病院の改修工事のポイントや注意点を解説!費用や補助金も紹介

更新日 2025.04.10
投稿者:豊田 裕史

病院の改修工事は、患者の安全を守りながら、診療を継続する工夫が必要です。無計画に進めると、診療の妨げになったり、想定以上のコストがかかるおそれがあります。本記事では、病院の改修工事をスムーズかつ効率的に進めるためのポイントや、費用相場、活用できる補助金制度について解説します。

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目次

病院の改修工事を成功させるためのポイント・注意点

病院の改修工事は、医療サービスを継続しながら行う必要があるため、一般的な建築工事とは異なる注意点が多く存在します。以下で紹介するポイントを押さえて、工事を成功に導きましょう。

改修工事の目的を明確にし、具体的な目標を設定する

改修の目的をはっきりさせることで、無駄のない工事計画を立てることができます。例えば、老朽化した設備の更新や医療機能の向上、バリアフリー対応、診療科の拡充といった目的が挙げられます。

最初に具体的な目標が設定されていれば、施工業者や関係者との協議がスムーズに進み、資金計画やスケジュール管理を行いやすくなります。そのため、改修後にどのような医療サービスを提供したいのか、患者やスタッフにとってどのような環境を実現したいのかを事前に詳細に検討することが重要です。

収益の維持や患者への影響を最小限に抑えるための詳細な計画を立てる

病院の改修工事では、診療を続けながら、いかに収益や医療サービスへの影響を抑えるかが課題になります。そのため、工事の進め方を工夫し、以下のような方法で影響を最小限に抑えることが重要です。

  • ゾーニング工事(一部エリアごとに工事を進め、診療スペースを確保)
  • 仮設診療所の設置(病院敷地内または近隣施設を一時的に利用)
  • 夜間・休日の施工(診療時間外に工事を行い、患者の影響を最小限に抑える)

また、工事の進捗状況を患者や職員に適切に周知することで、混乱やトラブルを防ぐことも重要です。具体的には、病院の掲示板や公式サイト、院内放送などを活用し、患者の不安を軽減する工夫を行いましょう。

病院の改修工事に実績のある、信頼できる業者を決める

医療施設の改修工事は、専門知識が必要です。その理由として、まず医療機器の影響を考慮しなければなりません。手術室やICUなどではわずかな振動や停電が大きな問題となるため、慎重な工事が求められます。

また、医療法や建築基準法、消防法などの規制をクリアする必要があります。そのため、避難経路や非常電源の確保など、安全面への配慮も不可欠です。改修工事の業者を選ぶ際は、以下の4つの基準をチェックすると良いでしょう。

  • 医療施設の施工実績(病院施設の工事経験があるか)
  • 感染症対策の知識(清潔区域と工事区域を分離する方法を理解しているか
  • 施工後のフォロー体制(設備トラブル時の対応が可能か)

こうした医療施設特有の課題に対応できる業者を選ぶことが、スムーズな改修に繋がります。過去に医療施設の施工実績があり、感染症対策や法規制に精通した業者を選びましょう。実績のある業者であれば、医療機器の影響を考慮した施工や、感染症対策のノウハウを持っているため、安心して工事を任せることができます。

行政機関や医療関係者など、関係機関との連携を密にする

病院の改修工事では、行政機関や医療関係者との連携が不可欠です。なぜなら、病院の改修には法律や規制の遵守が求められ、適切な許認可の取得が必要になるためです。自治体や厚生労働省の基準を満たさない場合、工事の遅延や計画変更が発生する可能性があります。

また、改修工事が病院の運営に与える影響を最小限に抑えるためにも、医療従事者や病院関係者との事前調整が重要です。患者の安全を確保しながら工事を進めるには、診療スケジュールの調整や、騒音・振動の影響を軽減するための計画が不可欠です。

