。
しかし、DPCレセプトは診療報酬の計算方法が一般的なレセプトと異なるため、DPC特有のレセプト点検が必要になるのです。一般的なレセプトとDPCレセプトの違いについては次章で解説していきます。
一般的なレセプトとDPCレセプトはどう違うのでしょうか。一般的なレセプトとは、従来の「出来高払い方式」のことで、検査、投薬などの診療行為ごとに点数を積み上げて計算する方法です。
対して、DPCレセプトとは、「包括払い方式」のことで、点数は以下の方法で計算されます。
1日あたりの入院点数×医療機関別係数×入院日数(包括評価)+手術麻酔・リハビリなど(出来高評価)
このDPCレセプトは全ての病院に導入されている訳ではなく、厚生労働省に指定された対象病院のみで導入されています。
ここでは、DPCデータの概要、DPCコード、医療機関別係数について詳しく解説していきます。
DPCデータとは、DPC対象病院における患者情報や診療行為に関するデータです。DPCのデータは自院の診療行為を集約したデータのため、経年的に比較することで、医療の質向上や経営改善効果が期待できます。
また、自院のデータと公開データとを比較することで、自院の全国的な立ち位置を知ったり、近隣病院と比較をしたりすることも可能です。近年では、DPCデータを比較・分析することで、経営戦略を立案するなどの活用方法がとられています。
そして、それぞれの患者のDPCデータは次に解説する「DPCコード」と呼ばれる14桁の番号で分類され、まとめられています。
DPCコードとは、入院料を決めるための14桁の番号です。1人の患者に対して1つのコードが付与され、2つ以上の病名がついた場合には最も点数が高くなるコードが選ばれます。
まず最初の6桁が示すのは「入院中に最も医療資源を投入した疾患」です。次の7桁目は病態等の分類を表しますが、現在こちらの分類は使用されていません。 8桁目は年齢・出生時の体重・JCS、9/10桁目は手術の有無や内容、11/12桁目は処置などの内容が示されています。
13/14桁目で表しているのは、副病名や重症度です。
医療機関別係数は、入院費を算出する際に使用される係数のひとつで、①基礎係数②機能評価係数Ⅰ③機能評価係数Ⅱ④激変緩和係数の4つの要素で定められています。
①基礎係数
「基礎係数」は医療機関の基本的な診療機能を評価した係数です。大学病院本院群、DPC特定病院群、DPC標準病院群に分けられており、それぞれの機能に応じて係数が変わる仕組みになっています。
②機能評価係数Ⅰ
「機能評価係数Ⅰ」は病院の人員配置や施設全体の体制などを評価する係数です。具体的には、看護師が何人配置されているか、医療安全対策、感染対策ができているかなどによって係数が変動します。
③機能評価係数Ⅱ
「機能評価係数Ⅱ」は病院が質の高い医療を提供できているかを評価する係数です。具体的には、レセプト提出時にミスが少ないか、患者さんを早期退院させられているか、救急医療や地域医療に積極的に取り組んでいるか、などによって係数が変動します。
④激変緩和係数
「激変緩和係数」は診療報酬改定時に推計診療報酬変動率が±2%を超えて変動するDPC病院に対して、改定年度の1年間のみ設定される係数です。毎年適応される係数ではないため、注意が必要です。
ここでは、DPCレセプト点検ソフトを導入するメリットについて解説します。主なメリットは以下の3つです。
1つ目のメリットは点検業務の効率化が可能になることです。点検ソフトを導入すると、電子レセプトから疑義のレセプトを自動抽出することができます。
診断群分類の妥当性チェック、出来高算定可能項目チェック、包括評価対象外チェックなどを短時間で正確に行ってくれるため、業務効率は大幅に上がるでしょう。
具体例をあげると、べてらん君 Collaboration Plusの場合、レセプト1万件を8分で処理することができ、目視での確認とは格段のスピード差があります。
スタッフの業務負担を軽減できることもメリットのひとつです。
レセプト点検ソフトを活用すると、これまで多くの時間を取られていた点検業務が自動で短時間に行えるようになります。スタッフの業務負担は軽減され、残業時間の減少も期待できるでしょう。
査定・返戻の減少も可能です。目視点検の場合はどうしても見落としがでてしまいますが、点検ソフトを活用することで見落としは大幅に少なくなります。
返戻が少なくなれば再請求業務に時間を取られることもなくなり、 スタッフが本来やるべき業務に集中できることも大きなメリットと言えるでしょう。
ここでは、DPCレセプト点検ソフトを選ぶときのポイントを解説します。主なポイントは以下の3つです。
これら3つはどの病院でも大事なポイントになるため、ぜひチェックしてみてください。
まずは、自院にとって必要な機能が備わっているかをチェックしていきましょう。 DPC対象病院の場合は、DPCレセプトチェック機能が搭載されていることが大前提です。
点検ソフトによっては、DPCレセプトチェックが標準搭載されているものと、オプションとして追加が必要なものがあるので、基本搭載がどうかも確認しておきましょう。
その他では、操作性や通常のレセプトチェックに必要な基本的な点検機能が備わっているかなども大切なポイントです。自院でどのようにソフトを利用するか考え、まずは必要な機能をリストアップして検討することをおすすめします。
査定返戻があった際に、分析や対策ができる機能もおすすめです。査定返戻を集計する機能があれば、分析をスムーズに行え、再発防止策もたてやすくなります。
