ユヤマの電子カルテ「BrainBoxシリーズ」は機能が優れており、クラウド・オンプレミスの両方に対応しています。ほぼ全ての医科に対応しているにも関わらず使い勝手が良く、さまざまな場面で活用されているのです。
今回はユヤマの電子カルテ「BrainBoxシリーズ」について解説していきます。商品の概要はもちろんユーザーの口コミや・料金など、なかなか見つからない情報も深掘りしている記事です。
現在BrainBoxシリーズには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。「BrainBoxCloud(ブレインボックスクラウド)」はクラウド型、「BrainBox V4」はオンプレミス型です。
BrainBoxCloudは、サブサーバーを標準装備しています。これにより、ネット回線障害が発生した際にも運用が止まってしまう心配がありません。1ユーザーごとに仮想サーバーを構築することで、万が一の際にも全てがダウンするリスクを下げているのです。
BrainBox V4ではAIがカルテ・会計・レセプトの内容を解析し、必要に応じて提案してくれます。当月分と過去3回分までレセプトを並べて閲覧でき、比較・確認もスムーズです。高機能医薬品データベースを標準搭載しており、情報参照も簡単に行えます。
以下は、BrainBoxシリーズの概要です。
会社名 | 株式会社湯山製作所/株式会社ユヤマ |
---|---|
初期費用 | BrainBoxCloud:1,500,000円~ BrainBox V4:2,000,000円~ ※現在の価格設定について、詳しくはメーカーにお問い合わせください。 |
月額利用料 | BrainBoxCloud:35,000円~ BrainBox V4:35,000円~ ※現在の価格設定について、詳しくはメーカーにお問い合わせください。 |
おすすめの診療科 | 内科、呼吸器内科、整形外科・スポーツ医学、リハビリテーション科、アレルギー科、感染症科、血液内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、健診・予防医学、膠原病科、在宅医療、腫瘍内科、消化器内科、神経内科、循環器内科、総合診療、代謝・内分泌科、リウマチ科、老年内科、外科、血管外科、呼吸器外科、腫瘍外科、消化器外科、循環器外科、乳腺・内分泌外科、脳神経外科、泌尿器科、産婦人科、小児科、小児外科、形成外科、美容・アンチエイジング、麻酔科、放射線科、心療内科、精神科、漢方医学、産業医、病理など |
施設規模 | 無床クリニック向け |
提供形態 | BrainBoxCloud:クラウド型 BrainBox V4:オンプレミス型 |
レセコン | 一体型 |
連携可能な機器・システム | 要お問い合わせ |
推奨環境 | 要お問い合わせ |
サポート体制 | 専用コールセンター 全国200カ所以上のアフターサービス拠点 |
BrainBoxシリーズには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
「BrainBoxシリーズ」最大の特徴は、高機能医薬品データベース「MDbank」を標準搭載している点です。医薬品をいくつか服用する場合の相互作用・禁忌薬剤・病名漏れなどさまざまなチェックを行えます。
MDbankは患者様が持参した薬の検索にも良く活用されており、非常に信頼度の高いシステムといえるでしょう。原寸大の薬品画像も確認でき、患者様にとって飲みやすい大きさ・形状なのかも判断しやすくなっています。
万が一患者様自身が処方された薬の区別がつかなくなってしまっても、画面上の画像で確認可能です。以下は、「MDbank」に搭載しているデータベースになります。
搭載データベース | ・相互作用DB ・OTC薬相互作用DB ・常用量DB ・長期投与DB ・添付文書DB ・要約版添付文書DB ・指導文DB ・要約版指導文DB ・医薬品画像DB ・錠剤鑑別DB ・注射薬配合変化DB ・適応症DB ・病名禁忌DB ・検査DB ・副作用の確認DB ・アレルギーチェックDB ・向精神薬の管理(クロルプロマジン換算DB) ・インタビューフォームDB ・医薬品リスク管理計画情報(RMP)DB ・重複チェックDB ・年齢制限チェックDB |
---|
さらにBrainBox V4では、新機能として「アラカルトBank」を搭載しています。アラカルトBankとMDbankの情報を組み合わせることで、患者様ごとに注意すべき薬品の検索が可能です。医薬品処方時のサポートも万全にスムーズに行えます。
以下はアラカルトBankで表示されるカテゴリの一例です。
キーパッドや画面配色を、ドクター好みにカスタマイズできます。多くの人が使い慣れているWindowsと同じように右クリックでメニュー画面が表示されるため、直感的な操作が可能です。
ショートカットキーも自由に設定でき、必要な機能をすぐに呼び出せるようになります。画面設計だけでなく操作方法やメニュー・コマンドも組み合わせは自由自在で、業務の効率化に最適です。画面配色は8色から選べます。
ユヤマは営業担当者の現場力が優れており、多くの医療機関から高く評価されています。電子カルテはもちろん周辺機器に関する知見が深いため、導入後も信頼して相談する方がいるほどです。
