自動精算機の導入価格の相場は200万円〜450万円、ランニングコストはおよそ5万円が相場と高額です。しかし、高額にもかかわらず医療業界では病院だけではなく、個人医院や歯科にも導入が進んでいます。
その理由は会計を行うスタッフの負担軽減と、会計をスピーディーに済ませたい患者様の利便性が相まって需要が高まっているからです。
今回は、自動精算機の価格相場から導入コストを抑える方法まで紹介します。押さえるべき機種選びのポイントとおすすめ機種も解説するので、最後までお読みください。
自動精算機とは、物を買ったりサービスを受けたりして対価を支払うときに、人の手を介さずに会計を行える設備のことです。自動精算機を使うとクリニックでの導線が変わります。
電子カルテやレセコンで診療の情報を入力すると支払い情報が送信され、診察券や受付票のバーコードをかざすだけで支払金額が表示されます。患者様がお金を投入すると、領収書や医療明細書を発行し、おつりがある場合は自動計算してお釣りを吐き出してくれます。
現金以外にもクレジットカードや電子マネー・バーコード決済などで支払いができるようになれば、スピーディーな会計も可能です。
自動精算機の普及が進んでいるのは、診療時間後のレジ締めの業務の効率化、窓口スタッフの人手不足の解消・コロナ禍で混雑緩和やお金の受け渡しの非接触化が進んだことが背景にあります。
自動精算機は、「クリニック向け自動精算機おすすめメーカー20選|価格や選び方まで【徹底比較】」でも詳しく取り上げています。参考にしてください。
自動精算機とよく似た言葉に、「自動釣銭機」と「POSレジ」があります。それぞれの機能をまとめたのが次の表です。
自動精算機 | 診察券を読み取るなどして自動で会計情報を取得してお客様に金額を提示し、投入された金額と照合するもの。 |
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自動釣銭機 | POSレジから受け取った会計情報を元に、おつりを自動計算しお客様に渡すもの。 |
POSレジ | 商品情報をバーコードなどで読み取り、会計金額に反映させるもの |
わかりやすく言えば、自動精算機はPOSレジと自動釣銭機の機能を兼ね備えた設備と言えます。
自動精算機と混同しやすい「自動釣銭機」は、【2024年版】自動釣銭機メーカー10社比較|価格や機能、運用方法を解説でも詳しく取り上げています。参考にしてください。
POSレジについてはPOSレジとは|レジスターとの違いや機能、メリットまで徹底解説 でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
本体価格の相場は200万円〜450万円です。決して安価なものではありませんが、それでも高い需要があり導入が進んでいます。
対応外の電子カルテやレセコンとの連携やキャッシュレス決済への対応などオプションや機能の追加によって、追加費用が発生することもあるでしょう。
自動精算機にはランニングコストも必要で、月額およそ5万円が相場です。内訳としては次のとおりとなります。
保守メンテナンス費 | 5万円 |
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クレジットカードや電子マネー・QRコード決済の手数料 | 3.5%程度(仲介会社により異なる) |
決済手数料は取扱金額の大小によって変動します。また、仲介業者の取り分もあるので、複数社から見積もりをとって比較しましょう。
仲介業者はすべてのキャッシュレス決済を取り扱うところもあれば、交通系の電子マネーやPayPayなどのバーコード決済は別だったり、クレジットカードでもJCBとそれ以外に分かれたりすることもあるので、よく比較検討することが必要です。
スペックと費用は強い関連性があり、機能を制限すれば安いモデルを購入出来ますが、それはオススメしません。安価な製品はスタッフやお客様の使い勝手に影響するからです。
安い自動精算機を選ぶよりもレンタルやリース。助成金や補助金を活用するようにした方が後々まで後悔しなくて済みます。クリニックに合った製品を選ぶことを第一に考えましょう。
ここでは、コストを抑えて自動精算機を導入する方法について解説します。
導入時のコストを抑えて、負担を後年度に平準化するには、レンタルやリースという方法があります。レンタルとリースはどう違うのか、主な違いは次のとおりです。
会計上の資産計上、減価償却 | 途中解約 | |
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リース | 借り受け側 | 不可 |
レンタル | レンタル会社 | 可能 |
