離床センサーは、病院や施設などで患者様・利用者様が独力で行動してベッドから転落したり、施設内を徘徊したりすることを防ぐ機器です。多くのメーカーや代理店から、さまざまな種類の離床センサーが販売されています。
離床センサーは商品によって金額が異なってくるため、価格を知らない状態で業者とやりとりを始めると、必要以上に高価なセンサーを購入させられる危険性も。購入を検討している方は、事前に離床センサーの価格を知っておくことが大切です。
本記事では、2ndLaboで調べられた商品ごとのメーカー発表価格をまとめています。適正な価格や価格を抑えて離床センサーを購入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
離床センサーには、大きく以下の6つの種類があります。
離床センサーの種類 | 特徴 |
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ベッドセンサー | ベッドに仰向けになった時に、肩から腰あたりにかけて敷くタイプのセンサーです。 体を起こして、センサーに体重がかからなくなったことを感知して通知されます。 |
ベッドサイドセンサー | 起き上がる側のベッドの端に敷くタイプのセンサーです。 ベッドセンサーと異なり、ベッド端にあるセンサーに体重が乗ったことを感知して通知されます。 |
マットセンサー (センサーマット) |
床に配置して使用するマットタイプのセンサーです。 ベッド脇に配置してベッドから立ち上がった時や、居室の入り口に配置して居室から出ようとした時に、マットに乗ったことを感知して通知されます。 |
クリップセンサー | センサー本体から伸びたひもの先にクリップが取り付けられているタイプのセンサーです。 クリップを患者様・利用者様の衣服や布団などに取り付け、ベッドから動いた時にひもが引っ張られてセンサーが感知すると通知されます。 |
タッチセンサー | ベッド柵や介助用のバーに取り付けて使用するタイプのセンサーです。 ベッドから起き上がろうとして、ベッド柵や介助用のバーに取り付けられたセンサーに触れると、感知して通知されます。 |
超音波・赤外線センサー | センサーから超音波や赤外線などを出して、動きを感知するタイプのセンサーです。 患者様・利用者様が通過するであろう場所に、センサーから出る超音波や赤外線を配置しておき、通過した時に超音波や赤外線が遮断されたことを感知して通知されます。 |
離床センサーは特徴を踏まえて、状況に適したセンサーの種類を選ぶことが大切です。ここでは、2ndLaboで調べられた離床センサーごとのメーカー発表価格を紹介します。
離床センサーの種類については離床センサー7種類の特徴を解説|利用者の状態や予算にあわせた選び方でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
テクノスジャパン株式会社
商品名 | ベッドコール・コードレス |
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価格 | セット価格:¥107,800(税込) 増設価格:¥66,000(税込) |
特徴 | 厚さわずか6mm センサー裏面に滑り止め加工 動作遅延時間の設定ができる コードレスで気づかれにくい |
商品名 | ベッドコール・ケーブルタイプ |
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価格 | セット価格:¥55,000(税込) 増設価格:¥47,960(税込) ※ベッドセンサー (BS-1) + 2 分岐ハーネス |
特徴 | 厚さわずか6mm センサー裏面に滑り止め加工 動作遅延時間の設定ができる |
株式会社プラッツ
商品名 | 離床センサー |
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価格 | ポータブル受信機に離床を通知するタイプ メーカー希望小売り価格:¥123,200(税込)※センサーマット+受信機 ナースコール連動タイプ メーカー希望小売り価格:¥90,200(税込)※離床センサー(ナースコール連動タイプ)+有線分岐ボックスセット |
特徴 | マットレスの下に設置するストレスの少ない非接触タイプ ベッドの電力を使用できるコンセント不要のDC電源タイプ 人感センサーと併用することで、誤報を減らし確実な離床を感知 |
takex
商品名 | BS-2 BS-3 |
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価格 | ベッドセンサー(幅狭型):¥26,000 ベッドセンサー(標準型):¥40,000 ベッドセンサー変換器:¥32,000 |
