医療介護施設では利用者への食事を日々提供するなかで、衛生面を考慮し、いかに効率よく提供できるかを追求しています。
しかし、スタッフの人手不足や作業量の多さから、現場の負担が大きい状況にあるのが現実です。
今回の記事では、クックチル導入のメリット・デメリットを中心に解説した上で、おすすめクックチル業者10選を紹介します。
記事の内容を参考に、自施設での導入を考えてみるといいでしょう。
クックチルとは、加熱調理した食材を急速に冷却・保存し、提供する時間に合わせて再加熱する調理システムです。加熱調理後は、90分以内に食材の中心温度を3度以下まで急速冷却する必要があります。食材に細菌が増殖しやすい60℃〜10℃の温度帯を短時間で通過できるので、衛生面から見て非常に有効な方法です。料理を提供するときは再加熱を行うだけなので、少人数の調理スタッフで効率的に作業を行なえます。常に安定した品質を保てるため、調理スタッフによってクオリティにばらつきが出る心配もありません。保存期間は製造日から5日間となっており、ストックを準備しておけば大幅に業務効率が向上します。
クックチルについてはクックチルとは|ニュークックチルとの違いや導入フローまで詳しく解説 でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
クックチルを導入するメリットはさまざまですが、ここでは3つのメリットを説明します。 クックチル導入のメリットは以下の3点です。
調理した食材の安全性を保つには、温度管理が非常に重要です。調理後は食材温度が60℃〜10℃の状態がもっとも細菌や微生物が増殖しやすく、食中毒のリスクが高まります。クックチルは調理後すぐに食材の中心温度が3℃になるように冷やすので、もっとも食中毒リスクが高まる温度を短時間で通過可能です。そのため、安全性が非常に高い状態で食材保存ができます。クックサーブよりも保存状態が良く、安全性を保った状態で提供できるのは大きなメリットでしょう。
クックチルは事前に調理した食材を準備しておくので、提供前に再加熱するだけで提供可能です。 クックサーブの場合は、すべて当日に準備を行わなければならず、提供前も多くの工程が必要になります。調理後は2時間以内に提供する必要があるため、多くのスタッフと時間を割かなければなりません。
一方、クックチルの場合は作業工程が少なく、オペレーションも軽くなるので効率的に作業ができて、スタッフや時間を大幅に削減可能です。 また、クックチルの保存期間は5日間なので、業務中の手が空いたときに余分に調理しておけます。
クックチルを導入すれば作業効率工場が期待できるため、さまざまな面でコストを削減できます。 たとえば、調理した食材を5日間保存できるので、計画的な調理が可能です。数日後の準備が可能になると、ピーク帯の人員を減らせるため人件費を削減できます。提供時は再加熱するだけなので、その際の人員も少数で問題ありません。
人件費は施設を運営するにあたって大きな支出となるため、人件費を削減できれば運営に与える影響は大きいでしょう。 また、保存が数日間できれば計画的な調理が可能になり、無駄な廃棄を減らせます。廃棄ロスを減らせば、食材費を抑えることも可能です。
クックチルの導入にはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。 クックチル導入のデメリットは以下の3点です。
クックチルを導入する場合、さまざまな設備を設置するスペースが必要です。加熱や冷却を行うための設備、チルド保管するための大型冷蔵庫を置く場所を確保しなければなりません。また、一度に多くの調理を行うので、食材の保管スペースも必要になります。 導入後のトラブルを避けるためにも設置スペースを確認した上で、導入をしましょう。
クックチルシステムは急速冷却を行った後に再加熱するので、適さないメニューもあります。 たとえば、焼き物・炒め物や揚げ物などの一部のメニューは相性が悪いです。そのため、再加熱した際に、出来立てと比べて品質が落ちてしまうと言われています。 クックチルを利用したいメニューとの相性を、事前に把握しておくようにしましょう。
クックチルではレシピをマニュアル化可能です。しかし、クックチルに適さないメニューもあります。焼き物・炒め物や揚げ物などの一部のメニューはクックチルとの相性が悪いのでおすすめできません。また、手の込んだ複雑な工程を経たメニューは難しいです。そのため、複数のメニューをローテーションで回すことになります。
ここでは、おすすめクックチル業者10選を紹介します。 業者によって特長が異なるので、それぞれを比較した上で導入を検討してみてください。
株式会社ナリコマホールディングスが提供するクックチルは、365日日替わりの献立があります。和食や洋食の他、各地域の郷土料理も用意されており、バリエーション豊かです。 禁止食(アレルギー食)の用意もあり、1食ずつまたは複数食セットで発注できます。身体機能に合わせた4つの食形態で提供しており、普通食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食に対応可能です。
株式会社ナリコマホールディングスの比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 全国 |
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価格 | 要問合せ |
試食の有無 | あり |
特長 | 献立がバラエティに富んでおり利用者を飽きさせない |
株式会社第一食品が提供する完全院外調理システムは、セントラルキッチンで調理・盛り付け・トレイメイク・洗浄まで行ってくれます。そのため、人材や厨房設備を最低限にして給食提供が可能です。食事は盛付けられた状態で納品されて、配達員がキャビネットにセットしておいてくれます。 最低限の設備で運営ができるため、機器の購入や厨房の維持・管理のコストを削減可能です。
株式会社第一食品の比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 要問合せ |
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価格 | 要問合せ |
試食の有無 | 要問合せ |
特長 | 手間を可能なかぎり無くせる、アレルギー食にも対応しており、幅広く利用することが可能 |
名鉄協商株式会社が提供しているおたっしゃごぜんは、3つのタイプを取り扱っています。 3つのタイプを併用できるので、必要に応じて発注可能です。おたっしゃフリーズの食材は500種類以上あるため、日替わり献立での提供ができます。利用満足度が91.9%と非常に高いので、導入を検討してみるといいでしょう。
名鉄協商株式会社の比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 全国 |
