介護施設の運営を行っていく中で、業務を円滑に進めるために介護ソフトを導入することは珍しくありません。介護ソフトを購入した場合は、適切に仕訳をして記帳する必要があります。
しかしながら、介護ソフトにどの勘定科目を用いるべきなのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、介護ソフトの勘定科目や具体的な仕訳例をご紹介します。
使用するべき勘定科目は製品のタイプや購入費用によって異なるため、ポイントを押さえたうえで仕訳することが大切です。施設の経理担当者の方は、本記事を参考にしてみてください。
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まずは、介護ソフトの仕訳をするにあたって押さえておきたいポイントをご紹介します。
介護ソフトの仕訳については、法律や規則によって明確に決められているわけではありません。どの勘定科目を使うかは、組織によってさまざまです。
しかし、財務諸表の信頼性を高めるためにも、介護ソフトの分類について組織内で一貫したルールを決めておくことをおすすめします。
たとえば、いちどパッケージ型の介護ソフトを「ソフトウェア」に分類したら、以降も同じ勘定科目を使用してください。
介護ソフトの勘定科目は、「ソフトウェア」、「消耗品費」、「通信費」のいずれかにするのが一般的です。介護ソフトのタイプや購入金額によってどの勘定科目を使用するかが決まるため、注意しましょう。
詳しくは、「介護ソフトに用いる勘定科目」の項目をご覧ください。
介護ソフトのうち減価償却の対象となるのは、10万円以上で購入したパッケージ型ソフトです。 後述しますが、10万円以上の製品は「ソフトウェア」として無形固定資産に分類されるため、期末に減価償却費を計上します。
ほかの無形固定資産と同じように、介護ソフトの減価償却は直接法で行ってください。 たとえば、企業の買収の際に発生する「のれん」は、「ソフトウェア」と同様に無形固定資産として扱われます。 「のれん」を減価償却する際は、借方に「のれん償却」、貸方に「のれん」と書き、「のれん」の帳簿価額を直接減らすのが基本です。
介護ソフトについても同じように記帳を行ってください。 「のれん」の例にならって、「ソフトウェア」勘定の帳簿価額を減らし、費用を「ソフトウェア償却」で処理します。 これに対して、建物や備品のような有形固定資産だと、「建物減価償却累計額」などの勘定を用いて間接法で処理するのが一般的です。
しかし、介護ソフトは無形固定資産ですので、間違って間接法で記帳しないようにしましょう。 なお、クラウド型の会計ソフトや10万円未満のパッケージ型ソフトは無形固定資産として扱わないため、減価償却は行いません。
介護ソフトは大きく分けて、「パッケージ型(買い切り型)」と「クラウド型(ASP型)」の2種類です。 どの勘定科目を使用するかは、介護ソフトのタイプによって異なります。
パッケージ型(買い切り型)の介護ソフトは、製品を購入してパソコンにソフトウェアをインストールする形で使用します。記帳する際に用いる勘定科目は、「消耗品費」か「ソフトウェア」です。 どちらを使用するかは、介護ソフトの購入価格によって決まります。
一般的に、パッケージ型介護ソフトの購入価格が10万円未満なら、「消耗品費」の勘定科目を用います。 カスタマイズにかかる追加費用など、ソフトウェアを導入する際に必要な諸費用もまとめて消耗品費にしてください。 費用として処理するため、減価償却は行いません。
パッケージ型介護ソフトを10万円以上で購入した場合、無形固定資産として扱うのが一般的です。 勘定科目は「ソフトウェア」を使用しましょう。
なお、介護ソフトを無形固定資産に分類する関係上、期末に減価償却の決算整理仕訳を行う必要があります。 前述の通り、「ソフトウェア償却」の勘定科目を使用して直接法で処理してください。
クラウド型(ASP型)はパッケージ型と異なり、毎月または毎年一定の料金を支払いながらサービスを利用するのが基本です。 月額か年額のプランで契約することで、サービスの利用を開始できます。
サービスを利用するのに必要な金額は、費用として処理してください。
クラウド型(ASP型)介護ソフトの利用にかかった費用は、「通信費」に分類されます。 また、「雑費」として処理しても問題ありません。 ただし、いちど「雑費」に分類したら、その後も同じ勘定科目で統一しましょう。
クラウド型(ASP型)介護ソフトの勘定科目には「通信費」を用いるため、支払い料金を経費に計上できます。 介護ソフトを利用することで、節税につなげることが可能です。 施設担当者の方は覚えておきましょう。
ここからはパッケージ型とクラウド型、それぞれの仕訳例を見ていきます。実際に記帳する際、ぜひ参考にしてみてください。
前述したように、パッケージ型介護ソフトに用いる勘定科目は、製品の購入金額によって異なります。 そのため、仕訳方法も2パターンに分かれます。
パッケージ型介護ソフトの購入金額が10万円以上だと、無形固定資産に分類されます。仕訳を行う際は「ソフトウェア」勘定を用いてください。製品購入時の仕訳は下記の通りです。
日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
4月1日 | ソフトウェア | 200,000 | 当座預金 | 200,000 | パッケージ型介護ソフト購入 |
また、介護ソフトの減価償却は直接法で行います。以下のように「ソフトウェア」勘定の帳簿価額を減らしてください。
日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
3月31日 | ソフトウェア償却 | 40,000 | ソフトウェア | 40,000 | 介護ソフトの減価償却 |
10万円未満のパッケージ型介護ソフトには、「消耗品費」勘定を用います。 製品を購入したら、以下のように費用を計上しましょう
日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
4月1日 | 消耗品費 | 50,000 | 当座預金 | 50,000 | パッケージ型介護ソフト購入 |
クラウド型介護ソフトの料金を支払う際には、「通信費」を計上します。月額制のサービスなら、毎月仕訳を行いましょう。特に複雑な処理をしなければならないわけではありません。実際の仕訳例は下記の通りです。
日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
4月1日 | 通信費 | 5,000 | 当座預金 | 5,000 | クラウド型介護ソフトの支払い |
介護ソフトの購入費用や月額料金だけでなく、業者によるサポート料が発生する場合もあります。 このように業者のサポートを受けたときには、「諸会費」や「支払手数料」で処理することが多いです。 以下のように仕訳を行いましょう。
日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
4月1日 | 諸会費 | 5,000 | 当座預金 | 5,000 | 介護ソフトのサポート料金 |
なお、介護ソフトの購入に際して発生したサポート料は、全額購入費に含めます。 つまり、「消耗品費」や「ソフトウェア」としてまとめて記帳してください。 クラウド型介護ソフトの月額料金にサポート料が入っている場合も同様です。
介護ソフトの勘定科目は、製品がパッケージ型かクラウド型かによって異なります。パッケージ型で購入金額が10万円未満なら「消耗品費」、10万円以上なら「ソフトウェア」に分類するのが一般的です。
また、クラウド型介護ソフトには「通信費」勘定を用います。介護ソフトの勘定科目を把握し、適切に仕訳を行いましょう。
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