「介護ソフトを導入したいが、費用はできるだけ抑えたい。」そう考える人も多いのではないでしょうか。ただでさえ人手不足・激務な介護職ですから、業務効率化を期待できる介護ソフトの導入をしたいと思うのは自然な事です。しかし、介護ソフトの導入には、まとまった費用が必要です。
介護ソフトを導入するなら、「IT導入補助金」を活用することをおすすめします。IT導入補助金の目的は、ITソフトの導入によって現場の生産性を向上させることです。目的に沿った介護ソフトの使い方をするのなら、補助金を活用して導入費用を抑えられるかもしれません。
本記事では、介護ソフト導入に使える、IT導入補助金について解説していきます。
補助金の制度概要や申請スケジュールなどをご紹介しますので、介護ソフト導入に合わせて、補助金申請の準備を始めましょう。
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目次
都道府県・市区町村ごとにさまざまな補助金があり、業務効率化・売上アップなどを目的として対象条件も様々です。そんな中、介護ソフトの導入に使える補助金もあります。それが「IT導入補助金」です。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が、ITツールを導入する際に活用できる補助金です。補助金を活用できれば、十数万〜数百万円の助成を受けることが可能で、介護ソフト導入時の負担を軽減できます。
ただ、補助金を活用するなら、介護ソフトを導入することで確実に業務効率化・売上アップする見込みがあることを事務局に伝えなければなりません。
例えば、介護ソフトができることとして、
などがあります。
間違いなく業務を行いやすくなりそうな内容を羅列しましたが、介護ソフトが現場に合っていなければ、生産性を向上させることは厳しいでしょう。生産性を向上させるなら、自院の抱えている問題に沿った介護ソフトを選ぶことです。介護ソフトの導入で業務効率化・売上アップする目途が立てば、補助金も活用できるでしょう。
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者を対象に、生産性を向上させるITツールの導入経費を一部補助する制度です。IT導入補助金の目的は、ITソフトの導入によって現場の生産性を向上させることにあります。
複数ある申請枠のうち、適切な枠で申請して、審査に通れば補助金が得られるという流れです。申請枠は3つあり、自社の課題やニーズに合ったITツールの経費を補助する「通常枠」、サイバー攻撃によって生産性が低下するのを防ぐITツールの経費を補助する「セキュリティ対策推進枠」、インボイス制度を見据えて企業間取引のデジタル化を支援するITツールの経費を補助する「デジタル化基盤導入枠」のうちから申請します。
ただし、ITツールであればなんでも申請が通るわけではありません。IT導入補助金の申請を行い、審査に通過するためには、以下の2点を満たしていることが必須条件です。
事務局に登録されていないメーカーの介護ツールは、補助の対象外なので、そもそもIT導入補助金の申請を行えません。
また、前の項目の繰り返しになるようですが、介護ツールの導入が生産性向上につながらないと事務局に判断されると、審査で落とされ補助金を受け取れない可能性があります。審査で落とされないためには、導入予定の介護ソフトでできることを把握したうえで、それが現場に合っているかを精査することです。自院のかかえる問題点を解決できる介護ソフトを導入し、IT導入補助金を活用しましょう。
大前提として、IT導入補助金を申請する場合、導入する介護ソフトはIT導入補助金事務局に登録されているメーカーの製品でなくてはなりません。
ホームページの「IT導入支援事業者・ITツール検索」を活用し、介護現場の規模や課題に沿って、IT導入支援事業者(メーカー)と導入したい介護ツールを選定しましょう。
補助される費用は、以下の通りです。
通常枠 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大1年分)、導入関連費 |
---|---|
セキュリティ対策推進枠 | サービス利用料(最大2年分) |
デジタル化基盤導入枠 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、ハードウェア購入費 |
どんな事業者でも補助金をもらえるわけではありません。補助対象者は、中小企業・小規模事業者等で、医療・介護事業者も対象に含まれます。
事業者ごとの申請条件は、以下の通りです。
サービス業(医療・介護事業者) | 資本金5,000万円以下または、従業員数(常勤)が100人以下 |
---|---|
医療法人・社会福祉法人 | 従業員数(常勤)が300人以下 |
従業員数は少なめに設定されているため、必然的に大企業は対象外となります。
なお、その他の対象要件は下記表の通りです。
通常枠のA型・B型、デジタル化基盤導入枠のほか、セキュリティ対策推進枠があります。
詳細情報は以下の通りです。
通常枠(A・B類型) | 中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助 |
---|---|
セキュリティ対策推進枠 | 中小企業・小規模事業者がサイバー攻撃を受けることを回避し、事業継続が困難となるリスクを低減するためにITツールを導入することを支援 |
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) | インボイス制度も見据えた企業間取引のデジタル化を支援という名目の補助金枠。中小企業・小規模事業者が導入する会計ソフト・受発注ソフトなどの経費の一部を補助することで、企業間取引のデジタル化を推進 |
介護ソフト導入時に補助金を活用する場合、基本的には通常枠(A・B類型)で申請することになります。ただ、会計等の機能(会計・受発注・決済・EC)を介護ソフトに有している場合は、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で申請が通る可能性もあるようです。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の方が、補助率も補助額も大きいので、条件が合えば優先的に申請しましょう。
出典:株式会社インタートラスト|IT導入補助金の「デジタル化基盤導入枠」もご利用になれます!
