医療機器買取のポイント解説|CT・MRI搬出事例と高価買取のコツ

更新日 2026.01.30
投稿者:豊田 裕史

医療機器の買い替えや、クリニックの閉院・移転。こうしたタイミングで避けて通れないのが、今まで使ってきた設備の売却や処分です。

しかし、医療機器は法律の制限があるため、どこにでも売れるわけではありません(参考:薬機法の概要)。特に大型の装置は、運び出すだけでも大がかりな作業になります。「古い型式でも値段がつくのか」「床や壁を傷つけずに撤去できるのか」と不安に感じる方も多いはずです。

実際、慣れていない業者に依頼してしまうと、後から高額な作業費を差し引かれたり、搬出時に建物を傷つけられたりするトラブルも起こり得ます。

この記事では、医療機器を売却する前に知っておきたいポイントを整理しました。後半では、実際のCTやMRIがどのように運び出されるのか、現場の風景を写真付きで紹介します。具体的な作業の流れを知ることで、検討の際の安心材料にしていただければ幸いです。

>>>大型医療機器の搬出の様子はこちらの見出しで紹介しています

この記事でわかること
  • 医療機器を高く売るための事前準備
  • CTやMRIなど大型機器の搬出の流れ
  • トラブルを防ぐ買取業者の選び方
  • 売却・処分にかかる期間とスケジュール
目次

医療機器の買取・処分を検討する際の基礎知識

医療機器

医療機器を処分する方法には、大きく分けて「買取」と「廃棄」の2種類があります。まずは、どのような機器が売却できるのか、そして買取を選ぶメリットについて解説します。

売却できる医療機器の代表例

中古市場では、多くの医療機器が取引されています。主な対象品目は以下の通りです。

画像診断装置

CT、MRI、レントゲン(一般撮影装置)、超音波診断装置(エコー)などは、中古市場でも非常に需要が高い機器です。

内視鏡・検査機器

内視鏡システム一式や、生体情報モニター、心電計なども活発に取引されています。

専門診療科向けの機器

眼科用検査機器、歯科用ユニット、整形外科向けの物理療法機器なども買取の対象になります。

このほか、診察台やオートクレーブ(滅菌器)など、クリニックで使用される周辺設備もまとめて査定できる場合があります。

「買取」と「廃棄(産廃処分)」の違い

不要になった医療機器を単なる「ゴミ」として廃棄する場合、多額の処分費用が発生します。特に大型機器は解体や運搬に人手が必要なため、数十万〜数百万円のコストがかかることも珍しくありません。

一方「買取」を選択した場合、以下のようなメリットがあります。

撤去費用を相殺できる

機器そのものに価値がつけば、搬出にかかる費用を売却益でまかなうことができます。

資産を現金化できる

手元に資金が残るため、新しい機器の導入費用や、閉院・移転の資金に充てることが可能です。

古い機器でも値がつくケースがある

メーカーの修理サポートが終了(EOSL)したモデルであっても、あきらめる必要はありません。国内では型落ちとされる機器でも、海外ではメンテナンスパーツとしての需要や、現役機としてのニーズがあるため、買取が可能なケースも多くあります。

査定額を少しでも高くするための事前準備

査定

医療機器の査定額は、機器の状態だけでなく「準備の有無」でも変わります。少しの手間でプラス査定につながることもあるため、依頼前に以下のポイントを確認しておきましょう。

付属品や周辺備品をそろえる

本体だけでなく、購入時に付いてきた付属品がすべてそろっているか確認してください。

項目 必要な理由
取扱説明書・構成図 次の利用者が安全に操作するため
バックアップメディア システムの再設定に必須なため
予備のパーツ・消耗品 揃っていると商品価値が上がるため

これらが欠けていると、再販時の価値が下がってしまい、査定額に影響することがあります。

メンテナンス記録(点検記録簿)を用意する

その機器がこれまでどのように管理されてきたかを示す「保守点検記録簿」は、査定において大きな武器になります。

メーカーによる定期点検や、校正が正しく行われてきた証拠があれば、業者は「動作の信頼性が高い」と判断できます。結果として、強気な買取価格を提示してもらいやすくなります。

