医療機関においてレセプトの請求を行うレセプトコンピュータの普及率は、厚生労働省の調査によれば98%以上と言われており、医療機関の運営に欠かせないシステムとなっています。一方、電子カルテについては、まだまだ普及の余地があるシステムになりますが、徐々に普及が進んでいます。
多くの電子カルテがある中で、レセコンと一体化した電子カルテが、クリニックを中心に主流となってきています。
本記事では、レセコン一体型と分離型の違いや、おすすめ製品などを紹介していきます。電子カルテの新規導入や、レセコンと電子カルテの入れ替え検討などの参考にしてみてください。
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目次
まず、レセコン一体型の電子カルテについて確認しましょう。 1つの端末で電子カルテとレセコンの両方を操作できる電子カルテのことをいい、患者さんの詳細な診察・検査の情報をもとに、レセプトの請求業務が行えるシステムを指します。レセコンと電子カルテが分離しているものと比較してどのように違うのか、次項で見ていきます。
レセコン分離型との違いは、電子カルテとレセコンの操作を1つの端末で行えるかどうかです。 レセコン分離型の場合は、電子カルテとレセコンのソフトウェアが異なるので、別々のシステムを操作し、それぞれに情報を連携する必要があります。一方でレセコン一体型の場合は、ソフトウェアがワンパッケージになっているので、患者の情報と請求の情報が一体で管理されます。受付から支払いまですべてを同じシステムで管理できるので、請求書作成までの手間を大幅に削減できるのです。
レセコン一体型の電子カルテには大きく下記の3つのメリットがあります。
上記について、1つずつ説明していきます。
1つ目のメリットは、1つの端末で両方の業務の操作ができることです。 1つの端末で操作が完結するため、業務を簡略化することができます。
土日や休診日など、他のスタッフの不在時に急患が来院した際も、医師は診察室の端末から診察受付や会計、処方箋発行など全ての操作を行うことができるのです。複数の端末を操作しなくても、一貫して操作ができ患者にも迷惑をかけません。
2つ目は、窓口が一本化されることです。 システムを利用していると、システムが動かなくなったり不具合が生じたりします。トラブル解消のために問い合わせをする際にも、1つの窓口に問い合わせをすれば済むので、手順がシンプルです。
複数のシステムにまたがることなく、1つのシステムを確認してもらうだけですので、トラブルの早期の復旧が可能になるでしょう。
最後に、インターフェースが統一されていることです。 同一メーカーが開発しているため、インターフェースが統一されていて、操作方法を覚えやすいでしょう。どこを操作すればどういったことができるのかを、直感的に理解しやくなります。
一方で、レセコン一体型の電子カルテには2つのデメリットがあります。
1つ目は、システムトラブルが生じた際の影響が大きくなることです。サーバー障害などが起きると、電子カルテとレセコンが一体になっている場合は両方とも利用ができません。そのため、電子カルテの情報にもアクセスできず、請求も行えないことから、その日の業務がすべて止まってしまう事態に陥る可能性があるのです。
2つ目に、システム入れ替えをすべて一体で行う必要があることです。 電子カルテを別のメーカーに入れ替える場合にも、レセコンも同様に入れ替えが必要になります。どちらか一方はまだ利用できる場合でも、2つのシステムの分の入れ替えコストが発生してしまうことはデメリットになりうるでしょう。
次に、レセコン分離型の電子カルテのメリットは2つあります。
1点目は、既設のレセコンがある場合に初期費用を抑えられることです。
通常、一体型電子カルテの導入費用は、レセコン機能がついている分、分離型電子カルテよりも高くなります。 一方で、既設のレセコンと連携可能な分離型電子カルテを導入する場合は、レセコンの分の初期費用を抑えることが可能です。 連携可能なケースは以下の通りです。
2点目に、電子カルテを他社に乗り換えても、レセコンはそのまま使用できることです。 一体型の場合はどちらも入れ替える必要がありますので、コストもかかります。どちらかが使い続けられるだけでも、同時期の投資費用は少なく抑えられるでしょう。
レセコン分離型の電子カルテのデメリットは下記のとおりです。
まず、電子カルテとレセコンの2つの操作が必要であることです。 電子カルテに入力した後にレセコンソフトにデータを送信する必要があるため、一体型と比べて作業の工数が増えてしまいます。電子カルテとレセコンが連携できている場合が多いですが、それでも2つの端末を操作しますので工数は増えると考えてよいでしょう。
次に、操作に慣れるまで時間がかかることです。 レセコンと電子カルテでメーカーが異なると、インターフェースはもちろん異なります。インターフェースが異なる例としては、ORCAのレセコンを使用していて、別メーカーの電子カルテを導入する場合などが想定できます。 一体型と比べて、どこにどんなボタンがあるか、どんなことができるかなど操作になれるまで時間がかかる可能性があるのです。
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レセコン一体型と分離型について比較表を作成していますので、詳しいポイントは下記の表を参考にしてみてください。
比較ポイント | レセコン分離型電子カルテ | レセコン一体型電子カルテ |
---|---|---|
①操作性 | ・電子カルテで入力した内容をレセコンに送信する必要がある ・電子カルテ・レセコンのインターフェースが統一されていない |
・1つの端末で電子カルテとレセコン両方の操作が可能
