訪問服薬指導とは?メリットや服薬指導の種類まで

更新日 2023.05.09
投稿者:横山 洋介

高齢化社会となっている昨今、訪問服薬指導の需要が増加しています。訪問服薬指導とは薬剤師が患者さんの自宅へ訪問する制度です。高齢の患者さんだけでなく、さまざまな理由で自宅から出られない方にとっても訪問服薬指導は便利なサービスと言えるでしょう。
とはいえ、実際の服薬指導との違いなど、基礎的な情報がよく分からないため利用を躊躇っているという方も少なくありません。当記事では、訪問服薬指導とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。訪問服薬指導の詳細を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

訪問服薬指導とは?

訪問服薬指導とは、薬剤師が薬局ではなく患者さんの生活する自宅や施設に直接医薬品をお届けし、服薬の指導をすることです。ここからは、訪問服薬指導とはどのようなものなのか、具体的に解説していきます。

そもそも服薬指導とは何か?

服薬指導は薬剤師が行う業務のひとつです。薬剤師は医師や歯科医師が発行した処方箋をもとに、正しく調剤された薬を患者さんに渡します。薬を渡す際には、患者さんに対して処方薬の薬効や副作用といったさまざまな情報を正確に伝えなければなりません。これは患者さんが自己判断で服薬をやめてしまったり、服薬する量を間違えたりするのを防ぐためです。この服薬指導は薬剤師法第25条の2により定められている業務であり、省略することはできません。薬剤師法第25条の2は下記の通りです。

  • 「第二十五条の二 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。
  • 2 薬剤師は、前項に定める場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。」

出典:厚生労働省

一般的には調剤薬局にいる薬剤師が、処方箋を持参した患者さんに対面で服薬指導を行います。しかし、体調不良や高齢などでどうしても対面での服薬指導が難しい患者さんもいるのが現実です。そこで、そのような患者さんに対しては、訪問やオンラインでの指導が行われます。オンライン服薬指導とは、ビデオ通話など映像と音声を使って患者さんに服薬指導を行う方法です。これまでは対面のみでの指導が義務付けられていましたが、2019年度の医薬品医療機器等法の改正が行われ、2020年9月からは一定の要件をクリアした人のみオンライン服薬指導が可能になりました。

訪問服薬指導の種類

訪問服薬指導制度には「在宅患者訪問薬剤管理指導」と「居宅療養管理指導」の2種類があります。それぞれどのような制度なのか、具体的に解説していきます。

在宅患者訪問薬剤管理指導

「在宅患者訪問薬剤管理指導」は医療保険法に基づく制度のことです。短く「訪問薬剤管理指導」と呼ぶこともあります。健康保険法第55条では、医療保険と介護保険では介護保険が優先されることと定められています。そのため、「在宅患者訪問薬剤管理指導」を行う際には、患者さんが介護保険を受けていないかどうかの確認が必要です。もし、患者さんが介護認定を受けている場合は「居宅療養管理指導」で算定する必要があります。

また、通院可能な患者さんや継続的な支援を必要としない患者さんに対しては、在宅患者訪問薬剤管理指導を行うことはできません。さらに、患者さんの住居から16㎞以内に在宅患者訪問薬剤管理指導を行う届出をしている薬局が存在しない場合のみ、保険給付の対象となります。

居宅療養管理指導

「居宅療養管理指導」は、医療保険ではなく介護保険に基づく制度です。要介護認定を受けた在宅療養中の患者さんに対して薬剤管理指導を行う場合、「居宅療養管理指導」として介護保険で算定します。もし患者さんが在宅療養中であっても、要介護認定を受けていない場合には「在宅患者訪問薬剤管理指導」で算定しなければなりません。さらに、要介護認定を受けている場合は「居宅療養管理指導」ですが、要支援認定を受けている患者さんは「介護予防居宅療養管理指導」となり算定項目が異なります。

訪問服薬指導のメリット

訪問服薬指導のメリットとしては、下記が挙げられます。

  • 実際の服薬状況を確認できる
  • 患者が安心して相談できる
  • 患者と密なコミュニケーションが取れる

ここからは、訪問服薬指導のメリットを詳しく解説していきます。

実際の服薬状況を確認できる

最初のメリットは「実際の服薬状況を確認できる」という点です。患者さんの自宅や居住施設に訪問するため、患者さんがしっかり薬を飲んでいるかどうかを減り具合で確認することができます。患者さんの中には、薬を嫌って処方された薬をしっかり飲んでいない患者さんもいます。さらに、飲んでいる薬の種類が多すぎて管理できていなかったり、うっかり服用を忘れてしまったりと薬に関する悩みはさまざまです。患者さんが抱える悩みを把握し、適切な服薬指導を行えるのが訪問服薬指導のメリットといえるでしょう。

