電子カルテを導入するまでの流れは?スケジュールをくわしく解説

更新日 2024.04.09
投稿者:豊田 裕史

電子カルテを導入する際、事前にスケジュールをたてておくことが大切です。事前に先々のスケジュールを把握できたほうが、必要以上に慌てることなく準備を進められます。とはいえ、初めてで大変なことも多いので、今回の記事で電子カルテ導入までの流れを理解していきましょう。

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目次

電子カルテの導入までのスケジュール

電子カルテは、慌てて稼働させてトラブルが発生すると、患者さんの信頼を失いかねません。そのため、本格的な稼働までには最短でも半年かかると考えておきましょう。

大まかなスケジュールは以下の通り。新規開業時のスケジュールを想定しているので、参考にしてください。

電子カルテの導入の流れ

STEP1 候補となる電子カルテをピックアップ

電子カルテを選定する際は、早い段階から余裕をもって始めていきましょう。本格稼働予定日の1年前、遅くても半年前から、電子カルテのピックアップを始めます。電子カルテは、病院やクリニックのニーズにより、選定のポイントが変わりますので、大まかな全体像を理解しておくことをおすすめします。この章では最も基本的な2つのポイントを示しますが、電子カルテメーカーを選ぶ際は、以下の項目を検討すれば満足いく選択ができます。

  • シェア
  • 提供形態(オンプレかクラウドか)
  • 基本月額
  • 初期費用
  • サポート体制
  • 導入・利用開始までの期間

詳細が気になる方は、次の記事も参考にしてみてください。

電子カルテの選び方を詳しく知りたい方は電子カルテおすすめ製品【診療科別・規模別に徹底比較】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

オンプレミス型かクラウド型か

電子カルテのもっとも大きな区分がオンプレミス型とクラウド型です。どちらを選ぶのかで、初期費用、運用費用、保守費用が大きく変わってくるため、院内の事情に合ったタイプを選ぶようにしましょう。

クラウド型電子カルテについてはクラウド型電子カルテとは?仕組みや導入メリットを基礎から解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レセコン一体型か分離型か

電子カルテとレセコンの一体型にするのかどうかも選定のポイントになります。レセコン一体型は、領収書、診療明細書、処方箋を電子カルテ内で完結できることが強みです。レセコン分離型は電子カルテとレセコンが分離しているタイプなので、電子カルテを買い替えることになっても、レセコンはそのまま使用できます。

レセコン一体型の電子カルテについてはレセコン一体型電子カルテとは?分離型との違いやおすすめ製品などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

STEP2 必要な要件の整理

複数の製品のピックアップを終えたら、メーカーに問い合わせのうえデモを実施します。複数の製品のデモをしながら比較するため、2ヶ月から3ヶ月は要するでしょう。メーカーにデモを申し込む際、医療機関の基本的な情報に加えて、どのような点を見てみたいのか要望を伝えます。ここで重要となるのが、いかに要望を適切に伝えられるのかです。そこで、デモや打ち合わせで確認必須のポイントを簡単にご紹介します。

  • 操作性
  • 外部システムとの連携
  • サポート体制

操作性

診療を滞りなく行うために確認したいのが電子カルテの操作性です。勤務医時代に慣れた電子カルテを使いたい気持ちと、初期費用をどのくらい抑えるかというバランスによって決めるのが良いでしょう。オンプレミス型の電子カルテは医院ごとにカスタマイズ可能な点がメリットですが、その分初期費用がかさむことも押さえておきましょう。

近年シェアを伸ばしているクラウド型の電子カルテは、カスタマイズ性はそこまで高くありませんが、サーバーの設置など初期費用を押さえられる点が魅力です。最小限の機能で使い始めたいという先生にはピッタリです。

外部システムとの連携

電子カルテは医療機関のシステムの中心となるため、様々な外部システムと連携することができます。クリニックであれば診療予約システムやウェブ問診システム、オンライン診療システムとの連携ができます。病院で使う場合は、PACS(医用画像管理システム)や検査システムなどと連携することで、電子カルテ上の患者データを有効に利用することができます。

電子カルテと外部システムの連携については電子カルテと連携できる部門システム15選!メリットや注意点等でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

サポート体制

電子カルテの操作方法や故障したときのサポート体制は、メーカーや販売店により異なります。医療機関という立場上、災害時などの緊急時にも診療を止めることはできません。メーカー担当者の説明が不明瞭な場合は、導入時にしっかり確認しましょう。

具体的にはトラブル発生時の対応方法、有償/無償でのサポート範囲、お問い合わせの対応時間などを確認しましょう

電子カルテのサポート体制については電子カルテのサポート体制は確認必須!比較したいポイント等を解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

STEP3 発注・システム設定

自院に必要な機能を選定したら、メーカーや販売店に発注することになります。発注の時期は、本格稼働予定日の4ヶ月~2ヶ月前ぐらいが目安です。打ち合わせで確認すべき内容は、以下の2点が中心となります。

工事内容・納入日等の打ち合わせ

クラウド型の電子カルテを使う場合、インターネット環境が必須です。患者用のインターネット環境を整備している場合は、セキュリティの観点から別回線を引く運用が一般的です。LAN環境を整備できていない場合は別途工事が必要になるので、工事費や納品日をすり合わせましょう。

初期設定事項等の打ち合わせ

電子カルテを利用するにあたり、各医院で「マスターデータ」を登録する必要があります。マスターデータを登録してもらえるかどうかは、電子カルテメーカーによる場合があるようなので、その点も確認すると良いでしょう。使用する頻度の高い病名や医薬品、それらの組み合わせ、診療行為などを整理しておくと、登録に余計な時間がかからずおすすめです。ここで使用頻度の高い項目を整理しておくことで、運用後がとてもスムーズになります。

