様々な法律が改正され、その対応に追われることが多い各企業ですが、今回は特に電波に関連するスプリアス規格について解説していきます。
スプリアス規格がどう変わるのか、変更によりどのような対応が必要かなど気になっている方も少なくないでしょう。
早めに業者へ相談したり機器を調べたりしておくと、スムーズに新規格への対応が進みますので、ぜひ記事を読んでチェックしてください。
目次
そもそもスプリアスとは、無線設備によって発出される電波のうち、所定の周波数から外れた電波のことを指します。通信に不要な電波のことで、他の機器や通信の障害にもなりうるため、電波法によって強度が規定されており、この規定がスプリアス規格です。
規格や法令については、総務省の電波利用ホームページにてその詳細が掲載されています。各無線機は製造時のスプリアス規格にのっとって製造されているのです。
国際的な無線通信規則のPR改正が行われたことを背景として、日本でも2005年に法令の改正および新スプリアス規格の適用が実施されています。
なぜスプリアス規格が改正されることになったのかの経緯や、移行に伴う注意点について見ていきましょう。
先にも述べた通り、日本で2005年にスプリアス規格の改正が行われました。これは、現代の社会・経済活動の発展と多様化に伴い、情報通信の需要が高まったこと、技術向上による無線システムが高度化していることなどが影響しています。
これまで以上に不要な電波を低減させ、電波環境の維持・向上を図る目的で法令の改正がなされ、現在の新スプリアス規格へと移行したのです。新たに法で定められた規格を超えてしまう旧スプリアス規格の無線機器は、使用が制限されることになります。
旧スプリアス規格の元で製造された、新スプリアス規格に対応していない無線機器は使い続けることができません。使用した場合は電波法違反となってしまい、罰則の対象となります。
具体的には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となってしまうため、適切な新スプリアス規格への対応、機器の変更が必要になるでしょう。
それでは、新スプリアス規格への変更はいつまで対応しなければならないのでしょうか。法令改正当時は、2022年11月30日までの変更が必須となっていました。
しかしコロナの影響などもあり、他の通信機器の運用に妨害を与えないものに限っては、変更期限は「当分の間延長する」となっており、現状具体的な期限は設けられていません。
ただし、これはあくまでも社会的状況を汲んでの一時的な延長ですので、早めに変更への対応を進めることをおすすめします。
お使いの機器がスプリアス規格の新/旧、どちらに対応したものであるのか確認する方法は、主に以下2つが考えられます。
手っ取り早いのは、専門のメーカーに相談する方法です。お使いの機器の製造元に問い合わせるか、他社製品であっても規格の確認・相談を受け付けてくれるところもあります。
または、総務省のホームページで確認するというのも一つの手です。電波利用ホームページでは、「技術基準適合証明等を受けた機器」を掲載しており、検索することで、新旧スプリアス規格の区別などについて情報を確認できます。
スプリアス規格の変更は、医療機関においても影響を受ける機器があることをおさえておきましょう。ナースコールや古いPHSは、規制の対象となる可能性があり、買い替えや入れ替えの対応が必要になるかもしれません。
よく確認し、規格などについて不明点がある場合はメーカーへ問い合わせましょう。
無線ナースコールについては【徹底解説】無線ナースコールおすすめ6選|選び方や仕組みも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
お使いのナースコールやPHSが旧スプリアス製品だった場合、どのように対応したら良いのでしょうか。
一つは、新スプリアス規格に対応した製品へ取り替える方法です。ある程度コストはかかってしまいますが、最も確実に規格への対応ができる方法と言えます。
現状古い機器を使っていたり、長く使っていたりする場合には、良い機会と捉えて買い替えを検討してみても良いかもしれません。
また、フィルタ取付をするという手段もあります。現在使用している機器にフィルタを取り付けて、新スプリアス規格へ適合させるという方法です。
今回はそもそもスプリアス規格とは何か、改正の内容や改正への対応方法などについて解説してきました。
現状具体的な期限は設けられていないものの、旧スプリアス規格の製品を使っていると罰則が課せられる可能性もあるため、適切に新スプリアス規格へ対応することが大切です。
現在お使いの機器が新/旧どちらの規格なのか確認し、対応方法を検討していきましょう。