・電子カルテ・レセコンのインターフェースが統一されていて使いやすい |
②初期費用 | 既設のレセコンがある場合、初期費用を抑えられる可能性がある | 電子カルテ・レセコン2つの機能をもつため、初期費用は分離型電子カルテよりも高価 |
③障害時の対応 | 障害が起きた際は別々のところに問い合わせないといけない | 障害発生時は1つの窓口に問い合わせればいい |
④更新時 | ・電子カルテとレセコンで別々での更新が可能 ・電子カルテを別のメーカーに乗り換えてもレセコンは引き続き使用できる |
電子カルテの更新や別メーカーに乗り換える場合は、レセコンもあわせて変える必要がある |
それでは、レセコン一体型の電子カルテについて、おすすめを5選紹介します。 インターフェースが同じで操作がしやすく、問い合わせも一本化できる点はメリットになるでしょう。具体的な企業と製品について確認していきます。
株式会社ユヤマのレセコン一体型電子カルテBrainBoxVIII は、カスタマイズがしやすく誰でも簡単に使える電子カルテです。クリニック独自の操作をショートカットキーとして登録することができ、入力作業が効率化できます。新世代の医薬品関連データベースを利用して、病名や医薬品を有機的にチェックすることができます。会計業務まで一貫して行うことができ、システムのサポートもリモートでメンテナンスができるのでシステムに慣れていない方でも安心です。
株式会社ユヤマの比較ポイント
システム概要
会社名 | 株式会社ユヤマ |
---|---|
製品名 | BrainBoxVIII |
電子カルテ・レセコン | 一体型 |
システム形態 | オンプレミス |
対象施設 | 無床クリニック |
ウィーメックス株式会社が提供するレセコン一体型の電子カルテは、一般診療所向けの電子カルテシステムでシェアNo.1を獲得しています。レセプトの請求業務で漏れやミスがないようアシストしたり、電子カルテで入力しなければならない項目を1画面で見やすく表示したりと、使う人のことを考えた設計がされています。電子カルテ以外にも約170社の様々なシステムと連携できる点も魅力です。データへの不正アクセスを防ぐよう、個人ごとにパスワードを付与でき、ウイルス対策も万全なので安心して利用できます。
ウィーメックス株式会社の比較ポイント
システム概要
会社名 | ウィーメックス株式会社 |
---|---|
製品名 | Medicom-HRf Hybrid Cloud |
電子カルテ・レセコン | 一体型 |
システム形態 | クラウド・オンプレミス |
対象施設 | 無床クリニック |
アイネット・システムズ株式会社のAI・CLINICは無床クリニック向けのレセコン一体型の電子カルテです。事前にマスタ登録をしなくても、カルテを入力しながら併せてマスタにもセットができるので入力・設定とも手間がかかりません。マニュアル要らずで直観的に操作できるところがドクターに選ばれています。在宅でカルテを入力したり、スマホで撮影した患部の写真を添付したり、きめ細かく対応ができます。電子カルテの三原則(真正性・見読性・保存性)を確実に満たし、オーダー系のシステム化も可能な点が他社と異なるポイントでしょう。
アイネット・システムズ株式会社の比較ポイント
システム概要
会社名 | アイネット・システムズ株式会社 |
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製品名 | AI・CLINIC |
電子カルテ・レセコン | 一体型 |
システム形態 | オンプレミス |
対象施設 | 無床クリニック |
開業医が開発した株式会社ダイナミクスのレセコン一体型の電子カルテは、全国で4,700件以上のクリニックで利用されています。医師が医師のために開発したシステムなので、現場の目線での使い勝手にこだわった製品です。初年度は352,000円が必要になりますが、2年目以降は月額11,000円(税込み)とリーズナブルに利用できます。ダイナミクスを利用しているユーザー同士で情報交換ができるコミュニティも運営されており、クリニック開業時の不安を共有したり、ユーザーニーズを元に開発を行ったりしています。
株式会社ダイナミクスの比較ポイント
システム概要
会社名 | 株式会社ダイナミクス |
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製品名 | Dynamics |
電子カルテ・レセコン | 一体型 |
システム形態 | オンプレミス |
対象施設 | クリニック |
JBCC株式会社のクラウドカルテblancは、「いつでも・どこでも・だれでも」利用できることをコンセプトに開発されました。従前オンプレミス型で提供していたシステムの使いやすさをそのままに、さらによいレイアウトで、障害に強い止まらないカルテを実現しています。携帯電話の回線を利用することで、訪問先や自宅でも利用ができる点もポイントです。東日本・西日本それぞれにデータセンターを設け、データが消失しないよう備えています。紹介状や診断書の文書作成補助機能もあるため、間違いを少なく簡単に文書作成も可能です。
JBCC株式会社の比較ポイント
システム概要
会社名 | JBCC株式会社 |
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製品名 | blanc ※亀田医療情報株式会社の製品の正規代理店として販売 |
電子カルテ・レセコン | 一体型 |
システム形態 | クラウド |
対象施設 | クリニック |
次に、レセコン分離型電子カルテのおすすめ5選を紹介します。 それぞれのシステムを、ご自分のクリニックに合うよう別の会社から選んで連携することも可能です。新規導入や入れ替え検討の参考にしてみてください。