STEP4 電子カルテの操作方法を習得

本稼働の2ヶ月前から1ヶ月前になったら、病院スタッフ向けの説明会や研修会を実施します。医師や看護師、医療クラークなど電子カルテを操作する職員を中心として、電子カルテシステムの概要の講義、実際の操作方法を習得する実習などを行います。「医師だけが使えればよい」、「使い始めてから慣れれば問題ない」と考えるのではなく、導入初日からスムーズに診療を進められるよう基本操作をマスターする意気込みをもって取り組めると良いですね。

メーカーの多くは定期的にオンライン操作研修を開催しています。また、新しい機能が追加されたとき、研修用の教育動画を同時配信するメーカーも多いので活用すると良いでしょう。

STEP5 試験運用【本稼働の1週間前】

電子カルテの基本的な操作の習得を終えたら試験運用の開始です。予約、診療、会計に至るまで、患者さんや病院スタッフの導線に滞りがないか確認します。

スタッフへの研修ではわかったつもりになっていても、職員の導線や担当ごとの連携など、見えていなかった課題に気づくこともあるでしょう。問題点が見つかったら、実際の運用が始まる前までに気づくことができたとプラスに捉えて、院内での業務フローを考えましょう

STEP6 本稼働

試験運用で洗い出された問題点を解決できたら、いよいよ本格稼働となります。研修等を行っているとはいえ、最初は想定外のトラブルが発生するものです。稼働してから3日ほどは、メーカーの担当者が立ち会ってくれることもあるため、事前に確認しておきましょう。

そのあいだも、システム設定の見直しや機能の追加などの微調整が行われます。本稼働中に不明点が生じることもあるでしょう。その場合も、担当者が立ち会っていますので、その都度操作方法を習得できます。

病院にとっては本稼働初日であっても、患者さんにとってはいつもの診療日です。診療を停滞させるトラブルを最小限に抑えるためにも、メーカーのサポート体制はとても重要です。そのため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

また、1ヶ月後にはレセプトをまとめて請求する必要があります。レセプトの請求をひとまずの目標として、日々の業務を行っていきましょう。

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電子カルテを導入する費用

電子カルテの導入費用や相場感について解説していきます。電子カルテの導入費用を考える際、以下の3つの項目に分けて考えることができます。

  • 電子カルテシステムの初期費用
  • 電子カルテシステムの月額費用
  • システム以外で必要なコスト

大まかな相場として、電子カルテ導入に必要な費用を合計すると、クラウド型の電子カルテで100万~200万円、オンプレミス型の場合は250万~400万円程度が相場になっています。価格が決まるうえで大きな割合を占める初期費用と月額費用について説明していきます。

電子カルテ導入の初期費用・月額費用

多くの電子カルテは医療機関ごとに設定が必要なため、明確な初期費用を示しているメーカーはほとんどありません。ただ、クラウド型の電子カルテはパッケージ化されたシステムを使うことになるため、おおまかな導入費用を公表しています。システムの初期費用がかからないきりんカルテ(ウィーメックス株式会社)初期費用20万円~のCLIUS(クリアス)(株式会社Donuts)などの場合は、初期費用をイメージしやすいでしょう。

月額料金が最も安いのは、エムスリーデジカルです。レセコン一体型であれば19800円、分離型では9800円で使うことができるうえに、導入実績も十分なメーカーです。以下の記事では主要メーカーの初期費用、月額価格について整理しているので、気になる方は確認してみてください。

電子カルテの導入費用については電子カルテの導入費用は?運用コストや価格を抑える方法もでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

電子カルテ移行時の紙カルテの保存方法

電子カルテを導入した後も、それまで使っていた紙カルテを適切に管理する必要があります。考えられる運用として、

  • 紙カルテをスキャンして保存する
  • 紙カルテを院内で保管する
  • 院外の倉庫で保管する

などがあります。電子か紙かに関わらず、カルテの保存期間は5年間とされていますが、日本医師会ではカルテの永久保存を推奨しています。

電子カルテ移行時の注意点については電子カルテと紙カルテの併用は可能?移行時の注意点も紹介でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

本記事では、電子カルテを導入するまでの流れを詳しく解説しました。電子カルテは、院内のニーズに合わせた細やかな調整が必要になります。そのため、検討開始から本稼働まで最短でも半年、可能であればさらにゆとりのあるスケジュールを組むことが望ましいです。大まかには、メーカーの選定に2ヶ月から3ヶ月、そこから本格稼働に至るまでに、さらに3ヶ月から4ヶ月かかると見ておきましょう

院内の規模やニーズに合った電子カルテを選定しないと、稼働間際になって問題点が多発しかねません。本記事では、比較検討や打ち合わせで確認したいポイントも紹介しておりますので、お役立ていただけますと幸いです。

電子カルテについては電子カルテおすすめ製品【診療科別・規模別に徹底比較】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

電子カルテ選びの専門知識・時間がない方

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よくある質問

電子カルテを導入するためにはどのくらい前から動く必要がありますか?
最短で半年です。電子カルテの情報を収集して、メーカーを選定するまでに、2ヶ月から3ヶ月かかります。インフラ整備、システム設定、研修、試運転などを経て、本格稼働するまでは3ヶ月から4ヶ月を要するでしょう。
電子カルテを発注してから納品までどのくらいの期間がかかりますか?
本稼働の1ヶ月から2ヶ月前を目安に納品されますが、3ヶ月ほど要することもあります。メーカーによって納品までの期間が異なりますので、事前に確認しておくことをおすすめします。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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