ホルター心電図は一般の心電図と比べて長時間心臓の動きを調べるための検査です。今回の記事ではおすすめのホルター心電図9選・ホルター心電図解析ソフト4選を紹介し、価格や選び方も解説していきますので参考にしてください。
目次
ホルター心電図とは、長時間に渡って(基本的に24時間)心電図を記録する検査です。24時間心電図と呼ぶこともあります。心臓は1日で約10万回脈を打ちますが、ホルター心電図では24時間すべての脈を記録することができ、異常を詳しく検査可能です。
普通の心電図検査の場合、検査をした瞬間の心電図でしか判断することができません。一方、ホルター心電図は、心疾患の正確な診断や治療のために用いられる検査で、1日を通して異常がないかをモニターできます。
これにより、不整脈や狭心症・虚血性心疾患などの診断、処方した薬や手術の効果を確認可能です。
フクダ電子株式会社が提供している心電図レコーダ WR-100は、感染症対策に有用なパッチ型(リードレス)のディスポ電極を採用しています。また、入浴中も含めた最大14日間連続全波形記録が可能です。
小型・軽量25gで患者負担を軽減するように設計されており、防水性能・IPX6/8対応により、シャワー・入浴も行えます。防水電極は、薄さ0.015ミリのテープを採用した従来の電極用テープよりも薄いため、柔軟性に富んだ皮膚にやさしい素材です。
心電図レコーダ WR-100の比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | (幅) 33 (奥行) 13 (高さ) 44 mm |
重量 | 25g(電池含む) |
電源 | リチウム1次電池 |
記録時間 | 最大14日間 |
防水 | ○ |
フクダ電子株式会社が提供しているホルター記録器 FM-1400は、3枚で2ch記録が可能なL字型のリード線一体型電極を採用しており、電極の貼り付け枚数が少ないため検査の手間を省くことができます。これにより、患者の負担を軽減することが可能です。
また、電極を差し込むだけで電源が入り、記録を開始できるため。記録前の電池・カードの挿入は必要ありません。本体は電極に固定するので中継コードや携帯ケースも不要です。
ホルター記録器 FM-1400の比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | (幅) 40 (奥行) 10 (高さ) 41 mm(突起物除く) |
重量 | 約17g (電池ケース付ECG コネクタ、電極、ケーブル部を除く) |
電源 | リチウム一次電池 CR2032 1個 |
記録時間 | 要問合せ |
防水 | ○ |
フクダ電子株式会社が提供しているホルタ-記録器 FM-150は、高サンプリング(1,000Hz)記録モードを搭載しています。マイクロボルトレベルの心電図変化を逃さず記録でき、対応するホルター心電図解析装置によってLP/TWAの計測を行うことが可能です。
12誘導心電図を24時間以上連続して記録でき、対応するホルター心電図解析装置によってQT計測やブルガダ型波形計測も行えます。また、新開発の「12誘導リード線一体型ディスポ 電極」で、検査の手間や患者の装着負担を軽減可能です。
ホルタ-記録器 FM-1500の比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | (幅) 60 (奥行) 13 ※(高さ) 65mm※電池部16.5mm |
重量 | 約49g(電池・カード除く) |
電源 | 単4形アルカリ乾電池1本 単4形リチウム乾電池1本 |
記録時間 | 最大7日 |
防水 | ○ |
日本光電工業株式会社が提供している長時間心電図記録器 RAC-5000シリーズは、7日間連続記録が可能なRAC-5203と、24時間連続記録が可能なRAC-5103があります。
問題なく生活を送れるようにシャワー・お風呂で使用可能な防水仕様(保護等級IP68)になっており、 必要な機能を備えながら、軽量・コンパクトで患者の負担を軽減可能です。
また、検査データはSDメモリカードへの記録と同時に、装置の内蔵メモリにバックアップできます。
長時間心電図記録器 RAC-5000シリーズの比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | ・RAC-5203 :幅53.8×高さ53.8×奥行17.8mm(±10%)※ 突起部含まず ・RAC-5103 :幅53.8×高さ53.8×奥行17.1mm(±10%)※ 突起部含まず |
重量 | ・RAC-5203 :約43.5g※ 電池、SDメモリカード含まず ・RAC-5103 :約41.5g※ 電池、SDメモリカード含まず |
電源 | ・電池は単4アルカリ乾電池 ・充電式ニッケル水素二次電池(単4形 eneloop®シリーズ(※)) |
記録時間 | ・RAC-5203 :7日間 ・RAC-5103:24時間 |
防水 | ○ |
