人手不足が問題視されている介護業界において、人材の育成はとても重要な課題です。
とはいえ、人手が足りていない現場で、時間を確保して人材育成に取り組むのは大変なことです。研修を行うためには準備も必要ですし、誰が研修を受けているのかも管理が必要です。法定研修の実施が負担がとなっている介護施設も多いのではないでしょうか?
しかし、 介護向けeラーニングシステムを導入することで、研修を実施する負担が大幅に軽減されます。研修を受ける職員も、好きな時間に研修を受けることができ、お休みの日や勤務時間外に集まって研修を受ける必要がなくなります。
当記事では 介護向けeラーニングシステムを導入するメリットや、選ぶ際のポイントを解説していきます。今後、 介護向けeラーニングシステムの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
先ずは代表的な介護施設向けeラーニングシステムについてみてみましょう。それぞれ多くの施設で利用されているeラーニングシステムです。どこから調べたらいいか迷われている方は、この3社から比較してみてはいかがでしょうか。
システム名 | E care labo![]() |
学研介護サポート![]() |
サクラボ![]() |
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企業名 | 株式会社ツクイスタッフ | 学研メディカルサポート | 株式会社日本教育クリエイト |
お問い合わせ |
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提供形態 | クラウド型 | クラウド型 | クラウド型 |
費用 |
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最低利用期間 | 1年間 | 要お問合せ | 6か月 |
トライアルの有無 | 14日間無料トライアル | あり | 10日間無料トライアル |
「eラーニングシステム」という言葉は聞いたことがあっても、詳しい内容はよく分からないという方もいることでしょう。まずは、eラーニングシステムとはどのようなシステムなのか、また導入するメリットがあるのかという点を解説していきます。
eラーニングシステムとは、パソコンやタブレット、スマートフォンといった電子機器を使って学習するシステムのことです。ネットワークを介して講習が行われ、利用者はサイトや動画を視聴することで、時間や場所を選ばず学習することができます。
実際にどのようなことが学べるのかを知りたいという方は、下記に掲載する「E care labo(イーケアラボ)」のサンプル動画をご覧ください。具体的な学習内容がどのようなものかが、動画を見ることでイメージしやすくなるはずです。
介護施設でeラーニングシステムを導入することで、主に下記のようなメリットが挙げられます。eラーニングシステムを導入することで、職員にも、管理者にとってもメリットがあります。
学校や塾など、特定の場所に集合して講師の講義を聞くのがこれまでの学習スタイルの主流でした。それに対し、eラーニングシステムはネットワークを介して学習するため、いつでもどこでも学習を受けることができます。忙しい受講者であっても、活用しやすい学習方法といえるでしょう。
施設内で先輩職員が研修を行う場合、指導する人の経験や知識量によってどうしても研修の質にムラが生じてしまいます。eラーニングシステムでは皆んな同じ教材で学習します。講師の教え方や知識量に左右されず、教育の質を担保することができます。
施設内で研修を行う場合、教材を準備するのはもちろんのこと、実施日を決めるだけでも一苦労することでしょう。eラーニングシステムでは配信されている豊富なコンテンツから好きなものを選んで学習することが出来ます。各自が好きな時に学習することができるため、日程調整の手間もなくなります。
eラーニングシステムでは職員の学習状況を一元管理することができます。受講が必要な法定研修をしっかり受講しているのかや、それぞれのテーマについてどの程度理解が出来ているのかを一覧で確認することが出来ます。
ここからは、各社の介護施設向けeラーニングシステムをご紹介していきます。
株式会社ツクイスタッフはツクイホールディングスグループで、さまざまな介護サービスを提供しています。長年の介護サービスの知識や利用施設の声を活かし、介護・医療の研修を中心に作られたのが「E care labo(イーケアラボ)」というeラーニングサービスです。
「E care labo(イーケアラボ)」では2,000本以上の教材を配信しています。介護技術に関する研修はもちろんのこと、クレーム対応やハラスメントに関する研修など、幅広いテーマが用意されていますので多くのスタッフに対応できるでしょう。法人で制作した動画やテキストもシステム内に実装が可能です。
E care labo(イーケアラボ)の比較ポイント
研修実施の記録として必要な「研修テキスト」は何度でもダウンロード可能。「特定事業所加算」や「サービス提供体制強化加算」などに必要な個別研修計画も、E care laboの教材からおすすめの計画フォーマットをダウンロードできます。そのまま使用できるので計画作成の手間を軽減できます。
受講管理や報告書のダウンロード機能が付いた「eラーニングプラン」と、研修動画の視聴に機能を絞った「みるだけプラン」の2つのプランをご用意しています。本格的なシステム導入に不安がある法人様でも、eラーニングシステムを利用しやすくなっています。