三栄メディシス株式会社が提供する電子カルテは、ORCAと連動した電子カルテです。すでにORCAを利用している場合は、電子カルテのみ分離して提供することができます。画面操作やボタンなどを極力少なくシンプルにすることで、簡単に利用できる設計です。シンプルなだけではなく、様々な他のシステムと連携することもでき、拡張性が高くなっています。サポートについても、コールセンターが対応してくれ、不具合にはリモートメンテナンスが可能なので、安心して利用できることもポイントです。
三栄メディシス株式会社の比較ポイント
システム概要
会社名 | 三栄メディシス株式会社 |
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製品名 | Dr.Simpty for ORCA |
電子カルテ・レセコン | 分離型 |
システム形態 | オンプレミス |
対象施設 | 無床クリニック |
セコム医療システム株式会社の電子カルテは、セコムグループのITセキュリティ技術によって守られた電子カルテです。早くからクラウドでのサービス提供を開始し、在宅医療や訪問診療など様々な場面で活躍しています。専用端末やサーバー設備の設置が不要で、セコムの専用回線を使用しセキュリティに接続ができます。他の施設の電子カルテとも連携が可能で、統計データの集中管理などにも利用されています。透析支援システムやリハビリシステムなど部門で利用するシステムとの連携も可能です。
セコム医療システム株式会社の比較ポイント
システム概要
会社名 | セコム医療システム株式会社 |
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製品名 | セコム・ユビキタス電子カルテ |
電子カルテ・レセコン | 分離型 |
システム形態 | クラウド |
対象施設 | 無床クリニック、小中規模病院 |
エムスリーデジカルは、m3.comの調査でクラウド型電子カルテで5年連続シェアNo.1を獲得しています。多くの医師が登録するプラットフォームのm3.comを運営するエムスリーグループの会社で、多くの医師の意見をもとに開発されました。AI自動学習機能で、カルテの入力時間を80%削減できます。iPadやスマホでも利用でき、予約・会計システムとも連携し、クリニックのDX化を後押しします。初期費用は0円で、月額9,800円から利用可能です。サポートプランや、レセプトと一体型か分離型かも選べるので、クリニックの利用用途や状況に合わせてカスタマイズがしやすいでしょう。
エムスリーデジカル株式会社の比較ポイント
システム概要
会社名 | エムスリーデジカル株式会社 |
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製品名 | エムスリーデジカル |
電子カルテ・レセコン | 分離型(一体型も提供あり) |
システム形態 | クラウド |
対象施設 | 無床クリニック |
きりんカルテは、外来にも在宅にも対応可能なクラウド電子カルテです。基本的な電子カルテの機能に加え、予約機能・在宅機能・自由診療機能・画像撮影アプリが追加費用なく利用できます。レセプトコンピューターはORCAサービス「日レセクラウド」を利用し、一体で利用することで、レセコンの利用料のみで電子カルテは無料で利用できます。レセコンの初期導入費用や月額料金はかかりますが、電子カルテについては基本的に料金がかからないのが嬉しいポイントです。
ウィーメックス株式会社の比較ポイント
システム概要
会社名 | ウィーメックス株式会社 |
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製品名 | きりんカルテ |
電子カルテ・レセコン | 分離型 |
システム形態 | クラウド |
対象施設 | 無床クリニック |
株式会社メディサージュが提供するHAYATE/NEOはクラウド型の電子カルテです。 システムの操作に不安がある方でも、簡単で分かりやすい画面で操作ができます。クラウドサービスのため、初期投資費用を抑えることができ、サポートセンターなどの各種サポートも含まれていて安心です。地域医療連携システムとの連携や、システム内でのワークフロー、タグ付で高度な検索ができることなど、必要な機能を過不足なく備えています。
株式会社メディサージュの比較ポイント
システム概要
会社名 | 株式会社メディサージュ |
---|---|
製品名 | HAYATE/NEO |
電子カルテ・レセコン | 分離型 |
システム形態 | クラウド |
対象施設 | 病院・有床クリニック向け |
本記事では、レセコン一体型と分離型の電子カルテについて、それぞれおすすめ製品を紹介しました。一体型と分離型では、入れ替えのしやすさや、操作などの扱いやすさにも違いが出てきます。一体の方が連携がしやすいこともありますし、分離型であればそれぞれのシステムでご自分のクリニックに合った最適なシステムを選ぶことができます。
双方のメリット・デメリットを踏まえたうえで、電子カルテの新規導入や入れ替えを検討してみてください。
電子カルテについては【目的別】電子カルテ53製品|おすすめ製品、規模別の選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
電子カルテ選びの専門知識・時間がない方
コンシェルジュが代わりに探してご案内します!
業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリな製品・メーカーをご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。相場観や補助金情報などのご質問にもお答えします。