日本最大級の医師向け総合サイト「m3.com」が行ったアンケートでは、ユヤマのサポートについて2割の医師が最高評価の「非常に満足している」と回答しています。
どんな製品にもメリットとデメリットがあり、BrainBoxシリーズも例外ではありません。ここからは、BrainBoxシリーズのデメリットについて解説していきます。
BrainBoxシリーズは価格が高めという声が一部ではあがっています。特にBrainBoxCloudは高機能である分、他メーカーのクラウド型と比較すると価格帯は高めです。視点を変えると、オプションなしで高機能を利用できるハイスペックな製品といえるでしょう。
BrainBox V4はもちろんBrainBoxCloudの場合もサブサーバーを設置するため、ある程度のスペースが必要です。ただし、サブサーバーは万が一通信障害が発生した際にも通常通り業務を行うことができます。
万が一の通信障害は、災害時に発生リスクが高まります。いざという時に安定して診察が行えるという点は、医療機関にとって非常にメリットとなるのです。システムだけでなく、患者様の健康をサポートするためにも必要なスペースだと考えて頂いてもいいでしょう。
以下では、BrainBoxシリーズの料金プランを表にまとめています。
シリーズ名 | 初期費用 | 月額利用料 |
---|---|---|
BrainBoxCloud | 1,500,000円~ | 35,000円~ |
BrainBox V4 | 2,000,000円~ | 35,000円~ |
※現在の価格設定について、詳しくはメーカーにお問い合わせください。
ここからは、BrainBoxシリーズの評判や口コミを紹介します。実際にBrainBoxシリーズを使用されたことのある方の声なので、よりリアルな評判を確認できるでしょう。
「m3.com」「ITトレンド」「日経メディカル」で公表している電子カルテのシェアランキング結果を独自に統合しました。結果として、BrainBoxシリーズの導入シェアは3位となっています。
順位 | 提供形態 | レセコン | |
---|---|---|---|
1位 | Medicomシリーズ|ウィーメックス株式会社 | ハイブリッド型 | 一体型 |
2位 | エムスリーデジカル|エムスリーデジカル株式会社 | クラウド型 | 分離型、一体型 |
3位 | BrainBoxCloud|株式会社ユヤマ | クラウド型(院内にサブサーバーを設置) | 一体型 |
4位 | Dynamics|株式会社ダイナミクス | オンプレミス型 | 一体型 |
5位 | Qualis/Medical Station Clinic|株式会社ビー・エム・エル | クラウド型 | 分離型 |
6位 | HOPEシリーズ|富士通Japan株式会社 | オンプレミス型、クラウド型 | 一体型 |
7位 | SUPER CLINIC|株式会社ラボテック | オンプレミス型 | 一体型 |
8位 | CLINICS|株式会社メドレー | クラウド型 | 一体型(ORCA内包) |
9位 | TOSMECシリーズ|エムスリーソリューションズ株式会社 | オンプレミス型 | 一体型 |
10位 | CLIUS|株式会社DONUTS | クラウド型 | 分離型 |
より詳しく電子カルテのシェアランキングが知りたい方は【2024最新】電子カルテのシェアランキング|おすすめメーカー製品を徹底比較 でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ここでは、BrainBoxシリーズを実際に使っている方の良い口コミを紹介します。
BrainBox V4は新しい製品のため、ひとつ前のモデルである「BrainBox V3」と合わせて評判を紹介していきます。
マウスのクリックで入力できる医療関係の口コミキーパッドをマウスでクリックして入力できるので、入力が迅速で便利です。コンピューターを使いなれない受付の従業員にも操作が分かり易いと好評です。薬剤情報も詳細で便利です。
学習呼び出し機能で定型文章の入力が簡単整形外科の口コミ複数の病名を一括で転記できるのは非常に便利です。また、定型文章を入れる際も、学習呼出機能を使えばすぐにカルテに反映でき、入力の手間が省けるのでその点でも非常に便利だと感じています。現在、後輩のドクターにも併診で外来をしてもらっていますが、その際入力した人が一目でわかるよう医師によって文字の色を変更できる点や重要な部分が一目で分かるように部分的に背景色を選択できる点も魅力に感じています。
何時間も寄り添ってくれるサポート力に感謝耳鼻咽頭科の口コミ他メーカーからの切り替え時は、インストラクターさんがすごく力になってくれました。ずっと勤務している既存のスタッフは新しいものに抵抗感が強かったのですが、インストラクターさんが1日つきっきりで丁寧に何時間もかけて操作方法を教えてくれました。機能をカスタマイズしていくところに関しても手伝ってくださって、当クリニックでは睡眠時無呼吸をやっていて、そのときに作る指示書をユヤマさんに相談したらフォーマットまで全部準備してくれて電子カルテの中に組み込んでくれました。既製品だけで終わらせている製品ではないなと感じてすごく心強かったですね。
