「初心者でも使いやすくて安い自動分析装置ってあるのかな?」
こうした医療関係者の悩みやニーズを解決するために、本記事では「自動分析装置メーカー一覧」をわかりやすく紹介します。
自動分析装置メーカーを選ぶ際に重視すべき項目を中心に決定しているため、初心者であっても迷うことなく「自分が使ってみたい」と思う自動分析装置を見つけられますよ。
自動分析装置は、生化学自動分析装置とも呼びます。血液や尿などの体液成分を検体として使用し、糖やコレステロール・タンパク質・酵素などさまざまな成分の測定を行う装置です。一般的な生化学項目だけでなく、免疫血清・腫瘍マーカー・凝固検査の一部の項目など、幅広い分野の測定ができます。主なユーザーは検査機関です。
ここでは、自動分析装置のメーカーを紹介していきます。
株式会社日立ハイテクは、「LABOSPECT 008 α」と「LABOSPECT 006」の他に、コンパクトタイプの「LABOSPECT 003」や面積当たりの処理能力が最高レベルの「自動分析装置 3100」を開発・提供しています。
「LABOSPECT 008 α」は、従来の検体量の微量化や検査の迅速化に加え、オペレーターの業務負担を軽減するための検査作業の効率化を実現するでしょう。
また、「自動分析装置 3100」という製品は、クリニックや小規模病院の主力機としてだけでなく、中規模病院のバックアップとしても重要な役割を果たす自動分析装置です。
日立ハイテクの比較ポイント
■取り扱い製品例
製品名 | 特徴 | 処理能力 | 外形寸法 |
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LABOSPECT 008 α | モジュールアッセンブリ方式で最大8,000テスト/時を実現 | 比色 最大2,000テスト/時 ISE 最大900テスト/時 | 2,890(幅)×約1,200(奥行)×約1,350(高さ)mm |
LABOSPECT 006 | サンプル量の微量化で、小児や患者の負担軽減につなげ、ランニングコスト低減を可能に | 比色 最大1,000テスト/時 ISE 最大900テスト/時 | 2,170(幅)×1,120(奥行)×1,360(高さ)mm |
LABOSPECT 003 | 従来の分析性能を継承しつつ、操作部を装置本体と一体化することにより、省スペース化 | 比色 最大320テスト/時 ISE単独 最大480テスト/時 | 1,325(幅)×859(奥行)×1,260(高さ)mm |
自動分析装置 3500 | 多彩な機能と光学系の新技術の搭載により、検査機関の業務スタイルに合わせた運用が可能 | ISE 最大600テスト/時 | 1,960(幅)× 840(奥行)× 1,240(高さ) mm |
自動分析装置 3100 | 面積当たりの処理能力が最高レベルの小型臨床化学自動分析装置 | ISE 最大600テスト/時 | 720(幅)×820(奥行)×1,105(高さ)mm |
企業情報
創業年 | 1947年 |
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従業員数 | 5,288名(2023年3月末現在) |
資本金 | 7,938,480,525円(2022年3月末現在) |
日本電子は、「自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™」と「自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™ ZERO」の他に、「JCA-BM6070/C (BioMajesty 6070 G) 自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™」や「JCA-BM8000 series 自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™」を開発・提供しています。
「JCA-BM6070/C (BioMajesty 6070 G) 自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™」は、精度管理登録数が100種に拡張し、測定項目ごとに複数のボトルを管理できるでしょう。従来の自動QC(26種)機能にも対応しています。
また、検体前希釈が標準で行われ、検体を5倍に希釈30μLの元検体から20以上の項目の分析ができるので、小児・新生児の検体検査や創薬実験用の小動物の検体検査にも効果的に利用可能です。
日本電子の比較ポイント
■取り扱い製品例
製品名 | 特徴 | 処理能力 | 外形寸法 |
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自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™ | 多機能ながら省スペース。試薬管理機能の搭載により、汎用試薬での利便性を向上 | 800テスト | 分析部:1,220(幅)×850(奥行)×1,108(高さ) 操作部:650(幅)×610(奥行)×1,100(高さ)mm |
自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™ ZERO | 新開発された洗浄機構を搭載し、検体間のキャリーオーバーを回避。また、キャリーオーバーの回避設定と判定ロジックも装備 | 1,200テスト | 1,400(幅)×914(奥行)×1,449(高さ)mm |