通常枠とデジタル化基盤導入枠では、対象ITツールがそれぞれ異なります。
通常枠での対象ITツールは、導入することで業務効率化・生産性向上する見込みがあると、事務局に認められたITツールです。介護ツールの導入が意味のあることだと事務局に認めさせるためには、現場の労働環境における課題を明確にしたうえで、それを解決できる介護ツールであることを事務局に伝えなければなりません。
一方、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の対象ITツールは、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトです。補助対象は通常枠より多く、ソフトウェア購入費・クラウド利用料・導入関連費に加えて、ハードウェアの導入費用も補助対象となります。また、2020年からクラウド利用料が最大2年間まで補助できるようになりました。
ただし、どちらで申請するにしても、審査を通過しなくては補助金を受け取ることはできません。なお、補助率・補助額の違いは後述しております。
通常枠 | ||
種類 | A類型 | B類型 |
申請額 | 5万~150万円未満 | 150万~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
補助対象 | ソフトウェア費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 |
出典:IT導入補助金2023
通常枠はA類型とB類型があり、どちらも補助率は1/2以内です。補助の対象は、ソフトウェア購入費・クラウド利用料1年分・導入関連費となります。ただし、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)とは異なり、PC・タブレットといったハードウェアは補助の対象外である点は注意しましょう。
補助額については、A類型は30〜150万円未満、B類型は150〜450万円以下です。どちらで申請できるかは、IT導入補助金ホームページに記載されている業務プロセス(業務工程や業務種別を指す)の数によって変わります。介護ソフトによって満たしているツール要件は異なるので、導入前にメーカーに確認をしましょう。
デジタル化基盤導入類型 | ||
申請額 | ITツール | |
(下限なし)~350万円 | ||
内、~50万円以下部分 | 内、50万超~350万円部分 | |
機能要件※1 | 会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上 | 会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上 |
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 |
対象ソフトウェア | 会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト | |
賃上げ目標 | なし | |
補助対象 | ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費 |
※1:該当する機能の詳細はITツール登録要領を参照
ハードウェア購入費 | PC・タブレット・プリンター・スキャナーおよびそれらの複合機器:補助率1/2以内、補助上限額10万円 | |
---|---|---|
レジ・券売機等:補助率1/2以内、補助上限額20万円 |
出典:IT導入補助金2023
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では、通常枠(A・B類型)と比べて補助の対象は限定的ですが、補助率・補助額が多く設定されています。
補助の対象は、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトです。しかし、導入する介護ソフトに、会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上が内蔵されていれば、それで要件を満たせることもあります。
また、補助の内容は、通常枠(A・B類型)よりも手厚いです。補助率は最大3/4に上昇し、クラウド利用料は最大で1年間長く補助されます。さらに、ハードウェアも補助の対象で、PCやタブレットであれば、補助率1/2・補助額の上限10万円、レジ・券売機であれば、補助率1/2・補助額の上限20万円です。
会計等の機能が介護ソフトに内蔵されているなら、メリットが大きいデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で申請することをおすすめします。
1年間で複数回の申請タイミングがあります。なお、採択の結果は、各締め切り日の約1ヶ月後です。
また、事前準備として、gBizIDプライムのアカウント取得(約2週間を要する)や、IT導入支援事業者が行う手続きも必要となります。補助金の交付までには時間を要するので、申請を検討している人は余裕をもって準備しましょう。
以下、通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)における、直近の締め切り日と交付決定日をまとめた表を作成しました。
■通常枠(A・B類型)
締め切り日 | 交付決定日 | |
8次締切分 | 2022年11月28日(月)17:00 | 2023年1月18日(水) |
9次締切分 | 2022年12月22日(木)17:00 | 2023年2月7日(火) |
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
締め切り日 | 交付決定日 | |
16次締切分 | 2022年11月28日(月)17:00 | 2023年1月18日(水) |
17次締切分 | 2022年12月22日(木)17:00 | 2023年2月7日(火) |
18次締切分 | 2023年1月19日(木)17:00 | 2023年3月3日(金) |
※2022年11月時点
メーカーによってはIT導入補助金に詳しい専門のスタッフが在籍していることもあり、まずは専門スタッフへの相談から始めることもおすすめします。
どのメーカーが自分の施設に合うのか?まずはそんな相談からスタートしたい方はコンシェルジュの相談もおすすめです。
介護ソフトが、職員の負担を軽減させて、生産性を向上させる助けとなるのは間違いありません。しかし、高額な導入費用が原因で導入を躊躇しているなら、ぜひIT導入補助金を活用してみましょう。
数多くある介護ソフトのなかで、現場の環境を変えられる製品はなんなのか、良く検討することをおすすめします。
IT導入補助金の申請の際は、申請スケジュールを確認し、補助金交付までの時間を考えて計画的に行ってください。
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