地盤調査の費用はいくら?方法別の費用や安く抑えるポイントも解説

更新日 2024.06.26
投稿者:横山 洋介

「地盤調査は必ずしなければいけないの?」
「費用はいくらかかり、誰が負担するの?」
「地盤調査や地盤改良にかかる費用を抑える方法は?」

など、地盤調査について、わからない点がたくさんあるかもしれません。
この記事では、地盤調査の内容・費用相場・費用を安く抑える方法を詳しく解説します。

そもそも地盤調査とは?しなくてもいい?

地盤調査とは土地に建物を建てる前に、重さに十分耐えられる強度な地盤であるかを調査する作業のことです。
2000年の建築基準法の改正により、地盤調査が義務化されました。 地盤調査が発生するケースは、以下のとおりです。

  • 新しく家を建てる場合(新築)
  • 建物を取り壊して建て直す場合(建て替え)

つまり、土地の上に建物がある・ないに関わらず、家や建物を建てる際には地盤調査が必須になると覚えておきましょう。

2000年より前に建てられた家は、地盤調査が義務化されていませんでした。
そのため、地盤沈下や家の傾きが発生しているケースもあるでしょう。
地盤調査により地盤の強度が不十分な場合、地盤改良工事が発生して、さらに費用が発生するかもしれません。

土地の購入前や中古住宅を取り壊して建て替える場合、地盤の状態も考慮したうえで、土地・家選びをするのが良いでしょう。

【調査方法別】地盤調査の費用

地盤調査の方法・期間・費用は、家や建物の規模・使用する機材により変わります。
詳細は以下の表を確認してください。

調査方法 費用 かかる期間(速報)
スウェーデン式サウンディング試験 5~10万円 半日~1日
ボーリング調査 15~30万円 1日~数日
表面波探査法 10~15万円 2~3時間

スウェーデン式サウンディング試験はJISの改正により、「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」の名称に変更されました。

SWS試験は、戸建住宅や小規模な建物を建てる際に使われる調査方法です。
全3つの調査方法の中で、調査費用は最も安くなります。

ボーリング調査はマンションやビルのような、規模や重量の大きい建物を建てる際に使われる調査方法です。
調査の規模が大きく、期間も長くなるため、調査費用は最も高くなります。

表面波探査法は、穴を掘らずに振動を利用して、地盤の状態を簡単に確認できる調査方法です。
調査費用はSWS試験より、少し高めになります。

地盤調査の調査方法

各地盤調査にかかる費用の次に、地盤調査方法の詳細とメリット・デメリットを解説します。

スウェーデン式サウンディング工事(SWS試験)

SWS試験は、先端がスクリュー状になっている棒を地面に刺し、おもりと棒の回転を利用して、地盤の強度を調査する方法です。
おもりの重さだけで棒が沈まない、回転させないと地中に入らない場合、硬い地盤と言えるでしょう。
地盤調査する場所は、家を建てる土地の中央と四隅部分、合計5箇所になります。

メリットは以下の3つです。

  • 地盤調査の費用が安い
  • 調査期間は半日~1日程度と短い
  • 簡単に調査できる

価格の安さと簡単に調査ができる期間の短さから、戸建てや規模の小さい建物の地盤調査に向いているでしょう。

デメリットは以下の3つです。

  • 土地の規模が広いと正確性に欠ける
  • 地質までは調査できない
  • 10メートルを超える地盤調査ができない

土地が広いと、場所により地盤の状態が変わるため、正確に地盤調査ができません。
また、穴を掘っても土を採取できないため、地質まで確認するのは不可能です。
実際に掘り進める際に、音や感触で地質の状態を予測・判断しているため、経験や個人差が大きく出ます。

簡易的な調査しかできないことから、マンションなど規模の大きな建物を建てる際には用いられません。

ボーリング調査

ボーリング調査は、専用の機械で穴を深く掘り、穴の中にハンマーを落として地盤の強度を調査する方法です。

メリットは以下の3つです。

  • 10メートルを超える深い地盤まで調査できる
  • 硬い地盤があっても掘り進められる
  • 地質まで詳しく調査できる

SWS試験では難しい、10メートルを超える、そして硬い地盤があっても地盤調査ができます。
また、ボーリング調査の際に鉄の筒を入れて、筒内に入った土の回収ができるため、地質の確認が可能です。

デメリットは以下の3つです。

  • 調査の規模が大きくなり調査日数がかかる
  • 調査費用がかかる
  • 振動や騒音が発生する

正確に調査ができる一方、調査規模が大きくなり、調査日数・費用がどうしてもかかってしまいます。
穴を掘る際に振動や騒音が発生するため、近隣から苦情が来るおそれもあります。

