1台のプローブに2つの振動子を搭載したデュアルプローブ構造が特長のポケットエコーVscan Air。完全ワイヤレス設計により、診察室から訪問先まで場所を選ばないリアルタイムな評価を可能にします。
さまざまな領域で利用が広がるなか、本記事では今後ますますの活躍が期待される在宅医療と循環器領域に注目し、それぞれの活用事例を紹介します。あわせて、新たにリリースされた注目のAI機能(有償オプション)についても特集。標準断面の描出サポートや自動計測といった新機能が、診断ワークフローをどのように支援するのかを解説します。
在宅・循環器の各現場での活用シーンから機能、価格体系や導入ルートまで、検討に役立つ情報を整理してお伝えします。
※本記事は、メーカー公式ホームページの公開情報をもとに編集しています。
ポケットエコー Vscan Air は、GEヘルスケアが開発したワイヤレス超音波診断装置です。1台のプローブの両端に2つの振動子を搭載したデュアルプローブ構造を採用しています。ラインナップには、腹部・表在・血管などに対応するVscan Air CL(コンベックス/リニア)と、心エコーにも対応するVscan Air SL(セクタ/リニア)の2つの製品があり、用途に合わせて選択可能です。
専用アプリをインストールしたスマートフォンやタブレットをモニターとして使用し、ワイヤレスで画像を表示します。ケーブルの制約がないため取り回しやすく、携行性と画像精度のバランスを追求した設計です。診察室から訪問先まで、場所を選ばずリアルタイムな評価を可能にします。
最近ではAIを活用した新機能(有償オプション)もリリースされました。Vscan Air CLでは、2断面のスキャンから膀胱容積を迅速に自動算出する「Auto Bladder Volume」が利用可能です。客観的な数値により、不要なカテーテル留置の回避など適切な排尿ケアをサポートします。
また、Vscan Air SLでは心エコーを支援する「Caption AI」に対応。リアルタイムの操作ガイドで標準断面の描出を導き、LVEF(左室駆出率)の自動算出による迅速な心機能評価を可能にします。
>>>Vscan AirのAI機能については本記事の後半で詳しく紹介しています。
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| 製品名 | Vscan Air CL | Vscan Air SL |
| プローブ | デュアルプローブ (コンベックス・リニア) |
デュアルプローブ (セクタ・リニア) |
| 価格 | 798,000円~ | 1,100,000円~ |
| プローブ重量 | 要お問い合わせ | 218g |
| 連続使用時間 | 要お問い合わせ | 約50分 |
| 注目機能 | 自動膀胱容積計測機能(Auto Bladder Volume) | Caption AI 自動EF算出機能・心エコー断面描出サポート機能(プローブポジションフィードバック)・診断適正基準表示 等 |
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ポータブルエコーについて、基本的な内容や、他社製品とも比較を希望される方は、こちらの記事をご覧ください。
以下にご紹介するのは、GEヘルスケア・ジャパン株式会社の公式サイトに掲載されている事例を要約したものです。活用シーンのポイントを中心にまとめておりますので、インタビュー内容などの詳細は、ぜひ同社のホームページにて全文をご確認ください。
在宅医療を機能させるには、自宅での迅速な方針決定が求められますが、これまでは限られた条件下で医師の経験とスキルに頼る場面が多くありました。そこに、ポケットサイズのVscan Airが加わることで、診断の精度は飛躍的に高まります。
例えば、誤処置が命に関わる胃ろうのチューブ交換は、安全を期して病院で行うことも珍しくありませんでした。自宅での内視鏡確認も多大な手間とコストを要しましたが、本機の活用により、バルーンの位置を在宅で確実かつ容易に確認できるようになりました。
本機は据え置き型に匹敵する解像度を持ち、消化管の層構造や膵臓、褥瘡、深部静脈血栓まで、1台で全身の幅広い観察が可能です。限られた機器と時間で判断が求められる現場において、この高い描出力は大きな武器となります。
