クリニック・医療施設において、電子カルテの導入が聞かれるようになりました。近くの施設で電子カルテの導入が行われたと聞くと、自施設でも導入すべきかどうか迷われることでしょう。
電子カルテを導入すべきかどうかの判断材料にするため、普及率を知りたいと思われる方も少なくありません。当記事では電子カルテの普及率や普及が進まない理由について解説していきます。電子カルテのおすすめメーカーもご紹介しますので、導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
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目次
厚生労働省の調査によると、2020年時点の(令和2年)電子カルテの普及率は一般診療所で49.9%、一般病院で57.2%です。
病床規模別にみると400床以上の病院では90%以上の普及率、200床未満の病院や一般診療所では50%未満の普及状況となっています。
大規模病院では電子カルテの普及が進んでいますが、中小規模の病院や診療所では普及が進んでいないのが現状です。
世界各国における電子カルテの普及率は下記のようになっています。
一般病院 | 一般診療所 | |
アメリカ | 85~100% | 80% |
スウェーデン | 90% | 90% |
イギリス | 99% | 99% |
シンガポール | 100% | 80% |
日本国内において電子カルテの普及が進みつつあるとはいえ、世界に比べるとまだまだ低い水準であることが分かるでしょう。
アメリカやスウェーデン、イギリス、シンガポールといった国々では医療の質向上に向けた取り組みが積極的に進められています。電子カルテを導入することにより、医療行為の効率化や医療費の節約につなげているのです。
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日本において電子カルテの普及が進まない理由としては、下記が挙げられます。
ここからは、それぞれの理由を詳しく解説していきます。
まず最初の理由としては「IT機器への苦手意識」が挙げられます。
厚生労働省の「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、病院・診療所の平均年齢は50.1歳、診療所だけに限っていうと60.2歳となっています。
年齢だけの問題ではありませんが、どうしても高齢になればなるほどIT機器への苦手意識は強くなります。特に不便も感じていなければ、あえて電子カルテに移行するまでもないと考えてしまうでしょう。今まで紙ベースで運用していたカルテを、電子カルテにすることに抵抗を覚える医師も少なくありません。
「紙カルテからの移行が大変」だという点も、理由のひとつに挙げられます。
これまで長年、紙カルテを使用していたクリニックでは紙ベースでの運用に慣れてしまっています。紙カルテに慣れてしまったスタッフへ、電子カルテの運用や使い方を指示するのも一苦労でしょう。
また、電子カルテに移行する際は、過去の紙カルテをスキャンして移行する作業が必要になります。患者さんのカルテが多い病院であればあるほど、移行の作業は大変になるでしょう。移行作業の面倒を考えると、電子カルテの導入を躊躇してしまうのも無理はありません。
「導入コストが高い」という理由で、電子カルテを導入できずにいる診療所もあります。
クラウド型であれば初期導入費用がある程度抑えられるとは言え、月額使用料なども発生するため長期で使用すればするほど高額になるように思われるでしょう。
後述する「費用を抑える方法」を賢く使わないと、どうしても導入にコストがかかってしまいます。従来通り紙カルテの運用であれば余計なコストがかからないので、あえてコストをかけて電子カルテを導入することに迷いを感じてしまう方も多いことでしょう。
最後の要因は「災害やセキュリティに対する不安」が挙げられます。電子カルテのデメリットのひとつが、停電時の運用ができないことです。また、過去にはサイバー攻撃などにより、電子カルテにアクセスできなくなった事例も発生しています。
電子カルテには患者さんの診療録データや保険請求データといった大切な情報が保管されているため、動かなくなってしまうと患者さんにも迷惑がかかるでしょう。
停電時の動作やセキュリティ面のことを考えると、紙ベースが運用していた方が安心だと考えてしまうのも無理はありません。
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上記のような心配もあるなかで、電子カルテをスムーズに導入するには下記のような方法がおすすめです。
ここからは、それぞれの方法を詳しく解説していきます。
まずは「実際にデモを試してみる」という方法です。電子カルテの中には、無料でデモ使用を行えるメーカーも少なくありません。実際にデモを試してみることで、電子ツールに慣れていないスタッフでも使用感を確認することができるでしょう。
近年では、ITツールに苦手意識を持っている方でも直感的に操作できるような電子カルテが多く登場しています。また、キーボード入力が苦手な人向けに、手書き入力ができるタブレット端末と連携できる電子カルテもあります。「思ったよりも簡単に操作できる」と分かると、電子カルテへの苦手意識が払拭できる可能性もあるでしょう。
次の解決策として「紙カルテと併用しながらの運用」が挙げられます。紙カルテから電子カルテへの移行が大変だという診療所向けの解決策といえるでしょう。たとえば再診の患者さんは従来通り紙カルテで運用し、新規患者さんからは電子カルテなどのように併用で運用していくという方法です。
併用で運用することで、電子カルテへの移行の手間やコストを抑えることができます。さらに、紙カルテの増加も抑えられるというメリットもあるため、これ以上は紙カルテの保存場所がないクリニックにもおすすめです。
コストがネックになっている場合は「導入時に補助金を活用する」という方法もあります。経済産業省と独立行政法人中小企業基盤整備機構が主導するIT導入補助金などが活用できる可能性があるので、ぜひ検討してみましょう。
補助金を活用することで、導入費用の負担を軽減することができます。近年では、電子カルテの標準化に関連した補助金が、厚生労働省でも検討されています。今後、補助が出る可能性もありますので、メーカーや管轄の官庁に問い合わせてみましょう。