ボーリング調査は、マンションなど規模の大きな建物向けの調査方法のため、規模の小さい戸建ての調査で用いられることはないでしょう。

表面波探査法

表面波探査法は、振動を発生する装置を土地の中央に置き、離れた四隅に検出器を置いて、振動の伝わる速度・波形を測定して地盤の強度を調査する方法です。

メリットは次の3つです。

  • 地面を掘る必要がない
  • 調査時間が短い
  • 調査結果が数値で正確に出る

先の2つの調査方法と違い、穴を掘らずに短い時間で調査できるのが大きなメリットと言えるでしょう。
また、測定結果が数値などのデータで出るので、経験や勘に左右されません。

デメリットは次の3つです。

  • SWS試験より少し費用は高め
  • 地質までは調査できない
  • 地中に大きな石・空洞があると正しい調査ができない

SWS試験による調査と比べると3〜5万円前後、高めになります。
また、ボーリング調査のように土を採取できないので、地質の種類までは調査できません。
調査の際に、地中に大きな石・空洞があると、振動の伝わり方が変わり正しく調査できない場合があります。

穴を掘らず短時間でできるため、小規模の建物を建てる際の簡易調査に向いているでしょう。

調査で問題が見つかったらどうする?地盤改良の費用は?

地盤調査後に地盤に何らかの問題が見つかった場合、地盤改良工事が必要です。
地盤改良工事は軟弱な地盤の深さや範囲、土地の上に建てる建物の規模により工事内容や費用が変わります。
詳細は以下を確認してください。

地盤改良工事の方法 費用(建物の面積約20坪の場合)
表層改良工法 50万
柱状改良工法 100万
鋼管杭工法 100万

表層改良工法とは、約2メートルの土を掘り、地盤を固められるセメントを流して地盤を改良する方法です。
軟弱な地盤が表面のみで浅い場合に用いられ、費用も安いことから戸建てに向いているでしょう。

柱状改良工法とは、コンクリートの杭を何本も打ち込んで地盤を改良する方法です。
軟弱な地盤が10メートル以内なら施工できます。
表層改良工法と比べて、費用がかかるのがデメリットです。

鋼管杭工法とは、先の柱状改良工法で用いるセメントの代わりに、鋼管を打ち込んで地盤を改良する方法です。
軟弱な地盤が30メートルまでと、かなり深くまで施工できます。
鋼管を打ち込む際に、大きな振動や騒音が発生するのがデメリットです。

地盤調査報告書の見方

地盤調査の実施後に、地盤調査報告書が作成されます。
報告書の内容を見ることで、地盤の硬さや状態がある程度把握できるでしょう。

ここでは、スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)の地盤報告書を見るポイントは、以下の項目です。

見る項目 見るポイント
盛土・埋戻し 「有」で経過期間が短いと軟弱な地盤
貫入状態 「ストン」がある・多いと軟弱な地盤
下の状態に行くほど地盤が硬い

・ストン
・スルスル
・ジンワリ
・ユックリ
・打撃
・打撃不能
半回転数 半回転数「0」は、おもり(荷重)だけで沈む軟弱な地盤
貫入状態が「ストン」〜「ユックリ」に多い
半回転数が「0」より大きい部分は硬い地盤
荷重 75kg以下がある・多いと軟弱な地盤

ただし、あくまでも目安なので不明な部分、専門的な見解が必要な部分は、専門家に判断をあおいでください。

地盤調査の費用を抑える方法

ここでは、地盤調査にかかる費用を抑える方法とあわせて、地盤改良がいらない土地を見つける方法を解説します。

地盤の強固な土地を選ぶ

地盤の強固な土地を最初から選べば、地盤改良工事にかかる費用が安く済む、またはゼロになるかもしれません。
土地を選ぶポイントは以下があります。

  • 川や水がある場所を避ける
  • 低い土地を避けて標高の高い土地を探す
  • 水に関する地名・水由来の地名を避ける
  • 盛土・埋立していない土地を探す

水が流れている場所、低い土地は水がたまりやすいため、地盤は軟弱です。
一方で標高の高い場所は水のたまりが少なく、地盤が強固である可能性が高くなります。

水を含んだ地名、水に由来のある地域や場所は避けるのが無難でしょう。

田畑を埋め立てた土地、人工的に盛土した場所は、地盤が軟弱で安定していません。
土を掘り起こした形跡がある場合、同様に軟弱な地盤の可能性が高いため注意しましょう。

公的機関の地盤データを確認する

公的機関が公開している地盤データを参照することで、地盤の強度や状態をある程度把握できるでしょう。

一例として国土交通省が公開している、国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」です。

川周辺を中心に、ボーリング調査した結果が無料公開されているので、参考にしてください。

出典:国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」

セカンドオピニオンを利用する

地盤調査は、業者・経験・調査に用いた機材により、変わる場合もあります。
そのため、1社のみの調査結果だけでは、データの信頼性・正確性に欠けるかもしれません。

そこで、より多くの情報で正確に判断する方法として、セカンドオピニオンを利用するのも一つの方法です。
複数で調査した情報があれば、より正確に地盤の状況を把握できます。

結果として、適切な改良工事が可能となり、費用を抑えられるでしょう。

地盤調査の費用は誰が払う?

