擁壁工事にかかる費用は?種類や高さ別費用・安く抑えるポイントも

更新日 2023.08.04
投稿者:横山 洋介

擁壁工事を検討したら、事前に目安の金額を把握しておくことが大切です。また、擁壁工事は種類や高さで費用が異なるので、そのポイントも知っておくといいでしょう。
今回は、擁壁工事にかかる費用や種類・高さ別の費用、そして安く抑えるポイントを解説します。擁壁工事を検討されている方は、参考にしてください。

擁壁工事の費用

住宅の場合、擁壁工事にかかる費用は数10万〜数100万円です。その上、工事の種類や土地の状態・立地などによって変わります。この章は、擁壁工事費用の種類ごとの解説です。

以下の表では、擁壁の種類別に費用・単価相場をまとめました。

擁壁の種類 費用目安(/1m²) 10mの費用目安 20mの費用目安
間知(けんち)ブロック擁壁 2.8万~4.5万円程度 28万~45万円程度 56万~90万円程度
コンクリート擁壁(RC擁壁) 2.5万~10万円程度 25万~100万円程度 50万~200万円程度
コンクリート擁壁(L型擁壁など) 2万~5万円程度 20万~50万円程度 40万~100万円程度

たとえば、高さが1mで横幅が8mの間知(けんち)ブロック擁壁を作るなら、「擁壁工事費用 = 単価 ×(1 × 8 =8)」という計算式で金額が計算できます。

ただし、擁壁工事の単価もさまざまな要因で大きく変動しますし、業者によって単価が幅広い場合もあるので、事前に見積をとるなど、確認をしておきましょう。

擁壁工事とは?必要なの?

街を歩いていると、傾斜した地面にコンクリートで固められた場所を見かけることがあります。これが擁壁工事で、傾斜地をコンクリートなどで固める工事です。

傾斜地をそのままにしておくと、雨などで土砂崩れが発生する危険性があるので、土砂崩れを防ぐために擁壁工事が必要ですし、山腹などに住宅地を造成するときも、土地の高低差によって平坦にする擁壁工事が必要です。

この章では擁壁工事の確認申請について解説します。

各自治体への確認申請が必要な場合も

自分の所有地であっても、擁壁工事の申請が必要なときがあります。各自治体には『がけ条例』と呼ばれる条例が定められていて、高低差が2m以上あるとほぼあてはまることが多いです。

この条例にあてはまると擁壁工事が義務なので、各自治体への申請が必須で、許可がおりるまでに一ヶ月程度かかります。
また、がけ崩れ・土砂災害のおそれがある土地は、『宅地造成工事規制区域』に指定されている可能性があり、この区域になると、許可が必要な工事が定められています。工事を検討したら、まずは各自治体に確認しましょう。

さらに、がけの高さが5m以上だと、『急傾斜地崩壊危険区域』に指定されている可能性があります。この場合、住居がある市町村ではなく都道府県の許可が必要です。
がけ条例の場合は、工事を行うのは土地所有者である施主自身ですが、『急傾斜地崩壊危険区域』の擁壁工事は都道府県が行います。

擁壁工事の種類

前述したように擁壁工事は工事の種類や費用が変わります。ここでは、間知ブロック擁壁・コンクリート擁壁(RC擁壁)・コンクリート擁壁(L型擁壁など)とその種類についてまとめました。

間知(けんち)ブロック擁壁

間知ブロック擁壁は、工事費が抑えられるメリットがあります。傾斜地をコンクリート・割石で固め、その上に間知石・ブロックを積んでいくのが流れです。比較的簡単な工事ですが、擁壁を必ず斜めに設置するのがデメリットと言えます。

傾斜地の形を使うので、土地の利用面積が狭くなりますので、水抜き穴を設置する必要がある点に気を付けましょう。

コンクリート擁壁(RC擁壁)

コンクリート擁壁(RC擁壁)は、設置したい現場で型をつくり、その場所でコンクリートを打設する方法です。RCは鉄筋コンクリートのことですが、鉄骨をいれないこともあります。

