消防法における内装制限とは、火災の予防、初期消火・人命救助を目的に制定されており、建築基準法における内装制限と混同されがちですが、目的や制限の内容が大きく異なります。今回の記事では、消防法の内装制限について詳しく解説していきますので参考にしてください。
内装制限とは、店舗や事務所等で大規模な火災が発生しないように建材や構造等を制限している法律です。建築基準法と消防法のそれぞれにて規定されています。
消防法・建築基準法の目的と規制概要は以下の表のとおりです。
目的 | 規制概要 | |
---|---|---|
消防法 | 火災の予防 初期消火・人命救助のしやすさ 消化 |
スプリンクラー等の設置 |
建築基準法 | 火災初期段階における安全避難 | 建築物の構造や設備について規制。 内装、天井に使用される材質についても制限あり。 |
上記の表の通り、消防法は火災全体の予防と発生時の対応のしやすさなど、総合的に規制してます。一方、建築基準法の内装制限は、避難という部分にフォーカスされていることを覚えておきましょう。
また、場所によりますが上記の法律の他に「都市計画法」など、地域ごとに法律が加わることもあります。
ここでは、消防法の内装規制に該当する建物・施設とは何なのかについて解説していきます。
消防法における防炎防火対象物に該当する場合は、内装制限にも該当するため対応が必要となります。
防炎防火対象物の主な例は下記の表の通りです。
消防法第8条 | 高層建築物(高さ31mを超える建築物) |
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地下街 | |
消防法施行令 | 劇場、映画館、演芸場又は観覧場 |
病院、診療所、又は助産所 | |
老人ホーム、デイサービス | |
飲食店 | |
ホテル・旅館 |
出典:東京消防庁
消防法上では内装制限に該当する場合、指定された仕上げ材で仕上げなければなりません。
ただし実際には、建築基準法の内装制限も関わってくる場合が多いので、業者へよく確認する必要があります。
ここでは、内装制限に違反した場合どのような事になってしまうのかについて解説していきますので参考にしてください。
消防長や消防署長から消防法上の措置命令を受けたにも関わらず、対応しない場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。決して軽い刑事罰ではないので、十分注意しましょう。
防火対象物の所有者・占有者・管理者もしくはこれらに準ずる人が該当します。また、法人もその対象となり得るので注意してください。
また、個人が違反行為を犯したとしても、法人に対して同様の罰則が課せられるケースもあることを覚えておきましょう。
消防法における内装制限はしなければならないという訳ではなく、した場合に消防設備の設置基準を緩和できるというものです。
以下で、消防設備等の緩和措置について解説していきますので参考にしてください。
消防法上の内装制限を行うことで、下記の設備の設置基準が緩和されます。ただし、詳しくは業者や専門家に確認する必要があるので、しっかりと確認するようにしましょう。
内装制限は、店舗や事務所等で大規模な火災が発生しないように、建材や構造等を制限している法律です。建築基準法と消防法のそれぞれにて規定されており、消防法・建築基準法の目的と規制概要は異なります。
今回の記事を参考に、消防法における内装制限についてしっかりと理解しておくようにしましう。