放課後等デイサービスは、近年では設立されることが増えている施設です。こうした施設は設備基準や消防法、建築基準法など様々な法律を守る必要があります。管理者としてはこうした法律を知っておく必要があり、しっかりと順守する必要性があることは知っておかなければなりません。
放課後等デイサービスは児童福祉法により「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」が厳しく定められています。その設置の条件が決められていて、他にも消防法・建築基準法という法律も順守する必要があります。ここでは放課後等デイサービスの設置について設備基準・消防法・建築基準法の3つの観点から紹介していきましょう。
出典:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準
放課後等デイサービスの設備基準のポイントは3つです。放課後等デイサービスには、設備などに関して厳しい条件が定められています。これを定めているのは児童福祉法であり、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」によって発達支援室、サービスの提供に必要な設備及び備品等、支援に必要な機械器具等という3つの設置が義務付けられています。
これらの基準では分かりにくいために、例として東京都の放課後等デイサービスの設置基準を定めた「児童発達支援・放課後等デイサービス指定申請マニュアル」を例に3つの基準を満たすために必要な設備をまとめていきます。
下記、記載している内容はあくまで東京都の場合です。
出典:東京都福祉局
放課後等デイサービスを実施する場合には、東京都の基準では児童1人当たり4平方メートル以上と定められています。最低定員は10名であり、死角のないひとつの空間であること、廊下や玄関などを除いて40平方メートル以上の広さを有していることとなっています。他にもコンセントカバーや棚の転倒防止などの細かい規定が定められています。児童福祉法に基づく設備基準は全国共通ですが、自治体によっては条例等で上乗せ基準が定められている場合があります。
事務所は一定の広さの部屋を用意するというのが絶対条件です。そのほかにも扉には鍵をつけたり、児童が入らないような構造にしたりする。さらに、プライバシーを守るような対策をしておく必要があります。
相談室とは、相談者が安心して相談できるような部屋を用意することが必要です。相談内容が外部に漏えいしないような構造にすることが最低条件です。部屋が用意できない場合にはパーティションなどで、安全性などを保ちながら相談室を準備する必要があります。
お手洗いの場合には、定員に応じた数が必要です。さらに、必要に応じて障がいを持っている児童への対応なども考えて、バリアフリー対応のお手洗いを設置する必要もあります。他にも出口が2か所あったり、外部の出入りができない専用のものにするなどの対策が必要な場合もあります。
上記に関連して手洗い・うがいなどができる洗面設備も敷設することが決められています。衛生管理に配慮するということが重要で、うがいや手洗い、コップを用意するなどの配慮が必要です。
放課後等デイサービスが守るべき消防法の規定を見ていきましょう。。消防法は火災を予防・警戒することを義務付けられていて、放課後等デイサービスもこうした法律を守らなければなりません。放課後等デイサービスが守らなければいけない消防法は、消防法6項(ハ)です。取り付け義務などがある消火設備などは、以下の図を参考にしてください。
取付義務のある消火設備等 | 取り付ける消火設備の条件 |
---|---|
消火器 | 延べ面積150平方メートル以上 |
屋内消火栓設備 | 延べ面積700平方メートル以上 |
スプリンクラー設備 | 床面積合計6,000平方メートル以上 | 自動火災報知設備 | 延べ面積300平方メートル以上 |
消防機関へ通報する火災通報装置 | 延べ面積500平方メートル以上 |
非常警報設備 | 収容人数50名以上 |
避難器具 | 20名以上(下階の用途により10名以上) |
誘導灯 | 全施設 |
カーテン等の防炎措置 | 全施設 |
出典:社会福祉施設の消防用設備等に関わる消防法令改正の概要 もしもの火災から利用者を守る|一般社団法人 日本消防設備安全センター
