ケアプランデータ連携システムとは?必要な準備や対応ソフトを解説

更新日 2023.04.04
投稿者:豊田 裕史

ケアプランデータ連携システムがいよいよ令和5年4月から本格稼働となっています。稼働開始に向け、何からどう準備を進めれば良いのか迷っている方も少なくありません。そもそも「ケアプランデータ連携システムとは?」という基本的なところから知りたい方も多いことでしょう。

当記事では、ケアプランデータ連携システムの概要から準備手順を解説していきます。おすすめの対応ソフトも紹介していきますので、これからケアプランデータ連携システムの準備を始めようとお考えの方はぜひ参考にしてください。

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ケアプランデータ連携システムとは?

ケアプランデータ連携システムとは、令和5年4月から本格稼働されるシステムのことです。運営するのは「公益社団法人 国民健康保険中央会」ですが、厚生労働省が協力して取り組みを行っていきます。

現在、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所はファックスや手渡しといった方法で、データの送受信を行っているのが一般的です。

この紙ベースで運用している書類をデータ化するためのシステムが「ケアプランデータ連携システム」なのです。ライセンス料金は1事業所あたり年間21,000円(税込)で、対象書類は下記の3種類になります。

  • 居宅サービス計画書(第1表、第2表)
  • サービス提供票(予定)(第6表、第7表)
  • サービス提供票(実績)(第6表、第7表)

これまでは、事業所によって使用している介護ソフトが違っていたため連携が困難でしたが、厚生労働省がルールを決めたことでどの介護ソフトを使っていても連携できるようになりました。

ケアプランデータ連携システムの導入のメリット・期待される効果

ケアプランデータ連携システムを導入するメリットは下記の通りです。

  • 紙の手渡しや郵送の手間が減る
  • 転記ミスが減り返戻リスクを大幅に削減できる
  • データ管理により文書管理が楽になる
  • 人件費、印刷費、郵送費などさまざまな経費を削減できる

ここからは、それぞれのメリットについて具体的に解説していきます。

共有にかかる時間が従来の3分の1に

厚生労働省の調査によると、ケアプランデータ連携システムを利用するとケアプランの共有にかかる時間が従来の3分の1に軽減されるという結果が出ています。これまでは、居宅介護支援事業所が介護ソフトを使って、ケアプランやサービス提供票を作成していました。

そして、作成した書類を印刷して、取引先の介護サービス事業者やファックスや郵送、手渡しで届けるので一定の時間がかかっていたのです。その後、介護サービス事業所は受け取ったサービス提供票を確認しながら、サービス実績票を作成して返送します。

今度はそのサービス実績票を見て、居宅介護支援事業所が利用者ごとの実績を登録して国保連へ提出する請求書を作成しなければなりません。

このように、紙ベースでの運用は、やり取りにかなりの時間と手間がかかってきました。ケアプランデータ連携システムならデータでやり取りができるので、共有にかかる時間を3分の1に削減できるのです。

出典:厚生労働省「介護保険最新情報」

年間81万円のコスト削減に

厚生労働省の試算では、ケアプランデータ連携システムを導入することで年間81万円以上のコストを削減できると言われています。そのうち、約74万円以上が人件費の削減です。

もともと人手不足が深刻な問題となっている介護業界において、少ない人手で運営ができるのはコスト削減以上に大きなメリットといえるでしょう。人件費以外にも、印刷費や郵送費、交通費、FAXによる通信費が削減できます。

人件費以外のコストとしては、年間約7万円の費用が抑えられるという結果になっています。ケアプランデータ連携システムのライセンス料は年間21,000円かかりますが、長期的に見るとそれ以上に大きな利益を得ることができるといえるでしょう。

出典:厚生労働省「介護保険最新情報」

事務作業の負担が減りケアの質が向上

最後のメリットは「事務作業の負担が減りケアの質が向上」するという点です。これまで患者さんのケアに加え、書類の作成や印刷、郵送の準備などで従業員にはかなりの負担が生じていました。

実際にケアマネージャーの多くが、書類作成や手続きの煩雑さにストレスを抱えています。書類が溜まっていくことでケアマネージャーや介護関係者の余裕がなくなり、ケアの質が下がってしまう結果にもなりかねません。

ケアプランデータ連携システムの導入で事務負担が減ることで患者さんのケアに時間をかけられるようになるため、ケアの質が良くなり顧客満足度の向上にもつながるでしょう。さらに、従業員が残業する時間が減るので、事業所の残業代を大幅に削減できます。

ケアプランデータ連携システムを利用するために必要な準備

ここからは、ケアプランデータ連携システムを利用するために必要な準備を解説していきます。何から手を付けて良いか分からないという方は、ぜひ参考にしてください。

ケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフト

まずは「ケアプランデータ連携システム」に対応できる介護ソフトを用意しましょう。介護ソフトの種類に制限はありませんが、厚生労働省のケアプラン標準仕様に対応している製品でなくてはなりません。

