ここ数年、食事提供に完調品(完全調理済み食品)を利用する介護施設が増えています。完調品の導入を検討されている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、こんな疑問にお答えすべく、介護施設が完調品を導入する際に発生する費用面について掘り下げて紹介します。完調品の効率的な運用により、食事提供にともなう費用を大幅に削減できる可能性があります。完調品にご関心を持たれている方は、ぜひ本記事を参考に完調品の利用を検討してみてください。
完調品(完全調理済み食品)とは、加熱や下処理が済んだ状態で納品され、盛り付けや温めるだけで提供できる食事のことです。
施設内での調理工程を大幅に削減できるため、調理員の負担軽減、調理時間の短縮、そして人件費の削減につながります。また、食材のロスが少なく、衛生管理もしやすいというメリットがあります。メニューも豊富で、常食から刻み食、ミキサー食まで多様な食事形態に対応できるため、個別の栄養管理が必要な利用者さんにも適しています。
完調品については【介護向け】完全調理品(完調品)メーカーおすすめ5選|メリットや選び方で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
完調品(完全調理済み食品)を導入する際にかかる費用について、4つの主要なコストに分けて説明します。
完調品を導入する際に必要となる機材は、調理方法によって異なります。湯煎で温める場合、特別な調理機材は不要です。完調品をパックのまま大型の鍋や釜に入れ、お湯で温めて提供します。スチームコンベクションオーブン(スチコン)や再加熱機などの専門機器を用いることも可能ですが、その場合、初期費用は高くなります。
スチコンについては【2024】スチコンメーカー比較6選|価格や機能を徹底比較で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
再加熱カートについては再加熱カート12選徹底比較|使い方や特徴、導入メリットまで解説で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
完調品の食材費は、施設内で食材を仕入れて調理する場合よりも高くなる傾向があります。これは、下処理や調理にかかる手間賃が商品の価格に上乗せされているためです。しかし、食材の廃棄ロスを削減できるため、結果的にコスト削減につながる可能性もあります。
HPで料金が公開されている完調品メーカーの情報を一覧にまとめました。食材の種類(通常食、ソフト食等)、配送方法(冷蔵or冷凍)などによっても料金は変わってきます。800円~900円(1日3食)程度で値段設定をしている企業が多いです。
サービス名 | 料金 |
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おたっしゃごぜん 名鉄協商株式会社 |
おたっしゃフリーズ 昼食 210円 昼食/夕食 320円 ※18~29名様の場合 おたっしゃチルド 朝食 225円 昼食/夕食 310円 おたっしゃクック 昼食 190円 昼食/夕食 335円 |
ゆとり御膳 株式会社日米クック |
朝食 200円 昼食/夕食 310円 |
まごの手キッチン グローバルキッチン株式会社 |
朝食 154円~ 昼食/夕食 280円~ ※1日714円~導入可能 |
E-TABLE E-TABLE株式会社 |
朝食 190円 昼食/夕食 320円~ |
完調品は温めるだけで提供できるため、調理員の作業が大幅に減り、人件費の削減が期待できます。調理師の資格を持つ専門性の高いスタッフを多く配置する必要がなくなるため、採用や人件費の管理が容易になります。
スタッフの熟練度や、施設での運用状況にもよりますが、それぞれの施設規模で一度の食事提供に必要なスタッフの人数を表にまとめました。
20人規模の施設 | 1名 |
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50人規模の施設 | 2名 |
100人規模の施設 | 3~4名 |
完調品を利用することで、調理に必要な光熱費(電気・ガス代)や、食器・調理器具の洗浄に使う水道代、洗剤などの諸経費を抑えることができます。また、厨房機器の老朽化も遅らせることができ、買い替えやメンテナンスにかかる費用を削減することにもつながります。
コスト削減を目的に完調品の導入を検討されている方もいることでしょう。この問いへの答えは施設での運用状況によります。先述の通り食材費は施設内で調理をする場合よりも高くなります。そのため、効率的な運用が出来ていない場合、思っていた以上にコスト削減につながらない事態も考えられます。しかし、完調品の運用に慣れていくにつれて、運用コストは確実に削減されていきます。
最後に代表的な完調品メーカー3社をご紹介します。それぞれ異なる特徴の完調品メーカーなので、食事の種類や配送方法に注目して確認してみましょう。
クックパックは高齢者施設さま専用の完全調理済み食材です。カレーや麺類、丼など多彩なメニューを取り揃えています。通常食の他にも各治療食(治療食、介護食、アレルギー対応)に対応可能。再加熱機を利用することで、話題のニュークックチルにも対応できます。クックパックを導入すると、栄養管理サービス「カロリーfam」を無料で利用することができる点も嬉しいポイントです。
食事の種類 | 常食/荒きざみ食・極小食/ミキサー食・ムース食 |
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料金 | 要お問い合わせ |
名鉄協商では3つのタイプのクックチルを取り扱っています。お客様のお悩みにあわせて、特徴の異なる3つのタイプのクックチルから提案出来る点が名鉄協商の強みです。複数のメーカーとやりとりする手間を省き、3タイプを一度にまとめて商談・試食(無料)を行うことも可能です。
食事の種類 |
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料金 | 下記の表に記載の通り |
料金表
食事の種類 | 朝食 | 昼食/夕食 |
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おたっしゃフリーズ | 18〜29名様 210円/1食 30名様以上〜 190円/1食 |
18〜29名様 190円/1食 30名様以上〜 300円/1食 |
おたっしゃチルド | 225円/1食 | 310円/1食 |
おたっしゃクック | 190円/1食 | 335円/1食 |
クックデリは高齢者施設向けの完全調理済み冷凍食品です。1日18万食を毎日出荷しており、全国約6,000施設にお届けしています(2025年5月時点)。クックデリの食品はプロの料理研究家の監修のもと作られています。献立は全て管理栄養士が栄養価計算を行い、バランスを考えながら作成しています。完食のよろこびを味わっていただける分量にも配慮しています。
食事の種類 | 普通食/ミキサー食/ソフト食 |
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料金 | 要お問い合わせ |
本記事では完調品の費用面に焦点を当てて紹介してきました。完調品導入で発生するコストは食材費だけではありません。食事提供に必要な調理員が何人必要なのか、設備投資は必要なのか等、導入検討時に検討すべきことは多いです。少しでも完調品に関心を持たれている方は、ぜひ実際に完調品メーカーにお問い合わせをして、運用コストを確認してみましょう。
完調品については【介護向け】完全調理品(完調品)メーカーおすすめ5選|メリットや選び方で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。