毎日の介護記録に時間がかかりすぎて、本来のケアに集中できない――。そんな現場の負担を解消するために、記録ソフトの導入や見直しを検討される方は少なくありません。
一言に介護ソフトと言っても、請求業務までカバーする総合型から、現場での入力のしやすさを追求した記録特化型まで様々です。もし、今のシステムが複雑で使いにくい、あるいはパソコンの前に行かないと入力できないといった課題を抱えているなら、記録に強い製品を選ぶことが解決への近道になります。
本記事では、介護記録ソフトを選ぶ際のチェックポイントを整理し、入力作業を楽にするおすすめの製品を比較してご紹介します。現場のスタッフがストレスなく使い続けられる、最適なツール選びにお役立てください。
介護記録ソフトは、食事や排せつ、バイタルなどの記録をスマホやタブレットで入力・管理するツールです。最大の特徴は、一度の入力で日誌や連絡帳まで一括作成できる点にあります。手書きメモを後から転記する「二度手間」をなくし、現場の負担を直接的に軽減します。
入力した情報はクラウドなどのサーバーに集約され、リアルタイムで共有されます。手書き運用では、一人の利用者の情報を日誌、計画書、連絡帳へと何度も書き写していましたが、ソフトなら一度の入力ですべてに反映されます。
また、過去の記録も「利用者名」や「日付」で検索するだけで即座に表示されます。過去のケースを確認するために書庫へファイルを探しに行く必要がなくなり、多職種間での情報共有もスムーズになります。
請求ソフトと介護記録ソフトは、利用目的が明確に異なります。請求ソフトは主に事務室で使い、お金の計算や書類作成を正確に行うためのものです。一方、介護記録ソフトはケアの現場で使い、その場の様子を素早く記録してスタッフ間で共有するために活用します。
以前から一体型ソフトも普及していますが、記録に特化した製品は、現場での操作性に優れているのが利点です。機能を絞ることで迷わず入力できるため、ICTに不慣れなスタッフでも扱いやすく、本来のケアに集中できる時間を増やせます。
介護記録ソフトの導入は、単なるデジタル化にとどまらず、現場の働き方やケアの質に直接的な好影響を与えます。具体的な3つのメリットを整理しました。
手書きと比べて、圧倒的に速く、かつ詳細に記録を残せるようになります。スマホやタブレットの音声入力を活用すれば、手が離せない場面でも話すだけで文字入力が完了します。また、文章では伝わりにくい傷の様子や食事の量なども、写真を撮ってそのまま保存できるため、誰が見ても分かりやすい正確な記録が短時間で仕上がります。
スタッフ間や多職種との情報連携が、リアルタイムで行えるようになります。入力されたデータは即座に共有されるため、従来のような申し送りノートを回し読みする時間は必要ありません。別の場所にいる看護師やリハビリ職ともすぐに状況を共有でき、緊急時の判断や指示受けもスムーズに行えるため、チームケアの質が向上します。
記録の質を一定に保ち、重要な項目の見落としを防ぐことができます。バイタル値の異常や未入力の項目がある場合に、アラート機能で知らせてくれる仕組みがあるため、人為的なミスを大幅に減らせます。後から記録を修正したり、漏れを確認したりする手間がなくなり、常に最新で正確な状態を維持できるのが強みです。
介護記録ソフトは、導入すること自体が目的ではありません。現場に定着し、業務が楽にならなければ意味がないため、選定時には以下の4つのポイントを確認しましょう。
最も重要なのは、ICTに不慣れなスタッフでも直感的に使えるかどうかです。説明書を読み込まなくても、ボタン一つで食事や排せつの入力ができるようなシンプルな画面構成が理想です。デモ機などを活用し、実際に現場で使うスタッフが「これなら自分でも使える」と感じられる操作性のものを選びましょう。
持ち運びのしやすさと、ケアの合間にパッと入力できる機動性が重要です。パソコンの前に座らなければ入力できないソフトでは、結局メモを取る手間が残り、二度手間が解消されません。スマホやタブレットで、ベッドサイドやホールにいながらその場で完結できる製品を選ぶことが、残業削減の鍵となります。
現在使用している請求ソフトと、スムーズにデータをやり取りできるかを確認してください。記録専用のソフトを導入する場合、入力した内容が自動で請求ソフトへ反映される「連携機能」があれば、事務作業の手間をさらに省けます。手動でデータを取り込む必要があるのか、あるいは自動で連動するのか、事前に連携実績をチェックしましょう。
現在の介護現場において、LIFE(科学的介護推進体制加算)への対応は欠かせません。日々の記録を入力するだけで、LIFEに提出するためのデータが自動で集計されるソフトを選べば、加算取得のための事務負担を劇的に減らせます。提出用ファイルの書き出しがスムーズに行えるか、最新の制度に対応しているかを確認しておきましょう。
導入時に最も気になるコストは、大きく分けて「初期費用」と「月額利用料」の2つで構成されています。ここでは、料金体系を公開している「ケアコラボ」を例に、具体的な費用の目安を解説します。
多くの記録ソフトでは、利用人数に応じて料金が決まる従量課金制が採用されています。ケアコラボの場合、初期費用は無料で、月額料金は1名あたりの単価設定となっています。
| 初期費用 | 無料 |
|---|---|
| 月額料金 | 10名までは定額 9,680円(税込) ※11名以上の場合は、1名増えるごとに追加料金が発生する仕組みです(例:50名利用で月額48,400円・税込)。 |
月額費用にはサポート代も含まれており、アップデートによる追加費用もかかりません。このように「使った分だけ支払う」体系であれば、小規模な拠点でも導入しやすいのがメリットです。
多くのメーカーでは、正式な導入前に「無料トライアル期間」を設けています。実際の操作感をスタッフが試した上で、費用に見合う効果が得られるかを確認することが失敗しないコツです。また、国や自治体の「IT導入補助金」などの対象になる製品も多いため、これらを活用することで初期費用を大幅に抑えられる可能性があります。
今回は、現場の使いやすさを最優先した「記録特化型」のソフトを厳選しました。入力スピードや共有のしやすさに注目して、自社に合うものを比較してみてください。
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紙の記録用紙に近いイメージで操作できる、視覚的な分かりやすさが特徴です。高齢者介護だけでなく障がい者支援や保育など幅広い分野に対応しており、見守りセンサーとの連携機能も充実しています。これまでの記録のやり方を大きく変えずにデジタル化したい現場に向いています。