さらに、介護支援事業所と介護サービス事業所のどちらもが、ケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフトを用意する必要があります。これから介護ソフトを導入しようとお考えの方は、ケアプランデータ連携システムに対応できるかどうかを事前にチェックしておくようにしましょう。

基準を満たしたパソコン

介護ソフトを使うためには、インターネットに接続したパソコンが必要になります。パソコンはWindows10以降のものと規定されています。パソコンに国保中央会のWEBサイトから、クライアントソフトをダウンロードしましょう。

1事業所1端末にクライアントソフトをインストールして、利用することになります。事業所にある複数台のパソコンにインストールして使用することはできませんので、注意しましょう。なお、利用登録は送信側と受信側の双方が行う必要があります。

電子証明書

最後に必要なものは「電子証明書」です。介護給付費の請求を行うにあたり、電子証明書が必要になります。既に電子証明書を所有している事業所であれば、ケアプランデータ連携システム専用の電子証明書を新たに取得する必要はありません。

もし電子証明書を持っていない場合は、「電子請求受付システム」のサイトでケアプランデータ連携システム用の電子証明書の発行申請をしておきましょう。発行手数料は無料なので、早めの申請をおすすめします。

ケアプランデータ連携システムの利用料金

ケアプランデータ連携システムのライセンス料は、消費税込みで年間21,000円です。1事業所あたり番号が振り分けられ、その番号ごとにライセンス料がかかります。たとえば、複数事業所を運営している施設の場合は、それぞれの事業所に21,000円がかかるので注意しましょう。

ライセンスの有効期限は1年間です。1年間ごとの契約となり、使用する年数に応じてライセンス料が加算されます。支払い方法は国保連合会に請求する介護給付費から差し引かれるのが原則ですが、希望があれば請求書送付による口座振り込みも可能です。

ケアプランデータ連携システムの利用の流れ

ここからは、ケアプランデータ連携システムの利用の流れを解説していきます。まずは、ケアプランデータ連携システムのウェブサイトから利用申請を行います。利用申請の受付は、令和5年4月1日から開始予定です。

ケアプランデータ連携システムの利用の流れの利用申請と同時に、電子証明書を持っていない方は電子証明書の利用申請も行っておきましょう。次に、クライアントソフトを事業所のパソコンにインストールしましょう。

クライアントソフトは令和5年4月14日以降にインストールできるようになります。上記の流れを行なっておくことで、令和5年4月20日の稼働からシステムの送受信が可能です。本稼働までの日数はあまり余裕がありませんので、早めに申請をしておきましょう。

ケアプランデータ連携システムに対応したおすすめの介護ソフト

ここからは、ケアプランデータ連携システムに対応したおすすめの介護ソフトを紹介していきます。それぞれのソフトで特徴や価格が異なりますので、比較する際の参考にしてください。

カイポケ|株式会社エス・エム・エス

カイポケ|株式会社エス・エム・エス

出典:カイポケ|株式会社エス・エム・エス https://ads.kaipoke.biz/

カイポケは介護保険請求や経営支援をサポートする介護ソフトです。居宅介護や通所介護だけでなく、訪問看護や児童発達支援や放課後等デイサービスにも対応しています。現在、他の介護ソフトを利用している事業所でも、データの移行を専属スタッフが代行してくれるので安心です。

さらに、今なら最大36ヶ月の無料お試し期間があります。無料期間中でも通常と同じサポートを利用可能です。また、一度入力した情報はクラウド上に保管され、必要書類へ連携されるので同じ情報を転記する必要がありません。

カイポケ|株式会社エス・エム・エスの比較ポイント

  • ボタン一つで国保連請求や利用者請求を自動作成
  • タブレットやスマホで作成した記録がソフトに連携
  • 会計や勤怠管理、給与計算など豊富な支援機能付き

製品情報

対応サービス 通所介護、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援、児童発達支援など
利用料金 基本料金1,000円~/月
利用形態 クラウド型
導入実績 42,850事業所以上

株式会社コンダクト

株式会社コンダクト

出典:株式会社コンダクト https://www.conduct.co.jp/lineup/flowers-next/

株式会社コンダクトから提供されているフラワーズ・ネクストは、1992 年に初めてリリースされました。それ以降、法改正や機能追加を繰り返し、使いやすいシンプルな介護レセプトソフトとして多くの事業所に使用されています。記録システム、LIFE、課題分析標準 23 項目に対応したアセスメントなど拡張性もあり、事業所に適したシステムを組み立てられます。

サポートセンターには介護保険制度に精通した専門スタッフが揃っているので、安心してサポートが受けられます。

株式会社コンダクトの比較ポイント

  • 6,000事業所以上の導入実績による安心感
  • クラウド版とパッケージ版から業務スタイルに合わせて選択可能
  • 記録システムと実績連携し、保険請求までトータルでサポート

製品情報

対応サービス 居宅介護支援事業所、訪問看護、訪問介護、通所介護、介護施設など
利用料金 要問合せ
利用形態 クラウド版・パッケージ版
導入実績 6,000事業所以上

