※本記事は2023年2月時点での情報にもとづき執筆いたしました。
独立し、クリニック開業を検討するにあたり、上記のような不安・疑問をお持ちではないでしょうか。昨今、クリニックを”開業”することはそれほど難しくありません。ある程度、最低限の資金さえあれば開業コンサルタントに依頼して、あとは言われた通りにタスクをこなしていれば、自分のクリニックを開業することは可能です。
ただしクリニックを開業することと「クリニック開業を成功」させることは全く違うことです。
当サイトでは、「クリニック開業成功」を以下のように定義づけています。
決して収益が出ることだけが、成功ではありません。先生が実現したい未来を、開業という”手段”で実現すること、それが「開業の成功」であると考えています。この記事では、クリニックを開業するまでの「スケジュール」「やるべきこと」を明確にしたうえで各ステップで「必ずおさえておきたい注意点・ポイント」をまとめました。
開業準備期間はクリニック成功を左右させる非常に大切な期間です。ただ開業コンサルタントのいいなりになるのではなく、自分が実現したい「クリニック像」「未来像」を根底に置きましょう。そのうえで、本記事で解説する各ステップの注意点を頭に入れて準備を進めていきましょう。
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目次
医局制度が次々と廃止され、医師の労働環境も時代の変化と共に大きく変わってきています。これにより、医師1人1人のキャリアプランの自由度が増し、クリニック開業についても変化している状況です。この章では、現在のクリニック開業において、開業時期の変化や開業地の選定、医院の経営などの現状について解説します。
出典:社団法人日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」
近年では40代での開業が中心です。以前は30代での開業が主流でしたが、ある程度勤務医として経験を積んでから開業する方が増えています。
とにかく開業すれば患者が集まるという時代は終わり、競合を意識したマーケテインングがなければ成功は難しいでしょう。それを背景に、中には大学院の在学中からすでに開業を視野に入れて準備を進めるなど、開業に伴う意識は確実に変わってきています。
依然として開業エリアは都市部に集中しており、地方での開業は少ないのが現状です。中でも駅前やバス停がある場所など、利便性が高いエリアや住宅地が人気となっています。
それだけ患者を見込めるという予想は立てられますが、競合が多いためにさまざまな工夫が必要になるでしょう。
現在、医療現場ではICTツールを導入する動きが加速しています。ここではそれぞれの機器について紹介していきます。
出典:新規開業クリニックに関する法人アンケート調査を実施(2019年)
近年は、保険診療に加えて、美容皮膚科などの自由診療で開業する医院も増えています。
広告宣伝費がかかることや、競合の医院が集中していると価格競争が起こる可能性がありますが、自由診療の美容は単価が高く、安定した経営を見込めるでしょう。
ここからは、クリニックを開業するまでに、どのような手順を踏めば良いかを解説します。詳細に計画を練ることはもちろん、ゴール地点を明確にしておくことが大切です。
そもそも、なぜ開業したいのかを明確にしておくことが重要です。開業することにはメリットだけでなく、大きなリスクも伴います。
開業する前にはリスクをしっかり把握した上で、自分の医院をもつ決断をするようにしましょう。
開業をする最初の段階で、経営戦略を固めておくことがとても重要です。
などについて事前に決めておきましょう。開業のコンセプトを明確にしておくことで、初期コストを抑え、安定した経営にすることができます。頭の中のイメージや考えを紙に書き出し、整理すると良いでしょう。
開業コンサルは、前述した開業前のコンセプトや経営戦略などを策定してもらえます。具体的な事業計画や人材計画、医院の宣伝戦略から開業後のサポートまで、不安を抱えてしまう点を網羅してアシストしてくれるでしょう。
開業後も業務改善を中心としたアドバイスから、黒字化に向けての経営分析まで幅広いサポートが受けられる点も安心です。最終的な意思決定までをしっかりとマネジメントをしてもらえるので、非常に心強い存在となるでしょう。
クリニックの開業コンサルについてはクリニックの開業コンサル14選|コンサル会社の選び方も解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
開業場所を探すには、医院のコンセプト(近隣のクリニックの状況や診療科目)と照らし合わせて、慎重に決めましょう。
都市部であれば、固定費の高さを覚悟しておく必要があります。都市部は競合のクリニックも多く、これから開業するには厳しい状況なので、専門性を高さで差別化し、しっかりとコンセプトを固めておくことが重要です。郊外での開業は、都市部に比べて比較的集客がしやすい傾向にあります。開業場所の地域性を理解し、よくリサーチは行うようにしましょう。
注意点としては、地域の人が通いやすい立地を考えることです。場所によっては車が通れず、遠回りしなければならない場所なども郊外であればよくあり得ます。それぞれの地域性をよく理解することが大切です。
必要な自己資金額は、どの診療科を開業するかによって異なります。資金は多いほうがもちろん良いですが、たとえ自己資金がなくてもクリニックの開業は可能です。
金融機関に必要な融資を受けるためには、趣意書の作成と、綿密な事業計画の作成が重要になります。
趣意書は、
などを記したものです。金融機関の担当者に好印象となるように心がけましょう。また、事業計画も詳細に記すことで、より好条件の融資が受けられる可能性が高くなります。
場所が決定したら内装のコンセプトを決めましょう。医療専門の開業コンサルタントを活用するのがおすすめです。