認知症や寝たきりの高齢者が多い当院では、下肢浮腫への深部静脈血栓症の検索や、頻尿患者への残尿測定にエコーを活用し、客観的な判断を行っています。以前、微熱を繰り返す患者に心エコーを実施し感染性心内膜炎を早期発見できた経験から、在宅におけるエコーの可能性を強く実感しました。小型で感染対策もしやすいVscan Airは、コロナ療養支援などの現場でも有用です。
エコー初学者の私にとって、Vscan Airは直感的な操作が可能でスキャンに集中できる頼もしいツールです。ワイヤレスのため狭い居宅でも動きやすく、ボタン一つでプローブを切り替えられるため、検査時間の短縮と荷物の軽量化を同時に実現しています。
また、撮影画像をスマートフォンで手軽に共有できる点は、周囲の専門医にすぐコンサルテーションを受けられる環境作りにおいて大きな利点となっています。
在宅医療の現場では、客観的な脱水評価のためのIVC(下大静脈)計測や、不要な受診を減らすための骨折確認、心機能評価、肝細胞癌のサーベイランスなど、頭蓋内を除くほぼ全ての領域で本機を活用しています。無線で滅菌カバーをかけやすいため、エコーガイド下の穿刺やドレナージといった清潔操作もスムーズです。
Vscan Airの最大の利点は、コンベックスとリニアのプローブが一体化しており、持ち替えの手間なく即座に検査を開始できる点にあります。高画質な動画・静止画の保存やカルテ共有も簡便で、直感的なタッチパネル操作や軽量設計が、医師の携帯ストレスを大幅に軽減しています。
これまでの経験とスキルにこの高精度なデバイスが加わることで、在宅での診断・処置の質は飛躍的に向上しています。
続いて、専門的な診断が求められる循環器領域において、Vscan Airがどのように活用されているか、公式サイトに掲載された事例を要約してご紹介します。実際の臨床における詳細なインタビュー内容については、ぜひGEヘルスケアのホームページにて全文をご覧ください。
救急や病棟での呼吸困難、血圧低下、頻脈などの徴候に対し、心臓・下大静脈・肺・内頸静脈などを組み合わせた「複数視点」の迅速エコーは、精度の高い病態把握と迅速な意思決定に不可欠です。
特筆すべきはVscan Airのコンベックスプローブによる描写力です。心臓エコーにおいて従来のVscan Extendのセクタプローブと比較しても全く遜色がなく、むしろ肺気腫患者の心窩部アプローチや下大静脈の観察ではより優れた視認性を発揮します。完全ワイヤレスのため場所を選ばず、即座に検査へ移行できる点も極めて実用的です。
また、スマホやタブレットで画面サイズを柔軟に選択できるため、画像を患者やスタッフと共有しやすく、病態説明の説得力向上やチーム内の円滑なコミュニケーションにも大きく寄与しています。
Vscan Air SLは、セクタとリニアのデュアルプローブを採用し、聴診器のように持ち運んでいつでも高画質な心エコーが可能です。パルスドプラやMモードを搭載し、多角的な診断をサポートします。完全ワイヤレスのためベッドサイドでもストレスなく操作でき、心不全の診断に有用な「心エコーと肺エコー」もプローブ1本でスムーズに行えます。
また、11種類のプリセットにより、心臓から血管、腹部、肺、体表まで全身を網羅。画像共有の簡便さから、FoCUS(標的を絞った迅速超音波検査)の教育ツールとしても適しています。病棟、外来、さらに胸部レントゲンが撮れない在宅医療まで、幅広い場面での活用が期待されます。
Vscan Air SLは、セクタとリニアのデュアルプローブに加え、パルスドプラやMモードを搭載しており、心不全を含む循環器疾患の診療で活用されています。血流速度や壁運動の可視化がベッドサイドで行えるほか、画像共有機能を通じた遠隔指導や、FoCUS初学者が安心して取り組める教育環境の整備にも寄与しています。
実際の臨床においても、パルスドプラ法で左室流入路波形を確認し、L波の検出からHFpEF(駆出率が保たれた心不全)に伴う左房圧上昇を示唆する病態を捉えた症例や、心室中隔の扁平化や下大静脈の観察から肺高血圧症の増悪を速やかに判断した症例など、その精度の高さが的確な病態把握の鍵となっています。
また、術後の大動脈解離症例では、カラードプラでフラップや偽腔の血流状態を確認し、残存解離腔に変化がないことを迅速に見極めるなど、精密検査の必要性を検討する際の一助となります。
Vscan Airシリーズでは、スキャンの効率化や客観的なデータ取得を補助する新機能が追加されています。これらは診断の精度とワークフローを支援する有償オプションとして提供されており、現場のニーズに合わせて導入することが可能です。
