地盤改良工事の費用相場は工法によって異なります。表層改良工法であれば、1坪あたり2~3万円、柱状改良工法の場合は1坪あたり3~5万円/坪、鋼管杭工法の場合は1坪あたり5~7万円が相場です。
今回の記事では、地盤改良工事の費用や、注意点・工事の種類についてもそれぞれ解説していくので参考にしてください。
地盤改良工事とは、現状では軟弱な地盤を頑丈な基盤へ改良する工事のことです。
建物の基礎は、直接基礎と杭基礎に大別されます。直接基礎は頑丈な地盤の上に基礎を作り、荷重を地盤の広い範囲に分散させる方式を用いる基礎です。
一方、杭基礎は杭を用いて建物の深い場所にある硬い地盤で支える形式の基礎となります。
そして地盤改良は、直接基礎が難しい場合に基礎の下の地盤を強固にするために行われるので、木造の建物や治重が軽い自重が重い建物の場合に用いられる工事です。
なお、軟弱な地盤が2m以上ある場合は、地盤改良工事を行わなければなりません。また、詳しくは後述しますが軟弱な地盤の深さによって工法が異なるので覚えておきましょう。
地盤改良工事は、現在の状態のままでは住宅や建物を建築すると地盤沈下や不同沈下が発生してしまうので、それらを防止するために行う工事です。そのため、強固な地盤の土地では地盤改良工事を行う必要はありません。
次項では、地盤改良が必要な土地について解説していきます。
地盤改良が必要なケースは、以下のような場合です。
事前に地盤調査を行った際に、軟弱な地盤だと分かった場合は地盤改良工事を行います。地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験やボーリング調査などで、地盤にどの程度建物を支える力があるかを調べる調査です。
軟弱な地盤に建物を建設してしまうと、不同沈下を起こしたりする可能性があるので、建設前は必ず地盤調査を行わなければなりません。
地盤改良工事は、盛土されている場合も必要になる場合があります。基本的に盛土されている土地の地盤は軟弱です。そのため、地盤沈下が起こりやすくなっています。特に、コンクリートや細かい石の破片などといった異物が入っている盛土や、以前は池や水田だった土地に施工されている盛土は注意しなければなりません。
ただし、適切な材料を使用して盛土されていたり盛土から長期間経過している場合は、地盤がしっかりと固められて頑丈になっているケースがあります。そのため、盛土されているからといって地盤改良工事を行うのではなく、事前に盛土の状態や経過年数を調査した上で、地盤改良工事の必要性を判断しなければなりません。
多くの場合、埋立地に住宅を建てるのであれば地盤改良工事を行わなければなりません。もともとは海だった場所に土を入れているのが埋立地なので、地盤の水分量が多くなっています。そのため、大きな地震が発生した場合は液状化現象が発生するリスクがあるのです。
この場合、一般的には軟弱な地盤の下にある支持層まで杭を打ち込む鋼管杭工法で地盤改良を行うか、杭基礎によって土台を作ります。埋立地に住宅を建てられないわけではありませんが、安全に作りこむ必要があるため、そのぶん多額の費用がかかるので覚えておきましょう。
過去に陥没があった土地の場合、地盤が非常に軟弱になっているので、地盤改良工事が必要です。
すでに地盤が軟弱な状態なので、しっかりと調査を行った上で地盤改良工事を行う必要があり、状態によっては費用が高額になるでしょう。
地盤沈下や液状化のリスクがあるのは埋立地だけではありません。付近で地盤沈下が起きていなくても、狭い範囲で地盤沈下が起きる可能性も少なからずあるので注意しましょう。
地盤沈下や液状化は突然発生することも珍しくなく、原因はさまざまです。そのため、地盤調査をして少しでも地盤沈下や液状化の可能性がある場合は、地盤改良工事を検討しましょう。
ここでは、地盤改良工事の費用相場について、工法別に解説していきます。
地盤改良工事の工法は、大きく分けて以下の3種類です。
工法 | 費用相場(円/1坪あたり) |
---|---|
表層改良工法 | 2~3万円 |
