電子カルテとレセプトコンピュータの違いとは?連携のメリットも解説

更新日 2023.12.19
投稿者:豊田 裕史

多くの医療現場で導入済みのレセプトコンピューター(以下レセコン)ですが、その機能性は他システムとの連携によりさらなる利便性を追求できます。

この記事では、医療分野のICT化を進めるにはなくてはならないシステム、「電子カルテ」と「レセコン」の違いについて解説しています。連携のメリットについての理解も深まるので、最後までチェックしてみてください。

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電子カルテとレセコンの違い

「電子カルテ」と「レセコン」は使用目的が異なります。電子カルテは診療内容をデータ化するためのもの、それに対してレセコンは医療機関の会計情報を管理、レセプトの作成を担うシステムです。

それぞれ解説していますので参考になりましたら幸いです。

電子カルテとは

電子カルテとは、従来より医師が診療時に記録していた紙カルテを、電子データに置き換えたもので、診療に必要なデータをまとめて管理しているシステムです。電子カルテの主な機能は、患者情報管理・診療歴管理・カルテ作成・処方チェック・検査結果参照などがあげられます。電子カルテを導入することで膨大な量の患者情報や診療記録の管理や検索が容易になります。現在では新規開業される医療機関のほとんどが電子カルテを導入しています。

電子カルテについては電子カルテとは?導入のメリット、種類、価格などを徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レセコン(レセプトコンピューター)とは

レセコンは、「医事コンピューター」とも呼ばれ、診療報酬明細書(レセプト)を作成するコンピューターシステムのことを指します。診療内容に応じた請求コードを入力すると、診療報酬の計算が自動的に行われます。2022年8月時点での病院・クリニック・調剤薬局のレセコン導入率は約96%となっています。

出典:請求状況(医療機関数・薬局数ベース) 【令和4年8月診療分】

レセコンについては医科、調剤、歯科におすすめのレセコン比較20選【徹底比較】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

電子カルテとレセコンの違い

電子カルテとレセコンの利用目的と使用者の違いを下記表にまとめました。使用する目的が異なる点を抑えておきましょう。

電子カルテ レセコン(レセプトコンピューター)
概要 紙カルテの情報を電子化するシステム レセプト(診療報酬明細書)を作成するシステム
目的 診療内容などの医療情報を電子データとして管理・保存すること 診療報酬の請求業務を行うこと
主な使用者 医師を中心とした院内スタッフ 医療事務担当者

電子カルテとレセコンを連携するメリット

ここまでの解説で電子カルテとレセコンはまったく別のシステムであることが理解できたことでしょう。電子カルテとレセコンは連携することができ、それにより業務の効率化や入力ミスの防止など、様々なメリットが生まれます。

受付から会計までの流れがスムーズになる

受付を行ってから、診療、会計までの一連の流れの中の動きはさらにスマート化します。例えば、今までは口頭や手渡しで行われていた、患者データの情報共有など、事務的なオペレーションに使っていた時間や労力は削減できます。

診療記録データを管理する電子カルテと、診療内容に応じた報酬情報を管理するレセコンの連携から生まれるメリットは多くあります。待合室で待つ時間が削減できたら患者さんにも喜ばれるでしょう。

レセプト作成が効率化できる

従来の方法だと、レセプトを作成するときは、医師が作成したカルテをもとに、医療事務スタッフが情報を入力する必要がありましたが、電子カルテとレセコンのデータが連携していればこの入力作業はやらなくてすみます。

レセプト作成は毎日の診療の中で必ず発生する業務ですので、簡略化できるのは大きなメリットです。

レセプト作成時の入力ミスを防止できる

レセプトの請求先は「国民健康保険団体連合会」や「社会保険診療報酬支払基金」といった関係機関なので、ミスのない正確なスキルが求められます。正確さを追求してもヒューマンエラーは生じることがあります。しかし電子カルテとレセコンの連携が取れていれば、人が行う事務的な作業負担が軽減され数値の正確性が高まるでしょう。

