【保存版】クリニック開業の物件選定フロー|「想い」と「勝算」を両立させる方法

更新日 2025.12.12
投稿者:豊田 裕史

「開業を考えているが、物件探しで何から手をつければいいかわからない」

「いい物件を見つけたが、本当にここで決めていいのか不安だ」

開業に向けた物件選定は、先生の人生を左右する大きな決断です。しかし、多くの方が「とりあえずネット検索」から始めてしまい、相場の歪みやエリアのミスマッチに気づかぬまま契約してしまうケースが後を絶ちません。

実は、成功率の高い物件選定には、プロが頭の中で描いている明確な「フローチャート(手順書)」が存在します。

今回は、開業地(物件)選定に定評のある元医療コンサルタント直伝の「物件選定のロジック」を公開します。次の正しいアクションを決定するためのガイドとしてご活用ください。

その物件、契約前に「セカンドオピニオン」を受けませんか?
  • 「診療圏調査の数字だけで決めていいか不安」
  • 「業者から『今すぐ決めないと埋まる』と急かされている」
  • 「提示された家賃や条件が適正なのか知りたい」

もし一つでも当てはまるなら、私たち「2ndLabo」にご相談ください。
開業地(物件)選定に定評のある元コンサルタントが、地図には載らない「隠れたリスク」「競合の本当の強さ」を診断し、その物件が本当に"買い"なのか判定します。

診断は無料です。後悔する前に、まずはプロの目利きで「土地の答え合わせ」をしましょう。
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START:まずは「物件の決定状況」を確認する

開業プロジェクトのスタートは、先生の現在の状況によって2つのルートに分岐します。まずは以下の問いに答えてください。

Q. すでに「ここで開業したい」という特定の物件が決まっていますか?

YES(決まっている)CASE1 へ進んでください。
NO(決まっていない)CASE2 へ進んでください。

すでに「ここで開業したい」という特定の物件が決まっていますか?

※9割以上の方が「CASE2(決まっていない)」からのスタートとなります。

CASE1:物件が決まっている場合(チェックフェーズ)

ご自身でネット検索や知人の紹介で物件を見つけてきたパターンです。
「物件を探す手間」が省けて順調に見えますが、そのまま契約に進む前に以下の「妥当性チェック」が必須となります。

その賃料は「医療価格」になっていませんか?

「クリニック募集」と銘打たれた物件には注意が必要です。

元コンサルタントは、警鐘を鳴らします。プロの肌感覚として、そうした物件は周辺の一般相場に比べて賃料が2〜3割ほど高く設定されているケースが多々あると言うのです。

もちろん、これには理由があります。「同じフロアに調剤薬局があり、患者さんがワンストップで利用できる」という利便性(集患メリット)や、医療用スペックへの対応コストが価格に織り込まれているからです。

しかし、その「便利代」が適正範囲を超えているケースも少なくありません。「医療用」というタグがつくだけで、実力以上のプレミアム価格(いわゆる「お祝い価格」)が上乗せされていないか、第三者の目で冷静なシミュレーションが必要です。

CASE2:物件が決まっていない場合(戦略構築フェーズ)

「まだ具体的な物件はない」という先生。ご安心ください。
実は、物件が決まっていない(真っ白な)状態の方が、より確度の高い「勝てる開業」を実現しやすいのが本音です。

何もない状態だからこそ、無理やり物件に合わせるのではなく、先生の「想い」と経営としての「勝算」をベストバランスで設計できるからです。

成功の鍵は「物件」ではなく「開業の立地」選び

多くの先生が「良い物件(テナント)」を探そうとしますが、プロは視点が異なります。
建物のスペックよりも、そのエリアに患者さんがいるか、競合に勝てるかという「開業の立地」としてのポテンシャルを最優先に評価します。

失敗しない開業の立地選びのポイントについてはクリニック開業|診療圏調査を信じるな!カモにされない立地の選び方でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

基本的には「物件探し」の前に以下のフローで「場所へのこだわり」を整理することから始めます。

STEP1:場所への「強いこだわり」はありますか?

コンサルタントが最初に聞くのは、「先生、どうしても開業したい場所はありますか?」という質問です。ここでの回答によって、進むべきルートがAとBに分かれます。

ルートA:「どうしてもこの街でやりたい」という想いがある

「生まれ育った地元に恩返しがしたい」「昔から憧れていたこのエリアで勝負したい」

「先生に強い熱量があるなら、我々は全力でその想いに寄り添います」 良いコンサルタントほど、まずは想いを優先するとのこと。多少の競合がいても、先生のモチベーションがそれを凌駕し、地域に愛されるクリニックになることは往々にしてあるからです。

この場合、やるべきは「そのエリア内で、どうすれば勝てるか」の徹底分析です。
エリアを変える提案はせず、その街の中で「駅の北口と南口、どちらが患者動線が良いか」「競合クリニックの隙間はどこか」という局地戦のマーケティングを行い、ピンポイントで勝機を探ります。