柱状改良工法 | 3~5万円 |
鋼管杭工法 | 5~7万円 |
表層改良工法は、改良工事を行う部分が表層から2m程度の場合に可能な工事です。比較的安価で、短納期にて実施できます。また、一般的な戸建て住宅の規模であれば、1~2日程度で完了するでしょう。
なお、狭い土地や変形地・埋設物がある土地でも施工可能です。ただし、勾配が大きな土地だったり地下水位が高かったりする土地では施工できません。
柱状改良工法は、表層改良工法では対応出来ない深さまで改良が必要な場合に用いられる工法です。
軟弱地盤の下に、強固な地盤がなくても工事を行えます。一般的な戸建ての場合、30本程度であれば1週間程度で完了するので比較的短納期です。
鋼管杭工法は、鋼管で出来た杭を打ち込む工法です。3種類の工法のなかでは、もっとも強度を高めることができます。一方、費用が高く、騒音が大きい点には注意しなければなりません。各種条件にもよりますが、一般的な住宅の場合は1~2日程度で完了します。
地盤改良工事の費用について解説してきましたが、ここでは、実際に工事を行う際にどのようにしたら安く済ませることができるのか解説していきます。
地盤改良工事を行う前は、複数の業者から相見積もりを取るようにしましょう。複数の業者から相見積もりを取ることで、業者に提示された見積もり額が適正な価格かどうかを確認して、内容を精査することが可能です。
基本的に、地盤改良工事を行う際は、専門知識を備えている有資格者が地盤調査を行った上で工事内容を判断します。しかし、業者のなかには知識や経験が乏しい担当者が調査するケースも少なくありません。場合によっては資格を持っていないことも考えられます。
そのため、業者に依頼する際は、有資格者が地盤調査を担当してくれるかどうかを確認するようにしましょう。
ここでは、地盤改良工事を行う際に事前に注意が必要な注意点について解説をしていきます。主に、以下の3点に注意するといいでしょう。
地域によりますが、自治体が以前行った地盤調査データをホームページ上で公開しているケースがあります。地盤資料を基に改良工事を行った場合の概算費用を教えてくれる業者もいるため、あらかじめ確認しておくといいでしょう。
地盤改良工事は業者によって費用が異なります。地盤調査と地盤改良は同じ業者に依頼することが多いですが、業者によって地盤調査の精度や調査後の対応はさまざまです。
そのため、ある業者では表層改良工法を提案されたが、他の業者では柱状改良工法を提案されるということも珍しくありません。
そうなると費用が大きく異なってくるので、先述したように複数の業者から相見積もりを取って工事内容と費用を確認するようにしましょう。
地盤改良工事では重機を使用するため、騒音や振動が発生します。粉塵も少なからず飛び散るでしょう。また、業者の人が付近を出入りするので、煙草やごみなどのマナーに関するクレームが発生する可能性もあるでしょう。
このような事態を避けるには、事前の対策が必要です。多くの業者は工事前に近隣の住宅へ、工事計画の説明を記載したお知らせをポスティングしてくれます。そうすることで、近隣の方の理解を得てスムーズに着工することが可能です。
重機を使用するため、振動・騒音が出ることが多いので工事の際は事前に近隣への挨拶をしておいた方がいいでしょう。業者任せにするのではなく、自分でも挨拶しておくことでトラブルを避けられます。
滅多にありませんが、遺跡・埋設物が出てきてしまった場合は行政への連絡が必要になり、工事を中断しなければなりません。そのため、過去に出土したことがある地域かどうかを調べておくといいでしょう。
地盤改良工事は、工法によって費用が異なります。業者によって提示される工法や費用も異なるので、工事前にしっかりと複数の業者から相見積もりを取るようにしましょう。
また、近隣とのトラブルを避けるためには、挨拶も欠かさず行う必要があります。
今回の記事の内容を参考に地盤改良工事についてしっかり理解し、適正な価格でスムーズに工事ができるように計画を進めてみてください。