特徴 | センサー裏面に滑らない材質を使用 ケプラー繊維が配合されたコードで引っ張りや引きちぎりに耐える センサー両端にあるひも通し穴を使って固定可能 |
ベッドセンサーについては【2023】ベッドセンサー比較10選|他の離床センサーとの違いは?でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
株式会社テクノスジャパン
商品名 | サイドコール・コードレス |
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価格 | セット価格: ¥107,800(税込) 増設価格:¥66,000(税込) |
特徴 | 厚さわずか4mm ベッド周りの作業時に便利な一時停止ボタンあり コードレスで気づかれにくい |
株式会社エクセルエンジニアリング
商品名 | ベッドサイドセンサー |
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価格 | 見張り番ⅡNCセット ベッドサイド:¥60,500(税込) ベッドサイドセンサー単体:¥9,900(税込) |
特徴 | 厚さ1.5mmの薄型パッド オプションでコードを短く変更可能 無線でナースコールに接続できる |
出典:ベッドサイドセンサー - 株式会社エクセルエンジニアリング
takex
商品名 | ベッドコーナーセンサー B-CC |
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価格 | ベッドコーナーセンサー B-CC:¥34,000 |
特徴 | センサー裏面に滑らない材質を使用 ケプラー繊維が配合されたコードで引っ張りや引きちぎりに耐える シート部分は日常防水で、消毒や洗浄ができる |
出典:ベッドコーナーセンサーB-CC|竹中エンジニアリング株式会社
株式会社テクノスジャパン
商品名 | 【ケーブルタイプ】コールマット・徘徊コールⅢ 【コードレスタイプ】コールマット・コードレス |
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価格 | 【ケーブルタイプ】コールマット・徘徊コールⅢ:¥55,000(税込) 【コードレスタイプ】コールマット・コードレス:¥107,800(税込) |
特徴 | センサー裏面に滑り止め加工 折り畳み可能なので、収納や設置が簡単 サイズが異なる複数種類のマットから選べる |
株式会社エクセルエンジニアリング
商品名 | 【ケーブルタイプ】フロアセンサー 有線ナースコール接続セット(Mサイズ) 【コードレスタイプ】フロアセンサー 無線見張り番ⅡNCセット(Mサイズ) |
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価格 | 【ケーブルタイプ】フロアセンサー 有線ナースコール接続セット(Mサイズ):¥53,900(税込) 【コードレスタイプ】フロアセンサー 無線見張り番ⅡNCセット(Mサイズ):¥82,500(税込) |
特徴 | 場所や使い方にあわせてS、M、Lの3サイズから選べる 既存のナースコールに接続して利用可能 厚さわずか4.5cm |
センサーマットについては、「センサーマットとは?|選定ポイントや導入メリットを紹介」でも詳しく取り上げています。参考にしてください。
株式会社ホトロン
商品名 | 体動コール うーご君 |
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価格 | セット標準価格:¥73,800(税抜) うーご君(センサー本体):¥11,400(税抜) 装着ひも:¥2,400(税抜) 送信機:¥25,000(税抜) 受信機:¥35,000(税抜) |
特徴 | ベッドだけではなく、トイレにも設置可能 ワイヤレス化できるため、コードによるつまずきや断線を防げる 小型で設置が簡単なコストパフォーマンスに優れた商品 |
クリップセンサーについては、「おすすめのクリップセンサー4選|価格や仕組み、選び方も解説」でも詳しく取り上げています。参考にしてください。
株式会社メディカルプロジェクト
商品名 | ベッド柵センサー Mサイズ(ナースコール連動タイプ) ベッド柵センサー Sサイズ(ナースコール連動タイプ) ワイヤレスベッド柵センサー Mサイズ ワイヤレスベッド柵センサー S サイズ (介助バー用) |
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価格 | ベッド柵センサー Mサイズ(ナースコール連動タイプ):¥30,000(税別) ベッド柵センサー Sサイズ(ナースコール連動タイプ):¥28,000(税別) ワイヤレスベッド柵センサー Mサイズ:¥45,000(税別) ワイヤレスベッド柵センサー S サイズ (介助バー用):¥43,000(税別) |
