レセプト点検とは、レセプト内容に不備がないかチェックすることです。内容に誤りがあると返戻や査定が発生し、経営にも影響するため、重要な業務といえます。この記事では、返戻や査定を防ぐレセプト点検のポイントを解説します。
レセプト点検は、作成したレセプトに不備がないかをチェックする業務のことです。
内容に不備があった場合、差し戻しや査定が行われ、医療機関の経営にも影響してしまいます。
レセプトチェックソフトを使用して点検を効率化できる場合もありますが、最終的には手作業でチェックが行われます。点検業務は医療事務の中でも重要な業務と言えるでしょう。
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診療報酬点の計算から、請求までの一連の作業のことです。患者様のカルテにある診察情報から、医療保険制度に沿って作成し、点検や訂正も行います。
これには医療や保険の専門的な知識が必須です。医療機関の経営にも影響があるため、専門性と正確性が求められる業務といえるでしょう。
ここでは、点検業務の重要性について理由を解説します。
レセプトの内容に不備があった場合は、返戻が発生します。返戻理由は、基本的に以下の2つです。
返戻が行われると二度手間になり、修正するまでは入金がないといった経営にも大きく影響する問題です。
月ごとの確認や日々の作業での入力に間違いがないか、点検を徹底することが大切といえます。
近年、厚生局の指導や監査が厳しくなってきています。点検業務を行わずに返戻や査定が多いと、監査が入る可能性が高いです。
毎月の審査が厳しくなったり、保健医療機関取り消しなどの厳しい処分を受けたりする恐れもあるため注意しましょう。
点検業務の流れは、以下のとおりです。
それぞれの業務について詳しくみていきましょう。
レセプトの作成は、コンピューターが入力データを元に自動で行ってくれます。しかし、このデータ自体に間違いがあると、レセプト作成にも影響し、仕事の遅延にも繋がります。
まずはデータに誤りがないかを確認することが大切です。
診療報酬は、「投薬」「手術」「診療」などの医療行為に決められている点数によって決まります。レセプトは、これらの医療行為に基づいて計算しなければなりません。
例えば、診療を受けたにも関わらず、診療の点数が入っていなければ医療機関の経営に影響があるでしょう。入力データに漏れがないか確認するのが大切です。
病名が診療内容と整合性があるかを確認するのも大切です。当然ですが、診療報酬の点数を稼ぐために故意に操作してはいけません。
医師が誤申告している場合もあり、病名と診療内容に整合性があるかの確認は欠かさず行いましょう。
最終的には医師に確認してもらいます。実際に診療した医師にしかわからない内容なので、勝手に修正することはできません。
医師の確認が取れて、必要があればデータの修正を行います。また、目視確認なども行い、不備が見つかれば、修正しなければなりません。
医師に確認してもらった後の修正は、修正後に再度医師に確認してもらい、内容に不備がなければ完了です。
レセプト内容のミスが多く、返戻や査定の対象になると経営にも影響します。多くのミスは点検で防ぐことができるため、以下のコツをおさえておきましょう。
最も返戻を防ぐために必要なのが、電子カルテ・電子カルテとレセコンを連動することです。
紙カルテの場合、レセコンに入力する作業があるため、単純に倍の時間がかかります。電子カルテとレセコンを連動させていない場合も二度手間となるでしょう。
チェックソフトは、レセプトの記載が正しく行われているかどうかを点検できるソフトです。
メーカーによって操作性は異なりますが、ボタンを押すだけでエラー項目が表示されるようになっています。
ソフトの導入で点検にかかる時間を短縮し、返戻率を下げることができるでしょう。
レセプトチェックソフトについては【2023最新】おすすめレセプトチェックソフト7選比較|価格や選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
特に、以下の項目に注力しましょう。
医師は日々の作業に追われており、診療内容に係るレセプト業務も医療事務が代行することが多いです。
しかし、レセプトにはその担当医師にしかわからない内容もあります。医師への確認を怠ると、査定・返戻の対象になる可能性が高いです。
忙しそうにしている医師へ何度も確認を取るのは難しいかもしれませんが、医療機関の経営に関わることです。
点検業務の中で疑問がある内容は、医師への確認を怠らないようにしましょう。
点検の頻度はそれぞれですが、週1程度で丁寧に行うことが大切です。月1の点検に時間を取られることがなく、不備が見つかることも少なくなります。
近年、保険財政の悪化などの理由から、審査が厳しくなっています。とは言っても、審査する人によって査定基準に違いが現れるのも事実です。
例えば、Aの医療機関では審査に通っても、Bでは査定対象になってしまうなどです。
基準が明確でないことは前提として、審査の傾向を把握することで、点検するべき内容もわかってくるでしょう。
「時間をかけて点検すれば、精度が上がる」ということでもありません。
点検業者に依頼したり、ツールを導入したり、時間をかけずに解決できることは必要コストとして割り切って活用するのも大切です。
点検でスキルアップやキャリアアップに役立つ資格があります。具体的には以下のような資格です。
レセプトの病名に対して行われた検査や治療、処方された薬が合っているかなど、請求業務の知識が試される試験です。
認定講座を受講した後に受験ができ、合格すれば点検業務の実践的なスキルの証明になります。
学科と実技からなる試験で、合格率は84.6%と比較的簡単です。
メディカルクラーク(R)は、点検や修正能力が試される、医療事務の基礎的な資格です。現場で活かせる知識を取得できるので、スキルアップを目指す方におすすめといえます。
合格率は67.2%で、比較的取得しやすい資格です。
医療事務の基礎知識や、レセプト作成の基本を取得できる試験です。レセプトの作成問題がありますが、他の試験よりも簡単とも言われており、合格率は60〜80%程度になります。
初めて医療事務資格を取得する方にとっては、おすすめの資格といえるでしょう。
レセプトの点検能力や窓口業務などの医療事務全般の知識、スキルが証明できる試験です。次に紹介する「診療報酬請求事務能力認定試験」の前段階で受験する方が多いです。
合格率は医科で57.5%とやや難易度が高い試験といえるでしょう。
医療事務の資格でも最も難しいと言われている試験です。実務経験や他の資格の取得をしてから目指す方が多い資格です。
合格率は30%程度と難しいですが、取得すれば就職や転職で活かされるでしょう。
本記事では、レセプト点検のコツや返戻を防ぐためのポイントを解説してきました。
レセプトの内容に誤りがあると返戻や査定が発生し、経営にも影響してきます。そのため、点検により不備をなくすことが大切です。
今回の内容をおさらいすると、返戻を防ぐための点検のコツは、
などをおさえて点検を行いましょう。
今回解説した内容を参考に、医療事務の中でも重要なレセプト点検を行ってみてください。