レセプト縦覧点検とは?突合点検との違いや査定・返戻の防止策

更新日 2025.10.21
投稿者:豊田 裕史

レセプトの縦覧点検は、過去の診療履歴と今月の請求内容を照合し、時間軸の算定ルールを守っているかを確認する重要な審査です。1枚のレセプトだけでなく、患者さんの過去のレセプト記録をさかのぼって確認する必要があるため、見落としやヒューマンエラーのリスクが高くなります。

本記事では、縦覧点検に関する基本的な内容から、注意すべきポイント、ミスを防ぐための対策まで幅広く解説。縦覧点検を効率的に高精度に実施するために役立つシステム・サービスも紹介しています。

レセプト業務に課題を感じている方は、ぜひ本記事を参考に対策を検討してみてください。

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目次

レセプトの縦覧点検とは?

縦覧点検(じゅうらんてんけん)は、同一患者さんの今月のレセプト(診療報酬明細書)と過去数ヶ月分のレセプトを時系列に照合する審査のことです。検査や処置の回数が「何ヶ月に1回」などの保険のルールを守っているか、請求内容に矛盾がないかを確認し、適正な請求になっているかをチェックします。

縦覧点検と突合点検の違い

縦覧点検と似たようなレセプト用語に、突合点検(とつごうてんけん)があります。突合点検(とつごうてんけん)は、病院やクリニックのレセプトと薬局のレセプトを突き合わせ、処方箋の内容と調剤内容の整合性(薬の種類や量など)を確認する審査です。

縦覧点検は時間軸の矛盾をチェックすることを目的としていますが、突合点検は機関間の不一致をチェックすることを目的としています。

縦覧点検でチェックすべきポイント

縦覧点検では「時間軸のルール」をチェックします。チェックの際は次のような項目を注意してみるようにしましょう。

  1. 算定回数の制限
  2. 初診・再診の区別
  3. 管理料の継続性

算定回数の制限

「〇ヶ月に1回」と定められた検査や処置の頻度を確認します。
違反例:3ヶ月に1回しか算定できない血液検査を、2ヶ月連続で請求している。

初診・再診の区別

一定期間後の再受診を「初診」として扱っているかどうかを確認します。
違反例:治療が完了した後、まだ一定期間内(例:3ヶ月以内)であるのに、誤って「初診料」を請求している。

管理料の継続性

毎月算定する指導・管理料が要件を満たしているかを確認します。
違反例:糖尿病管理料などを算定しているが、過去のレセプトに義務付けられている必要な検査(血糖値など)の記録が抜けている月がある。

縦覧点検の重要性と難しさ

保険診療の多くのルールが時間(期間)や回数に基づいています。1枚のレセプト(今月分)だけを見て判断すると、「この検査は行われた」という事実しかわかりません。そのため、縦覧点検では患者さん一人ひとりの過去6ヶ月〜1年分のレセプト記録をさかのぼって確認する必要があります。しかし、膨大な数の記録を、一つひとつ手作業で算定ルールと照合するのは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。当然、見落としやヒューマンエラーも起きやすくなります。

縦覧点検でのヒューマンエラーを防ぐための対策

前のところで、縦覧点検の重要性と難しさについて紹介しました。ここでは、縦覧点検での見落としやヒューマンエラーを防ぐための対策を紹介します。

レセプトチェックソフトの導入

レセプトの縦覧点検を効率的かつ高精度で行うには、レセプトチェックソフトの導入がおすすめです。人による目視点検では見落としがちな過去の診療履歴との整合性をシステムで自動的にチェックすることで、点検の業務の効率化と精度向上が実現できます。

【おすすめのチェックソフト】マイティチェッカー

マイティチェッカー

出典:マイティチェッカー https://www.tais.co.jp/

マイティチェッカーは業界トップシェアのチェックソフトです。「マイティチェッカーEX」には、縦覧点検を効率的に行えるマルチレセプト表示機能が搭載されています。マルチレセプト表示機能により、当月分と過去のレセプトを同一画面に自動で並べて表示できます。複数月にわたる診療経過や算定回数の確認を容易にします。

約53,000項目の点検に加え、査定・返戻分析、保険ルール解説、進捗管理機能など日々のレセプト業務を手助けする便利な機能が多く搭載されています。

レセプトチェックソフトについてもっと知りたい方は、【2025】おすすめレセプトチェックソフト|価格や選び方を解説!を参考にしてください。

マイティチェッカーについてはレセプトチェックソフト『マイティーチェッカー』とは?メリットや特徴までで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

組織的なレセプト点検体制の整備

システムの導入だけでなく、組織的なレセプト点検体制を整備することも大切です。大事なポイントは次の3点です。

  1. 点検ルールの標準化
  2. 業務の平準化(月末月初に業務が集中しないようにする)
  3. チェックフローの確立

点検ルールの標準化

まず、過去の査定・返戻事例をもとに、複数月算定の制限や病名開始日など、点検基準を明確化し、担当者間でノウハウを共有することが重要です。

業務の平準化(月末月初に業務が集中しないようにする)

レセプト業務が月末に集中することを避けるため、日次や週次でチェック作業を分散化し、業務の平準化を図ります。

チェックフローの確立

システムによる一次チェックに加え、担当者による確認・修正、医師による最終確認といった多段階のチェックフローを確立することで、ヒューマンエラーを防ぎつつ、安定して高い請求精度を維持することができます。

レセプト代行(外注)の活用も検討しよう

どうしても、院内の人的リソースが足りない場合は、外部の代行業者を活用することも検討しましょう。レセプト業務の一部または全部を、レセプト業務に精通したプロの業者に依頼することが可能です。

【おすすめのレセプト代行】株式会社メディカルタクト

メディカルタクト

出典:メディカルタクト https://medical-takt.com/

メディカルタクトのレセプト代行サービスは、レセプト請求業務を通じた院内スタッフ教育を重視している点が大きな特徴です。単なる業務代行ではなく、経験豊富なスタッフが請求業務を行う中で、返戻・査定削減のノウハウや診療報酬の知識を院内スタッフに共有します。これにより、院内スタッフの知識レベルが向上し、レセプト精度が安定します。最終的にレセプト業務の内製化とクリニックの収益改善につながるように支援します。

レセプト代行については【徹底解説】レセプト代行・外注が気になる方必見!料金や選び方などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

メディカルタクトのレセプト代行についてはメディカルタクトのレセプト代行を徹底解説|料金形態や業務範囲などで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

メディカルタクトの柳社長にレセプト・医療事務に関する想いを語っていただきました。【インタビュー】メディカルタクトの柳社長が見据える医療事務の未来。ぜひこちらの記事もご一読ください。

まとめ

本記事では、レセプト業務における縦覧点検について、基本的な内容から、注意すべきポイント、ミスを防ぐための対策まで幅広く紹介しました。

レセプトの縦覧点検は、患者さんの過去の診療経過をさかのぼって時間軸の矛盾をチェックする不可欠なプロセスですが、その膨大さゆえにヒューマンエラーが起こりやすいのが実情です。この課題を解決し、安定した請求精度を維持するには、システムの活用と組織的な体制整備が鍵となります。縦覧点検の効率化と精度向上を課題に感じている方は、ぜひ本記事を参考に対策を検討してみてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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