日本光電工業株式会社が提供している長時間心電図記録器 RAC-2512 カーディオメモリは、24時間以上の12誘導心電図記録によって、詳細情報に基づいた心室性不整脈起源の推定や、重症度の評価などが可能です。
24時間以上、最大72時間の心電図連続記録ができるため、24時間の検査では捉えることが難しい不整脈の有無や不整脈の持続時間などを確認できます。また、患者名登録ソフト QP-023Dを付属しているので、記録したデータをパソコン上に表示可能です。
長時間心電図記録器 RAC-2512 カーディオメモリの比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | 幅81.3×高さ57.8×奥行19.5mm※ 突起部、アダプタ部含まず |
重量 | 約50g |
電源 | ・アルカリ乾電池 ・充電式ニッケル水素電池 単4形 eneloop(パナソニック株式会社製) |
記録時間 | 最大72時間 |
防水 | 要問合せ |
JSR株式会社が提供している心電記録器 Heartnote®は、軽量・フレキシブル・コードレス設計のため患者の装着負担を軽減可能です。また、防水仕様なので装着したままシャワーや半身浴ができます。
サイズは非常にコンパクトですが、7日間の長時間計測が可能です。長時間の計測によって不整脈の検出率が向上するため、早期発見・早期治療につなげることができます。
心電記録器 Heartnote®の比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | W30 x H100 x D5mm |
重量 | 12g |
電源 | リチウムポリマー二次電池 |
記録時間 | 7日間 |
防水 | ○ |
ジェイソン・メディカル株式会社は、長時間心電用データレコーダのM3RとM12Rホルター心電計を提供しています。M12Rは、12誘導または3誘導の心電図を同時に取得できるホルター心電計です。
M3R・M12Rは低コストの標準SDカードを使用するため、特殊仕様のメモリカードを購入する必要はありません。SDカードの着脱によって心電計をすぐに再利用可能です。また、臨床医がホルター心電図とリアルタイムECGデータを同時測定することができます。
長時間心電用データレコーダ M3R/M12Rホルター心電計の比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | 112 ×78 ×36 mm |
重量 | 137 g(本体単独) |
電源 | 単三アルカリ電池 (LR6) 2本 |
記録時間 | 24時間以上連続 |
防水 | 要問合せ |
三栄メディシス株式会社が提供しているホルター心電計 CardioTrakは、クラウド型になっており、インターネット回線を利用して、ホルター心電図の収録データを医療機関様から解析センターへ送付可能です。また、送られてきたデータを自動解析ソフトで解析することで、30分以内に医療機関に結果を送信できます。
また、12chまたは3chの記録ができ、12ch記録では付属の12ch用誘導コードを使用して測定可能です。
ホルター心電計 CardioTrakの比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | 要問合せ |
重量 | 要問合せ |
電源 | 単4電池1本 DC1.5V LR03(AAA) |
記録時間 | 要問合せ |
防水 | 要問合せ |
アステラス製薬株式会社が提供している使い切りパッチ型心電計 EG Holterは、使い切り仕様のため、メンテナンスは必要ありません。本体は、厚さ6㎜・重さ11gと小型かつコードレスで付け外しが簡単で防水性能(IPX4)も備えている心電計です。
EG Holterから得られたデータは、アステラス製薬とエムハートが共同開発したホルタ解析装置用プログラム「マイホルターII」で解析されるようになっています。
使い切りパッチ型心電計 EG Holterの比較ポイント
製品情報
価格 | 要問合せ |
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外形寸法 | W35×D133×H6(mm) |
重量 | 11g |
電源 | 3V コイン形リチウム一次電池 |
記録時間 | 24時間 |
防水 | ○ |
ここでは、記録データの再生や解析ができるソフトも併せて紹介していきます。
株式会社カルディオインテリジェンスが提供している長時間心電図解析ソフトウェアSmartRobin AI シリーズは、心房細動診断をサポートするAIを活用したSaaS型のプログラム医療機器(SaMD)です。
心房細動の検出精度95%を有し、長時間の膨大な心電図データを即日解析します。その他、期外収縮やポーズの検出も可能です。また、UI・UXにこだわったアプリ画面と自動作成されるレポートにより、医療従事者の業務効率改善と患者さんの不整脈の早期発見に貢献します。
長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズの比較ポイント