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 |
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最低利用期間 | 1年間 |
デモ・トライアルの有無 | 14日間無料トライアルあり |
対応研修 | 法定研修、介護技術、階層別研修、アクティビティ支援ツールなど |
主な機能 | 動画視聴、受講指示、記録・報告書管理 |
学研メディカルサポートは10年以上にわたり、医療や介護の現場をサポートしてきた会社です。訪問看護師向けや病棟看護師向けなど、さまざまな施設に特化したeラーニングシステムを展開していますが「学研介護サポート」は、介護の分野専門のeラーニングシステムです。
新人から管理者までが使える講義型コース51テーマと、技術動画13テーマを視聴でき、幅広い年代への研修が可能になります。新しいテーマでの講義も、順次配信されますので常に新しい知識を取り入れることができるでしょう。学研ナーシングサポートと併用する場合は、月々1万円とお得に利用できます。
学研介護サポートの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 |
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最低利用期間 | 要お問合せ |
デモ・トライアルの有無 | あり |
対応研修 | 介護基礎コース、介護実践コース、管理者コース、施設全体研修コース、介護技術動画ライブラリ |
主な機能 | テスト問題、ワークシート、修了証ダウンロード、履歴確認など |
サクラボでは医療・介護あわせて600を超える動画を見ることができます。介護の法定研修・技術研修・階層別ヒューマンスキル研修を幅広くカバーしております。1本5分間の動画なので、スキマ時間で学ぶことができます。法人ごとにカスタマイズやオリジナル動画追加も可能です。
サクラボの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 |
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最低利用期間 | 6か月間 |
デモ・トライアルの有無 | 10日間無料トライアルあり |
対応研修 | 法定研修、管理職向け研修、介護技術研修、新人職員向け研修など |
主な機能 | 動画視聴、受講指示、記録・報告書管理 |
東邦ホールディングス株式会社では、介護者サポート事業やeラーニング事業、ヘルスケア関連コンサルティング事業などを展開しています。東邦ホールディングス株式会社が展開している「しるべ倶楽部」は1コマ約3分のスナックラーニングで、カード形式で気軽に始められるのが特長です。
また、プラットフォームにはスマホ向けに特化して開発された「Goocus」を利用しており、スマホでもストレスなく勉強できます。さらに、SNS機能を使えば、他のメンバーと励まし合いながら続けることも可能です。学びをゲーム感覚で楽しめ、達成感を味わえるでしょう。
しるべ倶楽部の比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 |
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デモ・トライアルの有無 | サンプル動画あり |
対応研修 | 介護の基礎、認知症ケア、試験対策など |
主な機能 | お気に入り、復習リスト、全体達成率、累計学習時間、ランキング表示など |
日本経営グループは、よりよい経営のためのコンサルティングなどの事業を展開している会社です。「Waculba(ワカルバ)」は10万人の研修実績から生まれました。介護に特化した内容ではありませんが、病院系や組織づくりなどに関する情報を学ぶことができます。
動画視聴だけでなく、オンライン勉強会「Waculbaゼミ」に参加することで知識をアウトプットし深化させることが可能です。
利用特典として初年度の利用料が最大30%オフになるキャンペーンも行っていますので、気になる方はぜひ見積もりをとってみましょう。動画視聴だけのセットプランも用意されているので、予算が限られている方でも安心です。
Waculbaの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型、オンプレミス型 |
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費用 | 要問合せ |
デモ・トライアルの有無 | 要問合せ |
対応研修 | 安全管理、情報セキュリティ、病院経営講座など |
主な機能 | 動画視聴、管理機能、動画投稿、ゼミの参加など |
ClipLine株式会社はサービス産業の生産性向上のためのサービスを提供している会社です。「ClipLine」では、介護業界の専門知識や技術を学習内容に含んでいます。また、介護業界に携わる心構えや社会人マナーを学べるため、新人研修に大いに役立つでしょう。
さらに、テストやアンケートを配信することで理解度チェックを推進し、業務品質を向上させます。詳しい料金は公式サイトに記載されていませんが、初期費用と月額費用がかかります。詳しい料金については、ClipLine株式会社に直接問い合わせてみましょう。