電子カルテ導入に活用できる補助金については電子カルテ導入に活用できる補助金は?概要や申請方法を徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
最後は「各メーカーのサポート体制を調べる」ことが挙げられます。電子カルテはメーカーによって、サポート体制がさまざまです。24時間サポート体制が整っているメーカーもあれば、迅速に駆けつけてくれるメーカーもあります。
非常事態の時にメーカーがどのように対応してくれるのかを事前に知っておくことで、施設側の不安も軽減されるでしょう。電子カルテを導入する際には、メーカーのサポート体制を確認しておくことがおすすめです。
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電子カルテにはオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。ここからは、それぞれの種類別の普及割合について解説していきます。
まずは、オンプレミス型電子カルテとクラウド型電子カルテの違いをみていきましょう。オンプレミス型は院内にサーバーや専門機器を設置するタイプの電子カルテです。院内のサーバーにデータの管理や保存を行うことで運用していきます。
クラウド型はインターネットを活用して運用するタイプの電子カルテです。クラウド上に情報を保管していくため、院内にサーバーや専門機器を設置する必要がありません。初期導入費用が抑えられる反面、毎月使用料が発生します。
日経メディカルが行った「電子カルテアンケート」によると、電子カルテを導入している医療機関の約8割がオンプレミス型を使用しています。クラウド型の電子カルテが解禁されたのは2010年です。
そのため、近年開業している診療所を中心にクラウド型の利用割合も増えつつあります。2010年以前にオンプレミス型の電子カルテを導入した診療所は、クラウド型に切り替えをせずにそのままオンプレミス型を使用しているところが多いのでしょう。
出典:第16回 【医師390人に聞いた】電子カルテ導入シェアランキング2021速報!
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ここからは、人気の電子カルテメーカーを3社紹介していきます。
ウィーメックス株式会社では、さまざまな検査・医療機器やヘルスケアITといった製品の販売や医療福祉にまつわるサービスを展開しています。1972年に日本初の医事コンピュータ「メディコムMC-1型」が発売され、それ以降も医療機関のIT化をリードする医事コンピュータや電子カルテを販売してきました。
中小規模病院向け電子カルテや精神科病院向け電子カルテなど、豊富なラインナップもウィーメックス株式会社の特徴です。アフターサービスやメンテナンスなど万全なサポート体制も整っているので、万が一の時にも安心です。
Medicomシリーズの比較ポイント
製品情報
システムの種類 | オンプレミス、クラウド |
---|---|
レセコンの種類 | レセコン一体型、レセコン分離型 |
対象施設 | クリニック、病院 |
月額料金 | 要お問い合わせ |
初期費用 | 要お問い合わせ |
Medicomシリーズの電子カルテについてはメディコムの電子カルテ「Medicom-HRf Hybrid Cloud」の口コミ・評判は?でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
株式会社湯山製作所は1979年に創業し、調剤機器や病院の設備・システム、電子カルテシステムの開発や製造を行ってきた会社です。2004年に最初のBrainBoxシリーズが発売され、それ以降「誰でも使える電子カルテ」として進化を続けてきました。
日本医師会ORCA管理機構が提供する介護・訪問看護ソフト給管帳クラウドとの連携も可能です。一括請求機能も搭載し、在宅患者の一括請求もできるようになりました。1ヶ月分まとめて請求できるので、在宅診療を行っている施設でも便利に使用できるでしょう。
Brain Boxシリーズの比較ポイント
製品情報
システムの種類 | オンプレミス、クラウド |
---|---|
レセコンの種類 | レセコン一体型 |
対象施設 | クリニック |
月額料金 | 要お問い合わせ |
初期費用 | 要お問い合わせ |
ユヤマの電子カルテについてはユヤマの電子カルテBrainBoxシリーズの口コミ・評判は?でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
株式会社ダイナミクスは、電子カルテなど医療・健康関連ソフトの開発や販売を行っている会社です。内科医が診療の傍ら、全国の医師のニーズを集めて開発した電子カルテがダイナミクスです。
費用には診療報酬改定費用やバージョンアップ費用、ヘルプデスク利用料などが含まれています。また、使用するパソコンの台数が増えても使用料に変動がないため、低コストでの導入が可能です。
Dynamicsの比較ポイント
製品情報
システムの種類 | オンプレミス |
---|---|
レセコンの種類 | レセコン一体型 |
対象施設 | クリニック |
月額料金 | 要お問い合わせ |
初期費用 | 要お問い合わせ |
ダイナミクスの電子カルテについては電子カルテ「ダイナミクス(Ⅾynamics)」の評判・メリット・デメリットは?でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
日本国内において電子カルテの普及はあまり進んでいないのが現状です。特に病院の規模が小さくなればなるほど、コストや手間を考えて電子カルテの導入に踏み切れない施設が多くなります。
とはいえ、電子カルテを導入することでさまざまなメリットを得ることができます。電子カルテを導入する際には補助金などデメリットを補う方法もありますので、賢く活用しながら電子カルテの導入を検討しましょう。
電子カルテについては【2024最新】電子カルテ徹底比較|選び方やおすすめメーカーまででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
電子カルテ選びの専門知識・時間がない方
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