フクダ電子株式会社が提供しているSCM-9000は、最大14日間までのデータ再生・編集が可能です。LP・TWA・ブルガダ・合成18誘導などの計測機能を搭載しており、データ出力はPDF・MFER・CSV・バイナリに対応しています。
また、SSDを搭載しているため処理性能が向上しており、本体をミニタワーサイズに小型化しているので従来品より設置場所の省スペース化が可能です。
SCM-9000の比較ポイント
フクダ電子株式会社が提供しているSCM-950Sは、最長14日間の長時間記録データの解析・編集が可能です。また、心房細動の発生有無などが一目で確認できる心房細動サマリ(AF Burden)の表示・レポート出力ができます。
上室期外収縮の効率的な分類に有効なRRレシオ機能を搭載しており、P波の有無やRR間隔から、心房細動イベントを自動検出可能です。その他、低振幅で心拍として検出されていない波形がある場合は、似た形状の波形を自動的に抽出し、心拍として追加できます。
SCM-950Sの比較ポイント
日本光電工業株式会社が提供している長時間心電図解析装置 DSC-5000シリーズは、2015年度グッドデザイン賞を受賞しています。同社の長時間心電図記録器で記録したホルター心電図データを、短時間で解析・表示可能です。また、血圧ホルターデータのレポート出力もできます。
重篤な不整脈の有無やノイズの混入などの解析結果を一画面に集約している「オーバービュー」を表示でき、編集が必要な箇所や程度を想定することが可能です。
長時間心電図解析装置 DSC-5000シリーズの比較ポイント
日本光電工業株式会社が提供している長時間心電図解析プログラム QP-550シリーズは、パソコンにインストールすることで、同社の長時間心電図記録器で記録したデータの解析から、レポート作成までを行うことが可能です。
パターン内波形の各種表示機能の他、タコグラムビュートレンドなど、さまざまな編集からレポート作成機能が備わっています。
長時間心電図解析プログラム QP-550シリーズの比較ポイント
ホルター心電図を実施する流れは以下の通りです。
日本光電ではホルター心電図の使い方を動画で解説しています。皮膚の前処理のポイントや患者への説明など、ぜひ参考にしてください。
出典:電極装着の手順:きれいな心電図を記録するポイント~ホルター心電図編~
ホルター心電図と一般心電図の違いは以下の表の通りです。
ホルター心電図 | 一般心電図 |
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・一日を通して心臓の動きの変化を調べる ・症状や生活と心臓の状態を比較して関連性を知ることが可能 ・携帯型心電計を1日付けたまま生活する必要がある |
・安静時に一時的な心臓の動きを調べる ・病院で数分の検査で終了する |
上記の表を見て分かるように、ホルター心電図は24時間以上、一般心電図は短時間で検査が終了します。仕組み自体はどちらも同じですが、ホルター心電図はより詳細な心臓の動きを調べることが可能です。
ここでは、ホルター心電図のメリット・デメリットをそれぞれ解説していきます。
ホルター心電図のメリットは以下の通りです。
それぞれ解説していきます。
1日を通して心臓の動きの変化を確認できるのは、ホルター心電図の一番のメリットと言えるでしょう。長時間にわたって心臓の動きの変化を確認できるので、より正確な診断や有効な治療法を施すことが可能です。
ホルター心電図の導入は、集患率アップも期待できます。健診や訪問診療を掲げて、かかりつけ医としての機能を活用することで、診療科以外の集患につなげることも可能です。また、学校や企業などの健診を契約できれば、安定的な収益を確保できます。
現在、各メーカーから販売されている心電計のほとんどは、解析機能付きの機種となっています。そのため、内科系以外の診療科でも心電計を導入するクリニックが多いです。
また、解析機能の精度も大幅に向上しているため、機種によっては約250種類の解析結果を表示できます。心電図に慣れていない方でも安心して使用可能です。
ホルター心電図のデメリットは以下の通りです。
それぞれ解説していきます。
心電図を導入するのであれば、10年以上の長期わたって使用しているクリニックも多いため、大きな資金が動く開業時に併せて導入するのがおすすめです。
しかし、開業時は初期費用が膨らむため、医院としては難しい部分もあるでしょう。
ホルター心電図の一番大きなデメリットは、患者に電極を24時間貼ったまま生活してもらう必要があることです。防水機能が備わっているものであれば入浴はできますが、長湯や熱風呂は避けてもらわなければなりません。また、皮膚用粘着テープを貼り付けるため、皮膚がかぶれたりかゆみを感じたりする場合があります。
ホルター心電図は一般心電図と違い、心臓の動きを長時間にわたって調べることができます。そのため、より正確な診断や有効な治療法を施すことが可能です。今回の記事では、おすすめのホルター心電図を複数紹介しました。導入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。