紙カルテでの運用を続けている医療機関は多いですが、最近では少しずつ電子カルテを導入する医療機関が増えています。とはいえ、いまだ医療機関における電子カルテの普及率は低水準です。普及率が高くならない原因のひとつに、高額な導入費用の問題があるのは否めません。
そこで今回の記事では、低コストで導入できる電子カルテについて詳しく解説していきます。また、電子カルテ8製品を比較し、紹介していますので自院での導入を検討する際の参考にしてみてください。
電子カルテ選びの専門知識・時間がない方
コンシェルジュが代わりに探してご案内します!
業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリなメーカー・製品をご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。相場観や補助金情報などのご質問にもお答えします。
電子カルテの導入費用は、オンプレミス型とクラウド型で大きく変わります。以下は、それぞれの導入にかかる費用の目安です。
メーカー | ウィーメックス株式会社 | エムスリーデジカル株式会社 | 株式会社油井コンサルティング | 株式会社ユヤマ | 株式会社ユヤマ | 株式会社ビー・エム・エル | EMシステムズ株式会社 | 株式会社Donuts |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
商品(シリーズ)名 | きりんカルテ | エムスリーデジカル | ドクターソフト | BrainBoxVⅢ | BrainBoxCloud | Qualis Cloud | MRN | CLIUS(クリアス) |
初期費用・導入費用 | 初期費用:330,000円※レセコン導入にかかる費用 | 0円 | 3ライセンス~6ライセンス・170,000円 | 2,000,000円〜 | 1,500,000円 | 2,400,000円 | 要問合せ | 200,000円~ |
月額費用 | 25,300円 | レセコン一体型プラン19,800円、ORCA連動型プラン9,800円 | 32,300~51,050円(6ライセンス以上は1ライセンスにつきプラス6,250円 ※レンタル料金は要問合せ) | 35,000円 | 35,000円 | 38,000円 | 25,000円(5台目まではプラス5000円、6台目以降はプラス2000円) | 12,000円~(※ID数が6つ以降は別途料金発生) |
レセコン | 日レセクラウド | 日医標準レセプトORCA | 一体型 | 一体型 | 一体型 | 要問合せ | 一体型 | ORCA連携 |
カルテ作成サポート | オーダー入力、病名チェックなど | 適応症のAI自動学習機能 | あり | あり | あり | あり | 家族カルテ呼び出し機能、診療カード機能 | オーダーチェック、自動学習などあり |
文書作成サポート | 文書テンプレート作成機能 | あり | 文書作成ツール | ワープロ感覚で直接入力できる支援機能 | 文書作成支援機能 | あり | あり | あり |
文書作成サポート | 文書テンプレート作成機能 | あり | 文書作成ツール | ワープロ感覚で直接入力できる支援機能 | 文書作成支援機能 | あり | あり | あり |
その他機能 | カルテ全件検索、自費メニュー作成など | iPad手書きカルテアプリ、検査結果ビューアー | ミニオーダリングシステム | オンライン診療、地域医療ネットワークにも対応 | 処方チェック機能、AI機能 | 診療アラーム機能、付箋機能 | 診療項目の算定アシスト、小児用量入力支援機能など | 薬用量機能、在宅機能、オンライン診療など |
電子カルテ選びに迷われている方へ
コンシェルジュが無料で希望条件に合う業者を代わりに探します
ここでは、初期費用が無料だったり月額利用料を安く抑えられたりする電子カルテを紹介します。予算を考慮した上で、自院での導入を検討してみるといいでしょう。
きりんカルテは、初期費用0円で利用できるクラウド型の電子カルテです。しかし、レセコンの導入に330,000円の費用が必要で、月額利用料が25,300円かかります。
電子カルテとレセコンの一体型なので、受付や会計業務などを効率的に行うことが可能です。レセコンの導入費用がかかるとはいえ、電子カルテ自体の利用料は無料なのでコストを抑えて導入できます。
きりんカルテ(ウィーメックス株式会社)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 初期費用:330,000円※レセコン導入にかかる費用 |
---|---|
基本月額 | 25,300円 |
レセコン | 日レセクラウド |
カルテ作成サポート | オーダー入力、病名チェックなど |
文書作成サポート | 文書テンプレート作成機能 |
その他機能 | カルテ全件検索、自費メニュー作成など |
エムスリーデジカルは初期費用が無料で、レセコン一体型かORCA連動型プランかで月額料金が変動するクラウド型電子カルテです。最新AIを駆使した自動学習機能や直感的な操作性が特徴で、適応症の自動学習にも対応しています。
また、専用のiPad Proアプリを利用して、紙カルテに手書きしているような感覚でカルテの記入が可能です。iPad Proを利用できるお試しプランもあるので、導入前にHPのオンライン相談フォームから申し込んでみるといいでしょう。