地盤調査の費用は、家を建てる前、または建て替える際に土地の買い主が支払います。
ここでは土地を購入して家を建てる、新築以外のケースについて、誰が費用負担するのか詳しく解説します。

中古戸建てを買う場合

すでに家が建っているため、地盤調査の必要はなく費用の発生もありません。
地盤の状態が気になる場合、売主に確認すれば地盤調査報告書が残っている可能性があります。
ただし、建物の現状渡しが多いため、地盤調査報告書が残っていないケースもあるでしょう。

費用をかけてもいいのであれば、売主の許可のもと、家の建っていない土地を利用して地盤調査する方法もあります。
ただし、建物の建っている部分は調査できないため、正確な情報は取れないので注意しましょう。

建て替えの場合

既存の建物を取り壊して建て替える際には、必ず地盤調査が必要となり、土地の買い主が費用を負担します。
地盤調査報告書が残っていたとしても、建て替え時には地盤調査が必須となるので注意しましょう。

建売住宅を買う場合

建売業者が費用を負担して、家を建てる前に地盤調査を行っています。
そのため、買い主が地盤調査を再実施する必要はありません。
地盤調査報告書は建売業者が持っていますので、家を買う前に確認しておきましょう。

業者選びのポイント

一般的に地盤調査は土地を購入してから、家を立てる前に調査会社へ依頼します。
ここでは、安心して信頼できる地盤調査の業者を選ぶポイントを4つ紹介します。

資格を持つ専門家が在籍しているか

地盤調査は専門的な技術・豊富な経験・客観的な分析と正確な判断が必要となります。
一例として、以下の資格を持つ専門家が在籍しているかを確認しましょう。

  • 地盤品質判定士
  • 住宅地盤主任技士

あわせて地盤調査の実績が豊富な会社で長い運営実績があれば、信頼性が高いと言えます。

地盤調査報告書を発行してくれるか

地盤調査後に地盤調査報告書を作成してもらえる業者を選びましょう。
地盤調査報告書を作成してもらわないと、

  • そもそも地盤調査をしたのか
  • 家を建てる地盤がどうなっているのか

口頭だけの説明・報告では正確性・信頼性に欠けます。
地盤調査報告書があれば、専門家のお墨付きをもらったうえで、安心して住むことができます。

また、土地と家を売却する際に、売り手側が価格を決める際の判断材料になるでしょう。

調査不備などのトラブルを補償してくれるか

地盤調査の不備によって発生した建物のトラブルや被害が起きた場合、補償してもらえる業者を選びましょう。
住み始めた直後は問題がなかったとしても、時間の経過とともにトラブルや被害が出るかもしれません。
家は10年単位で長く住むからこそ、長期の補償対応は重要です。

見積り額が適正か

調査方法にもよりますが、地盤調査にかかる費用相場は、ほぼ決まっています。
複数の業者に相見積もりを依頼して、極端に高い・安い業者は避けたほうが無難でしょう。

3〜5社から相見積りを取れば、費用相場が把握できます。
見積り金額だけではなく、担当者の対応や業者の実績、調査方法の詳しい説明があったかを含めて検討しましょう。

まとめ

この記事では、地盤調査の費用・調査方法・業者の選び方や費用を抑える方法を解説しました。
地盤調査は家や建物を建てる際に、法律により義務化されているため調査は必須です。

地盤調査にかかる費用は、土地の買主が負担します。
建てる建物の規模により、地盤調査の方法・費用・期間が大きく変わるため、事前に業者から見積もりや説明を受けるのが重要です。
地盤調査実施後に問題が判明した場合、さらに地盤改良費用がかかるので注意しましょう。

費用を抑えるためにも、なるべく地盤改良が不要な土地を選び、安心・信頼できる業者に依頼しましょう。


セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n33882f74cd71

国立大学を卒業後、新聞記者として4年間勤務。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、レジの導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野はレジ関連(POSレジ、自動精算機)、ナースコール、レセプト代行。

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