「タイムライン形式」を採用しており、利用者の様子をSNSのような感覚でスタッフ全員が把握できるのが強みです。文字だけでなく写真や動画を活用した情報共有がスムーズで、多職種が連携してチームケアの質を高めたい施設に選ばれています。

訪問介護や訪問看護に特化したソフトです。ICタグにスマホをかざすだけで入退室の記録が完了する仕組みが特徴で、スマホ操作に不慣れなスタッフでも直感的に使いこなせます。記録の漏れや転記ミスを物理的に防ぎたい訪問サービス事業所に適しています。
現場を知る開発者が「自分たちが使いたいもの」として作り上げた、訪問介護向けのシンプルなアプリです。余計な機能を削ぎ落とした使い勝手の良さが魅力で、現場の声をスピーディーに機能改善へ反映させる柔軟さも評価されています。

AI(人工知能)による行動予測や音声入力を活用し、記録作業の半自動化を目指したアプリです。スマホのセンサー情報を活用することで、記録にかかる時間を大幅に削減できるデータも出ています。最先端の技術を取り入れて、徹底的に業務効率化を図りたい場合に有効です。
介護記録ソフトをスムーズに定着させるには、事前の環境づくりが欠かせません。ソフトの機能を最大限に活かし、スタッフの混乱を防ぐために必要な3つの準備を解説します。
まずは、施設内のどこにいてもスムーズに通信ができる環境を整えることが重要です。特定の場所でしか通信ができないと、結局「後でまとめて入力する」ことになり、ソフトの利点が活かせません。また、スタッフがストレスなく使えるよう、業務量に見合った台数のスマホやタブレットを確保することも、入力の二度手間をなくすための必須条件です。
導入初期には、全スタッフが基本操作を覚えるための研修が必要です。一度にすべてを覚えようとせず、まずは「バイタル入力だけ」など機能を絞って教えるのがコツです。操作に迷ったときにすぐ確認できる簡易マニュアルを用意したり、得意なスタッフが周囲をサポートできる体制を整えたりすることで、現場の不安を解消できます。
すべての業務を一気にデジタル化せず、少しずつ進めることが成功の近道です。まずは特定のユニットや一部の機能から使い始め、課題を解決してから全体へ広げていく方法が推奨されます。現場の抵抗感を抑えながら「便利になった」という実感を積み重ねることで、スタッフの理解を得ながらスムーズに移行できます。
介護記録ソフトは、単なる記録のデジタル化ツールではなく、スタッフがゆとりを持って利用者に向き合うための「現場を支える道具」です。
手書きによる二度手間をなくし、スマホやタブレットでその場の様子を素早く共有できるようになれば、申し送りの短縮やケアの質向上に直結します。多機能なソフトは数多くありますが、まずは現場のスタッフが「これなら使いやすい」と思える操作性を最優先に選ぶことが、導入を成功させる一番の近道です。
本記事で紹介した選び方のポイントや事前準備を参考に、貴施設のスタイルにぴったりのソフトを見つけ、より働きやすい環境づくりへとつなげてください。