エムスリーデジカル(エムスリーデジカル株式会社)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 0円 |
---|---|
基本月額 | レセコン一体型プラン19,800円、ORCA連動型プラン9,800円 |
レセコン | 日医標準レセプトORCA |
カルテ作成サポート | 適応症のAI自動学習機能 |
文書作成サポート | あり |
その他機能 | iPad手書きカルテアプリ、検査結果ビューアー |
株式会社油井コンサルティングが提供しているドクターソフトは、さまざまな提供形態があるため低コストでの導入が可能なレセコン一体型電子カルテです。PCやプリンターなどの必要な機器は自院で揃えて、ソフトウェアだけをレンタルできるプランもあります。レンタルの場合、かかる費用は月々のレンタル料金と保守料金のみです。
契約一時金170,000円に加えて、月々32,300円から利用できるので比較的安価に導入できます。無料試用版もあるので気になる場合は、一度問い合わせてみるといいでしょう。
ドクターソフト(株式会社油井コンサルティング)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 3ライセンス~6ライセンス・170,000円 |
---|---|
基本月額 | 32,300~51,050円(6ライセンス以上は1ライセンスにつきプラス6,250円 ※レンタル料金は要問合せ) |
レセコン | 一体型 |
カルテ作成サポート | あり |
文書作成サポート | 文書作成ツール |
その他機能 | ミニオーダリングシステム |
株式会社ユヤマが提供しているBrainBoxVⅢは、オンプレミス型としては費用が安く、2,000,000円から導入可能です。画面・操作方法やメニューなどは、オリジナル仕様に使いやすくカスタマイズできます。画面配色は8種類もあり、使いやすさを追求できる電子カルテです。
院内サーバーレプリカをノートPCに作成すれば、オフラインでのカルテ作成もできますまた、専用コールセンターによるリモートサポート体制もあるので、万が一のトラブルにも迅速に対応してもらえるでしょう。
BrainBoxVⅢ(株式会社ユヤマ)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 2,000,000円〜 |
---|---|
基本月額 | 35,000円 |
レセコン | 一体型 |
カルテ作成サポート | あり |
文書作成サポート | ワープロ感覚で直接入力できる支援機能 |
その他機能 | オンライン診療、地域医療ネットワークにも対応 |
BrainBoxCloudは「BrainBoxVⅢ」の機能をそのままに、クラウド型として提供している電子カルテです。AI機能によるクラウドインサイト・サポートがあり、診察待ち時間の予測や電子カルテのデータを分析できます。分析結果を、今後の経営課題に活かすことも可能です。
導入費用に1,500,000円ほどかかりますが、さまざまな機能が備えられているので費用対効果は高いでしょう。
BrainBoxCloud(株式会社ユヤマ)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 1,500,000円 |
---|---|
基本月額 | 35,000円 |
レセコン | 一体型 |
カルテ作成サポート | あり |
文書作成サポート | 文書作成支援機能 |
その他機能 | 処方チェック機能、AI機能 |
株式会社ビー・エム・エルが提供しているQualis Cloudは、初期費用2,400,000円で導入可能です。初期費用には以下の費用が含まれています。
ユーザーごとに好みの画面レイアウトを登録することができ、自分なりに使いやすく設定可能です。リモートやオンラインでのサポート体制も整っており、薬価改定や法令改定などにも迅速に対応してくれます。
Qualis Cloud(株式会社ビー・エム・エル)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 2,400,000円 |
---|---|
基本月額 | 38,000円 |
レセコン | 要問合せ |
カルテ作成サポート | あり |
文書作成サポート | あり |
その他機能 | 診療アラーム機能、付箋機能 |
EMシステムズ株式会社が提供しているMRNは、月額25,000円から利用できて5台目まではプラス5,000円、6台目以降はプラス2000円で利用可能です。ライセンス数が多ければ多いほど、1台当たりの月額料金を安くできます。機能面も充実しており、診察後の検査結果は時系列で表示されるため、グラフで経過を確認可能です。
MRN(EMシステムズ株式会社)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 要問合せ |
---|---|
基本月額 | 25,000円(5台目まではプラス5000円、6台目以降はプラス2000円) |
レセコン | 一体型 |
カルテ作成サポート | あり |
文書作成サポート | あり |
その他機能 | 診療項目の算定アシスト、小児用量入力支援機能など |
