クリニック開業時の看護師採用を解説|給料相場や引き抜きの注意点

更新日 2023.11.17
投稿者:豊田 裕史

本記事ではクリニック開業時の看護師採用について解説します。必要な人数や給料相場、採用に至るまでのスケジュール、採用方法について説明しています。今の職場から引き抜きを行う際の注意点や失敗事例も参考にしてください。

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目次

クリニック開業に必要な看護師の人数と給料相場

ここでは、クリニック開業に必要な看護師の人数と給料相場について詳しく解説していきます。

クリニック開業に必要なスタッフの人数

一般的な人数は、無床クリニックの場合は以下の通りです。

  • 医師1名
  • 看護師2~3名(常勤1~2名)
  • 受付事務2~3名(常勤1~2名)

クリニック開業時は、1~2名の看護師がいれば問題なく回せますが、看護師が1名の場合は休日の確保が難しくなるため、常勤1名・パート2名が理想的です。また、個人クリニックは少ない人数で運営していくため、自発的に行動できる看護師が望ましいでしょう。

開業時は、なるべく最小人数でスタートし、患者数にあわせて増員を検討するといいです。先々のことを考えて多めの人数を採用すると、以下のようなデメリットがあるので注意しなければなりません。

  • 患者数が予定どおり増加するとは限らない
  • スタッフに余裕がありすぎるとトラブルが増加する
  • 万が一人員不足の場合はアウトソーシングが可能

首都圏近郊はクリニックが飽和状態となっており、事前調査をしたとしても見込み通り患者が増えるとは限りません。また、職場内でのトラブルは、忙しい時ではなく時間的に余裕がある時に発生しやすいです。その他、万が一人員不足になったとしても、アウトソーシングで一時的に対応できます。これらの理由から、開業時は少人数でスタートするのがおすすめです。

クリニック開業時の看護師の給料相場

クリニックに勤務する看護師の給料相場は以下の表の通りです。

【正看護師・准看護師の場合】

額面 手取り
月収 34万円 28万円
賞与 84万円/年 70万円/年
年収 492万円 406万円

【パート・アルバイトの場合】

額面 手取り
月収 30万円 25万円
年収 364万円 300万円

賃金水準は、近隣のクリニックの給与を求人サイトなどから調べて決定するといいでしょう。 なお、給料を決めるとき、資格や職務上の役割に併せて基本給以外に各種手当を設けるのは有効です。資格手当は、クリニック側が求める資格取得の促進につながります。しかし、責任に応じた役職手当を設けることで、スタッフのモチベーションを高めることにもつながります。

住宅手当や家族手当などの労働条件については、それぞれ個別に示すのではなく、雇用条件や給与規定にも確実に明記して公平性を担保するようにしましょう。

クリニック開業時の看護師採用スケジュール

看護師採用のスケジュール

まず、看護師の募集は余裕をもって開業予定の約4か月前から始めるようにしましょう。3か月~2か月前までには選抜・面接を済ませ、1か月前~1か月半前には採用する人を決定します。その後、開業までの1か月間で研修を行うことで、スムーズに稼働してもらうことが可能です。

クリニックにおける看護師採用は、基本的に以下のような工程を踏む必要があります。

  • 募集のために必要な準備
  • スタッフ募集開始
  • 採用面接の準備
  • 応募書類整理
  • 面接のセッティング
  • スタッフ採用決定通知
  • スタッフ研修
  • 電子カルテ研修

以下で各工程について詳しく説明していきますので参考にしてください。

採用以外のクリニック開業スケジュールについてはこちらをご覧ください。

クリニック開業の流れについてはクリニック開業の流れを徹底解説|時期別のやることリスト・成功に大切なポイントでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

募集のために必要な準備

看護師募集の前には、必要な条件面を検討する必要があります。以下で検討する必要がある条件をそれぞれ解説しますので参考にしてください。

雇用期間・試用期間

基本的に常勤の場合は「雇用期間の定め無し」で、パートの場合は1年更新が多いです。使用期間は3~6ヵ月に設定しているクリニックが目立ちます。このあたりは、近隣のクリニックの募集要項も確認して定めるといいでしょう。

