エレベーターは、日々の暮らしを便利にしてくれる機器のひとつです。その機器を安全・快適に使用し続けるために、あらかじめさまざまなルールが決められています。耐用年数もそのうちのひとつといえるでしょう。
今回は、エレベーターの耐用年数について解説していきます。最適なリニューアルのタイミングについても触れていきますので、参考にしていただければ幸いです。
目次
エレベーターの耐用年数は国税庁や国土交通省など、さまざまな団体から明示されています。例えば、国税庁が定める法定耐用年数は17年です。国土交通省のガイドラインでは15年で修繕、30年で交換が推奨されています。また、建築・設備維持保全推進協会や各エレベーターメーカーが明記する耐用年数は20年〜25年程度です。このように耐用年数は、団体やメーカーによって大きく異なります。
先ほど、エレベーターメーカーの耐用年数は20〜25年と記載しました。ここでは各メーカーごとに示している耐用年数を詳しく紹介します。
株式会社日立ビルシステム | 20~25年 |
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東芝エレベータ株式会社 | 20~30年 |
三菱電機ビルソリューションズ株式会社 | 20~25年 |
フジテック株式会社 | 20~25年 |
細かい違いはありますが、20年以上という点は全メーカーで共通しています。
ここまで、各団体やメーカーで示しているエレベーターの耐用年数を紹介してきました。そもそも耐用年数とは、どういう意味なのでしょうか。ここでは「耐用年数」とそれに付随してよく聞く「減価償却」や「固定資産」について解説していきます。
耐用年数とは、簡単に言うと固定資産を使用できる期間のことです。新品の状態で購入した製品も、使用するたびに少しずつ機能と価値が低下していきます。そして、数年後にはその製品が持つ全ての価値を失うことになるのです。
耐用年数は、対象資産の価値を維持するためのメンテナンスが行われることを前提条件としています。さらに、その資産が通常の作業条件化で使用されることも加味した上で定められた年数です。そのため、同じ製品であっても設置場所や使用条件によっては耐用年数が異なる場合があります。
耐用年数が定められるのは、固定資産に対してです。固定資産とは1年以上保有する資産のことを指します。さらに固定資産は、以下の条件を満たすことが必要です。
固定資産の具体例としては、土地や建物・車両・オフィスのデスクやパソコンなどです。また、特許権や商標権などの権利についても固定資産の中に含まれます。
減価償却とは、固定資産の購入時にかかった費用を耐用年数で均等分割して計上していく会計方法のことです。固定資産は、何年にもわたって使用する目的で導入しているとみなされています。そのため、導入した年に全額を経費として計上することはできません。例えば、購入金額200万円で耐用年数が5年の固定資産を導入したとしましょう。200万円を5年で割ると1年あたり40万円の計算になります。会計上では、その40万円を5年かけて毎年減価償却費として計上していくというルールがあるのです。
ここからは、エレベーターをリニューアルする際のベストなタイミングについて紹介していきます。
エレベーターをリニューアルするタイミングとして、もっとも多いのが耐用年数を迎えた時期になります。冒頭でもお伝えした通り、エレベーターの耐用年数に対する定義はさまざまです。しかし、およそ20〜25年をひとつの目安としているケースが多いといえるでしょう。マンションでは一般的に12年周期で大規模修繕計画が建てられています。修繕計画の2回目にあたる24年目にエレベーターのリニューアルが盛り込まれる場合がほとんどです。以下は、各団体やメーカーが明記している耐用年数の一覧です。
法定耐用年数(国税庁) | 17年 |
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各エレベーターメーカー | 20~25年 |
長期修繕計画ガイドライン(国土交通省) | 15年目で修繕、30年目で交換 |
建築物のLC評価用データ集 改訂第4版(建築・設備維持保全推進協会) | 20~25年 |
エレベーターは施設によっては、毎日頻繁に稼働しています。そのため、耐用年数を待たずにトラブルや不調が生じる可能性もあるのです。不調やトラブルが頻繁に発生している場合、使用者は不満を感じやすくなります。クレームや事故を未然に防ぐためにも、リニューアル・更新工事を早めに検討するのがおすすめです。機能面で不満を感じていた場合、このタイミングで性能の良い製品に切り替えると良いでしょう。
エレベーターは、長年使用しているとメーカーでの生産が中止になってしまう場合があります。パーツの供給が終了してしまったために、リニューアル・更新工事を実施せざるを得ないことも少なくありません。通常はエレベーターの生産が中止になっても、20年ほどはパーツを供給する義務がメーカーにはあります。しかし、エレベーターを設置したタイミングによっては耐用年数より早く生産中止になってしまうのです。計画的に使用し続けられるよう、可能であれば導入前にメーカーに問い合わせてみることをおすすめします。
耐用年数が近づいたエレベーターをリニューアルする業者は、「メーカー系」と「独立系」があります。
独立系と呼ばれる業者は、メーカー系よりも安い価格でリニューアル工事に対応できるため、近年注目が集まっています。実際に業者を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
独立系エレベータ―業者については独立系エレベーター保守・リニューアル会社のランキング9選|メーカー系との違いまででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
エレベーターを安全・快適に使用するために、各団体やメーカーでは耐用年数が設けられています。明示されている年数はさまざまですが、およそ20〜25年を目安としている場合が多いです。耐用年数のタイミングで、リニューアル工事を計画しているパターンが一般的といえるでしょう。長期的な目線で修繕計画を立てつつも、不測の事態に備えられるよう準備しておくことが大切です。
エレベーターリニューアルの費用やポイントについて知りたい方はエレベーターリニューアル工事の費用・タイミング・注意点を解説で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。