エレベーターの保守点検やリニューアルを行う会社には、「メーカー系」と「独立系」の2種類があります。メーカー系は、エレベーターのメーカーが運営する業者で、独立系はメーカーとは関係のない業者です。
独立系のメリットは、メーカーの縛りがなく、価格が安いことです。そのため、エレベーターのメンテナンス(保守)やリニューアル費用を抑えたい方は、独立系の利用を検討すると良いでしょう。
本記事では、独立系業者のメリットやデメリット、選び方をご紹介します。是非参考にしてください。
エレベーターのリニューアルやメンテナンスを行う業者は、「メーカー系」と「独立系」があります。独立系とは、「三菱電機ビルソリューションズ」「日立ビルシステム」「東芝エレベータ」「日本オーチス・エレベータ」「フジテック」の5大メーカーに属していない業者のことです。
独立系が登場するまでは、上記のメーカー系しか保守点検作業を行うことができませんでした。メーカー系が市場を独占していたため、保守費用なども高額でしたが、独立系の参入により価格の適正化も進んでいます。価格の適正化により、メーカー系よりも30%〜40%安い費用で、リニューアルが行えるようになりました。
また、独立系業者も各メーカーのエレベーターの部品を在庫として持っているので、故障時の保守対応も心配ありません。以前はメーカー系が独占して保守を請け負っていましたが、独占禁止法の違反にあたると判断され、現在は独立系業者にも部品供給が行われています。
メーカー系と独立系、それぞれにメリット・デメリットがあります。コスト面だけで見ると、独立系が圧倒的におすすめです。しかし、メーカー系にも大きなメリットがあるので、一つずつ見ていきましょう。
メーカー系に比べて、独立系は保守点検・リニューアル費用を抑えることができます。元々メーカー系が市場を独占していたため、競争原理が働かず、価格も高止まりしていたからです。独占禁止法の規制が強まってからは、独立系が市場に参入し、メーカー系よりも30%〜40%安い価格で提供されています。独立系はメーカー系の顧客を獲得するため、積極的に安い金額で見積もりを出す傾向があります。開発・製造コストがかかっていない点も独立系が価格優位に立てる要因となっています。
独立系業者のメリットとデメリットは、下記の通りです。
独立系業者を選ぶメリット | 独立系業者のデメリット |
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独立系の最も大きなメリットは、「料金が安い」ことでしょう。ただし、エレベーターリニューアルの独立系業者が少ない地方では、価格競争が働きにくいため、料金が高い傾向にあります。また、独立系業者の増加により、信頼できる業者を見極めるのが難しい状況です。信頼できる独立系業者の選び方は、後述する「独立系業者の選び方」を参考にしてください。
メーカー系業者にも、独立系にはないメリットとデメリットがあります。それが下記の通りです。
メーカー系業者を選ぶメリット | メーカー系業者のデメリット |
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メーカー系の大きなデメリットは、「料金が高い」という点でしょう。しかし、大手のメーカー系は全国に営業拠点があり、緊急時の駆けつけスピードは、独立系より早いことが多いです。業種によっては緊急時の対応が重要な要素になるため、業者選びは慎重に行いましょう。
エレベーターの業者を探す際、エレベーターのリニューアルだけでなく、保守点検の業者を見直したい方も多いでしょう。エレベーター保守点検の契約は、「フルメンテナンス契約」と「POG契約」の2種類があります。
フルメンテナンス契約は、エレベーターの装置・部品の点検だけでなく、突然の故障や劣化した部品の交換が必要な際も、追加料金なしで対応してもらえる契約形態です。
不具合が起こった場合には、保守を担当している会社に連絡すれば、迅速に対応してもらえるので安心です。部屋数が多くエレベーターの稼働が多くなる物件の場合、FM契約がおすすめです。オーナー様の管理コストが小さくなる利点もあります。
POG契約と比べて、やや保守代金は高くなります。
POGとは、Parts(パーツ)、Oil(オイル)、Grease(グリス)の頭文字をとったものです。POG契約は、エレベーターの装置・部品の点検と、保守に必要な消耗品(電球・ヒューズ・リード線・オイルなど)の交換が保守料に含まれている契約形態です。
一方で、エレベーターの原因不明の故障や、劣化した部品を入れ替える場合には別途費用が発生します。故障リスクが比較的小さい築浅の物件や、価格を少しでも抑えたい場合に向いている契約形態といえます。
エレベーターの保守費用についてはエレベーターの保守費用相場は?コスト削減のポイントまで徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ここでは、自社に合った独立系業者を選ぶためのポイントを解説します。選ぶポイントは、下記の3つです。
一つずつ見ていきましょう。