給料

まず、求人サイトなどで近隣のクリニックが看護師にどのくらいの給与を支払っているか相場を調べます。首都圏の場合、看護師の給与は30万円程度です。経験者は優遇するようにして「調整給」などを加算するといいでしょう。他のクリニックの相場に寄せて、最低限の給与を設定していきます。

昇給・賞与・退職金

クリニックでは、昇給・賞与あり、退職金無しというケースが目立ちます。競合クリニックと差別化する場合は、退職金ありにするのもいいでしょう。その際、退職金支給の条件を勤務2~3年程度にすれば対象者が多くなりにくいので、経営的にも大きな影響は及ぼさないと考えられます。

勤務時間

看護師のなかには主婦も多いので、給与より勤務時間が重視される傾向にあります。そのため、勤務時間は明確に示すようにしましょう。また、変形労働時間制や小規模クリニックで適用される週44時間勤務の適用可否などについても検討するといいです。

社会保険

社会保険は意外と気にする人が多い条件です。たとえば、開業時のオープニングスタッフとして他の医療機関から看護師をスカウトする際などに、社会保険加入を求められるケースもあります。
また、個人事業主の場合は、医師国保か国保となりますが、社会保険を任意適用することも可能です。

スタッフ募集開始

募集条件を決めた後は、募集媒体から求人を行います。ハローワーク・紹介会社・ホームページなどで求人するのが一般的です。また、クリニックの中心的な存在となる看護師を自分でスカウトするケースも少なくありません。

採用面接の準備

求人を出した後は、採用面接の準備を行います。どのように経営していきたいか、雰囲気はどうしたいかなどを考えた上で、面接を行うのが重要です。

そのため、まずは目的に応じた質問事項を作成しておくといいでしょう。その際、過去の職歴の気になる点や志望理由も含めることを忘れないでください。その他、前職を辞めた理由や長所・短所などについても質問事項に加えておくといいです。

また、採点表も作成しておくと役立ちます。履歴書や質問票だけだと、あとから客観的な評価をすることが難しくなるかもしれません。そのため、評価を数値化する採点表は重要です。

応募書類整理

応募書類の整理は、コンサルティング会社を活用するのがおすすめです。これは非常に手間がかかるので、医師だけで行うと負担が大きくなってしまいます。

応募書類をコンサルタントに整理してもらい、一緒に検討した上で書類選考を行いましょう。書類選考後の面接の段取りもコンサルタントに任せるのが無難です。

面接のセッティング

採用面接において、もっとも重要なのは面接日時の設定です。求人者は現在勤務中の方も多いため、勤務に差し支えがない日時を定めます。また、設定した面接日が相手方の都合が悪いという場合もあるので、予備日も設定しておくといいです。

面接のセッティングは、最低でも開業の2か月前には行う必要があります。現在勤務中の看護師の場合、勤務先に1か月前には退職の意志を伝えてもらう必要があり、開業の半月~1か月前には研修を始めなければなりません。そう考えると、採用決定通知書は、開業の1か月半くらい前には送る必要があります。

面接のセッティングは、クリニックの今後を左右する重要な部分です。もし無理がある場合は、開業予定を遅らせるのも考えたほうがいいでしょう。焦って適当に開業しても、いい結果にはつながりません。そのため、妥協せずに優秀な人材を確保することに注力するのがおすすめです。

スタッフ採用決定通知

開業するクリニックで採用したい人材が見つかったら、早めに採用決定通知を出すようにしましょう。求人を見て応募してきた看護師は、他のクリニックにも応募している可能性があります。

是非うちで働いてほしいと思った場合、他のクリニックも同じことを思うでしょう。そのため、早めに採用決定通知を出さなければ他のクリニックで採用されてしまうかもしれません。
採用決定後は、内定通知書を渡して現在の職場の退職手続きを進めてもらいましょう。