ルートB:場所へのこだわりはなく、フラットな場合

逆に、「場所にはこだわらないから、経営が安定する場所がいい」「通勤が楽な方がいい」というお考えも、非常に合理的で正しい選択です。

この場合は「生活圏(通勤許容範囲)」からの逆算を提案するのが王道。
まずご自宅を中心とした地図を広げ、「通勤時間はドアtoドアで何分までなら許容できるか」を決めます。その円の中に含まれる駅やエリアの中から、競合が少なく、かつ将来人口が増えている「穴場」をデータに基づいて選定します。

ここで重要になるのが、客観的なデータに基づく「診療圏調査」です。

補足:ツールが出す「数字」を鵜呑みにしない

ツールが出す「数字」を鵜呑みにしない

※診療圏分析ツールが出す「数字」を鵜呑みにしないことが大事

ただし、ここで注意が必要です。一般的な診療圏分析ソフトが出すのは、あくまで「半径〇kmに皮膚科が〇件ある」という量的なデータに過ぎません。

では、コンサルタントは実務で何を見ているのでしょうか。答えは、ツール上の数字に「競合の質」や「未来の予測」という独自視点を掛け合わせたリアルな情報を掛け合わせて判断するといいます。
例えば、先生が「皮膚科」で開業する場合を想像してください。分析ツール上では「競合あり」とカウントされていても、その中身を詳しく調べると「勝機」が見えてくることがよくあります。

  • 専門医の有無: 競合院長は皮膚科専門医を持っているか?(持っていないなら、差別化は容易です)
  • 標榜科目の順番: 競合の看板に「内科・小児科・皮膚科」と書かれていた場合、皮膚科が最後に書かれているなら、それは「ついでに診る」程度の可能性が高いです。
  • 引退予定の有無: 近隣に同じ科目のクリニックがあっても、院長が高齢で数年以内の閉院が見込まれる場合、そこは将来的に競合がいなくなる「空白地」に変わります。

ツール上の数字だけで「ここは激戦区だ」と諦めるのではなく、「誰がライバルなのか」「将来どうなるか」まで深掘りして本当の商圏を作り上げるのが、プロのエリア選定です。

STEP2(共通):プロの検索手法「アットホーム&レインズ」

ターゲットエリア(ルートAまたはB)が決まったら、いよいよ具体的な物件探しに入ります。ここでもプロ独自の動き方があります。

「クリニック 物件」とは検索しない

「実は、プロは『医療専門ポータルサイト』には頼りません」。その理由として挙げられたのが、前述の「割高な家賃設定」です。 では、どこで探すのか。その答えは意外にも、物件検索サイト「アットホーム」などの一般事業用不動産サイトでした。

ここでコンサルタント直伝の「隠れた優良物件を洗い出す検索手法」を公開してもらいましょう。

アットホーム活用方法

※アットホームの絞り込み検索方法

実践!プロの検索手法

カテゴリは「店舗」と「事務所」の両方を見る

「店舗」だけでなく「事務所」カテゴリに、クリニックに転用可能な物件(元学習塾やショールームなど)が眠っていることがよくあります。

キーワードで絞りすぎない

最初から「医療可」などで絞り込むと、表示件数が激減します。まずは条件に合う広さ(例:20坪以上など)・場所の物件を広く出し、気になったものがあれば「ここでクリニックは相談可能ですか?」と問い合わせるのが、掘り出し物を見つける王道ルートです。

不動産屋へ照会

目星をつけたエリアの不動産屋に、ただ「物件を探しています」と伝えるのではなく、「開業予定時期」「必要な広さ(坪数)」「クリニックへの転用が可能か」といった具体的な条件を伝えて探してほしいと、プロとして相談を持ちかけます。

ここで重要なのが、不動産業界の共有システム「レインズ(REINS)」の存在です。実は、市場に出ている物件情報の多くは、このレインズを通じてどの不動産会社でも確認できるようになっています。コンサルタントはレインズを最大限活用します。ネット検索で拾いきれなかった情報や、一般公開前の水面下の情報を、懇意にしている信頼できる不動産パートナーを通じてレインズから吸い上げてもらうのです。

これにより、エリア内の「隠れた優良物件」を網羅的に把握することが可能になります。

まとめ:順序を守れば「良い物件」は必ず見つかる

「良い物件がない」と嘆く方の多くは、STEP1(想い・生活圏の整理)とSTEP2(エリア戦略)を飛ばして、いきなりポータルサイト検索から始めてしまうケースがあります。

  • まずは自分のスタンス(想い優先か、合理性優先か)を決める。
  • ターゲットとなるエリアを明確にする。
  • そのエリアで、一般サイトも含めて泥臭く探す。

このフローを守るだけで、開業の失敗リスクは大幅に下がります。

もし「自分の場合、どのエリアが狙い目なのかわからない」「ルートBで探したいが、データの見方がわからない」という場合は、物件を探し始める前に一度ご相談ください。

特に、エリア選定の根拠となる診療圏調査については、簡易版を無料で作成するサポートも行っています。物件契約という大きなハンコを押す前に、まずは「数字の裏付け」と「競合の質」を確認することから始めてみませんか。

その物件、契約前に「セカンドオピニオン」を受けませんか?
  • 「診療圏調査の数字だけで決めていいか不安」
  • 「業者から『今すぐ決めないと埋まる』と急かされている」
  • 「提示された家賃や条件が適正なのか知りたい」

もし一つでも当てはまるなら、私たち「2ndLabo」にご相談ください。
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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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