独立系業者を選ぶ際に、自社のエレベーターのメーカーに対応しているか確認するのが大切です。リニューアルやメンテナンスを業者に依頼しても、自社のエレベーターメーカーに対応していない場合があります。例えば、旧式や最新式の場合は、独立系業者が対応できない可能性もあるため、選ぶ際には注意が必要です。まずは自社のエレベーターのメーカーを確認し、そのメーカーに対応できる独立系業者を選ぶようにしましょう。
次に、独立系業者の営業所がどこにあるのかを確認してください。なぜなら、エレベーターがある建物から営業所が遠い場合、「緊急時の対応が遅れてしまう」からです。近年、独立系業者は増えてきていますが、一部の地域では営業所が近くにない場合があります。業種によっては緊急時の対応が遅れることで、事業に大きな悪影響を与える可能性もあるでしょう。そのため、自社のエレベーターから営業所が近いかどうかは、必ず確認しておきましょう。
営業所の所在地に加え、具体的な導入実績を確認するのも大切です。特に、病院や介護施設など緊急時に影響が大きい施設は、一刻を争う事態になりかねません。どういった建物のエレベーターメンテナンスや、リニューアルの導入実績があるのか確認しておくと安心です。
ここでは、エレベーターリニューアルの独立系業者の中から、おすすめの業者を9社ご紹介します。独立系業者選びの参考にしてください。
エレベーターコミュニケーションズ株式会社は、安心・安全第一、お客様第一のメンテナンスサービスを提供する独立系エレベーターメンテナンス会社です。
FM(フルメンテナンス)契約やP.O.G(点検)契約の他、ロープや作動油の無料交換を付加した独自の契約システムも用意しており、メーカー系の施工会社と契約を結んでいる場合は約30~50%のコストダウンができることもあります。特定のメーカーに偏らない幅広いスキルとノウハウを持っており、全メーカー全機種に対応しています。遠隔監視システムを独自開発しており、各サービスマンが携帯するタブレット端末によりエレベーターの異常を瞬時に把握できるため、24時間365日迅速な対応が受けられます。
製品情報
対応エリア(支店所在地) |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 〇 |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテック |
JESグループでは、柔軟なリニューアルプランを用意しています。ニーズに応じて、必要な部分だけをリニューアルする「基本工事パッケージプラン」と、低コスト・短納期を実現する「Quick Renewal」です。ワンストップでの提案ができるため、お客様の細かな要望にも対応することができます。また、リモート遠隔点検サービス「PRIME」により、24時間365日運行状況を把握。災害時や緊急時でも万全の体制でサポートしてくれます。
ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社の比較ポイント
製品情報
対応エリア(支店所在地) |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 〇 |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテック |
エス・イー・シーエレベーター株式会社は、創業から55年の信頼と実績がある独立系業者です。世界の全機種のエレベーターを低コスト、短納期のリニューアルを実現。SECの新プランでは、世界最高峰の技術とノウハウで、完全停止たった1日でリニューアルが可能です。また、宿泊施設・マンション・テナントビルなど、豊富な導入実績もあります。
製品情報
対応エリア(支店所在地) |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 〇 |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
日伸セフティは独立系業者として、メーカー料金より20%〜50%のコスト削減が実現可能です。豊富な実績と経験により、主要メーカー全てのリニューアルに対応しているので、対応メーカーで迷う必要はありません。関東圏と関西圏であれば、契約から施工までを3ヶ月以内で完了させることもできます。
製品情報
対応エリア(支店所在地) |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 〇 |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
エレテックコーポレーションは、独立系だからこそできる適正な見積もりを提示しています。メーカー系の会社と比較しても30%〜40%安く、予算を超えた場合でも、最適な方法を提案してくれます。地震などで揺れた際に、乗客を安全に避難を促す「地震時管制運転装置」の設置も可能です。また、リニューアルして終わりではなく、独自のチェックシートに基づくメンテナンス計画で、運用体制も整っています。
株式会社エレテックコーポレーションの比較ポイント
