エレベーターの設置には、初期費用だけではなくランニングコストもかかります。 多額の費用がかかりますが、エレベーターの設置費用に関する知識を身に付けておけば、コストを抑えて設置可能です。
この記事ではエレベーターの設置費用に関して詳しく説明していきますので、設置する際の参考にしてください。
目次
ここでは、エレベーター設置の流れと注意点を解説していきます。
エレベーターを新たに設置する際には基本的には建築・建設会社へ相談するのが基本的な流れとなります。設置するスペースの増築や建物の構造計算が必要となるため、それらの計算や図面の作成が可能な建築会社へ相談する必要があります。
エレベーターメーカーに直接問い合わせることは現実的でないので、ご注意ください。
エレベーターを新たに設置する際は確認申請が必要な場合があります。既存の建物にエレベーターを追加する場合等は延床面積の変更等各種手続きが発生するので、建築会社に確認してもらい、必要な申請を行うようにしましょう。
工事開始前は、事前に工事の日程を調整する必要があります。エレベーター工事業者としっかりと打ち合わせした上で、日程を調整しましょう。日程の調整は、その場所や環境に適した工事日程を組む必要があります。
ホームエレベーターの設置費用相場は274~570万円、業務用エレベーターの設置費用相場は2,300〜3,800万円です。
エレベーター設置費用は「初期費用」と「ランニングコスト」に分けられます。初期費用は、さらに「エレベーター本体価格」と「工事費用」に分けられることを覚えておきましょう。ランニングコストについては後述します。
以下の費用に、+αでオプション料金や各種申請費用が10万円程度発生します。エレベーターを新設する場合は、家屋内・家屋外どちらの場合でも所轄する役所への確認申請を行う必要があります。設計図などをはじめとした複雑な手続きが必要になるため、施工会社に10万円程度で依頼するのが一般的です。
木造/油圧式 |
|
---|---|
木造/ロープ式 |
|
鉄骨・RC/油圧式 |
|
鉄骨・RC/ロープ式 |
|
小型エレベーター(木造4階建向け) |
|
小型エレベーター(鉄骨・RC4階建向け) |
|
階段昇降機イスタイプ(直線階段向け) |
|
階段昇降機イスタイプ(曲線階段向け) |
|
業務用エレベーター |
|
業務用エスカレーター |
|
出典:エレベーター設置価格は?維持費や業者選びのポイントを解説
ここでは、設置費用を上下させる要素をそれぞれ解説していきます。
エレベーターを設置する際、ある程度の強度が必要になりますが、強度不要で設置する方法もあります。それは、エレベーターの自立鉄塔を利用する方法です。建物の強度が足りない場合、通常のエレベーターの価格に50~100万円を追加して、自立鉄塔タイプのエレベーターにします。
エレベーターには住宅用に作られた小型タイプや、車椅子で使用することを想定して作られているものなど、さまざまなタイプがあります。価格は、サイズに比例して変動すると覚えておきましょう。
エレベーターは昇降するときの、長さによって価格帯が変動します。2階建て・3階建て・4階建ての家にエレベーターを設置する場合、一番価格が高くなるのは4階建ての家です。
4階建ての家の場合、エレベーターの停止箇所を1階・2階・3階・4階にするよりも、1階・4階の2箇所にしたほうが費用を抑えることが可能です。逆に、停止箇所が多ければ多いほど、価格帯も高くなります。
ここでは、エレベーター設置費用を抑える方法を解説します。
エレベーター設置時に使える補助金についてはエレベーターの設置・リニューアルに使える補助金・助成金一覧【最新版】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
油圧式は、比較的価格が安いです。しかし、新設する場合は工期が長くなる可能性があるため、注意しましょう。 また、最近の主流はロープ式になっています。
導入時に、複数社から相見積もりをとるのは非常に重要です。一社だけに見積もりを依頼すると、提示された金額が適正かどうか判断できません。複数社から相見積もりをとり、それぞれを比較することで全体の相場感をつかめます。あまり多すぎても判断できなくなってしまうので、3~4社の相見積もりをとれば十分でしょう。
エレベーターの導入には補助金を活用できます。以下では、それぞれの補助金について解説するので参考にしてください。
性能向上リフォームや、バリアフリー改修工事・高齢期に備えた住居の改修工事など、補助対象となる工事にホームエレベーターの設置が含まれることがあります。詳細は国交省のホームページに掲載されるので、こまめに確認しておくようにしましょう。
ホームエレベーターの設置に関わる補助は、リフォームが対象となっています。リフォームの必須工事と組み合わせたバリアフリー改修として、一戸あたり最大で15万円の補助金を受けることが可能です。
各自治体でも、自宅の改修でホームエレベーターを設置するときの補助金や助成金を設けています。行政によって条件や支給額は異なるため、現在住んでいる自治体の住宅支援制度を確認してみるといいでしょう。
前述した通り、建物の構造やエレベーターの大きさによって設置にかかる費用は変わってきます。ここでは目的にあわせたいくつかのエレベーターの種類について説明します。
エレベーターの種類についてはエレベーターってどんな種類がある?用途・仕組み別に紹介!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ホームエレベーターと業務用エレベーターどちらの場合でも、エレベーター自体の構造は2種類に大別できます。それぞれの仕組みと特徴は以下の通りです。