JCA-BM9130 自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™ | BioMajesty™の検体希釈機構を活用し、HbA1c測定の前処理操作(溶血)を完全に自動化 | 1,200テスト | 分析部:1,480(幅)×924(奥行)×1,133(高さ) 操作部:600(幅)×610(奥行)×1,104(高さ)mm |
JCA-BM6050 自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™ | BioMajesty™ JCA-BM6050では、希釈を行い検体量を増やすことで1μL以下の微量な検体をサンプリングする場合でも分注精度を確保している | 1,200テスト | 分析部:1,480(幅)×924(奥行)×1,133(高さ) 操作部:600(幅)×610(奥行)×1,104(高さ)mm |
JCA-BM6070/C (BioMajesty 6070 G) 自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™ | 検体や試薬のセッティングを行いながら画面操作がその場で行え、使いやすさが向上され、省スペースの実現も図る | 1,800テスト | 1,770(幅)×937(奥行)×1,490(高さ)mm |
JCA-BM8000 series 自動分析装置 クリナライザ BioMajesty™ | 高速かつ大量な処理を追求した自動分析装置です。シングルマルチ分析ブロックを複数連結することで、高速な大量処理と同時にダウン対策も実現できる | 2,400~7,200 テスト | JCA-BM8060/4,820(幅)×1,160(奥行)×1,270mm(高さ)mm |
企業情報
創業年 | 1949年 |
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従業員数 | 3,351人(2022年3月末現在) |
資本金 | 213億9,418万円(2023年3月末現在) |
キヤノンメディカルシステムズは、「TBA™-FX8」と「TBA™-c16000」の他に、「TBA™-2000FR」や高性能でコンパクトな「Accute™ RX」など多くの自動分析装置を開発・提供しています。
「TBA™-FX8」は、2つの分注ラインを効率よく高速サンプリングさせることで比色最大2000テスト/時を実現しました。最大4モジュール(比色最大8000テスト/時)まで接続可能です。
また、「Accute™ RX」という製品は、上部カバーを開けることなく動作を確認できるように、透明なクリアカバーを採用しています。最終反応液量が85µLからでも測光が可能なので、試薬のランニングコストを低減できる、高性能でコンパクトな自動分析装置です。
キヤノンメディカルシステムズの比較ポイント
■取り扱い製品例
製品名 | 特徴 | 処理能力 | 外形寸法 |
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TBA™-FX8 | これまで手書きで記録していた情報をシステム側にオンライン出力が可能 | 比色:最大2,000テスト/時(1モジュール) 電解質:最大600テスト/時(1モジュール) |
分析部:4モジュール7,250(幅)×1,287(奥行)×1,192(高さ) コンソール部:700(幅)×770(奥行)×1,155(高さ)mm |
TBA™-c16000 | 1本の採血管で生化学から免疫血清まで連続して効率よく検査することが可能 | 比色:最大1,600テスト/時 | 2,666(幅)×1,625(奥行)×2,017(高さ)mm |
TBA™-2000FR | これまで独立していたコンソール部を分析部と一体化。さらなるコンパクト化・省スペース化を実現 | 比色:最大1,600テスト/時 電解質 最大600テスト/時 |
1,896(幅)×1,150(奥行)×1,437(高さ)mm |
TBA™-1500FR | 装置前面のサンプラーラックは、測定中でも追加検体や割り込み検体のラックへの追加が可能。サンプリングが終了したかどうかは一目で確認できる | 比色:最大1,300テスト/時 電解質:最大600テスト/時 |
1,896(幅)×1,150(奥行)×1,437(高さ)mm |
TBA™-nx360 | 試薬の自動ローディング機能が搭載され、試薬の追加や、コンティニアスアクセス機能による、洗剤や溶液の追加は測定中でも可能 | 比色:最大900テスト/時 電解質:最大675テスト/時 |
1,190(幅)×1,181(奥行)×1,345(高さ)mm |
TBA™-c8000 | 装置の前面から検体ラックを簡単に設置可能、緊急検体用の専用位置があり、緊急検体を設置すると即座に測定が開始される | 比色:最大800テスト/時 電解質:最大600テスト/時 |
分析部2,666(幅)×1,625(奥行)×2,017(高さ)mm |
TBA™-120FR Pearl Edition | 両側に取り付け可能なフレキシブルアームを採用し、美しさと高性能・さらなるコンパクト化を実現 | 比色:最大800テスト/時 電解質:最大600テスト/時 |
分析部:1,600(幅)×850(奥行)×1,220(高さ)mm パソコン:200(幅)×400(奥行)×360(高さ)mm |
TBA™-120FR Sora Edition | 上位機種のTBA™-c8000、TBA™-c16000で好評な機能や仕様を採用し、バックアップ機としても活用できる | 比色:最大800テスト/時 電解質:最大600テスト/時 |
分析部:1,600(幅)×875(奥行)×1,223(高さ)mm コンソール部:700(幅)×770(奥行)×1,245(高さ)mm |
