失敗を防ぐ医療モール選び|物件資料に載らない「科目の相性」

更新日 2026.01.30
投稿者:豊田 裕史

「医療モール開業はリスクが高い・・・」

そんな失敗談を耳にして、二の足を踏んでいませんか?確かに、安易な気持ちで飛び込むと痛い目を見るのが医療モールの怖さです。

でも、だからといって医療モールの情報をスルーしてしまうのは、あまりにももったいないです。

あらかじめ失敗のパターンを把握しておけば、医療モールは単独開業にはない「安定した集患」を支える有力な選択肢となります。大切なのは、きれいな物件資料の数字を追うことではなく、その裏側にある「物件を選ぶべき基準」を正しく理解することです。

医療モールの物件選びで迷われている先生へ

医療モールの情報は、避けるものではなく、「自分の理想を叶えるために使いこなすもの」です。

  • 「自分の専門が、他科の先生と助け合える関係か」
  • 「患者さんのプライバシーを、物理的に守ってあげられるか」
  • 「内科募集中なら、その裏にある理由を即座に探せるか」

パンフレットの数字だけを信じるのではなく、実際の現場がどうなっているかをご自身の目で確かめてみてください。慎重に、納得できる物件を選ぶことが、地域に愛される理想のクリニック作りへの近道になります。

「医療モールを一度検討したい」「検討中のモールの強み弱みを知りたい」など、医療モールの物件情報をお探しの場合は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
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目次

失敗の落とし穴は「隣の科目とのバッティング」

医療モールの最大の魅力は、クリニック同士で患者さんを紹介し合えることです。しかし、実はこれが「失敗の入り口」になってしまうこともあります。

物件を選ぶとき、つい「駅からの距離」や「賃料」ばかりに目がいきがちですが、実はそれ以上に大切なのが「隣にどの科目が入るか」という点です。

診る範囲が重なると「じわじわ」苦しくなる

一番気をつけたいのが、それぞれの科目が診る範囲(守備範囲)が「少しだけ被っている」状態です。

例えば、「内科と小児科」や「整形外科とペインクリニック」。一見すると違う科目のようですが、実は同じ症状の患者さんを取り合ってしまうことがよくあります。

「本来はうちに来るはずの患者さんなのに……」

そんな小さなモヤモヤが積み重なると、先生同士の関係がぎくしゃくし、モール全体の雰囲気も悪くなってしまいます。こうした「見えないライバル関係」が、経営をじわじわと苦しくさせるのです。

ひと目でわかる!科目の相性チェック表

医療モールで失敗しないために、まずは紹介し合える「良い組み合わせ」と、注意が必要な「重なる組み合わせ」を一覧で見てみましょう。

組み合わせ 相性 理由
内科 × 眼科・耳鼻科 鉄板 専門が完全に分かれており、相互紹介が日常的に発生する。
整形外科 × 内科 良好 高齢の患者さんが「膝の痛み」と「血圧」でセットで通いやすい。
小児科 × 皮膚科 良好 子どもの肌トラブルを皮膚科へ繋ぐことで、親御さんの信頼が増す。
内科 × 小児科 注意 風邪やワクチンの時期に、限られた患者さんを奪い合ってしまう。
整形 × ペイン 注意 「痛みの相談先」が被るため、患者さんがどちらに行くべきか迷う。

なぜ「相性」がここまで重要なのか?

医療モールの成功は、お互いに患者さんを紹介し合える「良い循環」にかかっています。しかし、診療内容が被りすぎると、紹介どころか「患者さんの奪い合い」が起きてしまいます。

うまくいくケース:専門がハッキリ分かれている

例えば「内科と耳鼻科」なら、風邪の患者さんがお互いを行き来するなど、自然な連携が生まれます。お互いに「自分の専門外はあちらの先生に」と信頼して任せられるため、先生同士の仲も良くなり、結果としてモール全体の評判も上がります。

失敗するケース:診る領域が「ちょっとだけ」被っている

一番怖いのが「内科と小児科」のように、診る領域が一部重なっている場合です。特にワクチンの時期などは、どちらのクリニックに行けばいいか患者さんも迷ってしまいます。

「あっちに患者さんを取られた」という不信感が一度生まれると、もうスムーズな紹介は期待できません。結局、どちらのクリニックも中途半端な集客にとどまってしまう。これが医療モールでよくある失敗のパターンです。