ClipLineの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 | 要問合せ |
デモ・トライアルの有無 | 要問合せ |
対応研修 | 介護の特定技術、礼儀作法、クレーム対応など |
主な機能 | 動画撮影・編集・修正、コミュニケーション機能、組織管理・学習進捗管理など |
ケアスタイルズコンサルティングは、介護事業へのコンサルタントを行っている会社です。代表の井上氏は看護師や施設長の経験もあり、その経験を基にしたコンサルを行っています。本格的なコンサルはもちろん有料ですが、公式サイトでは教材が無料で配信されているので研修に役立てることができるでしょう。
研修内容は随時更新されていくので、定期的にチェックしてみることをおすすめします。まずはeラーニングがどのようなものなのか知りたいという方向けのeラーニング教材といえるでしょう。
無料教材eラーニングの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 | 無料 |
デモ・トライアルの有無 | 要問合せ |
対応研修 | リスクマネージメント、感染症、認知症、コンプライアンス、介護職員向け、経営層向けなど |
主な機能 | ー |
株式会社アイリックは、医療機関の経営コンサルティングを行っている会社です。アイリックのeラーニングシステムでは、院内で作成した研修資料やマニュアルをeラーニングシステムに登録して学習することもできます。自院オリジナルの研修内容も登録しておくと、効率的な研修ができるでしょう。
研修はキャラクターのアニメーションと音声が付いているので、飽きずに楽しく学習できるのがポイントです。さらに、レッスンごとにテストがついているので、理解度を確認することができます。
アイリックeラーニングシステムの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 | 要問合せ |
デモ・トライアルの有無 | あり |
対応研修 | ISO9001の基礎知識、医療安全、個人情報保護、感染対策など |
主な機能 | テスト、学習履歴管理機能など |
株式会社日本コンピュータコンサルタントは、介護ソフト「介舟ファミリー」で有名な会社です。e-ラーニングは介護研修に特化しており、いつでもどこでも何度でも受講することができます。
個人、あたは組織全体の学習進捗率や達成度合いが把握でき、受講状態やテスト結果を一括管理することも可能です。管理者にも役立つ機能といえるでしょう。幅広い研修内容が展開されていますが、その中から必要なコースを組み合わせて受講することができます。
株式会社日本コンピュータコンサルタントの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 | 月額8,250円~ |
デモ・トライアルの有無 | 要問合せ |
対応研修 | 技術、応対方法、倫理・知識、安全・衛生管理、クレーム処理、自社研修など |
主な機能 | 進捗管理、達成度合い確認など |
株式会社富士通ラーニングメディアは、人材育成や研修サービスを展開している会社です。eラーニング「富士通ラーニングメディア」は、8週にわたる講座を受講することができます。受講対象者は営業担当者や若手社員・転職者、医療業界従事者です。
介護の基本知識だけでなく、介護専門職と管理機能について学ぶことができるでしょう。さらに、介護業界の動向と経営課題をつかみ、業界攻略の視点を身に付けられるので管理者職についている方にもぴったりな内容です。ただし、講座の開催日程が決まっているため、事前にスケジュールを調整するようにしましょう。
富士通ラーニングメディアの比較ポイント
製品情報
提供形態 | クラウド型 |
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費用 |
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デモ・トライアルの有無 | あり |
対応研修 | 介護保険制度のしくみ、介護サービスの具体的内容など |
主な機能 | ー |
「eラーニングを導入したいけど、もっと安く手軽に導入したい」というお客様におすすめなのが、ディアケア株式会社の「ディアケア プレミアム」です。
月額4,000円~(5アカウント/初月無料)で実践ケアの動画を250本以上見ることができて、動画で現場のノウハウが学ぶことができます。医療的ケアの情報が充実しており、毎月ケア動画が追加され、セミナーや電子書籍も見放題です。契約期間のしばりもなく、1か月単位での使用も可能なため、試しに動画学習サービスを導入してみたいとお考えの施設も導入しやくすくなっています。
※動画の視聴履歴の確認や、理解度をチェックするテスト機能は搭載されていません。視聴を記録として残せるように、全ての動画に「動画視聴報告書」を付けていますので、研修としてご活用をいただく場合は、必要に応じて視聴報告書をご使用いただく形となります。
ここでは実際にeラーニングシステムを導入した場合にいくらぐらいの費用が必要になるのかを見ていきましょう。「e care labo」「学研介護サポート」「サクラボ」を例に、受講者が20名の場合と100名の場合の2つのシミュレーションを作成しています。