具体例をあげると、レセプト博士NEOでは、査定返戻管理機能があり、効率的に査定返戻の分析や対策ができます。
レセプト点検ソフトは、業務を効率化するために導入するので、点検にどれくらいの時間がかかるかも重要となります。
目視よりはシステムを使用したほうが早いことは間違いありませんが、せっかく導入するのであればよりスピーディーであるほうがメリットが大きいです。
具体例をあげると、レセプトチェッカーLSの場合、 1か月分のレセプトチェックが5分程度で完了します。点検の速さと、その他の機能をバランスよく考慮した上で点検ソフトを選ぶと良いでしょう。
ここでは、おすすめのDPCレセプト点検ソフトを5つ紹介します。機能や特徴をまとめてお伝えしますので、製品選びの参考にしてください。
レセプト博士NEOは、医療機関での正確なレセプト作成やレセプト点検作業の効率化を支援するシステムです。
医療機関の規模・特徴に合わせて4タイプをラインナップしており、DPCレセプトチェック機能はフルスペックの最上位製品に搭載されています。
一番の特徴は査定返戻管理機能が標準搭載されていることです。この機能を活用することで、査定返戻から査定率や返戻事由などの集計ができ、再発防止策の検討がスムーズに行えます。
株式会社エヌ・ティ・ティ・データの比較ポイント
製品情報
商品名 | レセプト博士NEO |
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主な機能 | DPCレセプト統計集計帳票、診断群分類番号検索など |
デモの有無 | 要問合せ |
マイティーチェッカープロアドバンスは、全国14,000以上の医療機関に導入実績がある、レセプト点検システムです。
点検範囲は約53,000項目と幅広く、高い点検性能と簡単な操作性が人気となっています。DPC点検はオプションですが、出来高算定可能項目チェック、DPCコードの妥当性チェックなど、点検項目は充実しています。
一番の特徴は算定もれチェック機能が標準搭載されており、医療機関経営の質向上が期待できることです。
株式会社エーアイエスの比較ポイント
製品情報
商品名 | マイティーチェッカープロアドバンス |
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主な機能 | 適応症チェック、併算定チェック、算定もれチェック、DPC点検(オプション)など |
デモの有無 | 要問合せ |
べてらん君 Collaboration Plusは、デジタルの高速処理と、アナログ的インタフェースの見やすさを兼ね備えたレセプト院内審査支援システムです。
一番の特徴としては、レセプト1万件を8分で処理できる圧倒的なスピードがあげられます。また、起動するだけで無人チェックが可能な「スマートチェック」や、電子点数表から医薬品の添付文書まで、幅広い情報の検索が可能な辞書機能も魅力です。
富士フィルムの比較ポイント
製品情報
商品名 | べてらん君 Collaboration Plus |
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主な機能 | 算定必須チェック、病名チェック、禁忌傷病名チェック、算定もれチェックなど |
デモの有無 | あり |
MEDI-DPC コード点検システムは、一般的なレセプト点検とは異なり、請求の元となる「DPCコード」を徹底的に点検するシステムです。診療実績とDPCコードの不整合を点検することで、過剰・過小請求を防ぎ正しい請求を行うことができます。
特徴としては、医療資源を最も投入した傷病名の見える化や、平日9時〜17時対応可能な手厚いサポート体制などが挙げられます。
ニッセイ情報テクノロジー株式会社の比較ポイント
製品情報
商品名 | MEDI-DPC コード点検システム |
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主な機能 | DPCコードチェック、入力もれチェック、包括評価対象外点検、副傷病候補の洗い出しなど |
デモの有無 | 要問合せ |
レセプトチェッカーLSは、豊富な点検機能をもつレセプト点検システムです。特徴としては学習機能とAI候補病名機能が挙げられます。
学習機能では、都道府県・医療機関ごとの設定を学習させることができ、使い続けることで医療機関ごとのカスタマイズが自動で行われます。
AI候補病名は、病名もれで不合格判定されたレセプトに対し、AIが候補病名を提示する機能です。点検者は候補病名の中から病名を選ぶだけなので、点検作業が効率的に行えます。
SFKメディカル株式会社の比較ポイント
製品情報
商品名 | レセプトチェッカーLS |
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主な機能 | 病名漏れ点検、縦覧点検、投与量点検、学習機能、AI候補病名など |
デモの有無 | あり |
この記事では、DPCの特徴や、DPCレセプト点検ソフトの導入メリット、選び方のポイントについてお伝えしました。
DPCレセプト点検ソフトの導入は業務の効率化やスタッフの負担軽減、返戻減少などの効果が期待できます。選ぶ際には、DPC対応か、自院に必要な機能が備わっているか、などを確認するとよいでしょう。
おすすめのレセプト点検ソフトも紹介していますので、自院に最適なソフト選びの参考にしてください。
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