電子カルテの耐用年数は?設備更新の負担の少ないクラウド型も解説

更新日 2023.11.01
投稿者:豊田 裕史

電子カルテの導入が進んできた昨今、電子カルテは何年使えるのか、更新費用はどれくらいかかるのかなど、気になっている方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、電子カルテの耐用年数や、耐用年数を過ぎた電子カルテをどうするのか、更新費用はどれくらいなのかについて解説していきます。

あわせて、設備更新の負担が少ないクラウド型電子カルテについてもご紹介しますので、自院で導入や更新を検討している方はぜひご覧ください。

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電子カルテの耐用年数は?

電子カルテの耐用年数は何年なのでしょうか。ここでは、院内にサーバーを置いて運用する “オンプレミス型” 電子カルテについて、耐用年数を解説していきます。

オンプレミス型電子カルテは、電子カルテそのものであるソフトウェアと、ディスプレイなどのハードウェアの2つの要素で構成されています。ソフトウェアとハードウェア、それぞれの要素の耐用年数を確認していきましょう。

そもそも耐用年数とは?

具体的な開設の前に耐用年数の意味について、改めて解説します。 そもそも耐用年数には、2つの意味があります。

1つ目の意味は「物理的に故障がなく使い続けられる期間」、2つ目の意味は会計上の用語で「対象の資産を使用できる期間」です。 ここでは、会計上の耐用年数である法定耐用年数について解説していきます。

10万円以上のものを購入した場合、減価償却といって購入費用を分割して計上する方法があります。 この方法には、一度に費用を計上するのではなく分割して少しずつ計上するため、年ごとの利益が正しく計算されるようになる、というメリットがあるのです。 この分割できる期間が会計上における耐用年数となります。

ただし、減価償却の期間は一律で同じではありません。 対象となる設備の種類に応じて国税庁が減価償却の期間を定めているため、注意が必要です。

それでは、それぞれの設備の法定耐用年数を確認していきましょう。

ソフトウェアの耐用年数は5年間

電子カルテはソフトウェアであり、減価償却資産(無形固定資産)に該当します。 減価償却資産の法定耐用年数は、利用目的によって3年間または5年間と定められており、具体的には以下の通りです。

  • 「複写して販売するための原本」または「研究開発用のもの」:3年
  • 「その他のもの」:5年

出典:国税庁「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」

電子カルテは上記で「その他のもの」に属するため、電子カルテの法定耐用年数は5年間であることがわかります。

ハードウェアの耐用年数は5年間

デスクトップパソコンのディスプレイなどはハードウェアであり、減価償却資産(有形固定資産)に該当します。 デスクトップパソコンのディスプレイの法定耐用年数は5年間となっています。

出典:国税庁「2 経過的取扱い」

耐用年数を過ぎた後の電子カルテはどうするのか?

では、耐用年数を過ぎた電子カルテはどうするべきなのでしょうか。 電子カルテを購入している場合とリースで導入した場合では対応が異なりますので、2つに分けてそれぞれ解説していきます。

電子カルテを購入している場合

まずは電子カルテを購入している場合について解説していきます。 購入した電子カルテは、耐用年数を過ぎた後も使用することができます。 ただし、耐用年数を過ぎた後はメーカーの保守を受けられなくなる可能性もあり、注意が必要です。

例えば、電子カルテ会社のひとつである富士通は「法定耐用年数」に合わせて、製品保守期間を5年間と設定しています。

出典:富士通の製品保守の期間の考え方

保守期間が過ぎた後は、保守契約の更新を行うか、最新のハードウェアやソフトウェアに入れ替える必要があるのです。

購入した電子カルテは耐用年数を過ぎた後も使用はできますが、保守契約の更新や設備・システムの更新が必要になることは確認しておきましょう。

電子カルテをリースで導入している場合

次に、電子カルテをリースで導入している場合について解説していきます。

電子カルテをリースで契約する場合には、機材の耐用年数とあわせて5年前後のリース契約を結ぶことが多いです。 リースの契約期間が経過したあとにはリースの再契約を行うか、ソフトウェアやハードウェアを新しいものと入れ替えるか、他社への切替を検討するか、などの対応を行う必要があります。

リースで導入した電子カルテを耐用年数が過ぎた後に使用するためには、リースの再契約や設備・システムの更新が必要になることを確認しておきましょう。

電子カルテの更新にはどのくらいの費用がかかる?

電子カルテの更新には、初期費用と同等の数百万円の費用が必要となります。 これは、耐用年数にあわせて決められた保守契約やリース契約の期間が終わると、ソフトウェアの更新、デスクトップやサーバーなど設備の買い替えが必要となるからです。

約5年ごとの更新のたびに数百万円規模の費用が発生し、費用の高さに不満を感じている医師も多いと言われています。

電子カルテのリプレイスについては電子カルテのリプレイスを解説|入れ替えの時期や注意点などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

クラウド型の電子カルテなら更新費用の負担が少ない

ここまでの記事では、院内にサーバーを置いて運用するオンプレミス型電子カルテについて解説してきました。

ここからはクラウド上に電子カルテデータを保存する、クラウド型電子カルテについて解説をしていきます。

クラウド型電子カルテのメリットは以下の通りです。

  • 院内にサーバーの設置も不要のため、高額な設備更新も不要
  • ソフトウェアの更新費用がかからない

1つずつ確認していきましょう。

ソフトウェアの更新費用がかからない

クラウド型電子カルテのメリット1つ目はソフトウェアの更新費用がかからないことです。 クラウド型電子カルテの場合、インターネットを介して常に最新のシステムを利用することができます。 よって、5年ごとのシステム更新という考え方はないため、システム更新費用がかかりません。

各種メンテナンス、各種ソフトのバージョンアップへの対応などが月額使用料に含まれており、追加のシステム更新費用がかからないことは大きなメリットです。

院内にサーバーの設置も不要のため、高額な設備更新も不要

クラウド型電子カルテのメリット2つ目は高額な設備更新費用がかからないことです。 クラウド型電子カルテは、院内にサーバを設置しないため、高額なサーバーの設備更新が不要となります。

よって、病院側が行う設備更新は、電子カルテで使用しているパソコンやモニターなどの機器のみとなり、費用が抑えられることは大きなメリットです。

クラウド型の電子カルテについては【目的別】電子カルテ53製品|おすすめ製品、規模別の選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

今回の記事では、電子カルテの耐用年数や更新費用についてお伝えし、設備更新の負担が少ないクラウド型電子カルテについてもご紹介しました。

電子カルテの法定耐用年数は5年と定められており、更新には初期費用と同等の数百万円がかかります。 更新費用に不満のある方、電子カルテの導入や更新を考えている方は、今回の記事を参考にして検討してみてはいかがでしょうか。

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よくある質問

電子カルテの耐用年数は何年ぐらいですか?
院内にサーバーを置いて運用するオンプレミス型電子カルテの法定耐用年数は、ソフトウェア・ハードウェアともに5年間です。
耐用年数を経過した電子カルテは使用できますか?
オンプレミス型電子カルテは耐用年数が経過した後も使用することはできますが、契約更新やシステム・設備の更新が必要となります。その場合、初期費用と同等の更新費用が発生します。
電子カルテの設備更新費用を抑える方法はありますか?
電子カルテの設備更新費用を抑えるためには、クラウド型電子カルテをおすすめします。 これは、クラウド型電子カルテでは院内にサーバを設置しないため、高額な設備更新が不要だからです。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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