受講者が20名の場合、ツクイスタッフの「e care labo」が3社の中で一番安く利用可能です。「学研介護サポート」は受講者IDが100名からのご案内のため少人数の施設だと割高な料金となっています。
続いて受講者が40名の場合を見てみましょう。この人数になってくると、「e care labo」と「学研介護サポート」がほぼ同じぐらいの年間料金となります。
最後に受講者が100名規模の場合を見てみましょう。この規模になると「学研介護サポート」の料金の安さが際立ちます。
ここからは、介護施設向けeラーニングシステムを選ぶ際のポイントを、具体的に解説していきます。
まずは「テーマの豊富さ」がポイントです。せっかく介護施設向けeラーニングシステムを導入しても、自施設に合った研修内容でなければ意味がありません。
個人学習や集合研修変わりに使いたいとお考えの場合は、自施設で求めるテーマや課題に対応しているかを事前に確認するようにしましょう。
たとえば、学研介護サポートは新人から管理者まで使える講義型コース167テーマと新人でもわかりやすい動画型コース49テーマといった豊富な研修内容が特長です。また、E care labo(イーケアラボ)は2,000本以上の教材が見放題です、さまざまな施設や環境に対応できるでしょう。
次のポイントは「無料で使える」かどうかです。初めてeラーニングシステムを導入する場合、どのような学習内容なのかイメージしづらいという方も少なくありません。
そういった方におすすめなのが、無料でお試しができるeラーニングシステムです。費用がかからない無料のeラーニングシステムであれば、どのような研修が実現できるかイメージしやすくなるでしょう。
たとえば、ケアスタイルズコンサルティングでは無料のeラーニングを公開しています。実際に行われる学習内容を確認してみたいという方は、ぜひ活用してみてください。
eラーニングシステムでは、企業向け助成金を活用することができる可能性があります。予算が限られている施設でも、補助金制度を使うことでeラーニングシステムを導入できるようになるのです。
ここからは、eラーニングシステム導入時に使える補助金について、詳しく解説していきます。受けられる可能性のある補助金制度には、下記のようなものが挙げられます。
「オンラインスキルアップ助成金」の対象となるのは、都内に本社や事業者がある中小企業事業主や共同団体のみです。対象となる企業には、eラーニングにかかる受講費などの経費が2分の1から3分の2程度が助成されます。
出典:令和4年度オンラインスキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)
また、「IT導入補助金」では、労働生産性向上のためのITツールを対象とした助成金制度です。eラーニングも対象となりますが、年に一度の効果報告が必要になります。
出典:IT導入補助金
最後は「雇用調整助成金・特例措置」です。IT導入を目的とした制度ではありませんが、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が教育訓練を行う場合に賃金の一部が助成される制度となります。
出典:雇用調整助成金・特例措置
ここからは、eラーニングシステムの主な研修内容とテーマ事例をご紹介していきます。具体的な研修内容が知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
まずは初心者向けの研修です。初心者向けの研修は、介護の基礎知識が中心になります。認知症や感染症、高齢者の食事や排せつといった知識が分かりやすくまとめられています。具体的なテーマ事例は、下記のような内容です。
介護施設に新しく入ったスタッフや、転職して間もない人を対象とした研修となります。また、スタッフだけでなく家族を介護する場合にも役立つ内容ですので、ぜひ活用していきましょう。
次は、介護現場向けのeラーニング講座です。介護士やケアマネといった専門分野に特化しているため、スタッフのスキルアップにもつながるでしょう。被介護者とのレクリエーションの方法や基本的な医学知識といった、実践的な内容がほとんどです。
テーマ事例は下記の通りとなっています。
具体的な苦手分野がある方にとっても、おすすめの学習内容です。苦手分野を克服するためにも役立つでしょう。
最後は「管理者向け」のeラーニング講座です。施設を運営するのに役立つ知識や、経営についてのノウハウを学ぶことができます。具体的なテーマ事例は下記の通りです。
これまで現場スタッフとして働いていて、今後運営側に回るという人にとっても役立つ情報が収められています。また、3年に一度行われる介護報酬改定についても分かりやすく解説されています。新人の定着力なども取り上げられているので、新人の離職率に悩む方もぜひ参考にしてください。
eラーニングシステムを導入するメリットや、実際に学ぶことができる研修内容について解説しました。eラーニングでは初心者向けの研修から、管理者向けの研修まで幅広い研修内容が展開されています。介護施設で働くスタッフそれぞれに適した研修を行うことができるでしょう。
eラーニングシステムを提供している企業は数多くあります。選ぶ際には価格面や講座内容を比較しながら、どこにするか決めるようにしましょう。満足のいくeラーニングシステムを選ぶためには、複数の企業に見積もりを出すようにしてください。