データ変更の手間を削減できる

電子データで管理が進むと時間や労力が削減できます。また、電子カルテとレセコンがそれぞれのシステムで運用されていると、入力作業もそれぞれ行う必要がありますが、電子カルテが連携されたレセコンならば、入力情報の変更や薬価改定時のデータ変更・追加が二度手間にならずにすみます。

レセコンと一体化した電子カルテも

電子カルテには、電子カルテとレセコンが別々のシステムの「レセコン分離型」と、電子カルテとレセコンが一体化した「レセコン一体型」の2種類があります。レセコン一体型では1つの端末で電子カルテとレセコンの操作を完結できるため、より多くのメリットを得ることができます。下記では、レセコン一体型の特徴とメリットを解説しています。ぜひご参照ください。

レセコン一体型電子カルテの特徴

レセコン一体型電子カルテの特徴は、どの端末からでも会計事務を行える柔軟さです。システムが1つで連携された2つの機能を持つ「レセコン一体型」は、医療スタッフの配属位置にかかわらず共通のツールを使用できるシームレスなオペレーションを可能にします。ただし、レセコン一体型電子カルテの使い勝手は、電子カルテの種類によっても左右されそうです。

自院でサーバーを設置するオンプレミス型の方が、費用は高いものの、豊富な機能と自院に合わせたカスタマイズが可能です。クラウド型は、通信障害時にリスクがあったり連携可能な範囲はメーカーによって異なるという点はあるものの、比較的安価に導入できます。一概にレセコン一体型と言ってもメーカーにより種類も機能も多様なため、導入を検討する際は慎重に検討する必要がありそうです。

レセコン一体型電子カルテのメリット

レセコン一体型電子カルテを活用すると、業務の簡略化が可能になるのは一番のメリットだと言えそうです。また、動作不良やトラブルが発生したとき、電子カルテとレセコンを連動させて使う分散型の場合は、それぞれのメーカーに問い合わせて原因を解明しなくてはいけません。その点、レセコン一体型電子カルテなら問い合わせ先が1つなので原因究明しやすく、復旧スピードが早くなるでしょう。

万が一システムが不具合になった時を想定すると、業務への影響を最小限におさえられるようなシステムが安心です。

レセコン一体型電子カルテについてはレセコン一体型電子カルテとは?分離型との違いやおすすめ製品などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レセプトチェック機能付き電子カルテが便利!

レセプトチェック機能とは、入力情報が正しく入力されているかをシステムが精査してくれる機能のことです。 今までは目視による査定が行われていましたが、レセプトチェック機能を活用すれば大幅に労力を削減できます。

厚生労働省が定める、電子保存の三原則では、「真正性」「見読性」「保存性」の3点を厳守しなくてはいけないと定められています。レセプトチェック機能が搭載された電子カルテならば、電子保存の三原則をシステム的にサポートしてくれることでしょう。

なお、レセプトチェックについては、電子カルテとは別に専用のソフトもあります。レセプトチェックにお困りの方はこちらのk字をご確認ください。

レセプトチェックソフトについては【2023】レセプトチェックソフトの人気・おすすめ6選【徹底比較】で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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レセコン一体型の電子カルテではこちらの製品がおすすめです。それぞれレセプトチェック機能が搭載された電子カルテなので、医事会計がより確実に行えることでしょう。

  • Medicom-HRf(ウィーメックス株式会社)
  • SuperClinic(株式会社ラボテック)
  • Hi-SEED Cloud(ウィーメックスヘルスケアシステムズ株式会社)
  • SimCLINIC T4 Cloud(株式会社島津製作所)
  • CLINICSカルテ(株式会社メドレー)

レセコン一体型電子カルテについてはレセコン一体型電子カルテとは?分離型との違いやおすすめ製品などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

電子カルテとレセコンの連携は関連性の高いデータの管理を簡易化できます。ICT化において業務の効率化を図るなら、電子カルテとレセコンの連携は高いパフォーマンスが期待できるでしょう。製品や機能は多くの選択肢があるので、比較検討が必要ですが、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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