医院の内装には、特有のポイントがいくつかあります。業務をする上で、効率よく仕事が行えるような設計を行うことが大切です。医療現場の内装に精通したコンサルタントに頼むことで、使い勝手の良い衛生的な医院をつくることができるでしょう。入念に打ち合わせを行い、医師やスタッフの動線を意識した内装を心がけてください。
クリニックの内装についてはクリニックの内装の基本を解説|設計時の注意点やおすすめ業者まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
医療機器への過大な投資は、ありがちな失敗の1つです。安易に業者へ見積もりを依頼せずに、必要な機器を慎重に選ぶようにしましょう。
医療機器の選定は、秘密保持契約を結んだ医療機器業者と相談するとよいです。内装設計をする段階で、機器の配置を考えた設計ができます。
ただし、相談する際には金額の交渉はしないようにしましょう。なぜなら、後ほど競争入札で決めていくと安く仕入れることができるからです。医療機器の定価はあまり参考にならず、交渉次第で安く仕入れることが可能です。
次に、電子カルテや予約システム、WEB問診システム、オンライン診療システム、自動精算機(セルフレジ)など必要なICTツールの導入をします。椅子やテーブルなど什器・備品等の選定、調達を行いましょう。選定する必要があるサービスは多岐にわたりますが、業務効率やランニングコストを考えると慎重に選定する必要があります。
かなりの機器を選定していくことになりますが、面倒と思わずに1つ1つ納得いくものを選んでいきましょう。こういった機器選びを失敗してしまうと、開業後の資金繰りが苦しくなり、後悔してしまうこともあります。
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ここからは各種専門家の選定についてお伝えしていきます。税理士や社労士など、医院を経営していく上でとても重要な存在です。順に解説します。
開業医は、日々の業務に集中する為、会計などは税理士に全ておまかせすることがほとんどです。また、顧問税理士を置くことによって、経営的に関するアドバイスや相談にものってもらえるでしょう。銀行から融資をうける場合の事業計画書作成や、助成金などの相談や申請のアドバイスを受けることも可能です。
税理士と同様に、社労士も必須です。適切な労務管理や労働保険に関する専門家なので、医院を運営していく上では重要な存在です。クリニック経営で、最も大変なことは、スタッフのマネジメントだと言っても過言ではありません。万が一、雇っている従業員と軋轢など問題があった場合、かなり頼りになる存在だと言えます。
開業の段階では、その他の専門家(弁護士等)は必須ではありませんが、状況や希望に応じて選定しておくと安心でしょう。余裕があれば、考えておきましょう。
医院を開業するには、さまざまな手続きや各種申請が必要になります。主な申請書類は以下の通りです。
早いものでは2ヶ月前に申請する必要があるので、スケジュールを確認しながら漏れのないようにしましょう。各種申請のために、必要な書類も多くあります。
また、院長はクリニックの施設管理者として、防火管理責任者の資格が必須です。消防署が指定する講習会に参加し、最終日のテストに合格することができれば資格取得となります。講習会は2日間行われるので、予定を確認しておきましょう。
クリニック開業に必要な申請・手続きついてはクリニック開業に必要な申請・手続きをわかりやすく解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
医院を経営していくためには、集患をしなければなりません。印刷物やチラシを作成して広告を配るのも良いですが、今の時代、ホームページを作成してWEBから集患する方法が効果的だと言えます。
検索エンジンでページ数を増やし、院長の名前やクリニック名、診療時間や場所などを詳細に記入することだけではなく、目を引くデザインで作成することも重要なポイントです。
地域性を考慮して、看板やチラシなどを作成し、新聞の折込チラシやポスティング用の印刷物も作り込みましょう。その際、医療専門の印刷物を取り扱う業者へ依頼するのがおすすめです。デザイン案をいくつかだしてもらい、医院のコンセプトに合わせたものを作成してもらいましょう。
クリニックのホームページ制作については【2023】クリニック・病院におすすめのホームページ制作会社17選でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
開業するにあたって、スタッフを募集する必要があります。エリアや条件によりますが、オープニングスタッフは応募が入りやすいので、まずは無料で募集を行い、なかなか集まらないようなら有料求人を使うとよいでしょう。
人材紹介会社を通すと、条件に合った人材を紹介してもらえるメリットはありますが、単価がスタッフ年収の20~30%(100万円~150万円)と高いです。
単価が1/3~1/4で採用できる成果報酬型の求人媒体もありますので、上手く活用することをおすすめします。
クリニックを新たにオープンする際には、地域の人たちのクリニックの存在や院内の設備をお披露目する為、内覧会を開催します。
必ず行わなければいけないわけではありませんが、訪れた人にクリニックの強みなどを直接アピールすることができるので、集患には有効な手段だと言えるでしょう。基本的に、診療所はその地域に住む人が患者になるので、PRをする良い機会です。顔を合わせて話すことで、医者への信頼も高まります。
開業初日は、いくらシミュレーションを行ったとしても戸惑うことや忙しさに追われてしまいます。少しでも安心して初日を迎えられるように、細かいことですが、お釣りの現金を用意しておくなど、不足の事態にも備えるようにしましょう。
大切なのは、受付で患者様を待たせないようにすることです。クリニックの第一印象を大切にして、また来てもらえるように気持ちの良い対応を心がけるようにしましょう。
