エレベーターの保守点検(メンテナンス)行う会社には、「メーカー系」と「独立系」の2種類があります。メーカー系は、エレベーターのメーカーが運営する業者、独立系はメーカーとは関係のない業者です。
また、エレベーター保守点検には、フルメンテナンス契約(FM契約)とPOG契約があります。どの業者に依頼するか、どの契約形態を選ぶか、によって保守費用が変わってきます。
セカンドラボでは、価格の観点から、独立系エレベーター業者に保守点検を依頼することをオススメします。この記事は、エレベーターの保守業者入替の相談に100件以上対応してきた専任コンシェルジュが執筆しています。
エレベーターメンテナンス業者を選ぶ際のポイントも解説しているので、参考にしてください。
目次
フルメンテナンス契約 | POG契約 | |
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独立系業者 | 月額3万円〜4万円 | 月額2万円〜3万円 |
メーカー系業者 | 月額4万円〜6万円 | 月額3万円〜5万円 |
エレベーターのメンテナンス費用は、業者の種類と契約形態によって異なります。業者の種類には「メーカー系」「独立系」があり、メーカー系よりも独立系の方が費用も安いです。
契約形態は「フルメンテナンス(FM)契約」「POG契約」の2つ。くわしくは次の項目で紹介しています。上記の表にまとめたので、参考にしてください。
エレベーターメンテナンスの相場は、独立系業者で月額2万~4万円程度、メーカー系業者で月額3万~月額6万円程度であることがわかります(セカンドラボ調べ)。
元々は、メーカー系のメンテナンス業者しか点検ができないという状況でした。しかし、独占禁止法の規制により独立系が登場してから、高止まりだった点検費用が改善されたのです。
ここで心配なのが、「大手のメーカー系ではない、独立系のサービス品質が心配」ということでしょう。近年、独立系のメンテナンスによる事故は発生しておらず、シェアも伸ばしています。そのため、メンテナンス会社の選び方さえ失敗しなければ、安心して任せることができるでしょう。
エレベーターの保守点検の契約には、「フルメンテナンス契約」と「POG契約」があります。フルメンテナンス契約とは月額費用の中に、各装置の点検・調整、故障・劣化した部品の交換、修理が含まれていることです。
POG契約とは、Parts(パーツ)、Oil(オイル)、Grease(グリス)の略で、消耗品の交換やオイルの補給などを保守料に含むことをいいます。上記2つの料金を比較すると、POG契約よりもフルメンテナンス契約の方が費用も高くなります。それぞれのメンテナンスの費用相場は下記の通りです。
エレベーターの機種によっても金額は大きく変動するので、メンテナンス会社に確認しましょう。
メーカー系の保守費用相場は、下記の通りです。
メーカー系の保守費用は、独立系の相場よりも3〜4割ほど高くなります。そのため、「少しでもエレベーターの保守費用を抑えたい方は、独立系がおすすめ」といえるでしょう。
エレベーターは建築基準法によって、年に1回の法定点検が義務づけられています。また、任意で月1回程度の定期点検が推奨されています。
エレベーターの耐用年数は25~30年とされていますが、定期的なメンテナンスによって、耐用年数を大幅に引き延ばすこともできます。定期的な点検はエレベーターを長く安全に使い続けるためにも重要です。
法定点検・定期点検についてはエレベーターに必要な点検の種類|法定点検と保守点検の違いは?でさらに詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
保守点検は、稼働状況のチェックを実施し、部品や機器の調整や注油、消耗品の交換・補充等を行います。主な点検内容は以下の通りです。
ここでは、エレベーターのメンテナンス費用を抑えるためのポイントをいくつか解説します。
前述したように、コスト削減が目的であれば、独立系を選んで間違いはありません。しかし、メーカー系の保守費用の相場よりも、3〜4割ほど安くなるため、独立系を不安に感じる声もあるでしょう。独立系のサービス品質が悪いというわけではなく、独立系の料金が適正な価格なのです。
元々はメーカー系が市場を独占状態にしていましたが、独占禁止法によりそれがなくなりました。そのため、現在では独立系のような、適正価格でのサービス提供を行う会社が増えているのです。エレベーターのメンテナンス費用を削減したいのであれば、独立系を選ぶのがベストといえるでしょう。