特徴 | ベッド柵のサイズにあわせたセンサーを用意 ワイヤレスであるため、センサーにコード無し ナースコールに連動して通知 |
株式会社テクノスジャパン
商品名 | タッチコールN・スマート |
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価格 | タッチコールN・スマート:¥132,000(税込) |
特徴 | 持ち運びができる高性能で高耐久な受信機 通知の到達距離は約80m(見通し) 通知が履歴として残る履歴表示機能あり |
出典:タッチコールN・スマート
竹中エンジニアリング株式会社
商品名 | 徘徊お知らせ感知くんワイヤレス卓上型受信機 |
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価格 | 徘徊お知らせ感知くんワイヤレス卓上型受信機:¥71,500(税込) |
特徴 | 徘徊の動きをキャッチすると100m以内に設置した受信機に通知 電池式であるため、配線工事、電源確保不要 電池寿命は約3年(100回/1日の送信回数として) |
株式会社テクノスジャパン
商品名 | 徘徊ナビ(クリップセンサー)・名札・ポケット |
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価格 | 徘徊ナビ(クリップセンサー)・名札・ポケット:¥90,000(税抜) |
特徴 | タグ装着者がナビモニターに近づくと専用受信機で知らせる タグは手首に巻く、名札、車椅子に取り付けられる3つのタイプ 検知距離は5段階の設定が可能 |
出典:徘徊ナビ
商品名 | コードレス超音波・赤外線センサー 超音波・赤外線コール |
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価格 | コードレス超音波・赤外線センサー:¥63,800(税込) 超音波・赤外線コール:¥107,800(税込) |
特徴 | 超音波と赤外線の両方を備えた高性能なセンサー 取り付け場所にあわせて3種類の取り付け方法を用意 検知距離は3段階から設定可能 |
出典:超音波・赤外線コール
ハカルプラス株式会社
商品名 | CAREai ライトシリーズ 簡単モデルセット |
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価格 | CAREai ライトシリーズ 簡単モデルセット:¥88,000(税込) |
特徴 | シンプルなモデルで在宅や小規模な施設に最適 各機器の番号をあわせるだけの簡単設定 センサー周辺で作業する時に重宝する一時停止機能 |
赤外線センサーについては介護施設で使われる赤外線センサー徹底解説|徘徊検知で夜間見回り負担を軽減でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
最後に予算に合わせた離床センサーの選び方についてです。
同じタイプの離床センサーでもメーカーによって価格は異なります。また、離床センサーのタイプやセンサーパッドの大きさによって価格相場が異なるため、各社の商品を比較検討すると良いでしょう。必要な離床センサーの種類と台数を事前に明確にしておくと、予算に合わせた商品選びがスムーズに行えるかもしれません。
離床センサーの種類と価格帯
ベッドセンサー | 44,000円~180,000円 |
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ベッドサイドセンサー | 38,000円~180,000円 |
マットセンサー | 33,000円~180,000円 |
タッチセンサー | 41,000円~170,000円 |
ピローセンサー | 50,000円~120,000円 |
超音波・赤外線センサー | 20,000円~120,000円 |
クリップセンサー | 20,000円~40,000円 |
例えば購入価格は安いが壊れやすく頻繁な交換が必要なものなど、どの商品にも必ずメリット・デメリットがあり、潜在価値は購入価格だけでは判断できません。具体的な商品を比較してかかる費用を総合的に判断して、施設に合った製品を選択することが重要です。
また、介護現場の人手不足対策や負担軽減のため、国は以前から介護施設などへの介護ロボット導入の支援事業を行っており、離床センサーのような見守り設備に補助金がでる可能性があります。
各都道府県に設置される支援地域医療介護総合確保基金が財源となっており、令和2年度にその支援内容が拡大されました。
