【インタビュー】メディカルタクトの柳社長が見据える医療事務の未来

更新日 2025.07.07
投稿者:豊田 裕史

株式会社メディカルタクトは、「レセプト」を切り口にクリニックの経営改善を支援する会社です。単にレセプト業務を代行するだけでなく、レセプト業務を通じた医療事務スタッフの教育に力を入れているのが大きな特徴です。

今回は代表取締役の柳社長に、開業の経緯や自社サービスの強み、今後の展望について語っていただきました。レセプト代行会社をこれから探そうと思っている方、レセプト代行会社選びに迷っている方は必見です!ぜひご一読ください。

プロフィール
柳 尚信の画像
株式会社メディカルタクト 代表取締役 柳 尚信
会計事務所系コンサルティング会社にて、医療機関のコンサルティングを行う。経営戦略立案、管理会計、人事労務のほか事業承継(M&A)にいたるまで、ワンストップでのコンサルティングサービスを手掛ける。また、地区医師会やハウスメーカー、医療機器メーカー、製薬会社などでセミナー講師として講演を行うかたわら、日経メディカルオンラインでコラム『開業の落とし穴』『診療所駆け込み寺』を執筆するなど、セミナー講師・原稿執筆の実績も多数。著書に『クリニック経営はレセプトが9割』(2021年幻冬舎)がある。
目次

レセプトから見えた医療経営の本質

どういった想いがあってレセプト代行サービスを始められたのでしょうか?

2つあります。1つはクリニックの経営の安定化です。レセプト業務は、属人性が凄く強く、担当者のレベルによって収入が大きく変わってきます。個人のスキルに依存せず、一定の品質が保てるようにすべきじゃないかなと考えたのがきっかけです。もう1つは、医療事務者の社会的な地位の向上です。すごく医療機関の経営にとって大事な存在のはずなのに、給料は安くないがしろにされているように感じています。本来もっと評価されるべき存在だと考えています。

社会的に評価されてない理由を分析すると、経営陣が医療事務の仕事を低く見ている風潮があるのかなと感じています。国家資格のない仕事だっていうことで、軽んじられている部分はあると思うんですよ。反対に医療事務側にも原因があります。業務を作業としてこなしていていることが多いです。その両方の理由があって、低く評価されているのだろうなと思っています。

働く側にも問題があるということですね。どうやったら医療事務側の意識を変えていけるのでしょうか?

難しい問題ですけどね。私がスタッフを採用する際には、「評価される仕事の仕方ってどうしたらいいか」っていう問いかけを必ずしています。開業医からすると、レセプトの情報は売上に関係する内容なので、程度の差はありますけれども、どの先生も関心があるんですよね。レセプトが大事なものなだという意識付けを、医療事務さんからしてあげないといけないと考えています。「自分達がクリニックの経営にとってなくてはならない存在だっていうことを、仕事を通じてまず表現してください」と伝えています。

それを言われたスタッフの皆さんはどんな反応をされるんですか?

皆さん困るんですけれどもね(笑)。難しいこと言っている訳でなくて、皆さんがどういう仕事をしているのかということを、言語化して先生に伝えてくださいと言っています。毎月レセプト作成に取り組み、「今月もレセプト終わりました」と先生に報告をして業務完了。そんな感じで業務をしていないですかと聞くと、皆さん「はい、そうです」と答えるんです。

そうでなくて、医療事務の真価が問われるのはレセプトを作成した後です。レセプトの中身を、ちゃんと先生に説明をして、それで本当にいいのかを議論をしてくださいと伝えています。議論することで先生方にも問題意識が芽生えます。レセプトに関しては、皆さんの方が先生よりも知識も経験もあるので、自信を持って先生と話してくださいと伝えています。議論を繰り返していくうちに、先生方の信頼が高まっていくのです。

柳さん自身がそういったことを考えるようになったきっかけは何でしょうか?

以前、会計事務所系のコンサルティング会社に勤めていた際に、1つのクリニックを運営させてもらうことがありました。私がオーナーのような立場ですから、実際に医師を雇わなければいけません。先生と目線をあわせて働いていくために、どうしたら良いかと考えた時にレセプトしかないと思いました。当時、先生から「僕たちは理系だから、根拠を示して説明してくれて、納得ができたらその通り動ける」と言われたことをよく覚えています。

その頃から、一生懸命にレセプトを紐解いていくようになりました。当たり前ですが、レセプトには先生の医療行為が全部書かれてるわけです。レセプトを読み解いていくと、「こういうことがもしかしたら診療の中に必要なんじゃないか」「患者の目線で見るとこの検査もしかしたらいるんじゃないのか」などと、色々なものが見えてくるようになってきました。レセプトを深く学ぶことで、医師と共通の言語が持てるようになり、クリニックを良い方向に導くために、レセプトは有効なツールだと確信した訳です。その経験が、現在のサービスへと繋がっています。

スタッフの教育による持続可能な運営を支援

御社のサービスの強みはどのような部分になりますか?