では、コスト削減ができる独立系を選ぶ以外に、メーカー系を選ぶメリットはないのでしょうか。メーカー系にも下記の3つのメリットがあります。
この中でも特に、「緊急時の対応スピードが早い」という点は、メーカー系の大きなメリットです。近年、独立系の企業も増えていますが、大手メーカー系の営業所に比べるとまだまだ少ないです。そのため、エリアを網羅しているメーカー系は、緊急時の連絡から迅速に対応することができます。業種によっては、対応スピードの遅れが許容できない場合もあるので、営業所との距離は確認しておきましょう。
エレベーターの保守点検の契約形態には、「POG契約」と「フルメンテナンス契約」があります。ここでは、コストを削減したい場合、どちらを選ぶべきかの判断基準を見ていきましょう。
コスト削減を求める場合は、POG契約の方がトータルコストで安くなりやすいです。POG契約にはエレベーターの点検や清掃、オイル補給に加え、消耗品の交換なども保守費用に含まれます。保守に必要なものだけが保守費用に含まれるため、月額の保守費用が抑えられるのです。
また、築浅の建物の場合は、修理が必要になる頻度が少ないことから、コストを削減することができるでしょう。ただし、一部の部品費用や修理費は、別途で料金が発生するので注意が必要です。
フルメンテナンス契約がおすすめなケースは、「戸数が多い」「エレベーターの使用頻度が高い」物件です。契約の内容には、エレベーターの点検や清掃、オイル補給に加えて経年劣化した部品の交換・修理代金が含まれています。
また、月々にかかるメンテナンス費用の中に修理費も含まれているため、急な工事代金の請求などもありません。予算の管理がしやすいメリットがある反面、月額のメンテナンス費用が割高になるデメリットもあります。
そのため、大家さんが複数の建物を所有しており、少しでも管理や手間を省きたいケースにおすすめといえるでしょう。
ここでは、独立系にフォーカスして、エレベーターメンテナンス会社を選ぶときのポイントを解説します。独立系を選ぶときのポイントは、下記の通りです。
それぞれ見ていきましょう。
独立系のエレベーターメンテナンス会社を選ぶ際は、「営業所との距離」を見てください。なぜなら、万が一エレベーターが故障したときに、迅速な対応が求められるからです。
例えば、5km先の営業所と1km圏内にある営業所とでは、緊急時の駆けつけスピードが違います。当然、営業所の所在地が近ければ、緊急時の連絡から到着まで早いです。また、業種によっては緊急時の対応が遅れることで、経営に大きなダメージを与える可能性もあるでしょう。
そのため、メンテナンス会社を選ぶ際は価格だけではなく、営業所の所在地も見ておくのが大切です。
信頼できるエレベーターメンテナンス会社を選ぶために、導入実績を見るのも一つの判断基準です。前述したように業種によっては、緊急時の対応が一刻を争う事態になる可能性もあります。特に、病院などは患者様の命に関わるため、迅速な対応が求められるでしょう。近年では病院や学校、介護施設なども独立系が多く採用されています。メンテナンス会社の導入実績を確認し、信頼できる会社を選びましょう。
独立系エレベーターメンテナンスの台頭で、数多くのメンテナンス会社が市場に参入してきました。その中から1社ずつ調べるのは、非常に時間がかかることでしょう。
ここでは、人気の独立系エレベーターメンテナンス会社を8社ご紹介していきます。エレベーターメンテナンス会社選びの参考にしてください。
エス・イー・シーエレベーター株式会社は、独立系のパイオニアとして50年以上の歴史がある企業です。蓄積されたノウハウを活かし、旧型エレベーターから最新式の高速エレベーターまで、全メーカー・全機種のエレベーターメンテナンスに対応しています。
全国150ヶ所以上のネットワークがあり、全国の主要都市には緊急監視センターを設置しています。各主要メーカーの部品の在庫を豊富に揃えているため、緊急時や災害時にも迅速に対応してもらえます。資格者数もトップクラスで、法定検査を行うことができる「昇降機等検査員」が300名以上在籍しています。研修センターで技術員のレベル向上も図っています。
エス・イー・シーエレベーター株式会社の比較ポイント
製品情報
会社名 | エス・イー・シーエレベーター株式会社 |
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対応メーカー | 全機種対応 |
対応エリア | 全国※詳しくは要お問い合わせ |