プライバシーが守れない物件は患者さんに敬遠される

医療モールの「賑やかさ」は大きなメリットですが、科目によってはそれが裏目に出ることもあります。患者さんが「ここは通いづらい」と感じる最大の理由は、プライバシーへの不安です。

デリケートな科目ほど「視線」に敏感になる

泌尿器科や産婦人科、心療内科などは、他の科目に比べて「知り合いに会いたくない」という心理が強く働きます。

たとえば、すぐ隣に知り合いがいそうな小児科があったり、共通の待ち合いスペースで多くの人と顔を合わせたりする環境は、それだけで通院のハードルを上げてしまいます。特に不妊治療中の方にとって、お子さん連れで賑わう場所を通ることは、想像以上に心に負担がかかるものです。

こうした患者さんの「静かに通いたい」という気持ちに寄り添えているかどうかが、集客を大きく左右します。

患者さんが安心して通えるかチェックリスト

物件を内見する際は、患者さんの視線になって以下のポイントを確かめてみてください。

■チェックポイント
[ ]入口が人通りの多い場所に面しすぎていないか
[ ]外の廊下から、受付や待合室の中が丸見えでないか
[ ]他のクリニックと共用ではない、自院専用の待合室があるか
[ ]他の科目の患者さんと顔を合わせすぎない配置か

どんなに良い治療をしていても、クリニックに入るのをためらわせてしまったら意味がありません。患者さんの不安をなくしてあげられるような、間取りや配置の物件を選びましょう。

「ここなら大丈夫」と思ってもらえる場所選び

どんなに先生の腕が良くても、入り口に入るのに勇気がいるようでは、通い続けてもらうのは難しくなります。

患者さんが「このクリニックは自分の気持ちを分かってくれている」と感じるのは、実はこうしたちょっとした配慮です。

「知り合いに会ったらどうしよう」という不安を、建物の作りで解消してあげること。それが、特定の科目においては何よりも大切な「おもてなし」であり、信頼につながる一歩になります。

駅近でも「歩きにくいエスカレーター」は不評のもと

駅近」という言葉だけで物件を決めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまることがあります。大切なのは、体調が悪い患者さんの目線で「本当に通いやすいか」を確かめることです。

患者さんの負担になる「意地悪な設計」に注意

駅からの距離が近くても、建物の中に入ってからが大変な物件は、患者さんに敬遠されてしまいます。

特に注意したいのが、エスカレーターの配置です。たとえば「3階まではスムーズに行けるのに、4階へ行くためだけにフロアをぐるっと半周歩かされる」という設計。元気なときなら気になりませんが、体がしんどい患者さんにとっては「もう二度と来たくない」と思うほどの負担になります。

こうした「ちょっとした歩きにくさ」が積み重なると、患者さんの足は少しずつ遠のいてしまいます。

内見時に歩いて確かめたいポイント

物件を見に行くときは、スーツで颯爽と歩くのではなく、ぜひ「体調が悪いときの歩幅」で、改札からクリニックの入り口までゆっくり歩いてみてください。

■チェックポイント
[ ]上り下りのエスカレーターが離れすぎていないか
[ ]エスカレーターの幅が狭く、追い越しにくくないか
[ ]ベビーカーや車椅子がスムーズに乗れるエレベーターはあるか
[ ]改札から入り口まで、階段の上り下りや遠回りが必要ないか

エスカレーターの幅が狭いと、ベビーカーの横を通れずに渋滞が起き、それが通院のストレスになることもあります。

「駅から1分」という数字だけを信じるのではなく、患者さんが実際に歩く様子を想像しながら、自分の足で確認することが大切です。

【内科向け】「内科募集中」に隠れたチャンスの正体

内科の先生にとって、検討中の医療モールに「内科募集中」の文字を見つけると、「何か問題がある物件なのかな?」と不安になるかもしれません。

しかし、実はそこに大きなチャンスが隠れていることがあります。

なぜ「モールの中心」である内科が空いているのか

医療モールの開発では、まず最初に「内科」を決め、その後に他の科目を集めるのが一般的な流れです。いわば内科はモールの「心臓部」です。それなのに空きが出ているのには、主に2つの理由が考えられます。

チャンスの場合:急なキャンセルが出たばかり

他の科目はすでに決まっているのに、内科の先生だけが急な事情で辞退したケースです。この場合、すでに他の科目による集客が見込める状態からスタートできる「掘り出し物」といえます。

注意が必要な場合:条件が厳しすぎて敬遠されている

賃料が高すぎたり、動線に大きな問題があったりして、他の内科医たちがこぞって見送ったケースです。

「後出しジャンケン」ができるメリット

もし、物件の条件や動線に問題がないのであれば、内科が空いている状況はむしろ有利に働きます。

すでに決まっている他の科目を見てから入居を判断できるため、「どの科目の患者さんが流れてきそうか」が予測しやすいからです。ライバルがいない状態でスタートできる、まさに「後出しジャンケン」のような有利な条件で交渉を進められるかもしれません。

募集の「裏側」を担当者に聞いてみよう

「内科募集中」の文字を見たら、まずは一歩踏み込んで、なぜ空いているのかを担当者に確認してみましょう。

  • いつから募集しているのか?
  • 以前検討していた先生は、なぜ見送ったのか?

