診療現場で心機能を迅速に確認したいとき、有力な選択肢になるのがポータブルエコーです。しかし、心エコーをメインに考えるのであれば、セクタープローブの有無や血流評価を支えるドプラ機能の充実度を正しく見極める必要があります。
本記事では、心エコーにおけるセクタープローブの役割を整理するとともに、AI計測機能を備えた機種など、主要なポータブルエコー4製品の特徴を詳しく解説します。各現場の運用に合った製品選びの参考にしてください。
心エコー(心臓超音波検査)を正確に行うために欠かせないのが、セクタープローブ(フェーズドアレイプローブ)です。深部を広く診るためのコンベックスプローブや、表在組織を高精細に映すリニアプローブとは異なり、動く心臓を捉えるための特殊な設計がなされています。
ポータブルエコーの中には、セクタープローブが選べない機種もあります。「心エコー(心機能評価)」をメインで考えているなら、まずはセクタープローブがラインナップにあるかどうかを確認することが、機種選びの第一歩です。
出典:中外医学書
心臓は肋骨に囲まれているため、接地面の大きなプローブでは骨の影響(音響陰影)を受けやすく、全体像の把握が難しい場合があります。
セクタープローブは、体に触れる部分が非常に小さく設計されています。この小さな点から扇形に超音波を広げることで、肋骨の隙間からその奥にある心臓を広く観察することに適しています。
心臓は常に激しく拍動しています。セクタープローブの多くはフェーズドアレイという、超音波ビームを電気的に高速で制御する仕組みを採用しています。
この方式により、1秒あたりの画像枚数(フレームレート)を高く維持しやすいため、心筋の動きや弁の細かな開閉を、より滑らかな動画として確認することが可能です。
心不全や弁膜症の評価では、血液の流れの速さを測る「ドプラ法」が重要です。セクタープローブは血流評価の感度を重視して設計されており、逆流の有無や血流速度の計測に活用されます。
ポータブル機を選ぶ際も、この血流評価(ドプラ機能)の充実度が、臨床における判断を支えるポイントとなります。
心機能の迅速な評価が求められる現場において、肋間からのアプローチに適したセクタープローブ(フェーズドアレイ)を備えるポータブルエコーの重要性が高まっています。
最新デバイスでは、ワイヤレス化による機動力の向上に加え、AIによる計測サポートや高度なドプラ機能の搭載など、診断を強力に支援する機能が充実しています。ここでは、心エコーに対応した主要な4製品の特徴を整理して紹介します。
その他メーカーのポータブルエコーについても知りたい方は、【2026最新】おすすめポータブルエコー11選|価格や性能などをご覧ください。ポータブルエコーの選び方のポイント、価格相場などポータブルエコーについて幅広く解説しています。ぜひあわせてご一読ください。

Vscan Air SLは、心エコーに使うセクタと、血管や表在の観察に向いているリニアの2つを背中合わせに配置した、デュアルプローブ方式を採用しています。プローブを持ち替える手間がなく、1本で深部から浅部までスムーズにスキャンを切り替える運用をサポートします。
パルスドプラやMモードといった走査モードを搭載しており、心不全などの血流評価や、弁・心筋の動きを確認する際の一助となります。専用のモニターを必要としないデバイスフリー設計なので、手持ちのスマートフォンやタブレットをそのまま表示端末として活用でき、ワイヤレス接続による機動的な検査を支援します。
落下試験の実施やIP67の防塵・防水規格をクリアしており、さまざまな診療環境での使用が想定されています。

Vscan Air SLに、心エコーの描出ガイダンスとAuto EF(自動計測)を可能にするCaption AIが登場。この機能は、目的の断層像に向けてリアルタイムにプローブ操作のフィードバックを行い、検査者の手技を支援します。
画像が診断適性基準を満たすと自動保存される仕組みにより、検査者による品質のばらつきを抑える一助となります。また、取得画像から左室駆出率(LVEF)の推定値を表示するAuto EF機能も備わっており、心機能の定量的な評価をサポートします。
| 型式 | 汎用超音波画像診断装置 Vscan Air |
|---|---|
| 価格 | 1,100,000円~ |
| 医療機器番号 | 303ACBZX00012000 |

Lumifyは、心臓診断に特化したセクタプローブをはじめ、リニア、コンベックスを個別にラインナップしているワイヤレス超音波画像診断装置です。循環器領域において、心内膜・心筋・弁が明瞭にリアルタイム性高く描出される性能を備えています。
パルスドプラ(PW)やカラードプラを搭載しており、心不全や弁膜症における血流評価に役立ちます。表示端末には専用のモニターを用いることで、視認性と操作性を両立した安定的な運用を支援します。
衝撃に強い堅牢な設計となっており、救急外来や往診、病棟での持ち運びにも適しています。計測結果の保存や共有もスムーズに行えるため、迅速な画像評価が求められる現場において、客観的な指標を得るための支援ツールとなります。
| 型式 | 超音波画像診断装置 Lumify |
|---|---|
| 価格 | 要お問い合わせ |
| 医療機器番号 | 302AFBZX00043000 |

KOSMOSは、AI技術を活用した機能を搭載し、POCUSにおける画質や操作性の向上により質の高い医療を提供するタブレット型超音波画像診断装置です。専用モニターに接続するプローブは用途に合わせて3種類から選択可能で、全て5年保証が提供されます。
セクタ型のTorsoプローブは1本で循環器、腹部、肺に対応します。プローブ内にCW・PWドプラ回路を全て搭載しており、血流速度や圧較差計測等により弁膜症や心不全の定量的評価が行えます。また、TRIO機能のオートガイダンス等が正確で迅速なEF計測を実現します。高周波リニアプローブは穿刺ガイドまで幅広く対応し、PI/RI計測も可能です。
| 型式 | 超音波画像診断装置 KOSMOS Series |
|---|---|
| 価格 | 要お問い合わせ |
| 医療機器番号 | 302AIBZI00008000 |

エコープロF2は、1本のプローブにコンベックス、リニア、フェーズドアレイの3つの振動子を内蔵した、3in1方式のワイヤレス超音波画像診断装置です。
循環器領域においてはフェーズドアレイモードにより心エコー検査に対応し、心不全のスクリーニングや心機能評価をサポートします。腹部、血管、表在、肺、運動器など幅広い領域を1本でカバーできるため、救急現場や訪問診療、病棟回診など、迅速な観察が求められるシーンに適しています。
表示端末にはスマートフォンやタブレットを使用し、ワイヤレス接続による自由度の高いスキャンが可能です。連続動作時間は約2時間となっており、携帯性と実用性を両立した設計により、機動力のある画像評価を支援します。
| 型式 | 汎用超音波画像診断装置 ECHO PRO F2 |
|---|---|
| 価格 | 要お問い合わせ |
| 医療機器番号 | 307AKBZX00050000 |
心エコーに対応したポータブルエコーは、救急や病棟、訪問診療における判断をサポートします。製品を検討する際は、セクタープローブの性能に加え、血流の状態を測るドプラ機能の有無など、自身の診療スタイルに合わせて確認することが大切です。
今回紹介した4製品は、多領域への対応力や計測の利便性など、それぞれ異なる強みを持っています。各製品の特徴を比較しながら、自身の診療スタイルに合った1台を検討してみてください。
ポータブルエコーについては、https://2ndlabo.com/article/567/で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。