「見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備」に関しては、1事業所あたり750万円を上限に費用の半分程度が補助されます。対象となる製品は、経済産業省が行う「ロボット介護機器開発・標準化事業(ロボット介護機器開発・導入促進事業)」において採択された介護ロボットに限るなど、各都道府県により内容やルールが異なるため、利用をご検討の方は、お住いの地域の内容をご確認ください。
参考:地域医療介護総合確保基金を活用した介護ロボットの導入支援|厚生労働省
参考:経済産業省/AMEDロボット介護機器開発・導入促進事業製品化機器一覧
さらに、自宅で認知症の方を介護されている場合、介護保険の福祉用具貸与の1つとして「認知症老人徘徊感知器」があります。要介護2〜5の方が貸与の対象で、離床センサーと同等の見守り装置をレンタルし、自宅で安価に利用できる可能性があります。
このように、国の制度を利用することで導入の補助をしてもらえるケースもあるので、導入前の情報収集が重要です。
離床センサーの種類だけでなく、「通知方法」と「ケーブルの有無」にも選択肢があります。
「通知方法」には、ナースコールで受信するタイプと専用受信機で受信するタイプがあり、導入施設の既存設備や規模によって選択が可能です。専用受信のタイプであれば、ナースコール設備のない、小規模の施設あるいは在宅でも導入することが可能です。
「ケーブルの有無」に関しては、ベッドセンサーやマットセンサータイプの離床センサーは、多くの場合ケーブル式とコードレス式を選択できます。コードレス式タイプのメリットとしては、ケーブル類が多くなりがちなベッド周囲の環境を改善できることや、利用者がケーブルに引っ掛かって起こる転倒などの事故を防止できることです。反対にデメリットとしては、ケーブル式と比較して初期費用が高くなることが多いため、予算に合わせた選択が必要となります。
利用者の状態や転倒・転落リスクを把握する上で、重要となるキーワードは「①安静度」「②身体機能」「③認知機能」です。
まず安静度に関しては、利用者がどの程度動いても良い病態であるかということです。
絶対安静が必要な利用者の場合には、少しの動きも敏感に検知する必要があるため、「ピローセンサー」や「超音波・赤外線センサー」が適しています。起き上がりを未然に防ぐのに有効な離床センサーで、利用者の安静を守ることが可能です。
安静度に特に制限がない場合は、以下の身体機能や認知機能に合わせてセンサーを選択していきます。
次に、身体機能に応じた離床センサーの選択方法です。身体機能を簡単にチェックするポイントとして、以下の4点が挙げられます。
下の項目に行くほど、動作の難易度は上がり、必要とされる身体機能は高くなります。
「①起き上がり動作」で、仮に一人で起き上がりが出来ない場合、転倒・転落のリスクは低いため離床センサーは不要となります。ただし、一日の中で可能な動作に変化がある方もおられるため、時間を変えて何度か確認した方が確実です。
起き上がりが可能であっても、「②座位保持」で座位が安定していなければ、座る途中あるいは座ってから転落する可能性があります。そのため、座位が安定しない利用者に対しては、起き上がり動作を検知できる「ベッドセンサー」や「クリップセンサー」が有効です。
座位は安定しているが、「③立位保持」で、支持物がないと立位が安定しない場合は、起立動作を検知する必要があります。これに対しては、起立時の転倒を未然に防ぐことができる「タッチセンサー」や「マットセンサー」で有効です。
立位が支持物なしで安定しており、「④足踏み動作」も支持物なしでふらつくことなく出来る場合は、歩行が安定して行える可能性が高いため、離床センサーが不要になる場合が多いです。実際の歩行場面を観察し、離床センサーの必要性について複数人で検討するとよいでしょう。
このように簡単な動作観察を行うだけでも、離床センサー選びの一助になりますので、ぜひ試してみてください。
もう一つ重要なことは、利用者の認知機能です。認知症機能の低下があると、徘徊や危険行動をとってしまう場合があります。また、ご自身の身体機能を適切に認識できず、無理な動作を行い転倒・転落が生じるケースも実際に多いです。
このような認知症を有する利用者に対しては、徘徊を検知できる「マットセンサー」、「ベッドサイドセンサー」、「超音波・赤外線センサー」が有効と考えられます。
認知症患者さんの動作には予測できないものも多いですが、利用者ごとの行動パターンに合わせてセンサーの配置場所を検討し、予測可能な事故は未然に防ぐ努力を怠らない取り組みが重要だと思います。
離床センサーの種類や価格を紹介しました。離床センサーは、患者様や利用者様の転落や徘徊を防いで、安全を守る機器です。対象となる方や状況にあわせた商品が数多く販売されており、購入費用もピンからキリまであります。
必要な離床センサーを見極めて、適切な商品を購入するようにしましょう。離床センサーの購入を検討している方は、本記事を参考にしてみてください。