また、不採用の求職者への対応も疎かにしてはいけません。求職者は、クリニックの近くに住んでいる方が多いです。そのため、不採用の理由に納得してもらえない場合、クリニックの悪い評判が広がってしまうことも考えられます。

不採用の場合は、丁寧に文書で対応し、たとえば文書とともに少額の商品券を同封するなど、工夫が必要です。

スタッフ研修

クリニックの開業にあたっては内覧会も行うので、スタッフ研修は遅くても開業の2~3週間くらいまでには行いましょう。
研修初日は、院長から開業の思いやクリニックのコンセプトなどを周知し、スタッフ全員に自己紹介をしてもらいます。

業務上必要な医薬備品や消耗品は、研修の際に看護師と相談した上で発注するといいです。また、電子カルテや医療機器の使い方に関する業者の説明も、研修期間中に設定する必要があります。

クリニック開業時は、マニュアル・ルールが定まっていません。これらは、少しずつノウハウを蓄積していって作成しておくようにしましょう。そうすることで、後から入ってきたスタッフに対して、適切な教育が可能です。

その他、インシデント・アクシデントレポートの作成も徹底しなければなりません。中には、インシデント・アクシデントレポートを知らない方もいます。そのため、開業時から共有する仕組みを作っておくことが重要です。

電子カルテ研修

電子カルテの研修は、基本的に電子カルテメーカーの担当者が来院して操作方法などの指導を行ってくれます。また、電子カルテ研修の際は、患者の保険証忘れや財布忘れなどがあった際の対応を決めておかなければなりません。

クリニック開業時に看護師を採用する媒体は?

ここでは、クリニック開業時に看護師を採用する媒体をそれぞれ紹介していきます。基本的には、以下のような媒体を活用しますので参考にしてください。

  • ハローワーク
  • 求人サイト
  • 以前の職場からのスカウト
  • 自院のホームページ
  • チラシなどの紙媒体
  • SNS

ハローワーク

もっとも一般的で料金もかからないため、とりあえずハローワークには登録しておく場合が多いです。各媒体に記載する内容は基本的に変わらないので、ハローワークで登録した内容をほかの媒体に掲載する際に転用するのが効率的でしょう。

ただし、ハローワークは常勤希望の看護師の求職者は少ない傾向にあります。中心となる人材を得るのは難しいかもしれませんが、とりあえず登録はしておいて損はありません。

求人サイト

ハローワークや人材紹介のほかに求人サイトを利用することも検討しましょう。人材紹介会社を利用する場合、条件にあったスタッフの紹介をしてくれますが、その分高額な手数料が発生します(スタッフの年収20~30%が相場)。成果報酬型の求人サイトを利用すれば、採用単価を1/2~1/4程度まで削減することも可能です。

コメディカルドットコム

以前の職場からスカウト

クリニックで中心となる看護師を自分でスカウトするクリニックも少なくありません。ただし、職場間でトラブルになるリスクはあります。とはいえ、然るべき対応をとれば大きな問題にはつながりにくいです。クリニックを順調に経営していく上でも常套手段だと言えます。

以前の職場が同じだった看護師などで優秀な方がいる場合は、スカウトを検討してみるといいでしょう。

自院のホームページ

ホームページは、開業直後は見られる機会が少ないです。そのため、オープニングスタッフの募集ではなく、開業後の求人媒体として活用します。なお、ホームページ制作会社によっては、求人ページを作ってくれるところもあるので、ホームページ制作を依頼する際に聞いてみるといいでしょう。

チラシなどの紙媒体

新聞への求人掲載は費用が高いのでおすすめしませんが、地域限定で紙媒体であれば1回数万円で比較的安価で掲載できます。近隣の求職者に絞って募集できるため、費用対効果も高いでしょう。

また、クリニックの認知度を高める効果もあるので、地域の紙媒体があれば活用してみるといいです。

SNS

近年では、TwitterやInstagramで求人するケースも増えてきています。手軽に無料で求人を出せますが、どれほどの効果があるかはやってみなければ分かりません。
とはいえ、無料なのでとりあえず出しておくのはいいでしょう。