両方とも導入時に多額の現金持ち出しをしなくて済むので、資金繰りの面では一括購入に比べてメリットがあります。
ただし、リースやレンタルの費用を長期間支払うと、最初に購入した金額を越えてしまうこともあります。初期費用を安く抑えるか、新しく購入するか、資金の状況とあわせてよく比較検討しましょう。
自動精算機のリースやレンタルについては、自動釣銭機のレンタル・リースについてわかりやすく解説|サブスクも紹介」でも詳しく取り上げています。参考にしてください。
自動精算機を導入する際には、安易に安い機種を導入するのではなく、助成金・補助金を利用することを考えましょう。上手に活用すれば大きな金銭的メリットがあります。
自動精算機を導入するための助成金や補助金には次のようなものがあります。
自動精算機を導入するためのポイントについてそれぞれ解説していきます。
働き方改革推進助成金では、勤務時間に一定のインターバルを与えること、あるいは有給を取得させるために機器を導入した場合に助成金が受け取れます。 制度の概要は次のとおりです。
医療機関などで感染症予防対策のための機器を導入する際に、補助金が支給されるものです。 2020年は最大100万円まで助成されましたが、2021年は8万円と少額になりました。 2022年4月からの募集はされていないようです。
事業再構築助成金では、コロナ禍で3か月間の売上が10%以上減少している場合に支給される助成金です。 中小企業が対象で、申請の際には事業の再構築性の視点から細かな事業計画の策定が求められます。
通常枠の補助額は、6000万円までが補助率2/3、600万円を超えると補助率1/2です。
生産性向上に資する設備投資、IT導入に対して助成されます。対象となるのは 一般型の中の「通常枠」と「デジタル枠」です。助成額は750万円〜1,250万円、補助率は通常枠で1/2(小規模事業者等は 2/3)、デジタル枠は 2/3となっています。
これらの助成金や補助金には細かい条件があり、申請したからといって必ず採択される訳ではありません。詳しくは公式ホームページをご確認ください。
自動精算機の機種選定には使いやすさや性能はもちろんですが、各種助成金・補助金の取得実績があるか確認することが重要です。
助成金や補助金の申請には細かい条件があり、確実な事業計画も必要となります。スムーズに導入するため、導入業者に申請のノウハウについても協力を得るようにしましょう。
出典:ものづくり補助金
補助金・助成金情報ついては、「【2024最新】自動精算機・釣銭機導入に利用できる補助金」でも詳しく取り上げています。参考にしてください。
ここからは自動精算機の選び方について解説していきます。数ある機種の中から選定するには基準が必要ですので、ポイントを絞っておきましょう。
また、いくら高機能でも実際に使用するスタッフの負担軽減と、患者様の利便性が向上しないことには意味はありません。取扱業者の説明を聞くだけではなく、事前に次のようなポイントを絞って疑問を解決するようにしましょう。
自動精算機は若い患者様には歓迎される傾向があり、再診率の向上にも繋がると言われます。一方、高齢者が戸惑わないように、わかりやすい操作が可能かどうか検討が必要です。 例えば、ディスプレイが大きく文字が見やすいか、音声で案内したり手を動かす場所をLEDが照らしたりしているか、などに着目するとわかりやすいでしょう。
自動精算機に対応できない患者様にはスタッフが対応する必要がありますが、できるだけひとりで行っていただき、会計の自動化と待ち時間短縮というメリットを活かすためにも、ユーザー目線の操作性に注意が必要です。
クレジットカードはもちろんとして、若い患者さんも来診されるなら電子マネーやQRコード決済への対応も検討しましょう。
自動精算機の機能として、クレジットカードのほか、交通系の電子マネーやバーコード決済などに対応しているかは重要な要素です。
ただし、すべてのキャッシュレス決済に対応するとその分取扱業者への手数料が発生するので、実際にどの決済を採用するかはクリニックに合ったものを検討しましょう。
自動精算機は現金授受でのヒューマンエラーが無くなることがメリットですが、現金の補充方法は見落としがちなので気を付けましょう。
スタッフの会計締め作業を助けてくれるのは間違いないのですが、実際の手順を確認しておくことが必要です。実際に運用していくには、
などの大事なポイントがあります。
現在の運用を参考に改善できる点は改善していくことが大切ですが、あまりにも運用方法が異なると負担が増えてしまいます。導入時には取扱業者によく手順を確認しておきましょう。
自動精算機の選び方を踏まえた上で、おすすめの9機種を紹介します。それぞれ特徴があるので、各製品の強みを抑えましょう。クリニックが求める機能と業務改善の観点から、患者様にやさしく導入に適したものを選定する際の参考としてください。