工事中の感染症対策を徹底し、患者や医療従事者の安全を確保する

病院では感染症対策が特に重要です。工事中の感染リスクを抑えるため、院内感染対策を考慮した仮設施設の設計を行い、工事の影響を最小限に抑える必要があります。工事作業員の衛生管理を徹底することで、病院内の清潔な環境を維持できます。

事業継続計画(BCP)を策定し、災害時でも医療機能を維持できるようにする

病院は、災害時に拠点となる建物です。そのため、災害や緊急時にも病院機能を維持できるよう、BCP(事業継続計画)を策定することが重要です。BCP(事業継続計画)の策定では、以下の3つの対策が重要です。

  • 非常用電源の確保:大規模災害時に備え、最低72時間分の非常用電源を確保
  • 患者避難計画の策定:入院患者・外来患者・医療スタッフの安全な避難ルートを設定
  • 医療機器のバックアップ:重要な医療機器(人工呼吸器、手術設備など)の代替手段を確保

さらに、年に1回の避難訓練やシミュレーションを実施することで、緊急時の対応力を向上させることができます。

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病院の改修工事の費用相場

病院の改修工事の費用は、工事の種類や規模、建物の状況などによって大きく変動します。一般的な目安として、以下の通りです。

  • 小規模改修: 数百万円~数千万円
  • 中規模改修: 数千万円~数億円
  • 大規模改修: 数億円~数十億円

これらの費用には、設計費、工事費、設備費などが含まれます。また、工事期間中の仮設施設の設置費用や、医療機器の移設費用なども考慮する必要があります。

改修工事の費用は高額になりがちです。しかし、国や自治体の補助金制度を活用することで、負担を軽減できる場合があります。改修工事の中でも省エネ設備の導入や耐震補強、バリアフリー化は、補助金の対象となることが多いため、計画段階から活用を検討するとよいでしょう。

病院の改修工事で利用できる補助金制度

病院の改修工事には、国や自治体の補助金制度を活用することで費用負担を軽減できます。主な補助金制度には以下のようなものがあります。

医療施設等設備整備費補助金

医療施設等設備整備費補助金は、へき地医療の充実や臨床研修病院の研修環境整備を目的として支給される補助金です。都道府県や医療機関が行う施設整備に対し、国や自治体が補助を行うことで、地域医療の質の向上を支援します。補助の対象となる施設や工事内容は多岐にわたり、それぞれに応じた1/3〜3/4の補助率が設定されています。

省エネ補助金

病院の省エネルギー化を推進するため、エネルギー効率の高い設備の導入を支援する補助金です。LED照明の導入や高効率ボイラー、高効率空調設備の設置などが対象となり、補助率や適用条件は自治体ごとに異なります。

耐震改修補助金

地震発生時の医療機能維持を目的とし、耐震工事を支援する補助金です。特に旧耐震基準の病院施設に対する補強工事には、国や地方自治体からの助成金が適用されます。申請条件として、診療継続のための耐震性確保が求められ、補助額は工事規模によって変動します。

バリアフリー改修補助金

高齢者や障がい者が利用しやすい病院環境を整備するための補助金です。エレベーターの設置やスロープの導入、トイレのバリアフリー対応などが対象となり、より多くの人が快適に利用できる医療環境の整備が求められます。

BCP対策補助金

災害時でも医療機能を維持できるよう、病院の安全対策を支援する補助金です。耐震工事や非常用電源の設置などが対象となり、緊急時の医療提供を確保するための設備投資に活用できます。

まとめ

病院の改修工事を成功させるためには、「目的の明確化」「患者・スタッフへの影響を最小限に抑える計画」「信頼できる業者の選定」「補助金の活用」「BCPの策定」が重要です。

また、計画段階から行政機関や関係者との連携を密にし、補助金申請を含めた準備を進めることで、よりスムーズな工事が可能になります。 病院の改修は、安全性・快適性の向上に直結する大切なプロジェクトです。この記事を参考に、適切な計画を立てて改修工事を成功させましょう。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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