高齢者が入居する施設はすべて「老人ホーム」と呼ばれることが多いですが、法律の観点では、さらに細かい分類が存在します。
中でも、比較的要介護度が低い方が入居する「サ高住」の建設ペースが増加しています。サ高住の建設にあたり、建築基準法を気にされている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、サ高住を初めとした老人ホームの施設形態、建築基準法における老人ホームの区分について紹介しています。ぜひ参考にしてください。
建築リフォーム業者選びの専門知識・時間がない方
コンシェルジュが代わりに探してご案内します!
業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリなメーカー・製品をご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。相場観や補助金情報などのご質問にもお答えします。
老人ホームとは、高齢者が自宅以外の場所で過ごす施設の一般的な呼称です。
また、老人ホームは「公的施設」と「民間施設」の2種類が存在します。さらに、入居者の介護度、認知症の有無など他の要因も考慮して様々な施設形態があります。分かりにくい点も多いので、以下の表で整理していきましょう。
施設形態 | 主な運営主体 | 特徴 |
---|---|---|
有料老人ホーム | 民間企業 | 介護サービスや生活援助・毎日の健康管理など、入居者の心身状態に応じたサービスを提供している居住型施設 |
特別養護老人ホーム | 社会福祉法人、医療法人 |
|
介護老人保健施設 | 社会福祉法人、医療法人 |
|
グループホーム | 民間企業、NPO |
|
サービス付き高齢者向け住宅 | 民間企業 |
|
出典:厚労省 介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて
前の章で紹介した老人ホームのうち、要支援・要介護1~2の利用者を主な対象とした「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」の建設ラッシュが続いています。
サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムの資料をみると、国内のサ高住は棟数・戸数ともに右肩上がりで推移していることがわかります。
高齢化が進む中、比較的元気な層の受け皿としてサ高住が期待されていることがうかがえます。
出典:サービス付き高齢者向け住宅の登録状況(R6.4末時点)
老人ホームのうち「有料老人ホーム」も、条件によって細かく分類されます。代表的なものは下記の通りです。
住宅型・健康型 | 介護付き・外部サービス付き | |
---|---|---|
受け入れ条件 | 60歳以上で自立~軽度の要介護 | 65歳以上で要介護5まで入居可能 |
費用 | 月額12万~30万程度 入居一時金も必要 |
月額12~30万円程度 入居一時金も必要 |
部屋 | 原則個室で13㎡/人以上 | 原則個室で13㎡/人以上 |
廊下幅 | 車椅子が通行の妨げにならない程度 | 1.8m以上 |
ここまで、老人ホームの施設形態や有料老人ホームの分類について解説してきました。老人ホームの区分はそれらだけではなく、建築基準法でも定められています。
建築基準法における老人ホームの区分は、有料老人ホーム、共同住宅、寄宿舎の3つです。老人福祉法で定める「有料老人ホーム」に該当する施設は、建築基準法上も「有料老人ホーム」とみなされ、それ以外の施設は建築基準法上、共同住宅・寄宿舎と分類されると理解すれば大丈夫です。これらの区分について詳しく解説していきます。
老人ホーム建設時のポイントについては老人ホーム建設時に注意すべきポイントとは?気になる費用も解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
建築基準法において、老人福祉法第29条第1項で定められた各種サービスを提供する施設は、有料老人ホームとして扱われます。
この各種サービスとは、介護サービスや食事サービス、家事サービス、健康管理サービスのことを指します。どれか1つのサービスを提供していれば、建築基準法においては有料老人ホームです。
そして、有料老人ホーム以外の施設は、共同住宅か寄宿舎に区分されます。
介護や食事などの各種サービスを提供しない施設のうち、1つの建物内に住宅が複数存在するものは共同住宅に区分されます。
加えて、建物内にあるそれぞれの住宅に、便所と洗面所、台所が設置されていることが、共同住宅に分類される条件です。各住戸は共用廊下や階段によって繋がれています。
つまり、共同住宅とはマンションのような建築物のことを指すのです。
寄宿舎も共同住宅と同様に、介護や食事、家事などのサービスを提供していません。共同住宅と違って、寄宿舎は台所や浴室が共同となっています。
住戸が独立しておらず、複数の人間が同じ建物内で共同生活を行うのが寄宿舎の特徴です。同じ会社にいる人間が使用する社員宿舎や、学校側が設けた学生寄宿舎、シェアルームなどを想像すると分かりやすいでしょう。
認知症の高齢者たちが入居するグループホームも、寄宿舎に分類されます。
グループホームの建築についてはグループホームの建築・開設のポイント|費用や法律まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
老人ホームを設立する際に守らなければならない法律は、建築基準法だけではありません。以下の法律や条例も意識しておきたいです。
これらの法律を遵守したうえで老人ホームを建てようと思ったら、知識が豊富な専門家の知見に頼るのが安心です。建築に際して早めに専門家へ相談し、間違いがないように作業を進めていくことをおすすめします。
老人ホームの施設形態は有料老人ホームや特別養護老人ホームなど、いくつか存在します。このうち有料老人ホームは住宅型や健康型、介護付きなどに分かれており、受け入れ条件や提供しているサービスは施設によってさまざまです。
そして、老人ホームは建築基準法において、有料老人ホーム・共同住宅・寄宿舎の3つに区分されます。介護や食事のサービスを提供している施設は有料老人ホーム、それ以外は共同住宅か寄宿舎として扱われるのが一般的です。
施設形態や区分の違いを理解し、専門家の知恵も借りながら老人ホームの設立を進めましょう。
建築リフォーム業者選びの専門知識・時間がない方
コンシェルジュが代わりに探してご案内します!
業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリなメーカー・製品をご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。相場観や補助金情報などのご質問にもお答えします。