NOMOCa-Standは、患者様がタッチパネルで簡単にセルフ入金ができるものです。
電子カルテ・レセコン連携でスタッフの会計業務が省力化されるとともに、患者様も既存の診察券を利用できるので、効率的に会計事務の自動化を行うことができます。 わかりやすい操作性で患者様の会計待ちのストレスを軽減でき、クリニックの業務改善や人材不足にも対応可能です。
株式会社GENOVAの比較ポイント
製品情報
サイズ | W490×D295×H1460mm |
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重量 | ー |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
対応貨幣 | ー |
対応キャッシュレス決済方法 | ー |
価格 | 要問合わせ |
テマサックProシリーズは患者さま自身で簡単に清算を行うことが出来るように、分かりやすい操作性で、見やすいタッチパネルが備わっているのが特徴です。362日の安心のサポート体制を整えているため、急なトラブルが起きた時にも安心です。ハードのトラブル発生時には訪問て対応いたします。
これまで医療業界で培った経験とノウハウを活かし、現場にとって本当に必要な機能だけを集約した設計にすること、中間コストの見直しをすることで少しでも提供価格を下げられるようにしています。
株式会社カワニシバークメドの比較ポイント
製品情報
サイズ | W400mm H1570mm D600mm |
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重量 | ー |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
対応貨幣 | 1円から1万円札まで全金種に対応 新硬貨・新紙幣にも対応しています。 |
対応キャッシュレス決済方法 | クレジット、電子マネー、交通系電子マネー、QR決済 |
価格 | 要問合わせ |
「医療向け セミセルフ自動精算機システム Schut-Stnd」は医療費の精算業務負担を減らし、正確な精算を実現するセミセルフ自動精算機です。
負担の大きな医療費の精算を自動精算機で行うことで、窓口業務を一気に効率化することができます。人手不足で窓口のスタッフが少なくても患者様を待たせることなく確実に精算を行うことが可能です。
システムギア株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W550mm H950mm D450mm |
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重量 | 140㎏ |
レセコン・電カル連携 | 不可 |
対応貨幣 | 1円から1万円札まで全金種に対応 新硬貨・新紙幣にも対応しています。 |
対応キャッシュレス決済方法 | クレジット、電子マネー、交通系電子マネー、QR決済 |
価格 | 要問合わせ |
日立チャネルソリューションズのセルフォートは、初めての患者様にも、ご高齢の患者様にも簡単に操作がで出来る、分かりやすい画面設計となっております。セルフォートは、日本医師会ORCA管理機構が提供する低価格の手数料で安心安全な「日本医師会員向けキャッシュレスサービス」にて、クレジットカード及び電子マネー(交通系)をご利用いただくことが可能です。クリニック様の実情にあわせて、卓上設置・カウンタ設置・自立設置の3パターンの設置方法から選択出来ます。
日立チャネルソリューションズ株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W560mm H580mm D659mm |
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重量 | 65KG |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
対応貨幣 | 紙幣:日本銀行券4金種(出金は万円、五千円、千円の3金種) 硬貨: 国内発行硬貨6金種 ※新貨幣にも対応 |
対応キャッシュレス決済方法 | 日本医師会ORCA管理機構の「日本医師会員向けキャッシュレスサービス」を利用可能 |
価格 | 要問合わせ |
ハヤレジ株式会社が提供しているハヤレジスタンドは、医科・歯科・調剤薬局専用に開発された自動精算機です。 自動釣銭機内の金銭を回収する際、総額だけではなく紙幣・硬貨ごとの枚数を計上できます。また、管理画面から両替も可能です。
