近年、ICTという言葉を聞く機会が増えています。その他、IoTという言葉もよく耳にするでしょう。
今回の記事では、ICTとは何なのか?また、介護業界におけるICTのメリットについて詳しく解説していきます。
介護施設でのICT導入を検討している方は、参考にしてみてください。
ここでは、ICTとは何なのか?について詳しく解説していきます。また、ICTとIT・IoTとの違いもそれぞれ解説するので、 参考にしてみてください。
ICTとは、「Information and Communication Technology」の略です。日本語に訳すと 「情報通信技術」になります。 スマートフォンやタブレットでの、コミュニケーションや外出先での書類作成などで利用されているのがICTです。
このような情報通信技術は、日本だけではなく国際的にもICTと表現されています。
ITという言葉は、以前からよく使われており、耳に馴染んでいる方も多いでしょう。ITは「Information Technology」の略で、日本語に訳すと「情報技術」となります。
これまでは、デジタル化されたデータ技術やモノを、ITと表現していました。しかし、近年はデジタルデータの通信量が膨大となっており、情報通信技術を意味するICTという言葉が主流になっています。
ITとICTは同義に扱われることが多く、使い方は明確に定義されていません。 ITとICTを区別する場合、以下のようなイメージを持っておくと良いでしょう。
IoTは、ここ数年でよく見られるようになった言葉です。 IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
ICTとIoTの違いは、以下の通りです。
IoTの場合、パソコンやスマートフォンをはじめ、家電や身の回りのデバイスなど、さまざまなモノがインターネットに接続されます。
モノがインターネットに接続されることで、モノのデータの送受信が可能です。遠隔地からモノの状態を把握・管理することもできます。
ここでは、介護業界におけるICTの活用について詳しく解説していきます。ICTは、普段の生活だけではなく介護業界でも普及が進んでおり、現場をICT化することで職員の仕事の効率化や負担軽減が可能です。
介護現場では主に、タブレットを利用した情報共有システムや、見守りシステムなどが利用されています。
ここでは、介護業界におけるICT導入のメリットを解説していきます。介護業界でICTを導入するメリットは、下記の3点です。
事務作業を効率化できるため、職員の負担を軽減でき、 事務作業の時間を短縮することで、介護サービスに割く時間を増やすことが可能です。
また、厚生労働省が行った調査によると、ICTを導入したことで166.85%も間接業務の時間が短縮されたという結果が出ています。
ICTを導入することで、各機関での情報を共有しやすくなります。紙媒体の場合、印刷した紙を郵送するか、もしくはFAX送信しなければなりません。電話で各施設に空き状況を確認することもあるでしょう。
このようなケースは、介護システムのような、 関係者が同じ情報を共有できるプラットフォームを導入すれば、情報共有がスムーズになります。
ICT化を進めることで、データが蓄積されていくので介護サービスの質を向上させることができます。データ転送が可能な体温計や血圧計などもあるので、それらを利用すれば訪問サービスの際、職員が訪問していなくても利用者の情報を得ることが可能です。
厚生労働省が行った調査によると、ICT化によって、家族への正確な情報提供ができるようになり、利用者支援に充てる時間が増えたという結果が出ています。
出典:令和元年度 ICT導入支援事業 実績報告まとめ(概要)
ここでは、介護業界におけるICT導入の課題について詳しく解説していきます。
現場でのICT化を進めるにあたっては、ICT機器を導入した際にスタッフへの教育が必要です。高齢の職員の場合、パソコンやタブレットに慣れていない方も多いので、ICT化に抵抗感を抱いてしまう場合があります。
また、導入コストもかかるため、施設側の負担が大きいのも事実です。厚生労働省が行った調査でも、導入コストやパソコン操作に関する課題が浮き彫りとなっています。
出典:令和元年度 ICT導入支援事業 実績報告まとめ(概要)
ここでは、ICTの介護業界での活用事例を紹介していきます。
介護現場では、スタッフが利用者の様子を定期的に確認しています。しかし、他の作業を行いながら利用者の様子を確認するのは負担が大きく、プレッシャーを感じるスタッフも多いです。また、事業者の多くは、1人で複数の利用者を担当します。
見守りシステムを導入すれば、センサーで利用者の状況を確認可能です。見守りシステムのなかには、センサーなどで取得したデータを活用し、利用者のケアプランを作成してくれるものもあります。
ICT化を進めるなかで、介護システムを導入する介護事業所は多いです。介護システムには、利用者の状況・実施したサービスの内容などを記録できる機能や、給与計算・ 勤怠管理機能などが備わっています。
メーカーによって機能性に差があり、機能が充実しているほど費用が高くなる傾向にあるので、予算を考慮した上で適切な介護システムを導入すると良いでしょう。
介護事業所において、利用者の排せつ介助も重要な仕事のひとつです。しかし、排せつのタイミングは人によって異なるため、適切なサポートが難しい面があります。
スタッフ側は利用者の排せつのタイミングをある程度予想してサポートしますが、対応が遅れてしまうことも少なくありません。
排せつ予知器具は、利用者の排せつのタイミングを予測して、通知を受け取ることが可能です。 なかには、排せつケアに関するデータを共有できる機能が備わっているものもあります。
日本では、2030年の高齢化率が30%を超えると言われています。介護現場の慢性的な人材不足は、早急に解決しなければなりません。介護現場の人材不足解消として期待されているのが、介護現場のICT化です。
人材を確保しつつ介護スタッフの負担を軽減するため、国は補助金で介護現場のICT化を支援しています。
ICT導入支援事業の補助対象となるICT機器は以下の通りです。
また、これらの運用経費も補助対象となります。
介護ソフトについては【2023】おすすめの介護ソフト22選|価格や特徴を徹底比較でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
出典:ICT導入支援事業の概要
ICT導入支援事業の補助要件には、以下のような要件が挙げられます。
出典:ICT導入支援事業の概要
ICT導入支援事業の補助上限額は、以下の通りです。
※補助される金額の限度額は、事業所で働く職員の人数に応じて設定されます。
(補助率は各都道府県が設定)
出典:ICT導入支援事業の概要
ICT導入支援事業は令和元年度に15県で実施されています。その後、一気に増え、令和2年度は40都道府県、令和3年度は全国すべての都道府県で実施されました。
助成事業所数も令和元年度は195事業所でしたが、令和3年度は5,371事業所と大幅に増えています。
出典:ICT導入支援事業の概要
介護業界において、ICT化は、早急に進めるべき課題でもあります。しかし、導入コストや教育にかかる負担などがあり、なかなか普及が進んでいないのも事実です。
今回の記事の内容を参考に、事業所でのICT導入を検討してみてください。