誰でも直感的に操作ができる小児科・アレルギー科の口コミセットの組みやすさがおすすめです。例えば、風邪薬のフォルダを作り、その階層の下に喉/鼻/咳の風邪など階層化が自由に出来るので操作しやすくわかりやすいです。特に当クリニックは私以外のドクターも勤務しているので、直感的に使いやすい、わかりやすい点は魅力に感じました。後は小児換算機能が良いと思います。換算設定さえ決めてしまえば、誰も迷うことなく操作出来るので使いやすいと思います。
診察だけでなく経営面でも機能が充実内科・小児科の口コミ他社の一体型モデルやフリーの電子カルテを補助として使っていた時期もあり、比較というわけではないですが、BarinBoxVⅢは診察機能だけでなく、経営的な数値がすぐに出てくるのが非常に助かります。毎月の患者数や新患数、年間売上、後発品使用割合といった統計的な数値がすぐに表示できるのがありがたいです。診察機能ではよく使用するものが予め配置されているのも使いやすいですし、配置している場所もわかりやすく操作しやすいです。
続いて、BrainBoxシリーズに寄せられた悪い口コミを紹介します。
処方チェック機能の判定が厳しすぎることも整形外科・ペインクリニック内科・リハビリテーション科の口コミ(処方チェック機能は)少し杓子定規な部分があり、判定が厳しすぎると感じる場面もありますが、保険請求で査定(返戻や減点)されない為の機能という点ではわかりますし、チェック機能として必要だということは理解しています。
更新費用が高い医療機関の口コミ5年ごとの更新の費用が新規と同じだけかかります。配慮が欲しい点です。新しい機器との連携も昔は熱心でしたが、最近はユーザーが多くなったせいか迅速さに欠けます。
BrainBoxシリーズは「操作が分かりやすい」「サブサーバー設置で安心感を得られる」といった声が多く寄せられました。また「サポートがていねい」「画面をカスタムできる」点もメリットと感じる方が多いです。
一方「処方チェック機能の判断が厳しい場合がある」「費用が高い」という部分をデメリットと感じる方もいます。BrainBoxシリーズの価格帯は高めですが、その分機能が充実している点が特徴です。
万が一の時にも安定して診察を続けられる安心料と捉えれば、むしろコスパは良いでしょう。良い・悪いの両面から見ても、メリットの大きな電子カルテといえます。
ここまでBrainBoxシリーズの特徴や口コミを紹介してきました。そもそも、BrainBoxシリーズにはどのような機能が搭載されているのでしょうか。以下で詳しく解説します。
BrainBoxCloudは、AI機能によるクライドインサイト・サポートが標準搭載された製品です。これにより、医療機関ごとに蓄積されたデータをもとに学習モデルを自動作成します。学習モデルを基礎として電子カルテから得た数値を分析し、再来院率などの結果が得られるのです。
診察時の待ち時間も導き出せるので、患者様への事前案内にも活用できます。日々蓄積されたデータの有用性も自動で導き出してくれるので、より信憑性のあるデータの取得が可能です。
最新AIによるオーダー提案機能が搭載されています。AIがカルテや会計・レセプトの内容を解析し、他にオーダーするものがないかを必要に応じて提案してくれるのです。学習機能もついており、提案に対する評価をすることで次回以降はより最適な提案を行えるようになります。
BrainBoxCloudには他に以下の機能が搭載されています。
BrainBox V4のその他の機能は、次の通りです。
※WEBカルテ機能はオプションとなります。
以下は、BrainBoxシリーズについてのよくある質問をまとめています。
BrainBoxシリーズのメリットとデメリットは次の通りです。
メリット
デメリット
BrainBoxシリーズのサポート体制は充実しており、初めて利用する方も安心して導入できます。全国にアフターサービス拠点を展開し、万が一の時にも迅速な対応が可能です。専用コールセンターによるリモートメンテナンスも充実しています。
機械の操作に慣れない方でも、素早い問題解決が実現できるでしょう。
BrainBoxシリーズのクラウド型である「BrainBoxCloud」では、セキュリティも万全です。リアルタイムでの処方チェックを行え、安全・スムーズに情報伝達が行えます。また、1ユーザーにつき1つの仮想サーバーを構築している点も特徴です。
これにより、不意なトラブルが発生しても高セキュリティなシステムを実現できます。
オンプレミス型「BrainBox V4」では院内サーバーを利用して、データを管理します。そのため、カルテの確認をスマホ・タブレット・ノートPCを使って閲覧が可能です。
BrainBoxシリーズと同じようなクリニック向けの電子カルテとしては、以下のシステムがあげられます。
より多くの電子カルテが知りたい方は【2024最新】電子カルテ徹底比較|選び方やおすすめメーカーまで でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
BrainBoxシリーズは、クリニックの状況に合わせてクラウド・オンプレミスのどちらでも利用できます。AIや高機能医薬品データベースなど、ハイスペックな機能が標準搭載されている点も特徴です。
操作のしやすさやサポート力も高評価を得ており、業務の効率化が期待できる製品といえるでしょう。価格面で不安を感じる方もいますので、自院で確保できる予算を洗い出しつつ検討していくことをおすすめします。