こうした質問への答えから、そこが「お宝物件」なのか「避けるべき物件」なのかが見えてくるはずです。

良い担当者を見分ける「4つの質問」

物件の案内をしてくれる担当者が、本当に先生の味方になってくれる人かどうか。それを見極めるためには、物件の条件だけでなく「患者さんの視点」を持っているかを確認することが大切です。「この人を信じて大丈夫かな?」と不安になったら、次の4つのポイントを確認してみてください。

  1. 「患者さんが迷わないための工夫はありますか?」
  2. 「お隣の先生とは、診る範囲について調整済みですか?」
  3. 「1階に目立つ看板を出すことはできますか?」
  4. 「薬局の対応力は十分にありますか?」

質問1:患者さんが迷わないための工夫はありますか?

単に「駅から近いですよ」という言葉だけでなく、建物の入り口からクリニックのドアの前まで、患者さんが迷わず、スムーズにたどり着けるルートを具体的に説明できるか。患者さんの「歩きやすさ」を本気で考えている担当者なら、即座に答えられるはずです。

質問2:お隣の先生とは、診る範囲について調整済みですか?

この記事の前半でお伝えした「科目のバッティング」についての質問です。後からトラブルにならないよう、事前に隣の先生と診療内容のすみ分けができているか、担当者がその間に入って調整する意思があるかを確認しましょう。

質問3:1階に目立つ看板を出すことはできますか?

医療モールは、建物の中に入ってしまうと意外と外から見えにくいものです。新規の患者さんに気づいてもらうための「看板」がどこに出せるのか。許可は取れているのか。こうした「開業後の集客」まで心配してくれる担当者は、信頼に値します。

質問4:薬局の対応力は十分にありますか?

医療モールの便利さは、診察後の「薬の受け取り」まで含めて決まります。どれだけ診察がスムーズでも、薬局での待ち時間が長すぎたり、薬の在庫がなかったりすると、患者さんは「不便なモールだ」と感じて足が遠のいてしまいます。

特に内科や小児科など、扱う薬の種類が多い科目が集まる場合は要注意です。担当者に「ここの薬局は、すべての科目の薬を揃え、患者さんを待たせない体制ができているか」を確認してみてください。開業後の満足度を左右する、隠れた重要ポイントになります。

まとめ:資料よりも「自分の足」で確かめるのが一番

医療モールの物件選びで大切なのは、きれいな図面や数字だけを信じすぎないことです。資料はあくまで「一つの情報」でしかありません。本当にその場所でうまくいくかどうかは、やはり先生ご自身が自分の目と足で確かめるのが一番です。

お隣の先生と「助け合える関係」になれるか、患者さんが「人目を気にせず」安心して通えるか、そして「体がしんどい時」でもスムーズに歩ける作りになっているか。こうしたポイントがそろって初めて、医療モールは強力な味方になってくれます。

「気になる物件があるけれど、科目の相性はどうかな?」と迷ったときは、いつでもお気軽にご相談ください。パンフレットには載っていない現場の本当の姿を大切にしながら、先生の理想のクリニック作りをしっかりとお手伝いさせていただきます。

医療モールの物件選びで迷われている先生へ

医療モールの情報は、避けるものではなく、「自分の理想を叶えるために使いこなすもの」です。

  • 「自分の専門が、他科の先生と助け合える関係か」
  • 「患者さんのプライバシーを、物理的に守ってあげられるか」
  • 「内科募集中なら、その裏にある理由を即座に探せるか」

パンフレットの数字だけを信じるのではなく、実際の現場がどうなっているかをご自身の目で確かめてみてください。慎重に、納得できる物件を選ぶことが、地域に愛される理想のクリニック作りへの近道になります。

「医療モールを一度検討したい」「検討中のモールの強み弱みを知りたい」など、医療モールの物件情報をお探しの場合は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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