開業してからが新たなスタートです。地域に信頼されるクリニックになるよう、開業前から綿密な事業計画を立て、医院経営をしていくことが重要になるでしょう。
ここからは、診療科目別に開業を成功させる為のポイントについてお伝えしていきます。必要な開業資金や、経営していく上で重要な月あたりの収支、院長自身の収入についても解説するので、以下の目次から該当する診療科をご覧ください。
一般内科のみを掲げて開業をするのか、専門的な内科領域も看板の名前に含めて経営していくのかによって戦略は異なってきます。どこまでの患者を受け入れるかを事前に決めておくとよいでしょう。
また、都市部での一般内科のみでの開業は競合が多く、厳しい現状があります。特別な事情がなければ、視野を広げて郊外に目を向けてみると良いでしょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万〜 |
---|---|
設備 | 約2,000万〜3,500万 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約641万円 |
---|---|
介護収益 | 約0万円 |
人件費(院長は含めない) | 約172万円 |
---|---|
医療品費 | 約105万円 |
その他 | 約162万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約201万円(年収:約2,424万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
消化器内科は他の診療科に比べて、競合の激しい科です。自己資金があればあるほど、良い設備を導入することができるので、他の医院と差別化することができるでしょう。また、患者から高い信頼を得るには、下腹部内視鏡の腕前が重要です。上部内視鏡だけを標榜し、経営を続けていくには厳しい現状があります。開業資金は約1,000万円で、運転資金や設備資金は合わせると約7,000万円程度必要になるでしょう。
消化器内科の収入はクリニックによって差があります。順調に経営していくことができれば、ひと月あたりの診療報酬は約660万〜1,000万円です。そこから、人件費や医療品費を引いたものが院長の取り分になります。そのため、医療法人化していく場合がほとんどです。
消化器内科クリニックの開業については消化器内科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
現在、呼吸器内科は競合が少なく、開業を考えている専門医にとっては良いタイミングです。コロナ禍が落ち着いてくると、頃合いを見計らい開業をしようとする医師が増えてくるでしょう。
呼吸器内科を訪れる患者は、喘息や息切れの症状の症状を訴え受診することがほとんどです。患者のニーズを踏まえた戦略を立てて、開業することが重要になります。
他の診療科に比べて、循環器内科はすぐに経営を軌道にのせることは難しいです。その為、自己資金は1,000万円くらい用意しておくと、安心して開業することができるでしょう。
循環器内で集患するポイントは、まず地域の人に認知してもらうことです。普段あまり足を運ばない診療科なので、病院名やキャッチコピーを工夫して、患者のわかりやすい表現や症状のキーワードを使うと良いでしょう。
循環器内科クリニックの開業については循環器内科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
糖尿病内科は、管理栄養士と看護師を採用するのが最重要です。開業を考えたときから、職員の採用を念頭に置いて開業準備を進めるようにしましょう。
患者を集める方法として有効なのは、他の病院から外来患者を連れてくる方法です。現在勤務医なのであれば、医局で相談するとよいでしょう。
また、近隣のクリニックへ挨拶をして患者を紹介してもらうこともあります。競合ではあるので、簡単に患者を引き受けることはできませんが、キャパオーバーしている場合には紹介してくれることもあるでしょう。
外科は、同じ患者が継続的に通うことはなかなか難しいので、常に新規の患者に来院してもらえるような戦略が必須です。
ホームページや、ポスティングなどを活用することはとても大切ですが、継続して広告活動をしていると費用がかさんでしまいます。適切にターゲットを絞り込み、広告を出す期間や時期などを考慮して、新規患者を呼び込むようにしましょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万〜 |
---|---|
設備 | 約1,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約817万円 |
---|---|
介護収益 | 約7万円 |
人件費(院長の収入は含まず) | 約268万円 |
---|---|
医療品費 | 約122万円 |
その他 | 約270万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約164万円(年収:約1,977万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
外科クリニックの開業については外科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
眼科では、白内障の手術を行うのかどうかによって、設備費用が大きく変わります。眼科のコンセプトを明確にして、受け入れるターゲットの患者を事前に考えておきましょう。
年齢層を問わずに訪れる人の多い診療科なので、家族住まいの多い立地で開業すると、集患がスムーズです。幅広い層を受け入れる体制を整える必要があるので、視力の低い子供や車椅子の患者のことも考え、バリアフリーにも配慮した院内づくりを心がける必要があります。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万〜 |