メリットは、その場でつくるので工事の自由度が広がることと、擁壁を垂直に設置するので、土地面積が広くなることです。デメリットは工期が長くなることと、費用がかさむ点になります。

コンクリート擁壁(L型擁壁など)

コンクリート擁壁(L型擁壁など)は、既製品の擁壁を現場で積み上げる方法です。メリットは、工期が短いことと、擁壁を垂直につくるので土地面積を増やせます。
最近は費用はかさみますが、L型擁壁が主流で、水抜き穴の設置が必要な工事です。

擁壁工事の費用を抑える方法

擁壁工事は条件によって変動しますが、なるべく費用は安く抑えたいものです。そこで、この章では、擁壁工事の費用を抑える方法について解説します。

相見積もりをする

擁壁工事は業者によって費用が異なりますので、実績があって信頼できそうな工事業者を3社くらい同じ条件で見積をとって、比較してみるのをおすすめします。

金額の差はもちろんですが、現地調査や工事項目の内訳の有無、業者の対応の良し悪しも、はかることができるでしょう。

補助金が使えるか確認する

もし高さが2メートルを超える大規模な擁壁工事が必要なときは、各自治体が提供する助成金制度を利用できる可能性があります。

ただし、申請期限や申請数に制限があるので、現場が所在する市区町村の役所に利用可能かどうかを確認してみましょう。

擁壁工事の費用が変動する理由

前述したように工事の種類などで擁壁工事の費用は変動します。この章では、擁壁工事の費用が変わる理由を具体的にまとめました。

土地・地盤の状態

同じ面積でも、土地の状態で費用は変わります。地盤が安定していて、傾斜地の角度が緩やかであれば、安価で擁壁工事ができるでしょう。

逆に、地盤が弱くて、急な角度の傾斜地であれば、その分擁壁を高くしたりする必要がでてきますので、単価も上がり、工事の費用は高くなります。

立地条件

擁壁工事を施工する場所次第でも費用は変動します。大きな重機が入れない場所なら、小さな重機で何度も往復するので、工程が延びて費用がかさむでしょう。

また、残土処理場までの距離が遠ければ遠いほど、その分金額も上がります。残土処理は1㎡あたり6千円程度ですが、残土が汚染されていればさらに浄化費用がかかり、1㎡あたり4万円程かかることもあるでしょう。

擁壁工事で注意すべきポイント

これまで擁壁工事の費用などについてまとめてきました。この章では、擁壁工事で注意すべきポイントを解説します。

耐用年数を把握しておく

擁壁工事をすると、いつまでも保つように感じますが、耐用年数は、20〜50年程度です。厚みや排水状況など、状況によって短くなることもありますので、ひび割れなど傷み具合に気を付けて、必要であれば補修工事をすれば、長くもつでしょう。

必ず隣人へ相談する

隣の土地との境界に擁壁を作るときは、擁壁が隣地へ入らなくても所有者と相談しましょう。擁壁工事をするときに隣地に入ることもあるので、事前に工事内容を話し、理解してもらうことが大切です。

地盤調査を行う

擁壁工事をする前に、その土地の地盤が擁壁工事に耐えられるかどうか、地盤調査をしておきましょう。擁壁工事をすることで地盤沈下などのトラブルを避けることができます。

まとめ

この記事では、擁壁工事にかかる費用を紹介し、種類や高さ別費用・安く抑えるポイントも説明しました。

擁壁工事はたくさんの選択肢がありますが、それぞれ特徴が異なり、まずは情報を集めて比較検討することが重要です。

どのように擁壁工事をするか迷った際には、今回紹介した中から問い合わせてみてはいかがでしょうか。

場所に合う工事の種類や高さを選び、納得できる擁壁工事にしましょう。


セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n33882f74cd71

国立大学を卒業後、新聞記者として4年間勤務。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、レジの導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野はレジ関連(POSレジ、自動精算機)、ナースコール、レセプト代行。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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