複数機器をまとめて依頼する

機器1台ごとに査定を依頼するよりも、院内にある不要なものをまとめて相談するのが効率的です。

買取業者は、一度の訪問で複数の機器を引き取ることができれば、運搬費や人件費といったコストを抑えられます。その浮いたコスト分を、買取金額に上乗せしてもらえるケースが少なくありません。

査定依頼時に伝えるとスムーズな情報

いざ査定を依頼する際、あらかじめ以下の情報をメモしておくと、見積りまでの流れが非常にスムーズになります。

[ ]メーカー名・機種名(例:日立 AIRIS-1)
[ ]製造年・購入時期
[ ]使用頻度(ショット数や稼働時間など)
[ ]現在の動作状況(正常に動くか、エラーが出ていないか)
[ ]設置場所の状況(階数、エレベーターの有無、搬入口の広さなど)

本体に貼ってある「ラベル」の写真をスマホで撮っておくと、正確な情報を伝えやすくなるためおすすめです。

【実例】写真で見る大型医療機器(CT・MRI)の搬出工程

CTやMRIのような重量のある大型機器は、どのようにしてクリニックから運び出されるのでしょうか。アローズヘルスケア社が実際に行った搬出現場の様子を、写真の流れとともに解説します。

MRIの搬出事例

  • 機種名  :日立 AIRIS-1 0.3T 永久磁石タイプ
  • 工期   :2日間
  • 設置場所 :千葉県
  • 千葉県で行われた、日立製「AIRIS-1(0.3T 永久磁石タイプ)」の撤去事例です。作業は2日間の日程で進められました。

    初日は、MRI室の中で本体の解体作業が行われました。搬出を待つ状態にして、1日目の工程は完了です。2日目は、室内から本体を運び出し、建物の玄関まで移動させました。最後は屋外でクレーンによる吊り上げを行い、トラックへの積み込みを完了させています。

    MRI搬出写真1
    作業前
    MRI搬出写真2
    搬出準備中
    MRI搬出写真3
    MRI室から搬出後の様子
    MRI搬出写真4
    玄関から搬出後の様子
    MRI搬出写真5
    クレーンでの吊り下げ中
    MRI搬出写真6
    積込完了
    MRI搬出写真7
    作業終了

    出典:アローズヘルスケア株式会社|事例報告 MRI編

    CTの搬出事例

  • 機種名  :東芝 Asteion 4列
  • 工期   :0.5日(6時間)
  • 設置場所 :山形県
  • 山形県で行われた、東芝製「Asteion(4列)」の撤去事例です。この現場では、わずか0.5日(6時間)という短時間で作業を終えています。

    作業は、まず室内での解体から始まります。本体を移動できる状態にしたあと、積込の準備を進めます。解体されたパーツを順次運び出し、屋外でトラックへの積込作業を行いました。小型の機種であれば、このように短時間で搬出まで完了させることが可能です。

    CT搬出写真1
    作業前
    CT搬出写真2
    解体中
    CT搬出写真3
    積込準備完了
    CT搬出写真4
    積込中
    CT搬出写真5
    積込完了

    出典:アローズヘルスケア株式会社|事例報告 CT編

    売却・処分をスムーズに進めるための注意点

    医療機器の売却や処分を成功させるためには、事前の計画立てが欠かせません。特に大型機器の場合、「いつまでに依頼すべきか」という時期の把握や、「そもそも手元の機器が売れる状態か」の見極めが、その後の手続きのスムーズさを左右します。

    ここでは、検討を始める前に必ず押さえておきたいスケジュール感と、買取が難しくなるケースの具体例を解説します。

    相談から搬出までのスケジュール感

    CTやMRIのような大型機器の場合、搬出までには一定の準備期間が必要です。

    一般的には、搬出経路の下見やクレーンの手配などを含め、問い合わせから作業実施まで数週間〜1ヶ月程度かかるのが目安となります。特に閉院の期限や新しい機器の導入日が決まっている場合は、余裕を持って相談を始めることが大切です。