在宅医療や病棟での排尿管理に有用なのが、自動膀胱容積計測機能です。AIが膀胱を認識して3方向の計測を自動で行うため、手動による計算の手間を省き、短時間で容積を算出できます。操作者のスキルに左右されにくい客観的な指標を得られるため、残尿測定やカテーテル留置の必要性を判断する際のサポートとなります。

Vscan Air SLで活用可能な「Caption AI」は、心エコー(POCUS)における画像取得と評価を支援する有償オプションです。
画面上のガイダンスに従うことで、専門的な技術がなくても標準的な断面の描出をアシストし、AIが画像を判別して最適なタイミングで自動保存(Auto Capture)を行うため、ハンズフリーでスムーズな検査が可能です。
さらに、取得画像からLVEF(左室駆出率)を自動算出する「Auto EF」機能も搭載されており、最小1断面から客観的な心機能の定量評価を行えます。このように、描出から計測までをAIがガイドすることで、迅速かつ精度の高い病態把握をサポートします。

Vscan Airの価格は、選択する機種(CLまたはSL)に加え、保守契約の期間や、AIを活用した診断サポート機能といったオプションの有無によって決まります。主なセット構成のメーカー希望小売価格(税別)は以下の通りです。
| Vscan Air CL(コンベック/リニア) | Vscan Air SL(セクタ・リニア) |
|---|---|
| ■Vscan Air CL 798,000円(税込877,800円)※メーカー3年保証 ■Vscan Air CL + 5年保守契約”EchoCares” 1,035,000円(税込1,138,850円) ■Vscan Air CL+Auto Bladder Volume (Vscan Air CL専用) 848,0000円(税込932,800円) ■Vscan Air CL +5年保守契約"Echo Cares" + Auto Bladder Volume 1,085,000円(1,193,500円) |
■Vscan Air SL 1,100,000円(税込1,210,000円)※メーカー3年保証 ■Vscan Air SL + 5年保守契約”EchoCares” 1,382,000円(税込1,520,200円) ■Vscan Air SL + Caption AI(Vscan Air SL専用) 1,280,000円(税込1,408,000円) ■Vscan Air SL + 5年保守契約 ”EchoCares” + Caption AI 1,562,000円(1,718,200円) |
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その他メーカーの価格も参考にしたい方は、こちらの記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
Vscan Airは、主に以下のルートで検討・購入が可能です。ご自身の状況に合わせて最適な窓口を選択いただけます。
製品サイトから直接見積依頼やデモ機の貸出を申し込めるほか、公式オンラインショップでは注文までWeb上で完結させることが可能です。実際の操作感を確認してから導入したい場合も、手軽に手続きを進めたい場合も、まずは公式サイトを確認するのがスムーズです。
普段からお付き合いのある地域の医療機器卸業者を通じて購入することも可能です。既存の取引ルートがある場合や、他の医療機器とまとめて相談したい場合に便利です。
初期費用を抑えたい場合や短期間の利用を希望する場合には、レンタルという選択肢もあります。月単位での利用が可能なプランもあり、状況に合わせた柔軟な導入検討が可能です。リコーリース株式会社よりレンタルでの提供が行われています。
Vscan Airは、ワイヤレスの機動力とデュアルプローブの汎用性を兼ね備え、在宅医療から循環器診療まで幅広い現場での活用が進んでいます。さらに、AIが画像描出や計測をサポートする新たな機能(有償オプション)の登場により、診断のアシストを通じた迅速な病態把握に寄与します。
診療スタイルに合わせて「Vscan Air CL」と「Vscan Air SL」の2モデルから選択でき、購入だけでなくレンタルによる導入も可能です。場所を選ばずリアルタイムな評価を可能にするツールとして、自院のニーズに合わせた構成を検討してみてはいかがでしょうか。