電子カルテの導入が進んできた昨今、電子カルテは何年使えるのか、更新費用はどれくらいかかるのかなど、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、電子カルテの耐用年数や、耐用年数を過ぎた電子カルテをどうするのか、更新費用はどれくらいなのかについて解説していきます。
あわせて、設備更新の負担が少ないクラウド型電子カルテについてもご紹介しますので、自院で導入や更新を検討している方はぜひご覧ください。
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電子カルテの耐用年数は何年なのでしょうか。ここでは、院内にサーバーを置いて運用する “オンプレミス型” 電子カルテについて、耐用年数を解説していきます。
オンプレミス型電子カルテは、電子カルテそのものであるソフトウェアと、ディスプレイなどのハードウェアの2つの要素で構成されています。ソフトウェアとハードウェア、それぞれの要素の耐用年数を確認していきましょう。
具体的な開設の前に耐用年数の意味について、改めて解説します。 そもそも耐用年数には、2つの意味があります。
1つ目の意味は「物理的に故障がなく使い続けられる期間」、2つ目の意味は会計上の用語で「対象の資産を使用できる期間」です。 ここでは、会計上の耐用年数である法定耐用年数について解説していきます。
10万円以上のものを購入した場合、減価償却といって購入費用を分割して計上する方法があります。 この方法には、一度に費用を計上するのではなく分割して少しずつ計上するため、年ごとの利益が正しく計算されるようになる、というメリットがあるのです。 この分割できる期間が会計上における耐用年数となります。
ただし、減価償却の期間は一律で同じではありません。 対象となる設備の種類に応じて国税庁が減価償却の期間を定めているため、注意が必要です。
それでは、それぞれの設備の法定耐用年数を確認していきましょう。
電子カルテはソフトウェアであり、減価償却資産(無形固定資産)に該当します。 減価償却資産の法定耐用年数は、利用目的によって3年間または5年間と定められており、具体的には以下の通りです。
出典:国税庁「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」
電子カルテは上記で「その他のもの」に属するため、電子カルテの法定耐用年数は5年間であることがわかります。
デスクトップパソコンのディスプレイなどはハードウェアであり、減価償却資産(有形固定資産)に該当します。 デスクトップパソコンのディスプレイの法定耐用年数は5年間となっています。
では、耐用年数を過ぎた電子カルテはどうするべきなのでしょうか。 電子カルテを購入している場合とリースで導入した場合では対応が異なりますので、2つに分けてそれぞれ解説していきます。
まずは電子カルテを購入している場合について解説していきます。 購入した電子カルテは、耐用年数を過ぎた後も使用することができます。 ただし、耐用年数を過ぎた後はメーカーの保守を受けられなくなる可能性もあり、注意が必要です。
例えば、電子カルテ会社のひとつである富士通は「法定耐用年数」に合わせて、製品保守期間を5年間と設定しています。
保守期間が過ぎた後は、保守契約の更新を行うか、最新のハードウェアやソフトウェアに入れ替える必要があるのです。
購入した電子カルテは耐用年数を過ぎた後も使用はできますが、保守契約の更新や設備・システムの更新が必要になることは確認しておきましょう。
次に、電子カルテをリースで導入している場合について解説していきます。
電子カルテをリースで契約する場合には、機材の耐用年数とあわせて5年前後のリース契約を結ぶことが多いです。 リースの契約期間が経過したあとにはリースの再契約を行うか、ソフトウェアやハードウェアを新しいものと入れ替えるか、他社への切替を検討するか、などの対応を行う必要があります。
リースで導入した電子カルテを耐用年数が過ぎた後に使用するためには、リースの再契約や設備・システムの更新が必要になることを確認しておきましょう。
電子カルテの更新には、初期費用と同等の数百万円の費用が必要となります。 これは、耐用年数にあわせて決められた保守契約やリース契約の期間が終わると、ソフトウェアの更新、デスクトップやサーバーなど設備の買い替えが必要となるからです。
約5年ごとの更新のたびに数百万円規模の費用が発生し、費用の高さに不満を感じている医師も多いと言われています。
電子カルテのリプレイスについては電子カルテのリプレイスを解説|入れ替えの時期や注意点などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
ここまでの記事では、院内にサーバーを置いて運用するオンプレミス型電子カルテについて解説してきました。
ここからはクラウド上に電子カルテデータを保存する、クラウド型電子カルテについて解説をしていきます。
クラウド型電子カルテのメリットは以下の通りです。
1つずつ確認していきましょう。
クラウド型電子カルテのメリット1つ目はソフトウェアの更新費用がかからないことです。 クラウド型電子カルテの場合、インターネットを介して常に最新のシステムを利用することができます。 よって、5年ごとのシステム更新という考え方はないため、システム更新費用がかかりません。
各種メンテナンス、各種ソフトのバージョンアップへの対応などが月額使用料に含まれており、追加のシステム更新費用がかからないことは大きなメリットです。
クラウド型電子カルテのメリット2つ目は高額な設備更新費用がかからないことです。 クラウド型電子カルテは、院内にサーバを設置しないため、高額なサーバーの設備更新が不要となります。
よって、病院側が行う設備更新は、電子カルテで使用しているパソコンやモニターなどの機器のみとなり、費用が抑えられることは大きなメリットです。
クラウド型の電子カルテについては【目的別】電子カルテ53製品|おすすめ製品、規模別の選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
今回の記事では、電子カルテの耐用年数や更新費用についてお伝えし、設備更新の負担が少ないクラウド型電子カルテについてもご紹介しました。
電子カルテの法定耐用年数は5年と定められており、更新には初期費用と同等の数百万円がかかります。 更新費用に不満のある方、電子カルテの導入や更新を考えている方は、今回の記事を参考にして検討してみてはいかがでしょうか。
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