今の職場にいる看護師を引き抜きする際の注意点

現在勤務している職場にいる看護師をスカウトして引き抜く際は、以下の3つの注意点があります。

  • 今の勤務先に迷惑をかけない
  • 業務内容や労働条件をきちんと事前に説明する
  • 採用や育成は自分の仕事であると理解する

今の勤務先に迷惑をかけない

現在勤務している職場に迷惑をかけないのは大前提です。病院・クリニックにおいて、患者やスタッフは時間とお金をかけて獲得した大切な経営資源となります。そのため、自分中心に考えて安易に引き抜くのはおすすめしません。

業務内容や労働条件をきちんと事前に説明する

今の職場で看護師からの信頼を得ていれば、前向きに検討してくれる方もいます。しかし、転職はその人の人生に大きな影響を及ぼすため、業務内容や労働条件に関しては事前にしっかりと説明しなければなりません。双方が納得した上で、雇用契約を結ぶように心がけましょう。

採用や育成は自分の仕事であると理解する

採用・教育は経営者の役割です。医療に専念する上で、優秀なスタッフは欠かせません。引き抜いたスタッフでも、環境が変われば育成は必要です。そのため、採用や育成が面倒だからスカウトして手間をかけないようにしようという考えはやめましょう。

クリニック開業時に看護師を引き抜きすることは多い?

開業時または開業後に、前の職場のスタッフを採用するケースは多いです。
たとえば、今の職場ではできない経験をしたい、職場の方針が合わないなどといった理由で独立してクリニックを開業する場合、他のスタッフも同じことを思っている可能性があります。同じ考えを持っている場合、喜んでスカウトに応じてくれるでしょう。

クリニック開業時の看護師引き抜きの失敗事例

クリニック開業時は、看護師の引き抜きによるトラブルは少なくありません。
たとえば、今の職場で院長などに事前相談なしで退職をして、すぐに後任医師やスタッフを補充できずに休診に追い込まれた例があります。結果的に、前の職場に迷惑をかけることになり、信頼を失い、見込んでいたクリニック経営ができなくなるケースは少なくないです。

また、前の職場と同じ条件で雇用契約を結んで、月々の給与が同じ場合でも、賞与が以前より少ない・昇給しずらい・社会保険対象外など、詳細を理解していないせいでトラブルに発展することもあります。

クリニック開業時からの看護師が辞めてしまう理由

クリニック開業時の看護師には、できるだけ長く勤めてもらいたいと思うでしょう。しかし、そうはいかないケースも少なくありません。 以下で詳しく解説していきます。

昇給や時間などの労働条件が合わない

開業時の看護師が辞めてしまう理由としては、労働条件が見合わないことがあげられます。クリニック開業時は、運営体制が整っていないことも多々あり、想定外の残業などによって1人の負担が大きくなりがちです。これが最終的に院長やクリニックへの不信感につながり、退職に至ってしまいます。

また、昇給などの将来的なコストも考慮しておく必要もあります。そのほか、病院との違いを事前に説明しておくことも大切です。

院長と看護師の間での温度差

経営者(院長)と看護師のコミュニケーションが不十分だと、クリニック全体のモチベーションが低下し、温度差が生じてしまいます。採用した看護師に長く勤めてもらうには、日頃からこまめにコミュニケーションをとり、モチベーションを維持してもらうことも大切です。

その他開業医のよくある失敗については開業医のよくある失敗事例まとめ|失敗しないための注意点・ポイントでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

クリニック開業時の看護師採用は事前準備が必要であり、計画的に行わなければなりません。そのため、余裕をもって4か月前には募集をかけ始めるといいでしょう。
また、採用にあたっては前に職場に迷惑をかけないなど、注意しなければならない点もあります。

ぜひ今回の記事の内容を参考に、クリニック開業時の看護師採用を進めてみてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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