---|---|
設備 | 約2,000万円〜4,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約448万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費 | 約138万円 |
---|---|
医療品費 | 約43万円 |
その他 | 約141万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約126万円(年収:約1,512万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
眼科クリニックの開業については眼科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
眼科と同様に、年齢を問わず患者が来院するので、開業からターゲットをしぼって広告していくと良いでしょう。特に地域ごとのカラーに合わせ戦略を考えると、集患しやすいです。
また、自由診療も考えている場合は、女性の目線を意識した院内づくりも重要になります。化粧を直すスペースや、安心して利用できるパウダールームの設置もレイアウトに組み込むと良いでしょう。
開業資金
土地や建物 | 約1,500万円〜 |
---|---|
設備 | 約500万 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約499万円 |
---|---|
介護報酬 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約125万円 |
---|---|
医療品費 | 約16万円 |
その他 | 約132万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約226万円(年収:約2,709万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.157
泌尿器科医自体が少ないこともあり、患者の取り合いになることはほぼないでしょう。開業している病院も多くないので、開業する場所を選べばその地域の患者を独占することもできます。
この診療科の特性上、トイレの設備は充実させる必要があり、たとえ小さめの病院でも患者向けのトイレを2つ以上は設置します。そのようなものを含め、設備費用は約1,000万円〜3,000万円です。
院内のレイアウトにも気を配りましょう。男女に分けた動線を考えるなど、患者が恥ずかしさを感じにくいような院内設計を考える必要があります。
整形外科は、どの設備を導入するかをよく検討するようにしましょう。無駄な設備投資は、経営を苦しめることに繋がってしまいます。
若年層を狙って集患していくのであれば、スポーツ整形外科を推していくのも手です。コンセプトを明確にして、ターゲット層を念頭においた戦略を考えましょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
---|---|
設備 | 約1,900万〜2,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約805万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約215万円 |
---|---|
医薬品費 | 約166万円 |
その他 | 約175万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約249万円(年収:約2,988万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
整形外科クリニックの開業については整形外科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
子供が多く来院する診療科なので、キッズルームの設置や院内の雰囲気づくりなどを踏まえたレイアウトを考えましょう。
順番待ちの人数が分かるような予約システムを導入することもおすすめです。他の科にも通じることですが、長く待たされることは患者にとってとても不快に感じます。特に、具合の悪い子を連れてきている親御さんからしてみれば、そんな状態で長く待たされてしまうことは大きなストレスになるでしょう。
小児科では特に、患者目線の院内づくりを大切に経営していくべきです。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
---|---|
設備 | 約1,000万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約803万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約222万円 |
---|---|
医薬品費 | 約156万円 |
その他 | 約169万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約256万円(年収:約3,068万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
小児科クリニックの開業については小児科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
産婦人科は、患者のプライバシーを配慮した設備や院内レイアウトがとても重要です。安心して来院してもらえるような内装を検討しましょう。