エレベーターコミュニケーションズ株式会社は、安心・安全・お客様第一のメンテナンスサービスを提供しています。新契約プランを準備し、ロープ交換や作動油交換費用を無料にするなど、費用面でのサービス向上を図っています。
また、昇降機CRMシステム(顧客管理)の構築や遠隔監視体制連動の実現など、業務効率向上と付加価値創造にも取り組んでいます。遠隔監視体制については、独自開発のイージスシステムにより、災害発生時にも24時間365日迅速な人員配置が可能です。各サービスマンはタブレット端末を携帯し、トラブル履歴や部品手配状況などを瞬時に把握し、スムーズな復旧作業を行います。
エレベーターコミュニケーションズ株式会社の比較ポイント
製品情報
会社名 | エレベーターコミュニケーションズ株式会社 |
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対応メーカー | 全機種対応 |
対応エリア | 全国※詳しくは要お問い合わせ |
JESは独立系で唯一、リモート遠隔点検サービス「PRIME(プライム)」を導入しているメンテナンス会社です。PRIMEは、複数の特許技術で開発されたJES独自のサービスです。24時間365日人の代わりにメンテナンスを行うことで、有人点検が減り、エレベーターの停止期間の減少に繋がります。また、故障の予兆を素早く察知するため、障害が発生する前段階での対応が可能です。
国内主要メーカーの各機種メンテナンスに対応しており、豊富な実績のある会社です。全国8か所にパーツセンターを持っており、多くの部品をストック・管理しているため、修理が必要な場合も迅速に部品を調達できます。
ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社の比較ポイント
製品情報
会社名 | ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社 |
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対応メーカー | 国内主要メーカー |
対応エリア | 全国※要お問い合わせ |
日伸セフティ株式会社は、マンションや医療福祉施設、公共施設などさまざまな場所で導入実績が2,800件以上あるメンテナンス会社です。24時間365日緊急出動体制が整っているのに加え、全メーカー全機種に対応しています。エレベーターの安全性を最優先に、メンテナンス費用を最小限に抑えます。
また、メンテナンスで使用する部品は、メーカーの純正品のみを扱っているため、迅速な部品調達が可能です。万一の故障時にも、万全の供給体制が整っています。ニーズに合わせて、毎月、隔月、3ヶ月に1回などの点検間隔を選択できます。
日伸セフティ株式会社の比較ポイント
製品情報
会社名 | 日伸セフティ株式会社 |
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対応メーカー | 全メーカーに対応 |
対応エリア | 関東圏、関西圏 |
菱光リフト東北株式会社は、創業から50年以上の実績と信頼があるメンテナンス会社です。法定検査資格を有した熟練の技術者が対応しており、日本全国12,000台以上の設置実績があります。各都道府県に協力会社があるため、全国のエレベーターメンテナンスに対応可能です。また、メーカー系とは異なり製造開発費用がないので、リーズナブルな保守メンテナンスを実現しています。
365日24時間体制でフルサポートし、故障などの緊急時には迅速に対応します。予算や目的に合わせた多彩なメンテナンスプランを提供しています。また、メーカー系とは異なり製造開発費用がないので、リーズナブルな保守メンテナンスを実現しています。
菱光リフト東北株式会社の比較ポイント
製品情報
会社名 | 菱光リフト東北株式会社 |
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対応メーカー | 全メーカー対応 |
対応エリア | 全国※詳細は要お問い合わせ |
東京エレベーター株式会社は、創業から20年以上の実績があるメンテナンス会社です。蓄積された経験と技術により、新旧問わずあらゆるメーカーのエレベーターメンテナンスに対応しています。また、エレベーター保守点検監視センターは24時間365日対応しているので、故障や疑問もすぐに解決できます。