製品情報
対応エリア(支店所在地) | 横浜市を中心に神奈川県全域、東京都、千葉県、埼玉県 |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 要問合せ |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
株式会社エレベーターシステムズ(商標:ESTEM)は、40年以上にわたってメンテナンスやリニューアルを実施してきた実績があります。エレベーターリニューアルでは、全メーカー・全機種に対応可能です。また、リニューアルから最長で20年保証付プランも提供しているので、安全で快適なエレベーターを永く使うことができます。夜間や休日でも即時対応できるサービス担当者が、24時間365日体制で待機。故障や災害など緊急時の対応も万全です。
株式会社エレベータシステムズの比較ポイント
製品情報
対応エリア(支店所在地) | 要問合せ |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 要問合せ |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
京都エレベータ株式会社は、創業から30年以上の実績と経験がある独立系業者です。導入実績には、マンション・老人ホーム・企業・大学・工場・旅館などがあり、さまざまな業種に対応しています。また、エレベーターの経過年数や予算を考慮した3つのプランを用意し、お客様に最適なプランの提案が可能です。
京都エレベータ株式会社の比較ポイント
製品情報
対応エリア(支店所在地) | 京都府全域(一部北部地域除く)滋賀県全域(一部北部地域除く)大阪府(南部地域除く)奈良県(南部地域除く)※地域は要お問合せ |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 要問合せ |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
菱光リフト東北株式会社は、創業50年以上の信頼と実績から、エレベーターリニューアルを実施しています。全メーカー対応はもちろんのこと、最新型のエレベーターにも対応可能です。最新型のエレベーターには、「防犯カメラ」「手すり」「全面鏡」など、便利な機能を追加することもできます。リニューアル工事終了後も、万全の体制でアフターサービスにあたってくれるので安心です。
菱光リフト東北株式会社の比較ポイント
製品情報
対応エリア(支店所在地) | 全国※詳細は要お問い合わせ |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 要問合せ |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
東京エレベーター株式会社は、20年以上の実績と経験により、低コストでエレベーターリニューアルができる会社です。新旧問わず、あらゆるメーカーのエレベーターに対応しています。多種多様な部品を確保しているため、緊急時や故障時にも迅速な対応が可能です。また、マンション・ビル・大学図書・物流センターなど、豊富な導入実績があります。
東京エレベーター株式会社の比較ポイント
製品情報
対応エリア(支店所在地) | 要お問い合わせ |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 要問合せ |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
株式会社エレベーター・デポ東京は、エレベーターリニューアルの専門業者です。リニューアル専門だからこそできる短納期、短工期、低コストを実現しています。また、エレベーターの重要な基幹部品に関しては、業界最長の5年間保証付きです。さらに、24時間のアフターサービスと部品供給体制も万全なので、リニューアル後も安心して任せることができます。
株式会社エレベーター・デポ東京の比較ポイント
製品情報
対応エリア(支店所在地) | 要問合せ |
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ロープ式リニューアル | 〇 |
油圧式リニューアル | 〇 |
制御リニューアル | 〇 |
準撤去リニューアル | 〇 |
全撤去リニューアル | 〇 |
対応メーカー | 東芝エレベータ、三菱電機ビルソリューションズ、日立ビルシステム、日本オーチス・エレベータ、フジテックほか |
今回は、エレベーターリニューアルの独立系業者について解説してきました。独立系の大きなメリットは、メーカー系よりもリニューアル費用を抑えられることです。独立系業者によって異なりますが、30%〜40%のコスト削減を実現できるでしょう。ただし、独立系を選ぶ際は「メーカー対応の有無」「営業所の所在地」「導入実績」などを確認し、信頼できる業者を選んでみてください。本記事でご紹介した内容が、信頼できる独立系業者選びに繋がることを切に願っています。