オプションで自動再来受付機能も追加できるので、自院の運用に合わせてカスタマイズできます。
ハヤレジ株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W536×D490×H1400mm ※突起部:約120(D)mm |
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重量 | 約89.8kg |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
対応貨幣 | ー |
対応キャッシュレス決済方法 | クレジットカード |
価格 | 要問合わせ |
ClinicKIOSK(クリニックキオスク)は、業界で初めてクリニック専用に設計されたキオスク端末です。
クリニック向けに省スペースやコストダウンを実現しつつ、クレジットカードでの支払いや95%以上の電子カルテ・レセコンと連携できるなど機能面も充実しています。大病院向けのシステムではなく、クリニックに適しているのが大きな特徴です。
クリニックキオスクの比較ポイント
製品情報
サイズ | W460 × H1,390 × D290 mm |
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重量 | 80kg |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
対応貨幣 | ー |
対応キャッシュレス決済方法 | クレジットカード |
価格 | 要問合わせ |
スマセルは、業界最薄・最小の省スペースを実現し、シンプルな画面構成が特徴的です。
レセコン入力から、患者様の会計・領収書や診療明細書・処方箋の印刷までをスムーズに行います。電子カルテやレセコンとも標準連携し、スタッフの負担軽減と患者様のスムーズな導線づくりが可能です。
株式会社インテクアの比較ポイント
製品情報
サイズ | W530 × H345 × D430 mm |
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重量 | ー |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
対応貨幣 | ー |
対応キャッシュレス決済方法 | クレジットカード、電子マネー、QRコード決済 |
価格 | 1,500,000円~ ※連携内容、台数、周辺機器の必要数によってお見積もり |
株式会社HERO innovationは、クリニックに特化した自動精算機「MEDISMA-レジ」を提供しています。レセコン連携により精算処理を患者さんのみで行うことができます。入金を記録するため、会計業務だけではなくレジ締め業務やレジの準備も大幅な効率化が実現できます。
MEDISMA-レジの比較ポイント
製品情報
サイズ | W530 × H430 × D345 mm |
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重量 | - |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
価格 | 要問合わせ |
FIT-Aは、クリニックや調剤薬局向けに開発された自動精算機です。クレジットカードや各種電子マネー支払いなどマルチ決済に対応しており、スムーズな会計を実現しています。
株式会社アルメックスの比較ポイント
製品情報
サイズ | 要問合せ |
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重量 | ー |
レセコン・電カル連携 | 可能 |
対応貨幣 | 紙幣:1万円、5千円、千円 硬貨:500円、100円、50円、10円、5円、1円 |
対応キャッシュレス決済方法 | 銀行Pay、クレジットカード、交通系ICカード(※今後対応予定) |
価格 | 要問合わせ |
おすすめの自動精算機についてはクリニック向け自動精算機おすすめメーカー20選|価格や選び方まで【徹底比較】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
自動精算機の導入により、電子カルテやレセコンからの診察情報の入力から患者様の支払い・お釣りの受け取りまで会計の自動化が実現します。
スタッフの負担軽減・患者様との接触を避けることが可能です。クリニックの業務改善と患者様の利便性向上による再診率アップも期待できます。
導入費用が高額なので、レンタルやリース・補助金助成金も活用しましょう。この記事がクリニックの経営改善につながる自動精算機導入の参考となれば幸いです。