種類 | 仕組み | 特徴 |
---|---|---|
ロープ式 | 電動のモーターでエレベーターのかごを昇降する |
|
油圧式 | 油圧ジャッキでエレベーターのかごを昇降する |
|
業務用エレベーターとホームエレベーターで大きく違うのは「定員人数」です。業務用エレベーターは6人以上、ホームエレベーターは3人までの乗用に使われます。その他、停止する階数の数や耐久性への考え方、価格などの違いがあります。不特定多数の人が利用する業務用エレベーターは、高い使用頻度でも耐えられるように設計されています。
業務用エレベーターの設置は2,300〜3,800万円と高額になるため、4階建て・5階建ての小規模ビルなどの場合は小型エレベーターがおすすめです。基本的に3人乗りにはなりますが、ホームエレベーターとそれほど変わらない400~570万円ほどの費用で設置することができます。管理責任者を設置する必要がある点に注意しましょう。
ランニングコストは、以下の要素に細分化できます。下記は個人住宅にエレベータを設置した際の電気代です。
電気代 | 5,280円~7,320円程度/年 |
---|---|
法定点検費 | 4~7万円/年 |
メンテナンス契約料 | 43,000~59,000円/年 |
固定資産税の上昇 | 約2万円程度/年 |
オイル交換代(油圧式のみ) | 5年ごとに5万円 |
合計 | 12万円~25万円 |
エレベーターを利用すれば、当然電気代がかかります。しかしエレベーターの電気代はそれほど高くはなく、月440円~610円程度しかかかりません。年換算で5,280円~7,320円なので、電気代の負担はそこまで大きくならないでしょう。
エレベーターを設置した場合、所有者は定期点検を受ける義務があります。定期点検は法律を遵守するためだけではなく、エレベーターの安全を守るためにも必要です。費用は4~7万円が相場で、一般的にはメンテナンス契約をすると、その中に法定点検が含まれています。
エレベーターに万が一のことが発生した場合に備え、メンテナンス契約を結ぶケースは多いです。年1~2回の保守点検や、故障時・緊急時の救出、バッテリー交換などに対応してもらえます。何かある度に依頼すると出費が多くなるので、最初からメンテナンス契約を結ぶのがおすすめです。
エレベーターを建物に設置した場合、評価額が上がるので固定資産税も上昇します。上昇額は条件によりますが、設置の有無で固定資産税は2万円程度異なると覚えておきましょう。固定資産税の上昇は見逃しがちな要素なので、注意しなければなりません。
油圧式エレベーターの場合、定期的にオイル交換を行わなければなりません。オイルは5年ごとに交換する必要があり、費用は5万円程度かかります。5万円と聞くと少し高く感じるかもしれませんが、1年間で1万円のオイル代と考えれば、それほど高いとは感じないでしょう。
ここでは、独立系のエレベーターリニューアル会社5選を紹介していきます。なお、独立系業者はエレベーターリニューアル、メンテナンスを専門とする業者なので、エレベーター設置時に連絡することはありません。エレベーターを設置する際、その後のメンテナンスも同じメーカーに依頼するケースがほとんどだと思いますが、他の選択肢があることも抑えておきましょう。
エレベーターコミュニケーションズ株式会社高品質なサービスを低価格で提供する施工会社です。特に現在メーカー系とメンテナンス契約している方の場合は、約30~50%のコストダウンを実現できる場合があります。フルメンテナンス契約や機能維持のための点検契約に加えて、作動油やロープ交換が無料でついてくる独自のお得な契約システムを用意しています。全メーカー全機種のエレベーターに対応しており、施設内のエレベーター・エスカレーターをまとめて依頼できるため、費用全体のコストダウンにつながります。
エレベーターコミュニケーションズ株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | 〇 |
対応メーカー | 全メーカー・全機種 |
対応エリア | 全国 |
エス・イー・シーエレベーター株式会社は、創業50年以上の経験があり、業界トップクラスの保守台数を誇っています。 国交省が定める基準に従って検査を行う国家資格である、昇降機等検査員の資格保持者が300名以上在籍しているため、安心して法定検査を任せることが可能です。各主要メーカーの純正部品や汎用品を豊富にストックしているため迅速に対応できます。
エス・イー・シーエレベーター株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | 〇 |
対応メーカー | 全メーカー・全機種 |
対応エリア | 要問合せ |
日伸セフティ株式会社は、24時間365日緊急出勤体制が整っているので安心です。経験豊富な技術スタッフがメーカー・年式・機種を問わず、丁寧できめ細かなメンテナンスを実施します。メンテナンスで使用する部品はメーカーの純正部品のみで、各拠点に保管しているため、万が一の故障時でも万全のサポートを受けることが可能です。導入実績は2,800件以上あるので安心して依頼できるでしょう。
日伸セフティ株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | 〇 |
対応メーカー | 全メーカー・全機種 |
対応エリア | 関東圏・関西圏 |
ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社は、プライム市場上場企業です。365日24時間のサポート体制が整っており、複数の特許技術で開発されたリモートでエレベーターの運転状況やコンディションを把握できる、リモート遠隔点検サービスを導入しています。また、保守契約台数は85,400台という圧倒的実績があるので、安心して依頼できるでしょう。
ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | 〇 |
対応メーカー | 全メーカー・全機種 |
対応エリア | 全国 |
株式会社エレテックコーポレーションは、25年の業務実績があり、1,500以上の管理実績がある会社です。独立系ならではの適正価格でメンテナンス契約ができます。メーカー会社と比べて、30~40%コストを抑えることが可能です。予算を超えてしまった場合は、予算に応じて最適な方法を提案してもらえます。エレベーター設置後の保守・メンテナンスにこだわっており、メンテナンス計画を作成して、独自のチェックシートに基づく運用体制を整備可能です。
株式会社エレテックコーポレーションの比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | 〇 |
対応メーカー | 全メーカー・全機種 |
対応エリア | 神奈川県・首都圏 |
株式会社エレベーター・デポ東京は、無償5年保証がついており、制御盤やインバータ制御装置などが補償対象となっています。また、保証期間中は保証回数に制限はありません。基幹部品は、三菱電機・安川電機・IDECなど、日本大手電機メーカーの標準品を使用しており、大手エレベーターメーカーの純正部品と比べ、調達コストは1/3以下です。そのため、メンテナンスコストを大幅に削減できます。
株式会社エレベーター・デポ東京の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | 〇 |
対応メーカー | 全メーカー・全機種 |
対応エリア | 全国 |
ここでは、メーカー系の施工会社5選を紹介していきます。
三菱電機ビルソリューションズ株式会社では、さまざまなタイプのエレベーターを扱っています。地震時エレベーター自動診断&復旧システムや森林浴消臭装置など、メーカーならではの高い技術力を駆使したサービスも提供可能です。また、オプションではエレベーター4ヶ国語ガイドも搭載可能で、緊急時や災害時など、外国からの利用者の不安解消のためにアナウンスや表示を外国語で提供できます。
三菱電機ビルソリューションズ株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | ✕ |
対応エリア | 全国 |
フジテック株式会社のエレベーターは渋谷スクランブルスクエアや、大阪梅田ツインタワーズ・サウスでも導入されています。タッチレスでエレベーターを操作できる、衛生面に配慮した、非接触ボタン「エアータップ」を搭載可能です。エレベーター専用クーラーは、有償ではなく標準搭載しています。また、エレベーターの運行を24時間365日サポートし続ける技術があるので、故障に至る前の予兆や変調を事前に捉え、最適なメンテナンスが可能です。
フジテック株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | ✕ |
対応エリア | 全国 |
日本オーチス・エレベータ株式会社は、世界中で業界最多の210万台以上のエレベーターとエスカレーターをメンテナンスしています。もっとも売れているエレベーターは「Gen2® Premier」という機種で、特許を持つ滑らかなポリウレタンコーティングが施されたフラットベルトを使用しています。従来のスチールロープに比べて2倍長持ちし、注油は一切不要です。
日本オーチス・エレベータ株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | ✕ |
対応エリア | 全国 |
株式会社日立ビルシステムでは、標準型エレベーターからオーダー型エレベーターまで、幅広いラインナップを用意しています。好みに合わせて、パネルやマットを組み合わせることも可能です。地震・火災・停電・冠水対策の機能も備わっているので、安心して導入できます。 リニューアルで、エレベーター用防犯カメラシステムの導入や、車椅子兼用エレベーター仕様にすることも可能です。
株式会社日立ビルシステムの比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | 〇(リニューアル) |
対応エリア | 全国 |
東芝エレベータ株式会社は、1998年に日本初の標準形マシンルームレスエレベーターを開発しました。非常時には、日本語・英語・中国語・韓国語がピクトグラムと共に表示されます。イオン発生装置を標準装備しており、その他に有償で抗菌・抗ウイルス加工などを追加可能です。また、非接触ボタンやカゴ内リフレッシュ機能を搭載することもできます。
東芝エレベータ株式会社の比較ポイント
製品情報
ロープ式 | 〇 |
---|---|
油圧式 | ✕ |
対応エリア | 全国 |
エレベーターの設置には多額の費用がかかりますが、相見積もりをとったり補助金を活用したりすることで、コストを抑えることが可能です。エレベーターの設置を検討している方は、今回の記事の内容を参考にしてみてください。独立系かメーカー系で迷っている方は、紹介した会社の中から比較して検討してみるといいでしょう。