この診療科の特性上、女性医師であれば、それ自体が強みになります。ホームページを作成する際にも、女性の医師であることをアピールすることや、スタッフもこの科に合わせて女性の多いクリニックにするなど来院しやすい環境をつくることが大切です。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
---|---|
設備 | 約2,000万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約567万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約172万円 |
---|---|
医薬品費 | 約73万円 |
その他 | 約169万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約153万円(年収:約1,834万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
不妊治療のクリニックは、開業の設備のみで約5,000万円以上です。無菌室や培養室などの設備投資が必須で、他の診療科に比べると高額となってしまいます。
現在、不妊治療の需要は高まってきているので、これからも求められる診療科であることは間違いありません。ただ、経営の観点からみると、開業当初からしっかり集患をして収支を安定させることは少し厳しいです。他の病院から患者を紹介してもらうなどの工夫が必要でしょう。
産婦人科と不妊治療クリニックの療法を標榜して経営していくのであれば、個人事業で年収6,000万ほどは可能です。
都市部では耳鼻咽喉科の競合が多いので、郊外での開業が良いでしょう。地域に合わせたニーズを打ち出して戦略を練ると良いです。
また、自分の専門領域を掲げて集患することで、他の医院との差別化になり集患が見込めます。ホームページなどの広告に力を入れて、老若男女問わず、あらゆる層をターゲットにしてもよいでしょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
---|---|
設備 | 約2,000万円〜2,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約552万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約205万円 |
---|---|
医薬品費 | 43万円 |
その他 | 約146万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約158万円(年収:約1,890万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
耳鼻咽喉科クリニックの開業については耳鼻咽喉科の開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
精神科は近年数が増えてきている診療科です。クリニックが多くあるエリアを避けて開業すると良いでしょう。
また、プライバシーを配慮したレイアウトも必須です。通院していることを周りに知られたくないと感じる患者も多いでしょう。仕切りのパネルを設置するなどして、安心して通える医院を心がけましょう。
児童精神科も標榜するのか否かも、開業時に考えるべきポイントです。
開業資金
土地や建物 | 約1,000万円 |
---|---|
設備 | 約400万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約654万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約164万円 |
---|---|
医療品費 | 約180万円 |
その他 | 約94万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約216万円(年収:約2,587万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
精神科クリニックの開業については精神科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
在宅医療は設備等の開業資金が抑えられる点がメリットではありますが、24時間365日体制を整える必要があるので、医師自身の生活スタイルもよく考えていかなければなりません。
連携している外来のクリニックとの連携を上手くとることや、患者の家族とのコミュニケーションなど、通院する医院にはないサポート体制を構築していく必要があります。
在宅医療は、外来診療に比べて診療報酬が高いことも特徴の一つです。
在宅医療クリニックの開業については訪問診療クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まず脳神経外科は、画像診断装置を取り入れるかどうかによって大きく開業資金が変わります。2億5,000万ほどあれば、装置を導入して開業も可能でしょう。取り入れない場合は6,000万円ほどです。医院の規模によって異なりますが、安定して経営していくことができれば、3,000万〜8,000万以上の実質収入を得ることができます。
内科は、内装に注意が必要です。バリアフリーを意識して、テナントを借りるのであれば1階で、50坪以上の面積を確保しましょう。この診療科の特性上、駐車場もあると、患者の家族が送迎できるので集患しやすいです。
美容クリニックで行われる施術は、ほとんどが自由診療です。勤務医の美容クリニックの専門医で年収は1,500万〜3,000万程度なので、個人で開業し上手く経営を軌道にのせることができればそれを大きく上回る収入を得ることができるでしょう。
しかし、設備費用などの初期費用は、整形外科同様に高額になってしまいます。おおよそ5,000万円〜1億円ほどは覚悟しておきましょう。昨今では、男女問わずに美容に関する需要が高まっているので、今後もさらに求められる科だと言えます。
