レセプト病名は使って良いの?転帰のタイミングも解説

更新日 2025.06.03
投稿者:豊田 裕史

レセプト病名は信憑性に疑問が残り、難しい部分でもあります。保険点数を取るためにレセプト病名をつけている医院も少なくないかもしれません。

今回の記事では、レセプト病名についての考え方などを詳しく解説していきますので参考にしてください。

目次

レセプト病名とは?

「レセプト病名」という言葉は、主に2つの意味で使われます。広い意味では文字通りレセプトに記載した病名です。一方、狭い意味では、本来の病名ではなく保険請求をするために記載した病名のことを言います。疑い病名」「保険病名」とも言われます。

問題となるのは、2つ目の意味で用いられる場合です。保険請求の際に、審査支払機関の査定を回避したり、レセプトの返戻を避けるために、実体のない病名を記載することがあります。場合によっては不適切で、不正請求と認定される可能性があるので注意が必要です。患者の症状に基づいた適切な傷病名を記載することが重要です。

「レセプト病名」が用いられる実態

レセプト病名では、診察内容に病名をつけるのでなく、処方したい薬から逆算して病名をつける運用になっている医院は多いでしょう。しかし、そうなるとレセプト病名の信憑性については、疑問が残ります。

たとえば、Aという医薬品が1日2錠・14日分処方されたとしてA薬・1日2錠・14日分といったデータになるとしましょう。しかし、「レセプト病名」に記載される「胃炎」「カルシウム欠乏症」などは、それが本当に発症している病気なのかどうか信憑性の面で見劣りしてしまうのです。

レセプト病名(保険病名)の使いすぎには注意!

保険点数をとるために病名をつける発想になっているとしたら、注意が必要です。しかし、忙しい中で保険点数を獲得しなければならないため、レセプト病名をゼロにするのは難しいでしょう。このあたりは非常に難しい問題です。

個別指導で指摘される可能性もある

厚生労働局の個別指導において、レセプト病名は指摘されることがあり、是正を求められることがあります。特に新規開業の先生は、開業後1年以内に新規個別指導があります。レセプト病名を多用している場合、指摘を受ける可能性が高いです。

新規個別指導についてはクリニックの新規個別指導を解説|事前の準備や当日の流れについてで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レセプト請求における病名の考え方

ここでは、レセプト請求における病名の考え方について解説していきます。

医学的に正しくても保険診療として認められるとは限らない

レセプト審査においては、医学的に正しくても、保険診療として認められないケースは少なくありません。レセプトの審査では、医学的に正しいだけではなく、保険で認められるか否かも考慮して審査を行います。

「被保険者の方から預かっている保険料から支払える内容か」というところがポイントです。そのため、医学的に正しくても、必ず認められるわけではありません。

病院と診療所では審査基準が異なる

医療法で規模・機能の違いで医療機関を分類したとき、診療所と病院に分けることが可能です。さらに、一般病院・地域医療支援病院・特定機能病院と分けることができ、それぞれの役割は異なります。

診療所は主に初期段階の医療を担い、ホームドクター的な役割を果たしますが、病院は入院診療を主な役割として、一部では救急医療を含む高度かつ困難な医療の提供や、研修を行う能力があることも必要です。

この役割の違いから、病院と診療所では審査基準が異なります。病院の場合は、基本的に点数が大きいところから見ていくため、細かい点数については見逃されがちです。また、病院だからという理由で認められることもあります。

一方、診療所の場合は、主に外来診療となるので、一つひとつの細かくチェックされるのです。そのため、病院では認められていても、診療所では認められないというケースは少なくありません。

適切な病名が見つからない場合は?病名の付け方のポイント

適切な病名が見つからず処方する薬がなくても、初診料は算定可能です。 病名は何らかの病気を疑ったため「~疑い」をつけて、当日「中止」で転帰すれば問題ありません。検査を行った場合は、行なった検査に対して「~疑い」病名をつけましょう。

転帰のタイミング

レセプトにおける「転帰」とは、患者様の治療経過や結果を指す用語です。主に「治癒」「中止」「転医」「継続」などの状態が挙げられます。

転帰のタイミングは、病名が診療行為と整合性を保つ上で重要です。治癒や中止など、病状の変化に合わせて適切に転帰を入力することで、レセプトの正確性が向上します。例えば、症状が改善したのに漫然と同一病名を記載し続けると、査定の対象となる可能性があります。病名と診療行為、そして転帰のタイミングを適切に管理することが、レセプト作成において重要となります。

レセプトの病名整理の重要性

レセプトの病名整理は、保険請求の適正化に不可欠です。不適切な病名や、治癒・中止すべき病名が残存していると、保険審査で減点や返戻につながる可能性があります。また、病名が多すぎると、診療内容との関連性が不明確になり、医療機関への信頼性低下にも繋がりかねません。適切な病名管理は、スムーズな保険請求と医療の質の維持に貢献します。

まとめ

本記事では、「レセプト病名」に関する基本的な内容を紹介しました。レセプトに記載される病名は、保険診療の適否を判断する上で不可欠であり、その正確性は医療機関の適正な運営に直結します。

不適切な病名記載は、保険請求におけるトラブルの原因となり得るため、医師や医療事務担当者は、病名の選択と記載に細心の注意を払う必要があります。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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