    買取が難しいケースについても知っておく

    「古い機器でも売れる」とお伝えしましたが、中には買取が難しいケースもあります。

    • 主要なパーツが欠損している
    • 本体に著しい破損や腐食がある
    • 電源が入らず、修理も不可能な状態

    こうした状態でも、専門業者であれば「廃棄処分」として引き取ってくれる場合があります。まずは現状をありのまま伝え、買取か処分のどちらが最適かアドバイスをもらうのが賢明です。

    医療機器の買取ができる・できないの判断基準については、医療機器は買取できない?売れる・売れないの判断基準を徹底解説で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    失敗しない医療機器買取業者の選び方

    医療機器を売却する際は、提示された金額だけでなく、業者の体制や信頼性を確認することが重要です。トラブルを防ぎ、スムーズに取引を進めるためのチェックポイントを3つ紹介します。

    1. 必要な許可証を保有しているか
    2. 査定から搬出まで自社で対応しているか
    3. 追加費用の有無が明確か

    必要な許可証を保有しているか

    医療機器の買取や販売を行うには、法律で定められた許可が必要です。以下の資格をすべて持っているか、必ず確認しましょう。

    許可証の名称 必要な理由
    高度管理医療機器等販売業 医療機器を取り扱うために必須のため
    古物商許可 中古品の売買を行うために必要なため
    産業廃棄物収集運搬業 買い取れない機器を適正処分するため

    これらの許可がない業者に依頼すると、法的なトラブルに巻き込まれるリスクがあるため注意が必要です。

    査定から搬出まで自社で対応しているか

    査定は行うが、実際の搬出は別の下請け業者に丸投げというケースもあります。自社で搬出チームを持っている業者を選べば、中間マージンが発生しないため、その分買取価格が高くなりやすいメリットがあります。また、現場での指示系統がはっきりしているため、建物への損傷リスクを抑え、責任の所在も明確になります。

    追加費用の有無が明確か

    見積りをもらう際は、「作業費」や「運搬費」がすべて含まれているかを確認しましょう。 「高価買取」をうたっていても、後から高額な搬出費用を差し引かれ、結果的に手元に残る金額が少なくなってしまうケースも考えられます。特に大型機器の場合は、搬出経路の下見をしっかり行い、追加費用の心配がない見積りを提示してくれる業者が信頼できます。

    事例協力:アローズヘルスケアの紹介

    アローズヘルスケア

    出典:株式会社アローズヘルスケア https://arrows-healthcare.com/

    今回、搬出事例の写真を提供いただいた株式会社アローズヘルスケアは、中古医療機器の販売・買取を専門に行う企業です。

    同社は、CTやMRI、レントゲンなどの大型機器から、エコーや内視鏡といった小型機器まで、メーカーを問わず幅広く取り扱っています。全国どこでも対応しており、機器の査定だけでなく、専門の技術が必要な解体・搬出作業まで一貫して任せられるのが特徴です。

    また、医療機器の買取に加えて、クリニックの不用品処分や内装解体、移転・閉院の支援業務も行っています。高度管理医療機器等販売業の許可はもちろん、産業廃棄物収集運搬業の許可も保有しているため、法令を遵守した適切な売却・処分が可能です。

    閉院時の医療機器の処分については、クリニック閉院の医療機器はどうする?買取と廃棄をスムーズに行う方法で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    まとめ

    医療機器の買い替えや、クリニックの閉院・移転をするとき、設備の売却や処分は避けて通れません。

    医療機器を納得のいく価格で買い取ってもらうには、日頃のメンテナンス記録や付属品をそろえておくことが大切です。また、CTやMRIのような大きな装置の場合は、金額だけでなく、建物を傷つけずに運び出す「確かな技術」がある業者を選ぶことが重要です。

    まずは今の装置にどのくらいの価値があるのか、専門の業者に査定を依頼してみるのがいいでしょう。事前の準備をしっかり行い、信頼できる業者を選ぶことが、スムーズな片付けへの近道になります。

    中小企業診断士
    セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
    URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

    北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

    2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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