かご内直接通話システム・遠隔監視システムを完備しており、監視センターは24時間365日対応可能です。保守点検の相談や故障の問い合わせがいつでもできて安心です。
東京エレベーター株式会社の比較ポイント
製品情報
会社名 | 東京エレベーター株式会社 |
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対応メーカー | 全メーカーに対応 |
対応エリア | 全国 |
エレベーター・デポ東京は、エレベーターリニューアル専門会社です。エレベーターリニューアル専門メーカーだからこそできる、短納期、短工期、低コストを実現しています。リニューアル後の保証は、業界最長の「5年間保証」です。さらに、24時間体制のサポート体制と部品供給体制で安心して利用できます。
株式会社エレベーター・デポ東京の比較ポイント
製品情報
会社名 | 株式会社エレベーター・デポ東京 |
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対応メーカー | 全メーカー |
対応エリア | 要お問い合わせ |
エレテックコーポレーションは、神奈川県を中心にマンション・ビルのエレベーターメンテナンスを専門に行なっている企業です。創業から25年以上の業務実績と、1,500台を超える管理実績があります。あらゆるメーカー・機種のメンテナンスに対応しており、特に神奈川県内ではトップクラスのメンテナンス実績を誇ります。国内アのエレベーターメーカーはもちろん、国外メーカーにも対応可能です。
また、24時間監視システムを導入しているため、異常がないか常にチェックすることが可能です。万一の故障時にも、担当エリア制により迅速な対応を受けられます。
株式会社エレテックコーポレーションの比較ポイント
製品情報
会社名 | 株式会社エレテックコーポレーション |
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対応メーカー | 全メーカー |
対応エリア | 神奈川県内※他の地域は要お問い合わせ |
点検とあわせて更新やリニューアルの時期も頭に入れておきましょう。エレベーターの耐用年数である、およそ20〜25年程がひとつの目安です。適切なタイミングで更新をしないと、メンテナンス費用が高くなっていってしまうため、注意しましょう。
エレベーターの更新・リニューアルについてはエレベーターリニューアル工事の費用・タイミング・注意点を解説でさらに詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
エレベーターの耐用年数についてはエレベーターの耐用年数は何年?適切なリニューアルタイミングとは?でさらに詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ここでは、エレベーターのメンテナンスに関するよくある質問を紹介していきます。
結論から申し上げますと、2023年現在、独立系業者においても供給不足のリスクは現在ありません。
厳密に言うと、社会情勢的な原因で全業者同時に部品不足に陥るリスクはあるので、「独立系業者とメーカー系業者間での供給不足リスクに差はない」という表現の方が正しいかもしれません。
供給不足リスクに関する心配が不要な理由として、1985年にエレベーターの独立系業者が団結して訴訟を起こし、「メーカーが部品を売らないのは独占禁止法違反に当たる」という形で勝訴しています。したがって現在は独立系業者においても、メーカーと同じ部品供給を受けることができます。
メーカー系のエレベーターメンテナンス会社としては、以下の5社が挙げられます。
上記の5社で総据付台数シェア90%以上を占めており、5大メーカーとも言われています。 メーカー系には、メーカー系列のエレベーターのみがメンテナンス依頼可能です。
今回は、エレベーターのメンテナンス費用の相場や、コスト削減のポイントについて解説してきました。エレベーターのメンテナンス会社には、「メーカー系」と「独立系」の2つがあります。コスト削減を目的とするのであれば、「独立系一択」です。
独立系は「安いからサービス品質が悪い」というわけではなく、適正価格でサービス提供をしているから費用も安いのです。ただし、独立系のエレベーターメンテナンス会社を選ぶ際は、「導入実績」「営業所の所在地」を確認して業者選びをしてください。本記事でご紹介した内容が、自社に合ったメンテナンス会社選びの参考になれば幸いです。