美容クリニックの開業については美容クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
倒産した診療所の数は、ここ数年を平均すると年間に15件ほどで、全国にある医院の割合を考えると非常に少ないです。このことから、クリニックを開業して成功する確率は高いと言えるでしょう。
しかし、その中でも廃業に追い込まれるクリニックが複数あるのも事実です。過去の失敗した事例からしっかり学び、知識を蓄えましょう。
ここからは具体的な失敗事例をお伝えしていきます。経営的な観点を持って開業することで、失敗は避けられます。順に解説するので、参考にご覧ください。
医院を開業する上で最も大切なのは、地域のニーズを掴んで集患することです。ただ良い立地の場所に医院をもてば患者が集まるとは限りません。地域に住む年齢層に加えて、都市部か郊外かによっても戦略は変わってきます。
また、病院も一般企業などと同様に競合を意識しておくことは重要です。開業予定の近くに同じ診療科を標榜する医院があると、患者の取り合いになります。診療にくる人がいなくては、長期的に経営を続けていくことは厳しいです。
開業前に、しっかりと戦略をたてておくことに加え、効果的な広告方法を考えておきましょう。
こちらはよくある失敗パターンの一つです。診療科によっては、億を超える設備投資が必要な場合はありますが、多くの場合はそこまでの資金は必要ありません。
多くの借入をしてしまうと、運転資金が足りなくなり、閉業に追い込まれる可能性があります。設備は必要なもののみを揃えて、経営が苦しくならないように気をつけましょう。
患者を大切にするのは当たり前のことですが、スタッフの働きやすい環境を整えることも非常に大切です。職務内容や役職にもよりますが、気持ちよく働けない職場はスタッフの入れ替わりが激しく、患者からの不信感も募ります。
設計の段階で、スタッフの休憩場所を快適にして働きやすくすることや、日々のコミュニケーションを大切にして労わる気持ちを忘れないようにすることが大切です。
病院は基本的にバリアフリーに配慮した設計をしていますが、診療科に合わせた内装にすることも大切です。
心療内科であれば、プライバシーを考えて人の目に触れづらい内装にしたり、小児科であれば、キッズスペースを確保したりするなど、患者が通いやすくなるような設計が必須になります。
患者に寄り添った居心地の良い環境をつくることが、結果的に集患へつながるでしょう。
長く存続していくクリニックは、高い医師の医療技術をもっていることはもちろんですが、以下のような特徴、また重視すべき点があります。
何度も前述したように、開業するにあたって明確な経営理念をもち、病院のコンセプトをしっかりと掲げることが重要です。病院の立地や、地域性を踏まえたマーケティングを考えることが大切です。
リスクを伴う開業ですが、その分リターンも非常に大きいです。勤務医から開業医になることで、医師自身の働き方も大きく変わります。何の目的をもって開業するのか、自身の将来設計の中で自院をもつことの意味を明瞭にすることが重要です。
家族の理解を得ることはもちろん、確固たる覚悟をもって開業しましょう。
こちらの章では、開業前に知っておきたいことをQ&Aでまとめています。 すでにお伝えした内容も含まれていますが、再度確認をしてみてください。
一般的に、40代〜50代前半が多いです。専門医としての技術を十分に備え、20年くらいの事業計画をもち開業する医師がほとんどです。
診療科によって異なりますが、厚生労働省の調査によると、開業医の平均年収は約2,749万円です。
勤務医の場合は、緊急で手術が入ったり、患者の体調が悪くなると手当に呼び出されたりと常に忙しい日々です。
開業医は、そういった場面が少なく、外来の患者を診察する時間が主な時間です。前もって決まっていない限り、突然手術や検査をすることはありません。
開業に関するノウハウや、経営についての専門書を読んでおくと良いでしょう。また、開業医の体験談をまとめた書籍も非常に参考になります。具体的な失敗談、もしくは成功した話を知ることで、多くの知識を蓄えることができます。
入っておいた方が良い保険は以下の4つです。
休業補償は、従業員の給料や家賃などの固定費、借入金の返済などに備える保険です。万が一、院長が休業せざる得なくなった場合に、補償があると安心材料の一つになります。
開業にはリスクが伴いますが、自分のクリニックを構えることで得られることが多くあります。病院経営が軌道にのれば、勤務医に比べると倍以上の収入が見込め、ライフプランの幅はさらに広がるでしょう。
そのためには、開業前から入念に経営計画を立て、診療科に合わせた立地選びをすることや、地域のニーズを理解することが必要です。
開業医としての将来設計を考えているのであれば、医療技術だけでなく、経営者としての観点をもって準備をしていきましょう。
過去の失敗事例等も参考にして、ぜひクリニック開業に挑戦してみてください。
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横山 洋介
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
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セカンドラボ株式会社の社員。マスコミ業界から転職しました。医療福祉業界の人手不足を知り、大きく業務効率化できる可能性を感じています。医療福祉の業務効率化につながるツールを研究しています。
カケル
フリーランスWEBライター
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元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。