ただレセプト作業を代わりに行うだけでなく、医療機関側に対して指導・教育ができるところが私たちの強みだと思ってます。ご存知の通り、レセプト業務の代行をしてる会社は他にもたくさんあります。他社と同じことをしているだけだと、価格競争にしかなりません。何よりも、作業を受けるだけになりますと、弊社スタッフのモチベーションが低下します。ですので、先生にソフト面での価値を感じてもらって、経営のパートナーとして仕事をやっていこうとスタッフには伝えています。そこはこだわってやっていきたいと思っています。

「教育」という点で他社と差別化をしてサービスを提供されて、お客様の反応はいかがでしょうか?

「教育」の文脈で来たお客様は、弊社サービスに喜んでくれていると思います。実際にレセプト業務の代行でなくて、「スタッフ教育をしてください」という依頼だけで繋がっているクリニックもあります。オンライン家庭教師みたいな形で関わらせてもらっています。クリニックのスタッフさんから毎日質問を出してもらって、それに対して弊社のスタッフが毎日コメントをつけて返しています。これを毎日やっているんですよ。月1回、テストやフィードバックをしていると、やっぱり良くなっていくんですよね。先生は、毎日スタッフさんと一緒に仕事しているので、現場で成長をすごく感じられるんです。弊社のスタッフも教えている相手がどんどん変わっていくのですごくやりがいを感じてくれています。

社員の方にとってもモチベーションになりますね!御社内での教育体制はどのようになっているのでしょうか?

弊社はリモートワークで業務をしているため、今の教育体制を整えるまですごく苦労しました。リアルで顔を合わせる訳でないので、OJTで面と向かって指導することも出来ないですからね。なので、当初は採用面接ですごく時間かけて人を見ていました。今はある程度、能力的にも均一になってきましたので、スキルのあるスタッフには勉強会の講師をやってもらっています。

元々は社内の勉強会なんです。専門学校で講師歴のあるスタッフがいますので、最初はその人にファーストペンギンになってもらって勉強会を始めました。今年の1月からは、勉強会を外部の方にもオープンにしています。取引してるお客さんも入ってきますし、全くお客さんじゃない医療機関のスタッフも参加してくれています。多分、先生も聞いてるかもわかんないですね。外来レセプトについてが月2回、在宅レセプトについてが月2回、合計4回を毎月開催しています。これをスタッフに持ち回りでやってもらっています。

より質の高い提案を目指して

御社のサービスを今後どのように発展させていきたいとお考えでしょうか?

目標はこの分野で日本一になることです。なので、さきほどお伝えしたようなソフト面としての価値にこだわっています。この部分は他社にない弊社の強みですので。もう一つ目指していることは、医療事務さんのレベルを上げていくことで、先生方の経営に関する意識を高めていくことです。今のところは、私自身が経営に関する話を先生にするわけですけれど、弊社のスタッフが単独で経営に関する助言も出来るようになっていけば、より付加価値のあるサービスを提供できるようになると考えています。

最後に、御社サービスの活用を検討されている方に向けてメッセージをお願いします。

「レセプト」は経営改善していくツールとして、絶対的なアイテムです。そことどう向き合っていくのかが、クリニックの経営を良い方向に持っていくこともできるし、悪くすることにもやっぱ繋がっていきます。クリニックの先生や医療事務の皆さんにも問題意識を持って取り組んで頂きたいと思っています。私たちはそのサポートをさせてもらいます。

株式会社メディカルタクトについて

 株式会社メディカルタクト

メディカルタクトは、レセプト請求代行及びレセプトコンサルティングを中心に事業を展開する会社です。医療事務のプロフェッショナルとして、レセプト代行の取引実績は600件を超えています。

「レセプト業務を通じたスタッフ教育」を使命として掲げており、医療事務スタッフのレベルアップにも力をいれています。第15回 全国在宅医療テスト」で団体6位入賞を入賞する実績を残しています。

会社名 株式会社メディカルタクト
URL https://medical-takt.com/
所在地 〒541-0046 大阪市中央区平野町2-3-7 アーバンエース北浜ビル1階
代表取締役 柳 尚信
事業内容
  • 病医院の経営コンサルティング
  • レセプト請求代行及びレセプトコンサルティング
  • クリニックの新規開業、介護事業所の設立運営
  • 各種セミナーおよび勉強会の企画運営
  • 医療介護事業所のM&A

  • レセプト代行については【徹底解説】レセプト代行・外注が気になる方必見!料金や選び方などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    中小企業診断士
    セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
    URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

    北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

    2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

    関連記事

    PAGE TOP