TBA™-c4000 | 上位機種のTBA™-c8000、TBA™-c16000で好評な機能や仕様を採用し、バックアップ機としても活用できる | 比色:最大400テスト/時 電解質:最大600テスト/時 |
分析部:1,602(幅)×907(奥行)×1,251(高さ)mm プリンタ部:406(幅)×370(奥行)×260(高さ)mm |
Accute™ RX | 上位機種の機能と高精度ユニットを取り入れながら、信頼性の高い検査を可能にしたコンパクトタイプ | 比色:最大400テスト/時 電解質:最大600テスト/時 |
1,010(幅)×858(奥行)×1,356(高さ)mm |
企業情報
創業年 | 1930年 |
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従業員数 | ー |
資本金 | 207億 |
シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクスは、「Atellica Solution」と「ディメンション EXL 200 Refresh」の他に、「ディメンション EXL LM」を開発・提供しています。
「Atellica Solution」は、オペレータータブレットで遠隔地からでも操作可能です。リモートアシストを使用したライブチャット・音声・ビデオリモートサポートにより、検査を行うことができ、不慣れな方へのサポートもできます。
「ディメンション EXL 200 Refresh」は、心筋マーカーや葉酸・ビタミンなどの新しい活用法を、追加コストを抑えながら取り入れられるでしょう。
シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクスの比較ポイント
■取り扱い製品例
製品名 | 特徴 | 処理能力 | 外形寸法 |
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Atellica Solution | 検体を投入後、カメラが全ての検体容器を瞬時にスキャンし、より効率的な検査業務を実現する | 最大440テスト/時 | - |
ディメンション EXL 200 Refresh | 測定操作や試薬管理が簡単なので、担当者によるデータ精度のばらつきがない | 比色:440テスト/時間 IMT 187テスト/時間 |
1430(幅)× 1030(奥行)× 1240(高さ)mm |
ディメンション EXL LM | 革新的なLOCI法を搭載しており、生化学と免疫項目を同時測定するなど、すべての項目の迅速測定を実現する | 比色:440テスト/時間、 IMT 187テスト/時間 |
2080(幅)×1040(奥行)×1240(高さ)mm |
企業情報
創業年 | 1995年 |
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従業員数 | ー |
資本金 | ー |
ベックマン・コールターは、「DxC 700 AU」と「AU5800」の他に、「AU680」や「AU480」を開発・提供しています。新製品「DxC 700 AU」は、全世界で7,000台以上を販売した主力機「AU680」の後継機で、測定中の試薬追加機構を搭載しました。
「AU5800」は、検体架設から分注・攪拌・測光・洗浄・結果出力まで、分析プロセス全体の精度と制御性能を向上し、CAN通信の採用や各プロセスにおける検知とモニタ機能の導入により、信頼性の高い分析を実現しています。
ベックマン・コールターの比較ポイント
■取り扱い製品例
製品名 | 特徴 | 処理能力 | 外形寸法 |
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DxC 700 AU | “5分以内”での試薬ボトルの途中交換が可能になり、24インチのワイドな新画面がつく | 最大800テスト/時 | - |
AU5800 | ヒューマンエラーの防止という観点から、工具不要でメンテナンスできる | 処理能力:最大2,000~8,000*テスト/時 (*4ユニット連結時) |
- |
AU680 | 総試薬使用量はわずか90μLからの設定で行うことができ、ランニングコストが大幅に低減 | 800テスト/時 | - |
AU480 | 不慣れな方でも簡単で快適な操作ができる“ つかいやすさ” にもこだわる | 400テスト/時 | - |
企業情報
創業年 | 1977年 |
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従業員数 | 約600名 |
資本金 | ー |
ここで、自動分析装置の原理・仕組みについて簡単に説明します。 血液中にはさまざまな物質が含まれていますが、どのようにして目的の物質だけを測定しているのでしょうか。
生化学自動分析装置は、「比色分析法」を利用しています。比色分析法は、小学生の時、理科の実験で見たことがある方も多いでしょう。ジャガイモにヨードチンキを加えると紫色になる反応、ヨウ素デンプン反応のことです。
ある特定の物質と反応して色が変化する試薬を加え、その色の変化によって物質の量を測る分析法です。
生化学自動分析装置は、検体をサンプリングし、試薬を加えて反応させ、色の変化から特定の物質の濃度を測定する、という一連の流れを自動化したものです。
この記事では、自動分析装置のおすすめメーカーを紹介し、価格相場や自動分析装置の原理・仕組みについても説明しました。
自動分析装置のメーカーは複数ありますが、それぞれ特徴が異なり、まずは情報を集めて比較検討をすることが重要です。
どこのメーカーに依頼するか迷った際には、今回紹介したおすすめの中から問い合わせてみてはいかがでしょうか。
最適な自動分析装置を選び、より患者さんのためになるような診療を実現しましょう。