動物病院の開業・リニューアルにおいて、内装は診療効率と集患を左右する最重要要素です。 しかし、動物病院の内装は一般的なクリニックとは異なり、鳴き声対策、独特のニオイ、さらには犬と猫の動線分離など、動物医療特有の専門知識が欠かせません。
「内装費用の坪単価はどれくらい?」「動物病院に強い業者はどこ?」 そんな疑問を持つドクターに向け、本記事では動物病院の内装に関する基礎知識から、最新の費用相場、おすすめの施工業者まで、中立的な立場で分かりやすくまとめました。理想の病院づくりを支えるパートナー選びの参考にしてください。
動物病院の内装は、一般的なお店や人の病院とは少し違った工夫が必要です。動物たち、飼い主さん、そして働くスタッフ全員が心地よく過ごすために欠かせない、4つのポイントをご紹介します。
病院が苦手な動物はとても敏感です。滑る床は足腰に負担をかけ、怖さからパニックの原因にもなるため、滑りにくく掃除しやすい床材が必須です。また、繊細な猫が犬と視線を合わせずに済むよう、待合室に仕切りを作ったりスペースを分けたりして、視覚や音の刺激を和らげる工夫が動物たちの安心につながります。
動物病院は、限られた広さにレントゲンや手術室などの機能を詰め込む必要があります。放射線を遮る壁や医療ガスの配管など、目に見えない部分に特殊な工事が必要です。さらに、ニオイが待合室に流れないよう空気の流れを計算した換気システムを整えるなど、医療現場ならではの専門的な設計が欠かせません。
動物は時に予期せぬ動きをするため、スタッフの安全を守る設計も大切です。診察室には保定(動物を抑える作業)のためのゆとりを持たせ、処置しやすい広さを確保します。また、急患時に受付から手術室までスムーズに移動できる動線を作ることは、スタッフの負担を減らし、より多くの命を救うことにもつながります。
地域で愛される病院にするには、近隣への心配りも重要です。大きな鳴き声が外に漏れないよう、壁の遮音性を高めたり窓の配置を工夫したりする防音対策が欠かせません。また、排気の向きに注意してニオイを防いだり、排水に毛が詰まらない装置を付けたりと、周りの環境を汚さない配慮が円満な経営を支える土台となります。
病院内のエリアごとに求められる役割は異なります。それぞれの場所に最適な設計のコツをまとめました。
待合室は、不安な飼い主さんと動物を優しく迎える場所です。リラックスできるよう温かみのある照明や色使いを選び、飼い主さん同士の視線が合わないよう椅子の向きや仕切りを工夫しましょう。特に犬と猫のスペースを分ける設計は、動物のストレスを劇的に減らし「またここに来よう」と思える安心感につながります。
診察室は、飼い主さんとじっくり話せる落ち着いた配置が理想です。一方で処置室は、スタッフが素早く動ける機能性が最優先。診察室から処置室へスムーズに動物を移動できる動線を作ることで、無駄な動きが減り、診察の回転率も上がります。掃除のしやすさと、作業に必要なコンセント位置などの細かな設計が鍵となります。
手術室やレントゲン室は、獣医師法などの厳しい基準を守る必要があります。レントゲン室の壁には放射線を漏らさないための鉛板を入れる必要があり、保健所の検査でも厳しくチェックされます。また、手術室は常に清潔を保てるよう、継ぎ目のない床材や、機器を配置しやすい十分な広さと電源を確保することが不可欠です。
入院室は、動物の抜け毛や排泄物によるニオイが残りやすいため、丸洗いできるような素材や高い換気能力が求められます。また、忘れがちなのがスタッフの休憩スペースです。ハードな業務の間、しっかりと心身を休められる場所を確保することは、離職を防ぎ、結果として質の高い医療を提供し続けるための大切な投資となります。

戸建てからテナントまで、動物病院の開業・改装で多くの実績を持ちます。滑りにくい床材の選定や屋外の足洗い場設置など、ペットと飼い主の両方に寄り添った、グッドデザイン賞受賞企業ならではの高い提案力が魅力です。

三井ホームの動物病院建築は、6,000件以上の医療・福祉施設の実績に基づき、ペットとオーナーに選ばれる空間作りをサポートします。主な特徴は、卓越したデザイン力による「外観の差別化」、木の温もりを活かした「リラックス空間」、優れた断熱・遮音性による「鳴き声・ニオイ対策」です。また、初期投資を抑えて戸建て開業ができる独自の「ドクターズレントハウス」など、資金計画から集客までトータルに支援します。
動物病院の内装は、法的な基準と専門的な設備の知識が不可欠です。失敗しないためのパートナー選びのポイントをまとめました。
動物病院には獣医師法による構造基準があり、診察室の区画や清掃しやすい床・壁材の使用が厳格に定められています。また、薬事法に基づく薬品保管庫や、医療廃棄物の専用スペースの確保も必須です。こうした法的要件を熟知し、保健所の検査を一回でスムーズにパスできる設計ノウハウを持った会社を選びましょう。
動物病院の実績が豊富な会社は、「床が尿で変色した」「毛で排水が詰まった」といった特有のトラブルを事前に防ぐ提案ができます。防音・防臭対策や、動物が怪我をしないための安全配慮など、専門的な視点があるかを確認してください。過去の施工事例を見せてもらい、現場の悩みに寄り添った工夫があるかが判断基準になります。
レントゲンや手術機器の導入には、特殊な配線や床の補強が欠かせません。施工会社が医療機器メーカーと直接やり取りし、図面上でコンセント位置や荷重を緻密に調整してくれるかを確認しましょう。メーカーと密に連携できる会社なら、機器の搬入トラブルを防ぎ、無駄がなく使い勝手の良い診療環境が実現します。
動物病院の内装費用は、特殊な設備が必要なため一般的な店舗より高くなる傾向があります。予算計画の目安となる相場を解説します。
内装費用は、建物の状態によって大きく変わります。何もない「スケルトン」から作る場合は坪単価70万〜100万円ほどが目安です。前の設備を活かす「居抜き」なら費用を抑えられますが、動物病院専用でない場合は改修費がかさむこともあります。一戸建ての新築は自由度が高い分、外構工事なども含めた総予算の把握が重要です。
動物病院ならではの特殊な工事は、予算を左右する大きな要因です。鳴き声を遮る防音壁や、重い医療機器を支えるための床補強、各部屋へ酸素を送る医療ガス配管などがこれにあたります。これらは後から追加するのが難しいため、設計段階で優先順位を決め、必要な箇所にしっかりと予算を配分することが、予算オーバーを防ぐコツです。
初期費用を抑えすぎると、開業後のメンテナンス代が高くつくことがあります。例えば、安価な床材は爪跡や薬品ですぐに傷んでしまいますが、耐久性の高い専用素材を選べば長期間きれいに保てます。壁紙も強化タイプを選ぶなど、「壊れにくく汚れにくい」素材へ最初に投資しておくことが、将来の修繕コストを減らす賢い選択です。
動物病院の内装は、動物・飼い主・スタッフ全員の快適さと、厳しい法規制のクリアを同時に叶える必要があります。失敗しないためには、動物医療特有の動線や設備に精通した、実績豊富なパートナー選びが不可欠です。費用相場を抑えつつ、5年、10年先も使いやすい「医療の道具」としての空間を目指しましょう。ドクターの理想を形にし、地域に愛される病院づくりを応援しています。