患者が安心して相談できる

次のメリットは「患者さんが安心して相談できる」という点です。自宅は患者さんが最もリラックスできる場所です。言いづらいことや不安なこと、薬に関する悩み事など、外では言いづらいことであっても自宅であれば気軽に相談しやすいでしょう。特に高齢の方にとって、外出は体にも大きな負担になります。病院の待ち時間や診察で、薬局に来る頃には既に疲弊している方も少なくありません。薬をもらうことだけで精一杯で、悩みまで相談する余裕はないでしょう。その点、いつもの部屋でいつもの暮らしをしながらの服薬指導であれば、体にも負担がかかりません。体力にも余裕があるので、薬剤師に悩みを相談できる良い機会になることでしょう。患者さんから気軽に相談してもらえることで、薬剤師も相談内容を服薬指導に活かしやすくなります。

患者と密なコミュニケーションが取れる

最後のメリットは「患者さんと密なコミュニケーションが取れる」という点が挙げられます。自宅というクローズドな空間での服薬指導なので、患者さんと密なコミュニケーションを取ることができるでしょう。しっかりと丁寧に服薬指導を行うことで、患者さんからの信頼も得やすくなります。患者さんにとって、信頼できる薬剤師がいるのは非常に心強いポイントです。患者さんの信頼を勝ち得るためにも、親身に接するようにしましょう。また、在宅の場合は患者さんだけでなく患者さんの家族が入ってくるケースも少なくありません。特に患者さんが高齢者の場合には、サポートのためにも家族が同席することもあるでしょう。患者さんだけでなく家族ともコミュニケーションが取れることで、より多くの情報を得ることができます。

訪問服薬指導のポイント

服薬指導では、医薬品の副作用や使用方法といったさまざまな情報を患者さんに説明する必要があります。訪問服薬指導をしっかり行うためには、下記のポイントを押さえておくようにしましょう。

  • 患者の話をしっかりと聞く
  • 指導の長さは適切に
  • 伝えることに優先順位をつける

ここからは、訪問服薬指導のポイントを解説していきます。

患者の話をしっかりと聞く

最初のポイントは「患者さんの話をしっかりと聞く」ことです。服薬指導では薬の効果や効能、考えられる副作用や副作用が起きた時の対応、飲み合わせや飲み忘れた時の注意点など、たくさんの情報を患者さんに伝えなければなりません。情報量が多いので、ついつい薬剤師は一方的に話してしまいがちです。しかし、一方的に伝えるだけでは、患者さんの理解は得られません。また、患者さんの話をしっかり聞くことで、信頼関係を作っていくことができます。患者さんの話をよく聞き、疑問点に答えていくことで服薬指導をすると患者さんも理解しやすいでしょう。

指導の長さは適切に

次のポイントは「指導の長さ」です。服薬指導は長すぎても短すぎても良くないので、患者さんの状況をみながら適切な時間で行うようにすることが大切です。特に体調が悪い方や体力のない方に対して、長々と説明しても聞いてもらえないどころか疲れさせてしまうだけです。服薬指導が長引けば、次の予定に遅れてしまうこともあるでしょう。とはいえ、あまりに短すぎると患者さんを不安にさせてしまいます。患者さんの状況や家族の様子を観察しながら、指導の長さを変えていくことがポイントです。

伝えることに優先順位をつける

最後は「伝えることに優先順位をつける」というポイントが挙げられます。長々と話した挙句に、最も重要なことを伝え忘れてしまっては元も子もありません。そのようなことのないように、服薬指導では伝える内容の優先順位を付けておくことが大切です。特に高齢者の場合、一気に情報を伝えられてもすべて覚えられない可能性があります。重要なことは最初に伝えるようにしたり、何度も念押しして伝えたりすることで記憶に残りやすくなるでしょう。前回の内容を復習するという方法も、患者さんに印象付けるためには有効です。

訪問服薬指導以外の選択肢も

対面や訪問による服薬指導以外にも「オンライン服薬指導」という方法があります。オンライン服薬指導は2020年4月、当初の予定よりも前倒しで解禁になりました。高齢の方や、離島など医療資源の乏しい地域の人でも自宅にいながら服薬指導を受けることができます。オンライン服薬指導を行うためには、専用のシステムを導入する方法がおすすめです。スマートフォンのテレビ電話よりも便利に服薬指導を行うことができるでしょう。おすすめのオンライン服薬指導システムについては、下記の記事でも紹介していますのでぜひ参考にしてください。

オンライン服薬指導システムについてはオンライン服薬指導システム13選|比較ポイントも解説【2023】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

訪問服薬指導とは、高齢の方など家を出られない方が自宅にいながら服薬指導を受けられる制度のことです。医薬品の配達はもちろんのこと、患者さんの薬の飲み方や残薬を薬剤師が直接確認することができます。高齢化が進む日本において、これからも訪問服薬指導の需要は高まっていくことでしょう。近年では訪問服薬指導と並び、オンライン服薬指導の需要も高まっています。対面・訪問・オンラインそれぞれのメリットとデメリットを見極め、患者さんに合わせた服薬指導を行っていくようにしましょう。


セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n33882f74cd71

国立大学を卒業後、新聞記者として4年間勤務。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、レジの導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野はレジ関連(POSレジ、自動精算機)、ナースコール、レセプト代行。

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