放課後等デイサービスが守るべき建築基準法を見ていきましょう。建築基準法は建築物の敷地・設備・構造・用途などを定めた法律であり、放課後等デイサービスもこうした法律を遵守しなければありません。建築基準法の基準を満たしていることを証明する「確認済証」と工事が完了したことを示す「検査済証」が必要です。「検査済証」のコピーを自治体に提出することで、建築基準法を満たした放課後等デイサービスが実現できます。
放課後等デイサービスの内装のポイントを安全面から見ていきましょう。
突然走り出したりする児童も多く、怪我の帽子の為にも保護クッションなどをしっかりと設置していくことは重要です。机や棚、壁などにクッションをつけるという事は意外にも効果があるために、設置を検討しましょう。
ドアなどに指はさみ防止ストッパーの設置は重要です。指は骨折しやすく、多くのけがを引き起こします。ドアに挟まないようにスペースを無くしたり、衝撃を少なくする緩衝材を取り付けることも大切です。
先述した通り、消防法には遵守事項が多くあります。特にカーテンなどの項目は見逃しがちなので、カーテンや絨毯の防炎基準を考えて、しっかりと確認して準備しましょう。
ガラスが飛び散ると怪我をする可能性が高く、児童の安全のためにも飛散防止カバーは必須です。窓やドアのガラスなどにも飛散防止フィルムなどをつけておくと安心です。
子どもが指や物をコンセントに入れる場合もあるために、コンセントカバーを準備しておくといいでしょう。内装の際にコンセントカバーを付ける他、後付けでつけられるコンセントカバーもあるために、感電防止として用意しておくといいです。
窓やドアの施錠対策は、特に気を付けましょう。カギを児童の手の届かない所に取り付けたり、チャイルドロックのような機能があるドアにするといった対策も有用です。
放課後等デイサービスの内装のポイントの中でも、デザイン面を見ていきましょう。
放課後等デイサービスには、衝動性が高かったり、力加減が苦手だったりする児童が預けられることも少なくありません。突然走り出したりしたときのために、なるべく段差を減らしたり、壁の素材など衝撃を吸収するものにするといった工夫が必要です。
大前提として、お預かりした児童が心地よく過ごせるということを心がけましょう。色や壁のデザインなどに配慮しつつ、死角などがないように配慮することを同時に実現させる必要があります。また光に敏感な児童もいるために、蛍光灯などを避けて優しい光の照明をデザインに組み込んだ方がいいです。
放課後等デイサービスの内装事例の具体例を見ていきましょう。気を付けるべきポイントは「子どもの導線を考慮したレイアウト」です。
近年では消毒などの重要性が注目されています。新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザや感染性胃腸炎などの予防にもなるために、こうした設備の設置場所には注意が必要です。
児童への影響なども考えると、汚物処理などがしやすいようにあらかじめ工夫しておきましょう。玄関から外に汚物を出せるようにできたり、汚物処理の設備を整えるということも考えてきましょう。
柱や死角となるスペースは、児童の安全を考えると重要です。事務室、相談室、静養室、指導訓練室といった部屋には、死角がないように十分に注意しましょう。怪我や病気を見逃さないようにするのはもちろん、犯罪行為などの危険性も最小限にできます。
ただし、安全性の高いレイアウト・内装であっても、初めから事故を完全に防止するのは難しいのが実情です。そのため、開業後に起こったヒヤリハット事例は記録しておいて、対策を講じるのが重要になります。
放課後等デイサービスの内装に関するよくある質問をいくつか紹介していきましょう。内容について悩みがある人は、参考にしてください。
使い勝手の良さよりも、預かる児童・保護者の安全・安心を優先させて備品は選ぶことが重要です。
安さやスピードを重視する業者よりも、実績がある業者を選定しましょう。さらに、転倒防止などの安全策に力を入れている業者を探したり、放課後等デイサービスなどの施設への知識がある業者を探すのも大切です。
内装工事にかかる費用の目安は、どの内装業者に頼むかにもよります。物件費なども重要ですが、内装工事には安全策などを講じるために費用を節約しようと考えない事が重要です。内容の見積もりなどの際には無理のない範囲で、安全策を重視して選定することが重要です。
放課後等デイサービスでは、内装が重要であることは覚えておかなければなりません。その際には内定業者などにも気を配る必要があり、利用者の安全確保などのためにもこうした点に特に注意して放課後等デイサービスの設置を進めてみてください。