給食委託でも軽減税率は適用される?適用条件について詳しく解説

更新日 2024.04.09
投稿者:豊田 裕史

日本で軽減税率が適用されるようになってから、生活スタイルや消費傾向が大きく変わりました。それほど消費税は、私たちの生活に密着しているものだといえるでしょう。給食委託においても消費税がかかっていますが、一部軽減税率の対象となる場合もあるのです。

今回は、給食委託を利用した場合の軽減税率について詳しく解説していきます。対象になるための条件についても触れていきますので、施設運営のお役に立てれば幸いです。

給食委託は軽減税率の対象になる?

給食委託が軽減税率の対象になるのかは、施設形態やその他の条件により異なります。具体的にどのような場合に適用されるのかを、確認していきましょう。

軽減税率の基本をおさらい

軽減税率とは、政策的目的から定められた商品の税率を標準より低く定めることをいいます。日本では2019年10月以降から適用されており、通常税率が10%なのに対し軽減税率は8%です。

軽減税率の導入により、消費者の税率に対する注目度は一気に高まりました。同時に異なる税率の商品を扱う店舗では、スタッフ研修や新システムの整備・法律の理解が必要不可欠です。以下は、軽減税率と標準税率それぞれの対象商品を分別した表になります。

軽減税率(8%)の対象商品 標準税率(10%)の対象商品
・酒類と外食を除く飲食料品(テイクアウトを含む)
・週2回以上発行されている新聞
・酒類
・医薬品
・ケータリングや出張料理等
・外食 ほか

上記の区分の中でも外食とテイクアウトは線引きが非常に難しいです。そのため、政府は販売場所やサービス内容を明確にすることで、外食の定義を区別しています。具体的な定義としては次の通りです。

外食に該当する場合(10%)

  • テイクアウトに対応している店舗で店内飲食
  • フードコート内での飲食
  • ケータリングや出張料理などを利用
  • コンビニのイートインコーナーでの飲食を前提にお弁当などを購入
  • トレイにのせて席まで運ばれたり、返却の必要がある食器に盛られての提供

外食に該当しない場合(8%)

  • テイクアウトと店内飲食の両方に対応している飲食店で持ち帰り用に購入
  • そば屋で出前をとる
  • 寿司屋や居酒屋で購入したお土産
  • テーブルや椅子など飲食設備がない屋台で購入
  • コンビニで持ち帰り用にお弁当やお惣菜を購入
  • 有料老人ホームなどで提供された食事

軽減税率が適用される施設形態

前述した通り、有料老人ホームなどで利用される「給食サービス」は軽減税率の対象です。この給食とは「生活を営む場」で提供されている食事に限定されています。ただし、一食につき640円以下、1日累計額は1,920円を超えてはいけません。

以下は、軽減税率の対象となる給食を提供している施設になります。

  • サービス付高齢者住宅
  • 有料老人ホーム
  • 幼稚園
  • 義務教育の学校(小学校・中学校)
  • 高等学校の夜間課程
  • 特別支援学校(寄宿舎を含む)

ちなみに保育園で提供される給食は、社会福祉事業サービスに該当するため非課税となっています。

軽減税率が適用される条件

上であげた施設でも軽減税率を適用するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。以下がその条件です。

  • 1食640円以下かつ1日累計1,920円に達するまでの飲食料品の提供であること
  • 幼稚園を含む各種学校については、全員へ提供する学校給食を差す(学生食堂は対象外)

有料老人ホームなどで提供される食事のうち軽減税率対象となるものは、施設が決めることができます。あらかじめ書面により明らかにしておく必要がありますが、これにより累計額の調整が可能となるのです。

給食委託とは?

自施設で給食運営を行わず、一部もしくは全ての食事提供を外部の委託会社に任せる方法です。給食提供のための人材確保・材料の保存やメニューの管理などの手間やコストを省くことができます。

給食委託の形態は大きく分けて2種類に分けられます。

  • セントラルキッチン
    セントラルキッチンとは、給食委託会社が保有する集中調理施設のことを指します。この施設内で大量調理し、各施設へ料理を提供する方法です。
  • 現地調理
    自施設の厨房で委託会社が調理を行い、食事を提供する方法です。調理を行う派遣スタッフは、調理師や栄養士となっています。

給食委託の基礎については給食委託とは?導入のメリットや直営との違いについても解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

私たちの生活に消費税は非常に深く関係しています。消費税は実に多くの商品やサービスにかかっており、給食委託もそのひとつです。給食委託が軽減税率の対象とするには施設や提供内容など、いくつか条件があります。

標準税率と軽減税率の差は2%だけですが、金額が大きくなればなるほど差は広がってくるのです。利用者の家計負担軽減にもつながってきますので、少しでも寄り添うことができるよう工夫していきましょう。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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