株式会社Donutsが提供しているCLIUSは初期費用200,000円から導入可能で、ライセンス数が5つ以下の場合は月額12,000円で利用できます。アップデート時の更新費用はかからず、何年使っても無料です。
WindowsだけではなくMacにも対応しているので、場所を選ばずに操作できます。予約機能で、患者がWEBから直接予約をしたり、クリニックのスタッフが予約管理を行ったりするのに使うことも可能です。
CLIUS(株式会社Donuts)の比較ポイント
製品情報
初期費用・導入費用 | 200,000円~ |
---|---|
基本月額 | 12,000円~(※ID数が6つ以降は別途料金発生) |
レセコン | ORCA連携 |
カルテ作成サポート | オーダーチェック、自動学習など |
文書作成サポート | あり |
その他機能 | 薬用量機能、在宅機能、オンライン診療など |
電子カルテは、システム形態によって導入費用が大きく変動します。ここでは、電子カルテの導入費用が決まる5つのポイントを紹介するので、それぞれのポイントをしっかりとおさえましょう。
電子カルテにはふたつの導入形態があり、クラウド型とオンプレミス型があります。クラウド型は、院内にサーバーを設置する必要がないため、導入費用を低く抑えることが可能です。クラウド型の場合、基本的にはネットワーク環境さえあればパソコンやタブレットで使用できます。一方、オンプレミス型はサーバーやソフトウェアを自院に設置して運用します。そのため、導入費用が高額になるのは避けられません。
電子カルテにおけるライセンスには、3つの形態があります。
これらの形態は、主にクラウド型で採用されており、ライセンス数に応じて月額料金が異なります。低コストで導入したい場合は、クライアントライセンスかユーザーライセンスを採用している電子カルテを選んだ方が総コストを抑えやすいです。
電子カルテのなかには、利便性を向上させるために、自院での運用に最適な仕様にカスタマイズできるものがあります。しかし、通常の導入費用に加えてカスタマイズにかかる費用が加算されるため、そのぶん総コストが高くなるので注意が必要です。カスタマイズを行う場合、基本的にオンプレミス型を選択する必要があるので、事前に確認しておきましょう。
電子カルテは、レセコンと連携して業務効率を向上させることが可能です。電子カルテの提供形態は2種類あり、レセコン一体型のものと既存のレセコンと連携させるタイプがあります。一体型は、電子カルテとレセコンを同時に導入できるので互換性を気にする必要がありません。そのぶん導入費用が高くなりますが、設定にかかる手間も少ないです。
一方、既存のレセコンと連携させるタイプの場合、一体型より導入費用を安く抑えられます。既存のレセコンと連携できるかどうかは、事前に確認しておきましょう。また、設定に関しても煩雑になるので、そのあたりも考慮した上で導入する必要があります。
電子カルテの導入は、サポートをつけるかどうかで費用が変動します。導入前や導入後のサポートがあれば専門スタッフが対応してくれるので、万が一トラブルが発生しても業務に集中しつつ迅速な解決が可能です。自力で解決しようとすると、かえって時間や手間がかかってしまう場合があるので、導入前にどのようなサポートがあるか確認するようにしましょう。
ここでは、電子カルテの導入・運用において費用を抑えるためのポイントを紹介します。導入コストや運用コストを抑えるために必要な部分なので、参考にしてみてください。
電子カルテの導入を検討する際は、複数メーカーから相見積もりをとるようにしましょう。複数メーカーから見積もりをとり、もっとも費用対効果が高い電子カルテを選ぶようにすれば、コストを抑えつつ必要な機能が備えられている電子カルテを導入できます。見積もり依頼をするときは、電子カルテの導入費用だけではなく運用コストや周辺機器の費用も含めた総コストを算出してもらうと、全体的な費用を把握しやすいです。
相見積もりをとった上で、それぞれのメーカーの電子カルテを比較する際は、導入費用だけではなく月額費用や周辺機器などにかかる費用も含めた総コストで検討することが大切です。年間でどのくらいの費用がかかるのかは、事前にしっかりと把握しておきましょう。
電子カルテは導入の際に補助金を利用すればコストを抑えて導入可能です。経済産業省のIT導入補助金が活用できるので、最新の情報を各省のホームページで確認してみてください。IT導入補助金以外にも、厚生労働省の「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」などの補助金があるため、各情報は細かくチェックしておきましょう。
電子カルテの導入には、さまざまな費用がかかります。導入後も運用コストが発生するので、そのあたりも考慮して自院のニーズや予算にマッチした電子カルテを選ぶようにしましょう。また、価格だけでなく自院に必要な機能があるか確認するのも大切です。今回の記事で紹介した低コストで導入できる電子カルテやコストを抑えるための方法を参考に、自院での電子カルテ導入を検討してみてください。
電子カルテ選びの専門知識・時間がない方
コンシェルジュが代わりに探してご案内します!
業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリなメーカー・製品をご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。相場観や補助金情報などのご質問にもお答えします。