エヌ・デーソフトウェア株式会社

エヌ・デーソフトウェア株式会社

出典:エヌ・デーソフトウェア株式会社 https://www.ndsoft.jp/product/next/

ほのぼのNEXTは業界トップのシェア率を誇る介護業務支援ソフトで、全国72,000以上の事業所で利用されています。科学的介護情報システムLIFEに完全対応しており、LIFE加算はもちろんLIFEへの提出データの出力や帳票印刷も可能です。

また、介護保険や財務、給与などラインナップが充実しているのも「ほのぼのNEXT」の特徴です。音声入浴やネックスピーカーによるデジタルインカム、AIケアプランといった、最新技術も多数搭載されています。

エヌ・デーソフトウェア株式会社の比較ポイント

  • 介護事務管理士の知識を持ったスタッフによる万全のサポート体制
  • 介護報酬改定も追加料金なしでアップデート可能
  • さまざまなデバイスと連携して記録のICT化を支援

製品情報

対応サービス 介護事業、障がい福祉など
利用料金 要問合せ
利用形態 クラウド
導入実績 72,000事業所以上

株式会社日本コンピュータコンサルタント

株式会社日本コンピュータコンサルタント

出典:株式会社日本コンピュータコンサルタント https://kaisyuf.jp/

「介舟ファミリー」は「画面が見やすい」「操作が分かりやすい」といった口コミの多い、シンプルな画面が特徴の介護ソフトです。分かりやすい操作性で、パソコンが苦手なスタッフでも簡単に使用できるようになるでしょう。

また、既に利用中のソフトがある場合でも、データ移行の対応をしてくれるので安心です。初期の操作説明だけでなく、初めての請求では遠隔や訪問で、担当者と一緒に請求データの作成から送信までを行ってくれる万全のサポート体制が整っています。

株式会社日本コンピュータコンサルタントの比較ポイント

  • タブレットやスマホで記録できるので外出先でも使用可能
  • 無料体験も可能
  • 自動アップデートされるのでバージョンアップ作業は不要

製品情報

対応サービス 居宅介護支援、訪問介護、通所介護、計画相談支援
障がい者居宅、障害児通所サービスなど
利用料金 要問合せ
利用形態 クラウド
導入実績 要問合せ

株式会社ワイズマン

株式会社ワイズマン

出典:株式会社ワイズマン https://www.wiseman.co.jp/

株式会社ワイズマンは業界のパイオニアとして、豊富なノウハウを活かした介護ソフトを提供しています。全国トップクラスの導入実績で、スピーディで快適な介護保険業務が可能です。請求処理や集計資料の出力だけでなく、タブレットを活用したケア記録など業務全般に対応しています。

また、事業所が増える場合でもインターネット環境があれば、引き続きシステムを利用することが可能です。バージョンアップやバックアップなどのメンテナンス作業も不要なので、運用の手間や時間を削減できます。

株式会社ワイズマンの比較ポイント

  • 介護保険サービスをトータルサポートするパッケージシステム
  • お客様の運用やニーズに合わせて導入が可能
  • ニーズに合わせたセミナーを開催

製品情報

対応サービス 居宅介護支援、在宅介護、訪問
通所、特定施設、障害福祉など
利用料金 要問合せ
利用形態 要問合せ
導入実績 要問合せ

ICT導入補助金事業の拡充も

今後、ICT導入補助金事業は拡充される予定です。厚生労働省は介護事業に対し、137億円の予算案を出しています。

予算の中には外国人介護人材の雇用サポートや、介護生産性の向上推進に加えてケアプラン連携システム対応の介護ソフトなどICT化に向けたツールの導入支援も含まれています。

ただし、ケアプラン連携標準仕様を実装していない介護ソフトは対象外となるので、注意しましょう。さらに、介護ソフトをアップデートする際の費用についても、補助上限額の増額が決定しています。具体的な増額費用については、各都道府県のホームページを確認するようにしましょう。

出典:令和4年度予算案の概要(老健局)

まとめ

令和5年度から本格稼働がスタートするケアプランデータ連携システムについて、概要やおすすめの介護ソフトを紹介してきました。介護事業にケアプランデータ連携システムを導入することで、コスト削減や事務作業時間の短縮などさまざまなメリットを得ることができます。

ライセンス利用料はかかりますが、長期的な目で見るとはるかにコストは削減できます。ぜひケアプラン連携システムに対応している介護ソフトを導入するようにしましょう。ただし、さまざまな介護ソフトがあるため、比較しながら自分たちの施設に合った製品を選んでください。

介護ソフトについては【2023年版】おすすめ介護ソフト22製品を徹底比較|選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

介護ソフト選びの専門知識・時間がない方

コンシェルジュが代わりに探してご案内します!

業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリなメーカー・製品をご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。相場観や補助金情報などのご質問にもお答えします。


セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.

URL:https://twitter.com/toyoda_2ndLabo

セカンドラボ株式会社の社員。前職では都内近郊の医療機関を中心に医療機器の営業。日々、医療福祉施設向けの製品やサービス、企業の調査研究を行っています。


フリーランスWEBライター

URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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