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価格 | おたっしゃフリーズ18~29名の場合:朝食 190円/1食(税抜)昼食・夕食 290円/1食(税抜) |
試食の有無 | あり |
特長 | 3つのタイプからえらべるため利便性が高い |
株式会社丸中食品が提供しているクックチルは、自社開発した介護食「ケアミート・ケアフィッシュ」を使用しています。 多種多様なメニューがあり、歯ぐきでつぶせる柔らかさなので安全・安心な食事が可能です。1か月分の献立を提案してもらえるので、質を落とさずに食事を提供できます。 また、万が一のアクシデントに備えて、安全管理体制の構築とマニュアルの策定などの提案も可能です。
株式会社丸中食品の比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 要問合せ |
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価格 | 1日3食800円~ |
試食の有無 | あり |
特長 | 自社開発した介護食「ケアミート・ケアフィッシュ」を使用しているため咀嚼力がなくても肉や魚が食べれる |
株式会社ケアフードサービスが提案しているクックチルは、栄養バランスが良いだけでなく、クオリティも保たれています。そのため、喫食者が満足できる食事を提供することが可能です。 また、ソフト食の発注も可能で、安心して美味しく食べることができる技術と工夫が施されています。ケアフードサービスが提供するクックチル調理システムは、セントラルキッチンではなく、発注者の施設の厨房を使用するサービス形態です。
株式会社ケアフードサービスの比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 要問合せ |
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価格 | 要問合せ |
試食の有無 | 要問合せ |
特長 | セントラルキッチンではなく発注者の施設の厨房を使用するサービス形態。 |
株式会社タカ商が提供しているクックチルは、セントラルキッチンで徹底した衛生管理のもと作られています。 メニューは2500種類もあるので、毎日飽きずに食事の提供が可能です。刻み食やミキサー食は1人分単位で発注でき、必要な日だけ利用することもできます。 化学調味料や添加物は使用しておらず、殺菌も75℃~120℃の加熱殺菌をしていますので、利用者へ安全な食事を提供可能です。
株式会社タカ商の比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 要問合せ |
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価格 | 要問合せ |
試食の有無 | あり |
特長 | 圧倒的なメニュー数で飽きがこない。 |
株式会社オリジンのクックチルのメニューは、管理栄養士とレストラン運営を手掛けるフードコーディネーターによって考えられています。 そのため、栄養バランスの良い飽きのこない食事を提供可能です。オリジンは創業から約20年間、デイサービスやグループホーム・有料老人ホームなど幅広く運営しています。 施設利用者の趣向や、食べやすさに関する課題やニーズを把握しているので、施設側に寄り添った食事を提供可能です。
株式会社オリジンの比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 要問合せ |
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価格 | 要問合せ |
試食の有無 | 要問合せ |
特長 | 創業から約20年間、デイサービスやグループホーム・有料老人ホームなど幅広く運営してきた経験があるため利用者のニーズを把握している。 |
株式会社グランフーズが提供している一勝便は、手作りのような自然な味わいが魅力です。 管理栄養士が考案した日替わりメニューは700種類以上もあるため、飽きがきません。HACCP対応の徹底的に衛生管理された国内工場で100%調理・加工されており、大きさ・硬さに配慮したり、骨抜きの魚を使用したりなど食べやすくなる工夫がされています。
株式会社グランフーズの比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 要問合せ |
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価格 | 朝食 200円~昼食・夕食 270円~ |
試食の有無 | あり |
特長 | 管理栄養士が考案した日替わりメニューが700種類以上もある |
株式会社ほっとキッチンは、九州を中心に750施設以上へ毎日9000食以上のクックチルを提供しています。事業開始から10年以上が経った今でも食中毒の報告は無く、信頼が高く実績が豊富です。1食あたり150円から提供しており、非常にコスパが高いのは大きな魅力でしょう。 昼食のみや土日のみの利用もできるので、必要に応じて発注できます。
株式会社ほっとキッチンの比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 長崎・福岡・佐賀・熊本・鹿児島 |
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価格 | 1食あたり料金150円~(お味噌汁付き) |
試食の有無 | あり |
特長 | 10年以上食中毒ゼロ、地元の食材を多く使用 |
株式会社フレアサービスが提供しているフレッパレギュラーは、1汁3菜を基本に飽きのこない家庭の味を作っています。 禁止食材や病態コントロール食(弊社基準内)も料金内で対応可能です。365日休まず提供可能で、スポット利用もできます。 ワンランク上の食事を提供したい場合は、フルーツやデザートが付くフレッパプレミアムの利用も検討してみるといいでしょう。
株式会社フレアサービスの比較ポイント
サービス概要
対応可能エリア | 北海道 |
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価格 | 朝食 230円~ 昼食・夕食 310円~ |
試食の有無 | あり |
特長 | フレッパレギュラーの他にもさまざまな提供プランがある |
クックチルを導入すれば、大幅に業務効率が向上して人件費も削減可能です。 クックチルを提供している多くの業者は、豊富なメニューを揃えているため飽きがきません。 また、調理済みのものを配送してもらえるので、自施設の設備は最低限で済みます。 今回の記事で紹介したクックチル導入のメリット・デメリットを考慮した上で、おすすめクックチル業者10選のなかから導入を検討してみるといいでしょう。